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第17章 GAMING GIRL
突入 ~銃技&戦闘魔術vs道術
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「やれやれ、こんなもんが全国におっ勃ってるのか」
「ここのはなくなるけどね」
「ま、そりゃそうだ」
舞奈は短機関銃《マイクロガリル》を、明日香は短機関銃を構えて不敵に笑う。
2人は死酷人糞舎へと到着した。
仲間たちの想いを背負って、【禍川総会】の異能力者たちの力を借りて。
そして目前にそびえる歪な建築物を見上げる。
一見すると、禍川支部ビルと同じような打ちっぱなしコンクリートの建造物。
だが決定的な違いは死酷人糞舎が歪な階層構造の建物であることだ。
加えて建物の外からでも臭う、焦げた糞尿のようなヤニの悪臭。
人糞舎とは、戦前から国内各所に存在する悪の施設だ。
人間から顔と地位を簒奪した怪異どもが、人間社会を攪乱するために建造した。
報道を装った物理的な破壊活動で市民を害し、悪意ある誤情報で惑わし、かつては我が国が無謀な戦争へと突き進んだ遠因にもなった。
そして今回、四国の一角をWウィルスで全滅させた。
この悪しき建造物の、おそらく最上階に騒動の元凶である殴山一子がいる。
舞奈と明日香は並んで互いの得物を構えたまま頷き合う。
そのまま開け放たれた玄関へと押し入る。
「早速お出ましだ!」
「気をつけて。全部が屍虫よ」
「ハハッ! 見りゃあわかるぜ!」
待ち受けていたのは、両手にカギ爪を生やした喫煙者の群れ。
薄汚れた野球のユニフォームに身を包んだくわえ煙草の集団が、悪臭漂う煙と怒声をを吐きながら、両手のカギ爪を振りかざして2人の少女めがけて襲いかかる。
舞奈はコートのポケットにそっと触れ、
「……Sランクの戦い方って奴を、見せてやるぜ」
ひとりごちつつ彼から預かったゲームのメダルの感触を確かめる。
最初の敵は、並の執行人が遭遇したならひとたまりもない怪異の集団。
だが2人にとっては取るに足らない雑魚だ。
だから次の瞬間、短機関銃《マイクロガリル》を掃射。
群れ成す怪異どもは一瞬で穴だらけになる。
自身の身体から派手に噴き出した薄汚いヤニ色の池に崩れ落ちる。
側の明日香が【雷弾・弐式】を放つ頃には、屍虫どもはほぼ全滅。
プラズマの砲弾が残り僅かな喫煙者を焼き払うや否や、2人は再び走り出す。
そして舞奈と明日香は薄汚れた廊下を走る。走る。
見つけた階段を駆け上がる。
上の階から、薄汚い背広を着こんだ脂虫どもがあらわれる。
舞奈は短機関銃《マイクロガリル》を肩に戻し、コートの裏から改造拳銃を抜いて撃つ。
脂虫なんかが相手なら小口径弾で十分。
側で明日香が短機関銃を掃射するのを意識しながら、
「名前通りに糞みてぇな場所だな! まるで便所だ!」
「当然でしょ! この建物が、いつからあると思ってるのよ!」
軽口を叩き合いつつ2人で並んで薄汚れた廊下を走る。
今度は通路の陰から数匹のくわえ煙草が跳び出してくる。
議員に扮した見苦しい男女が密造拳銃を構えるより2人の方が早い。
脂虫どもはたちまち穴だらけになって崩れ落ちる。
そんな虫けらどもの様子を見やりもせずに側を駆け抜けながら、
「――なら、そろそろ大掃除の頃合いだな!」
「それは同感ね!」
口調だけは軽薄に、舞奈は改造拳銃で喫煙者どもの脳天を次々に撃ち抜く。
明日香も短機関銃を掃射して脂虫どもを蜂の巣にする。
容赦はない。
躊躇もない。
この糞みたいな場所に巣食う糞ったれな脂虫どもを、1匹も逃すつもりはない。
それにパワーのある屍虫の歓待を用意できたのはエントランスだけだったらしい。
上の階では議員に扮した脂虫が散発的にあらわれるだけだ。
何匹かが密造拳銃を持ってはいるが、舞奈と明日香の敵じゃない。
だからRPGゲームに出てくるオークみたいな醜い中年男女の額に、射撃ゲームのヒットマークみたいな汚いヤニ色の花が咲く。
肥え太った団塊男が、生理的嫌悪感を形にしたような中年女が蜂の巣になる。
汚く黄ばんだコンクリート壁に新たなヤニ色の染みがつく。
そんな様子を見やる暇も惜しんで走る2人の少女の、口元には凄惨な笑み。
舞奈の肩には先ほどぶっ放した短機関銃《マイクロガリル》が肩紐で釣られている。
弾倉も支部の倉庫から拝借したアサルトライフルのものがそのまま使える。
どちらもガリルの銃身の長さが違うだけだ。
なので残弾の心配もない。
だが脂虫程度なら改造拳銃の小口径弾で十分だ。
何よりトルソから借りたCz75の弾倉が残っている。
そいつを全部、殴山一子と仲間たちの脳天に是非とも返してやりたいと思った。
奴らはトルソを贄にして、切丸を脂虫に仕立て上げた。
街からゲーム機を排除して抵抗力を奪い、Wウィルスを蔓延させた。
そんな怪異どもの身体を使って悪趣味な射的ゲームを楽しんでやるのも悪くない。
明日香も同じ考えなのだろう。
だから周囲に4枚の【氷盾】を浮かばせてはいるが、派手な攻撃魔法をぶちかましたのは最初だけだ。脂虫相手にはまだ使っていない。
そんな2人の耳に届く、新たな複数の大人の足音。
ここは敵の本拠地だから、脂虫は掃いて捨てるほどいる。
まるで無双ゲームのやられ役だ。
そんな数匹の背広が廊下の向こうから走ってきた。
奴らが得物を構える前に舞奈が撃つ。
敵はゲームの雑魚キャラみたいに揃ってヤニ色の花を咲かせて倒れ伏す。
隣の明日香が撃つまでもない。
