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第2章 おつぱいと粗品
追跡1
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無限軌道がアスファルトを踏みしめ、夕暮れの街を半装軌車が駆ける。
明日香が召喚した移動用の式神だ。
戦闘魔術の【式神の召喚】には、武装した兵士や車両を召喚する術もある。
「奴らは何者だ? 金目当てじゃないだろ。それならチャビーも連れてくはずだ」
式神の荷台の縁に腰かけ、舞奈は明日香が入手した情報を聞いていた。
「それなんだけど」
荷台の中央に据え置かれたイケアの椅子に腰かけ、明日香は言葉を続ける。
いつの間にか戦闘クロークを羽織っている。
胸元の骸骨が鈍く光った。
「あの男、光の呪術で操られてたわ」
「呪術だと?」
「ええ。おそらく【屍鬼の支配】――喫煙者をゾンビみたいに操る術よ」
明日香の言葉に、舌打ちする。
「つまり、親玉は呪術師ってことかよ。糞ったれ」
舞奈は舌打ちする。
「テック、さっきの車の運転席に座ってる奴を見れるか? たぶん女だ」
『やってみる』
そしてほどなく、
『監視カメラの映像を拡大して送ったわ。ヘンな格好の人』
「どれどれ……こりゃヘンな格好だ」
覗きこんだ携帯の画面には、修道服を着た金髪の女性が映し出されていた。
セダンを取り逃がした際に、ちらりと見た彼女だ。
年の頃は大学生かOLほどか。彫りの深い派手めな顔立ちが印象的だ。
「やっぱり。この格好、【教会】の祓魔師よ」
今度は明日香が舌打ちする。
祓魔師とは、呪術師の流派のひとつだ、
天地に満ちる魔力を操る古神術と異なり、地球と一体化し造物魔王と称される魔王デミウルゴスの力を借りて奇跡と成す。
造物魔王の影響は地球上すべてに及び、奉ずる者に強大な魔力を与える。
反面、生贄を欲する悪神であり、【創世教】【教会】【三日月】と連なる世界規模の信者を操って過去に何度も戦争を引き起こし、今なお中東を血で染めている。
そんな中でも【教会】は支配思考と頑迷さで知られている。
その構成員も、他流派の呪術師や魔術師に牙をむく祓魔師として恐れられる。
そんな祓魔師の呪術は3種類に大別される。
造物魔王の魔力を光子に転化する【光のエレメントの変成】。
魔力を物品に焼きつけ、あるいは消去する【聖別と祓魔】。
魔力を擬似物質として顕現させる【天使の力の変成】。
光の攻撃魔法は魔術師のそれに匹敵する。
そして【天使の力の変成】による付与魔法で物理戦闘もこなす厄介な相手だ。
だが、それよりも、
「こいつは眼福だ」
舞奈は不安を紛らわそうと、舌なめずりしてみせる。
画面の中の祓魔師はたいそうな巨乳である。
大きく開いた胸元から覗く谷間に、首から下げた銀のロザリオが埋まりそうだ。
園香の胸も大きいが、それでも早熟な子供の域を出ない。
彼女の胸をメロンに例えるならば、目前の女のそれは南海のバケモノ果実だ。
「まったく、こんな時までおっぱいを」
明日香は肩をすくめる。
舞奈は携帯に表示されたおっぱいを凝視する。
だが舞奈は、遠い目をして別のおっぱいを見ていた。
それは脳裏に浮かぶ園香の姿。
テックと明日香がさらわれた園香への道を示してくれる。
だから、焦る気持ちを押えて着実に相手を追う余裕を取り戻すことができた。
だから、舞奈は園香を救いだす。絶対に。
「――止めろ明日香。検問だ」
2人の守衛の前で、半装軌車が止まった。
事情を知らないスキンヘッドの守衛が、荷台の2人に向かって叫ぶ。
「おーい、舞奈ちゃんに明日香ちゃん。カッコイイ車に乗って、仕事かい?」
「仕事じゃないけど緊急事態だ! 白いセダンが通らなかったか?」
「ちょっと前に通ったよ! 【教会】のシスターさんが運転してた奴だろ?」
「見てたんなら止めてくれよ……」
とは言え、彼らに新開発区へ行こうとする人間を止める義務も権限もない。
それに呪術師が強行突破を試みた場合、押し止めるのは無理だ。
「まあ、上に逐一報告はしてるから、問題があるなら対処してくれるはずだよ!」
「その情報、【機関】に流れてるはずよ」
「……ああ。ひょっとしたら執行人が派遣されるかもしれないな」
期待できるのはそのくらいだ。
「もちろん、舞奈ちゃんたちは通っていいよ!」
事情を知らぬ守衛が道を開け、明日香は半装軌車を発進させる。だが、
