ハートキラーズ

十月の兎

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「私は、旅人だ」

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ふー



 雨の中、ずぶ濡れになりながら



ふーっ、はぁ



 血まみれでタバコをくわえる男



はー、



 周りには数えきれない、死体、死体、死体



ふー、




 血溜りの中にいるとは思えないほどの落ち着き




 吸い終えたタバコを捨てグリグリと踏みつぶす、



 どこの誰か知らない生首に腰を下ろしていた男、



 ゆっくりと、心ここに在らずといった感じで、



 懐中時計を開け、時間を確認する、



 「あぁ、タバコはやめろって言われたか」



晴れる気配のない空を見上げメガネを掛け直す



「今日は、世界一くせぇ日だな」



鞘を拾い上げ、刀を収めた



「未練もクソもねぇ、ありがとな相棒」



そして懐中時計の入ってたポケットとは逆のポケットから銀の文字の装飾が施された魔銃を取り出し



自身の顎に向け、



そのまま、引き金を引いた



「残念でした!」



「・・・は?」



「トラフさん聞こえてる?これは録音だよ?多分今回死ぬ気がしたので、とりあえず録音しておきます、普通の人はまず、魔導具は拾わないと思うので、トラフさん宛に、死んだら、ごめんなさい、多分これが聞いてるなら死んでると思います」


「・・・終わりか?」



だがまだ光っている


しばらくの沈黙のあと魔銃は再び話し出した



「ごめんなさい、死にたくない、でも死んでしまったら、私の気持ち伝えたかったなーって、ふはっ、涙出てきちゃった、じゃあ、言いますね、好きです、この世の誰よりも、私がもし死んでも、この、録音の込めた銃で死のうとしないでください!」

もう遅せぇよって、思ったが口には出せない

両手が震える

「愛してるんです、生きてれば、結婚、まで行かなくても、ひとつになりたかったです、生きてください、私が死んだら、その、私が生きたかった残りの人生分、あなたに託します、」





空は晴れたが




雨はまだ




やみそうにはなかった
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