だから2人は見やりもせず、ダンジョンみたいに薄汚く生活感のない廊下を走る。
FPSのプロみたいに周囲を警戒することも忘れない。
エンカウント。
発砲。
今回は当たりどころが良かったか、足元でくわえ煙草のうち1匹がうめく。
舞奈の口元にニヤリと笑み。
丁度良く、廊下はすぐ先でT字に枝分かれしている。
足元の脂虫を、パンチゲームなら筐体を壊しそうな勢いで蹴り飛ばす。
薄汚い背広を着こんだ喫煙者が凄いスピードで宙を舞う。
そこに明日香が【力波】で追い打ちをかける。
背広は物凄いスピードで吹っ飛んでいって、T字路の壁に激突する。
次の瞬間、T字路の左側から斉射されて背広は哀れ蜂の巣になる。
そっちに脂虫どもがいたらしい。
侵入者を警戒していたところにいきなり飛んできたから驚いて撃ったのだ。
慣れないとよくある。
そんな素人どもの得物も密造拳銃。銃声でわかる。
人数と位置も把握した。だから、
「こっちか!」
舞奈はT字路に跳び出し、床を転がりながら撃つ。
銃声。
悲鳴。
一挙動で立ち上がった舞奈の足元を、1発だけ飛んできた小口径弾が穿つ。
通路の先には議員に扮したくわえ煙草の男女が数匹。
揃って虫の腹みたいに気味悪い不細工な面だ。
そんな顔面の額に開いた風穴から、ヤニ色の体液を噴き出して崩れ落ちる。
手にした密造拳銃が床を転がる。
追いついた明日香が反対側に向かって短機関銃を構える。
廊下の奥から1テンポ遅れて走ってきた背広めがけて掃射。
脂虫どもは構える暇もなく穴だらけになって崩れ落ちる。
そんな明日香と背中合わせに得物を構えて舞奈は新手を警戒する。
足元でうめく脂虫めがけて3発、撃って空にして、素早く弾倉を交換。
直後に前方に乱射。
否。奥から走ってきた脂虫どもの額を小口径弾が正確無比に射抜く。
「どっちに行けばいいんだ?」
「バリケードとかで塞がれていなければ、どっちも上の階に続いてると思うけど」
「じゃ、折角だからこっちから行くか」
「オーケー」
軽口交じりに素早く意見をまとめて2人は笑う。
そして揃って舞奈が向いていた方向に走り始めた途端、
『なぜ殺すザマス!? なぜアテクシに断りもなく! アテクシの部下を殺すザマス!!』
何処からともなく声。
不快で耳障りな声色は、声帯と精神がヤニでイカれた中年女のそれだ。
舞奈は周囲をうかがいつつ口元を歪める。
絞め殺される豚の鳴き声のようなダミ声は、天井のスピーカーから聞こえてくる。
「殴山一子か?」
「ええ。政治関連のニュース特番で何度か聞いたことがある声よ」
「この豚みたいな声、地上波で流れたのか?」
「ええ、ご尊顔も。興味ある?」
「ゾンビの顔なんか十分すぎるぐらい見たよ」
何食わぬ表情を作って側の明日香と軽口を返す。
そうしながら周囲を警戒しつつ全速力で廊下を駆ける。
不快なスピーカーの放送を気にしている暇はない。
何せこれから殴山一子当人を絞めに行くのだ。だが、
『おまえたちが殺した彼女らは! 彼らは! アテクシの言うことをちゃんと聞く優秀な部下だったザマス!! それを! おまえたちは……!!』
「なら、あんたは何で殺しまくったよ!?」
曲がり角から跳び出してきた脂虫を撃ちながら問いを返す。
返事を求めているということは、こちらの声が聞こえるということだと判断。
それ以上に奴の態度にムカついた。
「条例で対抗策を取り除いてからウィルスを撒いて、街中の人間を死体とゾンビに変えちまうなんて、ずいぶん念入りな殺し方じゃないか!」
『アテクシの計画には正当な理由があるザマス! おまえたちみたいなガキには理解できない崇高な! 正しい理由ザマス!』
「どんな高尚で正しい理由があるよ!」
あいつらの犠牲を正当化する理由が。
襲い来る脂虫どもを片付けながら舞奈は問う。
意図したより口調が荒くなったが、敵を撃ちながらなんだから仕方がない。
そもそも脂虫に良心はない。
奴らはヤニを摂取して人の心を捨て去った怪異だから、思考も人間とはまったく別のものになってしまっているのだ。
人ではない何かが人っぽい言動を真似ているに過ぎない。
だから自身が傷つけた、命を奪った者たちに罪悪感を抱いたりもしない。
奴らは平気で他者を傷つけ、欺く。
そんな邪悪な怪異どもと、会話を試みても人間の側が疲弊するだけだ。
奴らとの会話なんか所詮はポーズだ。
こちらに余裕があると確認し、見せつけるための。
だから意識して、口元に軽薄な笑みを浮かべて手近な脂虫を撃つ。
『アテクシの街から! アテクシに必要ないものを消し去ろうとしたザマス! アテクシとアテクシの息子タンに悪影響をもたらす悪いものを消し去っただけザマス!』
「息子だと?」
「ええ、殴山一子には子供がいたはずよ」
側で短機関銃の弾倉を交換しながら明日香が答える。
粘着質で耳障りな中年女の声は、だが出鱈目を吐いた訳ではないらしい。
「……あんな奴の腹から生まれるなんて、どんな罰ゲームだよ」
ひとりごちつつ目前の脂虫を屠りながら、舞奈は側の明日香を見やる。
こちらの声が聞こえている理由が知りたかった。
対して明日香も攻防の合間にうなずく。
その表情と仕草で察する。
2人が侵入した後、いつのまにかビルそのものが結界化されていたようだ。
だが舞奈は驚かない。
殴山一子本人かどうかは知らないが、敵に1匹以上の道士がいるのは確かだ。
そうでなければスプラは犠牲にはならなかった。
トルソが贄になり、切丸が道士の力を手に入れ舞奈たちの敵になることもなかった。
「その彼がゲームに夢中で、母親である殴山一子を無視したのが件のゲーム規制の遠因だって、何処かで公表していたわ」