『閣下、何者かに進路を妨害されました』
数分も進まぬうちに、半装軌車は急停車した。
明日香が召喚した移動用の式神だ。
戦闘魔術の【式神の召喚】には、武装した兵士や車両を召喚する術もある。
「奴らは何者だ? 金目当てじゃないだろ。それならチャビーも連れてくはずだ」
式神の荷台の縁に腰かけ、舞奈は明日香が入手した情報を聞いていた。
「それなんだけど」
荷台の中央に据え置かれたイケアの椅子に腰かけ、明日香は言葉を続ける。
いつの間にか戦闘クロークを羽織っている。
胸元の骸骨が鈍く光った。
「あの男、光の呪術で操られてたわ」
「呪術だと?」
「ええ。おそらく【屍鬼の支配】――喫煙者をゾンビみたいに操る術よ」
明日香の言葉に、舌打ちする。
「つまり、親玉は呪術師ってことかよ。糞ったれ」
舞奈は舌打ちする。
「テック、さっきの車の運転席に座ってる奴を見れるか? たぶん女だ」
『やってみる』
そしてほどなく、
『監視カメラの映像を拡大して送ったわ。ヘンな格好の人』
「どれどれ……こりゃヘンな格好だ」
覗きこんだ携帯の画面には、修道服を着た金髪の女性が映し出されていた。
セダンを取り逃がした際に、ちらりと見た彼女だ。
年の頃は大学生かOLほどか。彫りの深い派手めな顔立ちが印象的だ。
「やっぱり。この格好、【教会】の祓魔師よ」
今度は明日香が舌打ちする。
祓魔師とは、呪術師の流派のひとつだ、
天地に満ちる魔力を操る古神術と異なり、地球と一体化し造物魔王と称される魔王デミウルゴスの力を借りて奇跡と成す。
造物魔王の影響は地球上すべてに及び、奉ずる者に強大な魔力を与える。
反面、生贄を欲する悪神であり、【創世教】【教会】【三日月】と連なる世界規模の信者を操って過去に何度も戦争を引き起こし、今なお中東を血で染めている。
そんな中でも【教会】は支配思考と頑迷さで知られている。
その構成員も、他流派の呪術師や魔術師に牙をむく祓魔師として恐れられる。
そんな祓魔師の呪術は3種類に大別される。
造物魔王の魔力を光子に転化する【光のエレメントの変成】。
魔力を物品に焼きつけ、あるいは消去する【聖別と祓魔】。
魔力を擬似物質として顕現させる【天使の力の変成】。
光の攻撃魔法は魔術師のそれに匹敵する。
そして【天使の力の変成】による付与魔法で物理戦闘もこなす厄介な相手だ。
だが、それよりも、
「こいつは眼福だ」
舞奈は不安を紛らわそうと、舌なめずりしてみせる。
画面の中の祓魔師はたいそうな巨乳である。
大きく開いた胸元から覗く谷間に、首から下げた銀のロザリオが埋まりそうだ。
園香の胸も大きいが、それでも早熟な子供の域を出ない。
彼女の胸をメロンに例えるならば、目前の女のそれは南海のバケモノ果実だ。
「まったく、こんな時までおっぱいを」
明日香は肩をすくめる。
舞奈は携帯に表示されたおっぱいを凝視する。
だが舞奈は、遠い目をして別のおっぱいを見ていた。
それは脳裏に浮かぶ園香の姿。
テックと明日香がさらわれた園香への道を示してくれる。
だから、焦る気持ちを押えて着実に相手を追う余裕を取り戻すことができた。
だから、舞奈は園香を救いだす。絶対に。
「――止めろ明日香。検問だ」
2人の守衛の前で、半装軌車が止まった。
事情を知らないスキンヘッドの守衛が、荷台の2人に向かって叫ぶ。
「おーい、舞奈ちゃんに明日香ちゃん。カッコイイ車に乗って、仕事かい?」
「仕事じゃないけど緊急事態だ! 白いセダンが通らなかったか?」
「ちょっと前に通ったよ! 【教会】のシスターさんが運転してた奴だろ?」
「見てたんなら止めてくれよ……」
とは言え、彼らに新開発区へ行こうとする人間を止める義務も権限もない。
それに呪術師が強行突破を試みた場合、押し止めるのは無理だ。
「まあ、上に逐一報告はしてるから、問題があるなら対処してくれるはずだよ!」
「その情報、【機関】に流れてるはずよ」
「……ああ。ひょっとしたら執行人が派遣されるかもしれないな」
期待できるのはそのくらいだ。
「もちろん、舞奈ちゃんたちは通っていいよ!」
事情を知らぬ守衛が道を開け、明日香は半装軌車を発進させる。だが、
『閣下、何者かに進路を妨害されました』
数分も進まぬうちに、半装軌車は急停車した。
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