僕らが転生した理由 〜異世界転生した先は赤い地球〜神々に弄ばれた人間の物語

空 朱春

文字の大きさ
11 / 23
第一章

10 黒いローブの美少年

しおりを挟む
「エーデル。ちゃんと顔洗ったか? 今日は師匠が来るんだからしっかり正装するんだぞ」
「なにもしなくてもエーデルは大丈夫よ! こんなにかっこいいんだもの」

 今日は家の中が慌ただしい。カルラはひたすら家の中の掃除をし、アルはずっと鏡の前で髪をとかしている。
 ――どうやら二人には美男子という言葉が響いたらしい。
 そしてクラウスは相変わらずのテンションでずっと口を動かしている。
 僕はと言うと――ただいつも通り朝起きて、歯を磨いて着替える。椅子に座り足を組みながら、林檎ジュースを口に運ぶ。普段通り……

 というのは建前で――
 起きてからずっと心臓が鳴りっぱなしだ。緊張で手汗が止まらない。

 ――あの見知らぬ力を発揮してから二日が経った。
 予期せぬ出来事で僕はクラウスをぶっ飛ばしてしまったが、幸い一日で治るほどの軽症で済んだ。
 だが、危険な力に変わりはない。神力の制御や使い方について師匠がを雇い学ぶことになった。
 そして、ついに今日師匠とご対面だ!

「お師匠さんいらっしゃったみたいね? あら? 庭を見ているのかしら?」

 今更にはなるが、母カルラは魔術を専門とする魔術師だ。
 その中でも得意な術は「サーチ」
 サーチとは約五メートルの範囲で、ある程度の魔力量を感じ取り、その人の実力や今何処にいるのかがわかるらしい。
 カルラ曰く、かくれんぼが得意で百発百中だという。
 ……そのかくれんぼは楽しいのだろうか……?
 
 不安と緊張で胸がなりっぱなしで、すごく吐きそうだ――
転生をしてから家族以外の人と深く関わるのは初めてだ。元々嫌われ者の僕が師匠と弟子という役を上手く出来るだろうか。

 玄関のドアをノックする音が4回聞こえた。
 そしてクラウスがドアを開けた――

 ドアの前に立っていたのは…………
 黒いローブを着た美男子だった。
 ――確かに美少年だが……だが何か違和感を感じる……美少年なのか?

「アレクさん、お久しぶりです! よく来てくださいました」
「あぁ、酒場以来だな」
 アレクはクラウスやカルラと挨拶を交わし、僕を見た。
「君がエーデルか?」

「は、はい。はじめましてエーデル・アイビスです」

「そして君がアルメリアだな?なるほど……君はあと三年てところか。魔術が得意なのか」
 アレクは少し頬を赤らめたアルメリアの頭を撫でた。
 ――ん? 三年? 魔術? ……確かにアルメリアはカルラと同じく魔術が得意だ。でもそれを見てもいないのに会っただけでわかるものだろうか? 三年って何のことだ? カルラのようにサーチを使ったのか? 

「先ほど庭を見てきたんだが地面が抉れ、木に傷があった。あれはエーデルお前がやったのか?」

 アレクが言っているのは二日前の件で間違いないだろう。父と鍛錬をしていた時木刀を振っただけだが、神力という力のせいで風が起こり、庭を少々荒らした。

「……はい、そうです」
「やはりな。確かにお前の神力は強い、だがもっと強くなれる。しっかり鍛えてやろう」

 クラウスとカルラは顔を見合わせ喜んでいた。
 僕もやっと胸を撫で下ろした。やっと神力に対する不安が少し解けた気がする。何故なら、僕を見てくれる人が現れたからだ。
 
 先程まで不安と緊張で吐きそうになっていたというのに、何故か師匠の顔を見て安堵した。独特な雰囲気に穏やかな気持ちになる。この感覚何処かで――

「是非よろしくお願いします!」

「庭に出るぞ」

 こうして今日から僕はアレクという師匠の下、厳しい鍛錬に打ち込むことになった――
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

没落貴族は最果ての港で夢を見る〜政敵の公爵令嬢と手を組み、忘れられた航路を拓いて帝国の海を制覇する〜

namisan
ファンタジー
日本の海運会社に勤めていた男は、事故死し、異世界の没落貴族の三男ミナト・アークライトとして転生した。 かつては王国の海運業を牛耳ったアークライト家も、今や政争に敗れた見る影もない存在。ミナト自身も、厄介払い同然に、寂れた港町「アルトマール」へ名ばかりの代官として追いやられていた。 無気力な日々を過ごしていたある日、前世の海運知識と経験が完全に覚醒する。ミナトは気づいた。魔物が蔓延り、誰もが見捨てたこの港こそ、アークライト家再興の礎となる「宝の山」であると。 前世の知識と、この世界で得た風を読む魔法「風詠み」を武器に、家の再興を決意したミナト。しかし、その矢先、彼の前に最大の障害が現れる。 アークライト家を没落させた政敵、ルクスブルク公爵家の令嬢セラフィーナ。彼女は王命を受け、価値の失われた港を閉鎖するため、監察官としてアルトマールに乗り込んできたのだ。 「このような非効率な施設は、速やかに閉鎖すべきですわ」 家の再興を賭けて港を再生させたい没落貴族と、王国の未来のために港を閉鎖したいエリート令嬢。 立場も思想も水と油の二人が、互いの野望のために手を組むとき、帝国の経済、そして世界の物流は、歴史的な転換点を迎えることになる。 これは、一人の男が知識と魔法で巨大な船団を組織し、帝国の海を制覇するまでの物語。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。

馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。 元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。 バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。 だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。 アイドル時代のファンかも知れない。 突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。 主人公の時田香澄は殺されてしまう。 気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。 自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。 ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。 魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...