『そうザマス! アテクシの可愛い息子タンを! ゲームがダメにしたザマス!』
明日香の冷たい声色に、不快なダミ声が同意する。
『ゲームだけじゃないザマス! 破廉恥なアイドル! 若いアニメの女! 子供の笑い声! 猫や小鳥! すべてがアテクシと息子タンを精神的に害する不要物ザマス!』
「ハハッ! あたしたち人間にとっての、あんたたちみたいなものってことか!?」
『何ザマスと!?』
舞奈は噛みつくように吠え返す。
スピーカーの向こうの殴山一子が仰天する。
その声色をせせら笑い、新たにあらわれた脂虫を蜂の巣にしながら走る。
『なにより! あの忌まわしいスカイフォールの小娘! 息子タンをかどわかしたヤンキーの姫きどりを消し去るために、アテクシは――!!』
「――そんなくだらない理由で殺したってのか」
目前の1匹を片付け、改造拳銃を構えて吐き捨てる。
『くだらなくなんかないザマス! アテクシの気高い目的が! 正しい精神が! くだらないはずなんか――』
「――くだらねぇよ! 気高くも正しくもない! あんたのしたことは糞だ!」
舞奈は負けじと叫ぶ。
相手は卑劣な脂虫だ。人の皮をかぶった怪異なのだから、どんな身勝手な理由で四国の一角をゴーストタウンに変えたとしても不思議じゃないと思っていた。
聞いても今さら腹も立たない。
そう思っていた。
自分たちはただ成すべきことをするために、機械的に奴を葬るのだと。
だが元凶である殴山一子本人が語った動機は、予想を遥かに上回る酷さだった。
スプラを、バーンを、トルソを、ピアースを。
結界内に侵入した他のチームの執行人たちを。
支部を死守した【禍川総会】の元ヤンキーたちを。
戦う術すら持たず、ただ普通にうどんを打って平和に暮らしていた人たちを。
スピーカーの向こうの下衆女は、武装させた脂虫に、進行させた屍虫に襲わせた。
あるいは、まき散らしたWウィルスで皆殺しにした。
その理由は息子タンとやらを自身の意に従わせるべく人間社会の環境を変えることだった。自身は変わろうとも知ろうともせず、人間の街から『美』を奪おうとした。
そんな、どうしようもなくくだらない理由で仲間たちは逝った。
それでも相手が脂虫どもの親玉だという時点で明確だったはずだ。
奴に人間らしい心などないと。
脂虫――悪臭と犯罪をまき散らす喫煙者は人に仇成す忌むべき怪異だ。
人間の敵だ。
共存する、あるいは容認するという選択など有り得ない。
奴らを滅ぼさなければ、人間が滅ぼされる。
そういう相手が人の顔と地位を奪った。
そして人のルールにのっとって権力を得てしまった。
だから誰も手出しができずに奴を肥え太らせてしまった。
その結果、人に似た醜くおぞましい怪異は最悪の事態を引き起こした。
だが奴はもうすぐ消える。
世界中のあらゆる脂虫が辿るべき、身の毛もよだつような凄惨なやり方で。
奴らが最も嫌う2人の若い少女が奴を消し去る。徹底的に。
そもそも舞奈だって、どんな理由を聞いても納得などできない。
だってスプラが、バーンが、トルソが、ピアースが……
「……あいつらが死んでいいもっともらしい理由なんざ、糞くらえだ!」
「止まって」
明日香の冷徹な声色に思わず立ち止まる。
気づくと階段室の前だった。
上の階から響く脂虫どもの足音。
魔術語と共に、側で明日香がかざした掌からまばゆい稲妻が放たれる。
雷光は目前に迫った1匹を痺れさせて焼き払う。
やや威力を減じながら手近な別の1匹に飛び火して焦がし、さらに別の脂虫を襲う。
お馴染みの【鎖雷】だ。
誘導する雷は階段から降りてこようとしてきた脂虫どもすべてを消し炭にする。
今度こそ気配で安全を察してから、揃って階段室に突入する。
隅に転がる吸い殻を一瞥して顔をしかめながら、臭い階段を駆け上がる。
踊り場に転がる数匹の黒焦げになった脂虫を踏みやって進む。
追加で下りてきた何匹かを撃って、上の階まで駆け登る。
途端、周囲が暗くなった。
一見すると蛍光灯が切れたのかと思うところだ。
だが周囲の不気味な薄暗さは、街全体に立ちこめていた雲の黒さと似通っている。
街を覆う結界の縮小版が、舞奈と明日香を閉じこめるように形成されたのだ。
「おっ! 結界の中に結界か!」
『おまえたちを罰を与えるのは彼らの役目ザマス!』
結界の中にダミ声が響く。
気にせず身構える2人の前に、3つの人影。
『アテクシの新しい息子タンたち! 生意気なメスガキどもを殺しなさい!』
「「「――はい、ママ」」」
声と共にあらわれたのは3人の少年だ。
年のころは中学生ごろか。
いずれも線が細い、切丸に少し似た少年だ。
衣装もいつか切丸が着ていたのと同じ、揃いのノースリーブのシャツに半ズボン。
赤、青、緑と色だけが違うシャツやズボンからのびる、スポーツくらいはしているのだろうが圧倒的に筋肉の足りていない白い細い手足を、舞奈は見苦しいと思った。
得物は全員が日本刀。
抜き身の刀を手にして、くわえ煙草のまま気味悪い薄笑いを浮かべている。
そういえば以前に委員長を巡ってKASCと争った際、刺客としてあらわれた疣豚潤子の手下もひょろっとした細身な男性アイドル風の容姿だった。
この手の貧相な体格の若い男を好むのが、醜い女の怪異に共通した特徴なのだろう。
生命の対極である衰弱の要素が気にいるのだろうか。
どんなに顔や身分を人間らしく整えても、怪異の特質たる下卑た嗜好は隠せない。
同じように殴山一子も貧相な彼らを仲間に引き入れた。
彼らも元は他のチームの執行人だったのだろうか?
