ハートキラーズ

十月の兎

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8.残響、そして終演

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カルラが発狂者になっていたなら、レッタは、まあ、可能性は2つ程ある、

ひとつは発狂者に殺されていること、発狂者はそれ以外の者を襲う習性がある、はずだ、詳しくは分かっていない、全て俺の憶測だ

2つ目は、1番考えたくないが、レッタも、カルラと同じように発狂者となっている事だ、もう仲間は殺したくないが、発狂者となっていれば別だ、殺すしかない、いや、本当は、そうなって欲しくない



「その前に、この嫌な予感を確かめねばならない」



だから今軍隊長室に向かっている、



「失礼します」



部屋から返事はしない、が、人の気配はする、それにすこし、血の匂いがする、



「開けます 」



ドアノブをひねる、が、回らない、鍵がかかっている、トラフは迷わずドアを蹴破る



そこには頭の無くなった軍隊長と、姿を変えたレッタがいた



「レッタ、お前、」



「!」



トラフが一歩踏み出すと、レッタは、レッタの姿をした発狂者は窓から飛び出し、逃げていった



「逃げ、た?」



発狂者はそれ以外の者をはずだ、襲わなかった、ということは、



「自我がより、強いのかもしれない」



もしかしたら、救えるかもしれない、そう思った



「だがどうやって、会話ができない、文字、いや、筆談する時間を相手がくれるとは思えない」



無線機、いや、これも、発狂者の声は叫び声に聞こえていた

トラフは、どうしてもレッタを救いたかった、逃げるだけなら、追えばいい、攻撃されなければ、あるいは



「いや、考えるだけ無駄か」



心当たりはある、レッタの行きそうな所は、もし、もしあいつに自我があるなら、人が少ないところを選ぶはずだ、

枯れた木のした

そこは俺とカルラとレッタで、命の石を埋めた、この石は登録者が生きていると光る、それに登録者が、死にかけたり、行方不明など、生命の危機に反応して点滅する、

だから、誰かに異常があった場合はそこに集まろう、そう約束していたのだ、



「約束の場所へ」



もう一度行く予定なんてなかった、



「レッタに会いに」



救わなければならないから



命の石を埋めた枯れた木は海岸の近くにある、そこは、普段人が寄らない、



「やはり、ここにいたか」



視線の先には発狂者の姿のレッタがいた、



「お前は、叫ばないのか、声は、」


「!」



こちらの存在に気がついたレッタは身構える、ああ、こうして対峙するとあの時のことを思い出すな、今度は、練習じゃない、ほんとの、殺し合いだ



トラフは腰に付けてあるナイフの中から松のナイフを取り出した



「行くぞ?」



お互いに飛び出す、レッタは片手に魔銃を、もう片方の手には同じく魔力を流せる自身の名が刻まれたナイフを持っている、



「!」


「ははっ、やるな、だが簡単には死んでやらんぞ」



楽しい、殺しあってる、そしてこの言葉が相手に通じてるかどうかすらわかっていない、それでも楽しい


・・・俺はサイコパス、なのかもしれないな


二人はナイフと銃での近距離戦をしている、いや、トラフはこの距離から下がれない、なぜなら、離れた瞬間に銃弾を撃ち込まれて終わり、そうなってしまわないように、


「そうだ、距離は開けさせない」


「!」



だが近距離だからといって攻撃を受けないわけではない、致命傷こそ受けなくとも切り傷や殴打によるダメージは入っている、トラフに、そしてレッタにも



それが何時間続いたかわからない、お互いがお互いを消耗させる戦いが続いた時、ふとレッタの魔銃が光る

その光は見た事のある、紫色だった、



「グガアアアァァァアアア!」



そこで初めてレッタが叫んだ、

トラフは驚いたが、銃身が下に向いた瞬間に、レッタのナイフを弾き飛ばし、心臓を貫いていた、



「ぐっ」



レッタの口から血が溢れる、それを自身で抑えていた



「もう楽になれ、お前は十分に戦っ」



どさっ、トラフの体に、レッタがもたれかかる、そして、背中に手を回される

しまった、油断したとトラフは思った、発狂者に意思があることを忘れていた

ガシャ、と左目に銃口が向けられる、

レッタは顔を上げもう片方の目に口いっぱいの血を吹きかけてきた、目潰しか、これは、死んだか、トラフが悟った時



「ごめ、ん、なさい、あ、あり、がと、ぐっ、ごほごほっ、さよう、なら、」


空気が掠れるような、耳を済まさなければ聞こえないような、弱々しい声で、レッタが、喋った気がした、



そして体に重力が思いっきりかかる、レッタが、自分の足で立たなくなった、



そのまま、トラフは膝を着いた、



いつの間にか土砂降りの雨になっていた、



ああ、体に、力が入らない、



やっとの思いでレッタを避けると、そこには、いつもの、彼女がいた、



心臓のない、空っぽの彼女が



遠くから発狂者の声がする、この国に来たのか、それすら頭が回らすぎてわからない、



銃は紫色の弱い光を放っていた、それをポケットに入れフラフラとトラフは歩いた、



「国を、我が国を守らねばならない、それが、この国に拾われた、私の、最期の、最期の使命だから」



命の石を埋めた場所にレッタを下ろす



私の全てで、
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