すっかり脂虫らしくなった面構えで、目前の2人の少女を侮るようにぬめつける。
対して舞奈は手にした改造拳銃を構え、
「……切丸もこうなるはずだったのか」
乾いた笑みを浮かべて撃つ。
少年の顔面が薄笑いから別の表情に変わるより先に、風穴が開く。
躊躇はない。
相手が元は舞奈たち同様に禍川支部奪還を目指した【機関】の仲間だったとしても。
目前の少年たちも、切丸のように仲間だった誰かを贄に差し出したのだろう。
殴山一子にそそのかされて。
あるいは、自分自身の意思で。
だから次の瞬間、緑シャツのノッポ少年の顔面が爆ぜる。
明日香が改造拳銃に【燃弾】をかけていたのだ。
しかも舞奈は相手が符を取り出すどころか、防御しようと考えるより早く撃った。
だから不慣れな道士は首から上を失ったまま吹き飛ぶ。
宙に浮かんだ動かぬ敵に、もう2発ぶちこむ。
心臓と丹田を違わず爆砕された道士の四肢が宙を舞い、ボトリと床に落ちる。
『ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ! アテクシの息子タンが! 息子タンがぁぁぁ!』
声が悲痛な叫びに変わる。
「ザマぁねぇな! 目の前で大事なものをぶっ壊されたらどんな気がするか、ちったぁ
身に染みたか? ババア!」
舞奈も負けじと叫ぶ。
口元に凄惨な笑みを浮かべながら、そのまま改造拳銃を両手で構える。
撃つ。全弾。
攻撃魔法の如く火弾の群れが、側にいた青シャツ眼鏡の少年を襲う。
だが燃える小口径弾は、僅差で青シャツがまとった流水の衣に阻まれる。
即ち【水行・防衣】。
側を見やると、短機関銃の掃射を同じように火球の盾で防ぐ赤シャツ。
こちらは【火行・防盾】。
主の身代わりになった火球は自ら爆ぜ、銃弾の雨を吹き散らす。
奴らはそれぞれ水行と火行。
最初に倒した奴はおそらく木行か。
怪異の道士は五行で揃って行動したがるらしい。
そして切丸は金行の道士に成り果てていた。
ならば殴山一子そのものは土行ということだろうか。
だが、そんなことは今はどうでもいい。
大事なのは目前の怪異ども――人々から街と命を、舞奈から仲間を奪った殴山一子のお気に入りどもを、どうやって屠るかだ。
2匹の道士は符をまき散らす。
次いで嘯。
符のそれぞれが火矢に、流水の矢と化して2人に降り注ぐ。
即ち【火行・多炎矢】【水行・多矢】。
だが4枚の【氷盾】が舞奈と明日香の前に躍り出て矢の雨を防ぎきる。
氷盾に阻まれた数多の矢が、火の粉と水しぶきと化して飛び散る。
砕かれた元素の霧が周囲を覆う。
霧にまぎれて舞奈は氷盾の下から転がり出す。
流れるような動作で改造拳銃を仕舞い、肩に提げた短機関銃《マイクロガリル》を構える。
一挙動で立ち上がりつつ道士のひとりに肉薄。
赤いシャツを着た火行の方だった。
構わず撃つ。三点射撃。
赤シャツは無数の小口径ライフル弾を火球の爆発で防ぐ。
先ほどと同じ【火行・防盾】。
だが、その動きは予測済み。
火球の爆炎が晴れる前に、舞奈は道士の側に回りこむ。
反応できない敵の真横から残る全弾を叩きこむ。
だが今度の掃射も炎の衣【火行・防衣】に止められる。
「糞ったれ! 破魔弾を持ってこりゃよかった!」
舞奈は舌打ちする。
フェイントに気づいた赤シャツは跳び退って距離を取る。
構えた日本刀に炎が宿る。
「……元は【火霊武器】か」
舞奈は口元をゆがめる。
もしバーンが殴山一子の誘いを受けていたら、目前にいたのは彼だっただろうか?
そんな考えが脳裏をよぎる。
だが、たぶん答えはノー。
あの熱血漢ならババアの身勝手な誘いに怒り狂って、逆に殴っていたはずだ。
あるいはスカイフォールの魔剣とやらで、奴をなますに斬り刻むかもしれない。
そうすると彼の活躍で今回の仕事は終わることになるのだろうか?
そんな考えが脳裏をよぎって、思わず笑う。
そんな舞奈の目前で、炎の道士は新たに取り出した符を投げる。
符は【火行・炸球】の火球と化して飛来する。
同時に背後から気配。
もうひとりの道士が放った水の巨刃【水行・刀刃】。
前後からの挟み撃ちだ。
舞奈は素早く身をかがめる。
頭上で小さなツインテールの先をかすめ、火球と水の巨刃が交差する。
「いやだから、挟み撃ちしようとすんな」
しゃがんだ態勢で素早く弾倉を交換しながら、舞奈の口元に嘲笑。
いつかのバーンと同じミスだ。
目標を前後から挟み撃ちにして、避けられたり貫通すると流れ弾が互いに当たる。
バーンのときは舞奈が跳び退いて事無きを得た。
だが道士どもは何も考えずそのまま互いにぶちかました。
これだから普段から銃を使わない脳筋は!
火球は青シャツの【水行・防衣】に当たり、爆発して吹き飛ばす。
逆に水刃は赤シャツの【火行・防衣】に当たって溶ける。
どちらも攻撃魔法の腕前がそれほどでもないのが幸いしたか。
そんな間抜けな敵の隙を舞奈は逃さない。
態勢を崩した赤シャツに再び接敵。
細くて生白い膝裏に渾身の回し蹴り。
へし折るとまではいかなかったが、赤シャツは抵抗すらできずに転倒する。
仰向けになった道士の、くわえ煙草の顔面めがけて短機関銃《マイクロガリル》を掃射。
赤シャツは両腕をクロスして【火行・防衣】の袖で小口径ライフル弾を防ぐ。
小柄な少年の身体が衝撃と恐怖で小刻みに震える。
舞奈の口元にはサメのような笑み。
撃ち尽くした弾倉を交換。
掃射が止んだのを察した道士の腕がゆるむ。
その隙を逃さず舞奈は渾身の力で脇腹を蹴る。
スニーカーを炎衣の熱が炙る感触にも構わない。
赤シャツはたまらず床を転がる。
舞奈はその背に短機関銃《マイクロガリル》を向けて撃つ。三点射撃。
1発は衣の背に当たって防がれる。
次の1発は首をへし折り、最後の1発が頭を砕く。容赦はない。
術者が死んで【火行・防衣】が消えた背中に残りの弾丸を食らわせる。
ノースリーブのシャツの背に、貧相な腕に、半ズボンからのびる細長い足に、まんべんなく小口径ライフル弾を見舞ってミンチにする。
ズタズタになった身体からヤニ色の体液を垂れ流しながら、少年は動かない。
あのときの切丸と同じように。
その背後で、明日香も最後の道士を片付けようとしていた。
足元を氷漬けにされた青シャツが、恐慌に駆られて周囲を見渡す。
そんな彼の、日本刀を手にした右腕が不意に凍りつく。
次いで符を取り出した左腕。
唇に煙草を癒着させたまま少年の表情が恐怖に染まる。
両手と動きを封じられ、案山子のように立つ青シャツの背後に明日香が出現する。
姿が見えなくなったと思ったら、二段構えの隠形で姿を消していたらしい。
その状態から【氷棺・弐式】を放ったのだ。
氷の茨は、青シャツを守っていた【水行・防衣】を巻きこんで強引に凍らせた。
その状態の敵の背後に明日香は出現。
少年が手にした日本刀を、【力鎖】の重力場でつかんで手首ごともぎ取る。
思いのほか中までしっかり凍っていたようだ。
次いで【力鎖】を操作し、宙を舞う日本刀を振り回す。
そして驚愕に目を見開く少年の額の上に垂直に振り下ろす。
そのまま【力波】で器用に力をこめて、悲鳴をあげる少年の顔面を剥ぐ。
普段の明日香らしからぬ、弄るような惨たらしい屠殺。
だが口元には凄惨だが満ち足りた笑み。
「……楓さんや小夜子さんに似て来たぞ、おまえ」
舞奈はやれやれと苦笑してみせる。
だが正直、気持ちは理解できる。
気づくと周囲の結界は消えていた。
殴山一子の声もしない。
新しい息子タンとやらが殺されたのに。
最後に顔を剥がれたのが嫌で、愛想が尽きたのかもしれない。
だが奴の心中なんかどうでもいい。
問題なのは奴をどう確実に屠るかだ。
だから舞奈と明日香は再び走り出す。
階段をいくつか駆け上がり、あっさり最上階へとたどり着いた。
そして疣豚潤子がいるはずの最後の部屋へのドアを探しながら廊下を走る。
「あのドアの向こうか?」
「ええ、おそらく」
警戒しながら走る最中、
「――!?」
とっさに気配を感じ、側の明日香を抱えて跳ぶ。
同時に耳をつんざく轟音と共に、側の壁全体が吹き飛んだ。
どうやら敵は舞奈たちを廊下ごと吹き飛ばそうと試みたか。
しくじった、と思った瞬間――
――舞奈と明日香は建物の外にいた。
明日香のクロークから4枚の焼け焦げたドッグタグがこぼれ落ちる。
彼女の【反応的移動】で安全圏まで脱出したようだ。
まさか奴の居場所まで再び階段を駆け上がるのかとビルを見上げると――
「――!?」
歪なビル――死酷人糞舎の上部が内側から爆ぜていた。
舞奈たちは、あれに巻きこまれたのだろう。
降り注ぐビルの残骸を明日香が【力盾】で防ぐ。
だが舞奈は再び明日香を抱えて跳ぶ。
瓦礫まみれの道路を転がる。
そして一挙動で立ち上がり、先ほどまで2人が立っていた場所を見やり――
「――なるほど、あれがゲームのボスって訳か」
不敵に笑う。
睨む舞奈の目前に、巨大屍虫よりなお大きい鋼鉄の巨人が立っていた。
「ここのはなくなるけどね」
「ま、そりゃそうだ」
舞奈は短機関銃《マイクロガリル》を、明日香は短機関銃を構えて不敵に笑う。
2人は死酷人糞舎へと到着した。
仲間たちの想いを背負って、【禍川総会】の異能力者たちの力を借りて。
そして目前にそびえる歪な建築物を見上げる。
一見すると、禍川支部ビルと同じような打ちっぱなしコンクリートの建造物。
だが決定的な違いは死酷人糞舎が歪な階層構造の建物であることだ。
加えて建物の外からでも臭う、焦げた糞尿のようなヤニの悪臭。
人糞舎とは、戦前から国内各所に存在する悪の施設だ。
人間から顔と地位を簒奪した怪異どもが、人間社会を攪乱するために建造した。
報道を装った物理的な破壊活動で市民を害し、悪意ある誤情報で惑わし、かつては我が国が無謀な戦争へと突き進んだ遠因にもなった。
そして今回、四国の一角をWウィルスで全滅させた。
この悪しき建造物の、おそらく最上階に騒動の元凶である殴山一子がいる。
舞奈と明日香は並んで互いの得物を構えたまま頷き合う。
そのまま開け放たれた玄関へと押し入る。
「早速お出ましだ!」
「気をつけて。全部が屍虫よ」
「ハハッ! 見りゃあわかるぜ!」
待ち受けていたのは、両手にカギ爪を生やした喫煙者の群れ。
薄汚れた野球のユニフォームに身を包んだくわえ煙草の集団が、悪臭漂う煙と怒声をを吐きながら、両手のカギ爪を振りかざして2人の少女めがけて襲いかかる。
舞奈はコートのポケットにそっと触れ、
「……Sランクの戦い方って奴を、見せてやるぜ」
ひとりごちつつ彼から預かったゲームのメダルの感触を確かめる。
最初の敵は、並の執行人が遭遇したならひとたまりもない怪異の集団。
だが2人にとっては取るに足らない雑魚だ。
だから次の瞬間、短機関銃《マイクロガリル》を掃射。
群れ成す怪異どもは一瞬で穴だらけになる。
自身の身体から派手に噴き出した薄汚いヤニ色の池に崩れ落ちる。
側の明日香が【雷弾・弐式】を放つ頃には、屍虫どもはほぼ全滅。
プラズマの砲弾が残り僅かな喫煙者を焼き払うや否や、2人は再び走り出す。
そして舞奈と明日香は薄汚れた廊下を走る。走る。
見つけた階段を駆け上がる。
上の階から、薄汚い背広を着こんだ脂虫どもがあらわれる。
舞奈は短機関銃《マイクロガリル》を肩に戻し、コートの裏から改造拳銃を抜いて撃つ。
脂虫なんかが相手なら小口径弾で十分。
側で明日香が短機関銃を掃射するのを意識しながら、
「名前通りに糞みてぇな場所だな! まるで便所だ!」
「当然でしょ! この建物が、いつからあると思ってるのよ!」
軽口を叩き合いつつ2人で並んで薄汚れた廊下を走る。
今度は通路の陰から数匹のくわえ煙草が跳び出してくる。
議員に扮した見苦しい男女が密造拳銃を構えるより2人の方が早い。
脂虫どもはたちまち穴だらけになって崩れ落ちる。
そんな虫けらどもの様子を見やりもせずに側を駆け抜けながら、
「――なら、そろそろ大掃除の頃合いだな!」
「それは同感ね!」
口調だけは軽薄に、舞奈は改造拳銃で喫煙者どもの脳天を次々に撃ち抜く。
明日香も短機関銃を掃射して脂虫どもを蜂の巣にする。
容赦はない。
躊躇もない。
この糞みたいな場所に巣食う糞ったれな脂虫どもを、1匹も逃すつもりはない。
それにパワーのある屍虫の歓待を用意できたのはエントランスだけだったらしい。
上の階では議員に扮した脂虫が散発的にあらわれるだけだ。
何匹かが密造拳銃を持ってはいるが、舞奈と明日香の敵じゃない。
だからRPGゲームに出てくるオークみたいな醜い中年男女の額に、射撃ゲームのヒットマークみたいな汚いヤニ色の花が咲く。
肥え太った団塊男が、生理的嫌悪感を形にしたような中年女が蜂の巣になる。
汚く黄ばんだコンクリート壁に新たなヤニ色の染みがつく。
そんな様子を見やる暇も惜しんで走る2人の少女の、口元には凄惨な笑み。
舞奈の肩には先ほどぶっ放した短機関銃《マイクロガリル》が肩紐で釣られている。
弾倉も支部の倉庫から拝借したアサルトライフルのものがそのまま使える。
どちらもガリルの銃身の長さが違うだけだ。
なので残弾の心配もない。
だが脂虫程度なら改造拳銃の小口径弾で十分だ。
何よりトルソから借りたCz75の弾倉が残っている。
そいつを全部、殴山一子と仲間たちの脳天に是非とも返してやりたいと思った。
奴らはトルソを贄にして、切丸を脂虫に仕立て上げた。
街からゲーム機を排除して抵抗力を奪い、Wウィルスを蔓延させた。
そんな怪異どもの身体を使って悪趣味な射的ゲームを楽しんでやるのも悪くない。
明日香も同じ考えなのだろう。
だから周囲に4枚の【氷盾】を浮かばせてはいるが、派手な攻撃魔法をぶちかましたのは最初だけだ。脂虫相手にはまだ使っていない。
そんな2人の耳に届く、新たな複数の大人の足音。
ここは敵の本拠地だから、脂虫は掃いて捨てるほどいる。
まるで無双ゲームのやられ役だ。
そんな数匹の背広が廊下の向こうから走ってきた。
奴らが得物を構える前に舞奈が撃つ。
敵はゲームの雑魚キャラみたいに揃ってヤニ色の花を咲かせて倒れ伏す。
隣の明日香が撃つまでもない。
だから2人は見やりもせず、ダンジョンみたいに薄汚く生活感のない廊下を走る。
FPSのプロみたいに周囲を警戒することも忘れない。
エンカウント。
発砲。
今回は当たりどころが良かったか、足元でくわえ煙草のうち1匹がうめく。
舞奈の口元にニヤリと笑み。
丁度良く、廊下はすぐ先でT字に枝分かれしている。
足元の脂虫を、パンチゲームなら筐体を壊しそうな勢いで蹴り飛ばす。
薄汚い背広を着こんだ喫煙者が凄いスピードで宙を舞う。
そこに明日香が【力波】で追い打ちをかける。
背広は物凄いスピードで吹っ飛んでいって、T字路の壁に激突する。
次の瞬間、T字路の左側から斉射されて背広は哀れ蜂の巣になる。
そっちに脂虫どもがいたらしい。
侵入者を警戒していたところにいきなり飛んできたから驚いて撃ったのだ。
慣れないとよくある。
そんな素人どもの得物も密造拳銃。銃声でわかる。
人数と位置も把握した。だから、
「こっちか!」
舞奈はT字路に跳び出し、床を転がりながら撃つ。
銃声。
悲鳴。
一挙動で立ち上がった舞奈の足元を、1発だけ飛んできた小口径弾が穿つ。
通路の先には議員に扮したくわえ煙草の男女が数匹。
揃って虫の腹みたいに気味悪い不細工な面だ。
そんな顔面の額に開いた風穴から、ヤニ色の体液を噴き出して崩れ落ちる。
手にした密造拳銃が床を転がる。
追いついた明日香が反対側に向かって短機関銃を構える。
廊下の奥から1テンポ遅れて走ってきた背広めがけて掃射。
脂虫どもは構える暇もなく穴だらけになって崩れ落ちる。
そんな明日香と背中合わせに得物を構えて舞奈は新手を警戒する。
足元でうめく脂虫めがけて3発、撃って空にして、素早く弾倉を交換。
直後に前方に乱射。
否。奥から走ってきた脂虫どもの額を小口径弾が正確無比に射抜く。
「どっちに行けばいいんだ?」
「バリケードとかで塞がれていなければ、どっちも上の階に続いてると思うけど」
「じゃ、折角だからこっちから行くか」
「オーケー」
軽口交じりに素早く意見をまとめて2人は笑う。
そして揃って舞奈が向いていた方向に走り始めた途端、
『なぜ殺すザマス!? なぜアテクシに断りもなく! アテクシの部下を殺すザマス!!』
何処からともなく声。
不快で耳障りな声色は、声帯と精神がヤニでイカれた中年女のそれだ。
舞奈は周囲をうかがいつつ口元を歪める。
絞め殺される豚の鳴き声のようなダミ声は、天井のスピーカーから聞こえてくる。
「殴山一子か?」
「ええ。政治関連のニュース特番で何度か聞いたことがある声よ」
「この豚みたいな声、地上波で流れたのか?」
「ええ、ご尊顔も。興味ある?」
「ゾンビの顔なんか十分すぎるぐらい見たよ」
何食わぬ表情を作って側の明日香と軽口を返す。
そうしながら周囲を警戒しつつ全速力で廊下を駆ける。
不快なスピーカーの放送を気にしている暇はない。
何せこれから殴山一子当人を絞めに行くのだ。だが、
『おまえたちが殺した彼女らは! 彼らは! アテクシの言うことをちゃんと聞く優秀な部下だったザマス!! それを! おまえたちは……!!』
「なら、あんたは何で殺しまくったよ!?」
曲がり角から跳び出してきた脂虫を撃ちながら問いを返す。
返事を求めているということは、こちらの声が聞こえるということだと判断。
それ以上に奴の態度にムカついた。
「条例で対抗策を取り除いてからウィルスを撒いて、街中の人間を死体とゾンビに変えちまうなんて、ずいぶん念入りな殺し方じゃないか!」
『アテクシの計画には正当な理由があるザマス! おまえたちみたいなガキには理解できない崇高な! 正しい理由ザマス!』
「どんな高尚で正しい理由があるよ!」
あいつらの犠牲を正当化する理由が。
襲い来る脂虫どもを片付けながら舞奈は問う。
意図したより口調が荒くなったが、敵を撃ちながらなんだから仕方がない。
そもそも脂虫に良心はない。
奴らはヤニを摂取して人の心を捨て去った怪異だから、思考も人間とはまったく別のものになってしまっているのだ。
人ではない何かが人っぽい言動を真似ているに過ぎない。
だから自身が傷つけた、命を奪った者たちに罪悪感を抱いたりもしない。
奴らは平気で他者を傷つけ、欺く。
そんな邪悪な怪異どもと、会話を試みても人間の側が疲弊するだけだ。
奴らとの会話なんか所詮はポーズだ。
こちらに余裕があると確認し、見せつけるための。
だから意識して、口元に軽薄な笑みを浮かべて手近な脂虫を撃つ。
『アテクシの街から! アテクシに必要ないものを消し去ろうとしたザマス! アテクシとアテクシの息子タンに悪影響をもたらす悪いものを消し去っただけザマス!』
「息子だと?」
「ええ、殴山一子には子供がいたはずよ」
側で短機関銃の弾倉を交換しながら明日香が答える。
粘着質で耳障りな中年女の声は、だが出鱈目を吐いた訳ではないらしい。
「……あんな奴の腹から生まれるなんて、どんな罰ゲームだよ」
ひとりごちつつ目前の脂虫を屠りながら、舞奈は側の明日香を見やる。
こちらの声が聞こえている理由が知りたかった。
対して明日香も攻防の合間にうなずく。
その表情と仕草で察する。
2人が侵入した後、いつのまにかビルそのものが結界化されていたようだ。
だが舞奈は驚かない。
殴山一子本人かどうかは知らないが、敵に1匹以上の道士がいるのは確かだ。
そうでなければスプラは犠牲にはならなかった。
トルソが贄になり、切丸が道士の力を手に入れ舞奈たちの敵になることもなかった。
「その彼がゲームに夢中で、母親である殴山一子を無視したのが件のゲーム規制の遠因だって、何処かで公表していたわ」
『そうザマス! アテクシの可愛い息子タンを! ゲームがダメにしたザマス!』
明日香の冷たい声色に、不快なダミ声が同意する。
『ゲームだけじゃないザマス! 破廉恥なアイドル! 若いアニメの女! 子供の笑い声! 猫や小鳥! すべてがアテクシと息子タンを精神的に害する不要物ザマス!』
「ハハッ! あたしたち人間にとっての、あんたたちみたいなものってことか!?」
『何ザマスと!?』
舞奈は噛みつくように吠え返す。
スピーカーの向こうの殴山一子が仰天する。
その声色をせせら笑い、新たにあらわれた脂虫を蜂の巣にしながら走る。
『なにより! あの忌まわしいスカイフォールの小娘! 息子タンをかどわかしたヤンキーの姫きどりを消し去るために、アテクシは――!!』
「――そんなくだらない理由で殺したってのか」
目前の1匹を片付け、改造拳銃を構えて吐き捨てる。
『くだらなくなんかないザマス! アテクシの気高い目的が! 正しい精神が! くだらないはずなんか――』
「――くだらねぇよ! 気高くも正しくもない! あんたのしたことは糞だ!」
舞奈は負けじと叫ぶ。
相手は卑劣な脂虫だ。人の皮をかぶった怪異なのだから、どんな身勝手な理由で四国の一角をゴーストタウンに変えたとしても不思議じゃないと思っていた。
聞いても今さら腹も立たない。
そう思っていた。
自分たちはただ成すべきことをするために、機械的に奴を葬るのだと。
だが元凶である殴山一子本人が語った動機は、予想を遥かに上回る酷さだった。
スプラを、バーンを、トルソを、ピアースを。
結界内に侵入した他のチームの執行人たちを。
支部を死守した【禍川総会】の元ヤンキーたちを。
戦う術すら持たず、ただ普通にうどんを打って平和に暮らしていた人たちを。
スピーカーの向こうの下衆女は、武装させた脂虫に、進行させた屍虫に襲わせた。
あるいは、まき散らしたWウィルスで皆殺しにした。
その理由は息子タンとやらを自身の意に従わせるべく人間社会の環境を変えることだった。自身は変わろうとも知ろうともせず、人間の街から『美』を奪おうとした。
そんな、どうしようもなくくだらない理由で仲間たちは逝った。
それでも相手が脂虫どもの親玉だという時点で明確だったはずだ。
奴に人間らしい心などないと。
脂虫――悪臭と犯罪をまき散らす喫煙者は人に仇成す忌むべき怪異だ。
人間の敵だ。
共存する、あるいは容認するという選択など有り得ない。
奴らを滅ぼさなければ、人間が滅ぼされる。
そういう相手が人の顔と地位を奪った。
そして人のルールにのっとって権力を得てしまった。
だから誰も手出しができずに奴を肥え太らせてしまった。
その結果、人に似た醜くおぞましい怪異は最悪の事態を引き起こした。
だが奴はもうすぐ消える。
世界中のあらゆる脂虫が辿るべき、身の毛もよだつような凄惨なやり方で。
奴らが最も嫌う2人の若い少女が奴を消し去る。徹底的に。
そもそも舞奈だって、どんな理由を聞いても納得などできない。
だってスプラが、バーンが、トルソが、ピアースが……
「……あいつらが死んでいいもっともらしい理由なんざ、糞くらえだ!」
「止まって」
明日香の冷徹な声色に思わず立ち止まる。
気づくと階段室の前だった。
上の階から響く脂虫どもの足音。
魔術語と共に、側で明日香がかざした掌からまばゆい稲妻が放たれる。
雷光は目前に迫った1匹を痺れさせて焼き払う。
やや威力を減じながら手近な別の1匹に飛び火して焦がし、さらに別の脂虫を襲う。
お馴染みの【鎖雷】だ。
誘導する雷は階段から降りてこようとしてきた脂虫どもすべてを消し炭にする。
今度こそ気配で安全を察してから、揃って階段室に突入する。
隅に転がる吸い殻を一瞥して顔をしかめながら、臭い階段を駆け上がる。
踊り場に転がる数匹の黒焦げになった脂虫を踏みやって進む。
追加で下りてきた何匹かを撃って、上の階まで駆け登る。
途端、周囲が暗くなった。
一見すると蛍光灯が切れたのかと思うところだ。
だが周囲の不気味な薄暗さは、街全体に立ちこめていた雲の黒さと似通っている。
街を覆う結界の縮小版が、舞奈と明日香を閉じこめるように形成されたのだ。
「おっ! 結界の中に結界か!」
『おまえたちを罰を与えるのは彼らの役目ザマス!』
結界の中にダミ声が響く。
気にせず身構える2人の前に、3つの人影。
『アテクシの新しい息子タンたち! 生意気なメスガキどもを殺しなさい!』
「「「――はい、ママ」」」
声と共にあらわれたのは3人の少年だ。
年のころは中学生ごろか。
いずれも線が細い、切丸に少し似た少年だ。
衣装もいつか切丸が着ていたのと同じ、揃いのノースリーブのシャツに半ズボン。
赤、青、緑と色だけが違うシャツやズボンからのびる、スポーツくらいはしているのだろうが圧倒的に筋肉の足りていない白い細い手足を、舞奈は見苦しいと思った。
得物は全員が日本刀。
抜き身の刀を手にして、くわえ煙草のまま気味悪い薄笑いを浮かべている。
そういえば以前に委員長を巡ってKASCと争った際、刺客としてあらわれた疣豚潤子の手下もひょろっとした細身な男性アイドル風の容姿だった。
この手の貧相な体格の若い男を好むのが、醜い女の怪異に共通した特徴なのだろう。
生命の対極である衰弱の要素が気にいるのだろうか。
どんなに顔や身分を人間らしく整えても、怪異の特質たる下卑た嗜好は隠せない。
同じように殴山一子も貧相な彼らを仲間に引き入れた。
彼らも元は他のチームの執行人だったのだろうか?
すっかり脂虫らしくなった面構えで、目前の2人の少女を侮るようにぬめつける。
対して舞奈は手にした改造拳銃を構え、
「……切丸もこうなるはずだったのか」
乾いた笑みを浮かべて撃つ。
少年の顔面が薄笑いから別の表情に変わるより先に、風穴が開く。
躊躇はない。
相手が元は舞奈たち同様に禍川支部奪還を目指した【機関】の仲間だったとしても。
目前の少年たちも、切丸のように仲間だった誰かを贄に差し出したのだろう。
殴山一子にそそのかされて。
あるいは、自分自身の意思で。
だから次の瞬間、緑シャツのノッポ少年の顔面が爆ぜる。
明日香が改造拳銃に【燃弾】をかけていたのだ。
しかも舞奈は相手が符を取り出すどころか、防御しようと考えるより早く撃った。
だから不慣れな道士は首から上を失ったまま吹き飛ぶ。
宙に浮かんだ動かぬ敵に、もう2発ぶちこむ。
心臓と丹田を違わず爆砕された道士の四肢が宙を舞い、ボトリと床に落ちる。
『ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ! アテクシの息子タンが! 息子タンがぁぁぁ!』
声が悲痛な叫びに変わる。
「ザマぁねぇな! 目の前で大事なものをぶっ壊されたらどんな気がするか、ちったぁ
身に染みたか? ババア!」
舞奈も負けじと叫ぶ。
口元に凄惨な笑みを浮かべながら、そのまま改造拳銃を両手で構える。
撃つ。全弾。
攻撃魔法の如く火弾の群れが、側にいた青シャツ眼鏡の少年を襲う。
だが燃える小口径弾は、僅差で青シャツがまとった流水の衣に阻まれる。
即ち【水行・防衣】。
側を見やると、短機関銃の掃射を同じように火球の盾で防ぐ赤シャツ。
こちらは【火行・防盾】。
主の身代わりになった火球は自ら爆ぜ、銃弾の雨を吹き散らす。
奴らはそれぞれ水行と火行。
最初に倒した奴はおそらく木行か。
怪異の道士は五行で揃って行動したがるらしい。
そして切丸は金行の道士に成り果てていた。
ならば殴山一子そのものは土行ということだろうか。
だが、そんなことは今はどうでもいい。
大事なのは目前の怪異ども――人々から街と命を、舞奈から仲間を奪った殴山一子のお気に入りどもを、どうやって屠るかだ。
2匹の道士は符をまき散らす。
次いで嘯。
符のそれぞれが火矢に、流水の矢と化して2人に降り注ぐ。
即ち【火行・多炎矢】【水行・多矢】。
だが4枚の【氷盾】が舞奈と明日香の前に躍り出て矢の雨を防ぎきる。
氷盾に阻まれた数多の矢が、火の粉と水しぶきと化して飛び散る。
砕かれた元素の霧が周囲を覆う。
霧にまぎれて舞奈は氷盾の下から転がり出す。
流れるような動作で改造拳銃を仕舞い、肩に提げた短機関銃《マイクロガリル》を構える。
一挙動で立ち上がりつつ道士のひとりに肉薄。
赤いシャツを着た火行の方だった。
構わず撃つ。三点射撃。
赤シャツは無数の小口径ライフル弾を火球の爆発で防ぐ。
先ほどと同じ【火行・防盾】。
だが、その動きは予測済み。
火球の爆炎が晴れる前に、舞奈は道士の側に回りこむ。
反応できない敵の真横から残る全弾を叩きこむ。
だが今度の掃射も炎の衣【火行・防衣】に止められる。
「糞ったれ! 破魔弾を持ってこりゃよかった!」
舞奈は舌打ちする。
フェイントに気づいた赤シャツは跳び退って距離を取る。
構えた日本刀に炎が宿る。
「……元は【火霊武器】か」
舞奈は口元をゆがめる。
もしバーンが殴山一子の誘いを受けていたら、目前にいたのは彼だっただろうか?
そんな考えが脳裏をよぎる。
だが、たぶん答えはノー。
あの熱血漢ならババアの身勝手な誘いに怒り狂って、逆に殴っていたはずだ。
あるいはスカイフォールの魔剣とやらで、奴をなますに斬り刻むかもしれない。
そうすると彼の活躍で今回の仕事は終わることになるのだろうか?
そんな考えが脳裏をよぎって、思わず笑う。
そんな舞奈の目前で、炎の道士は新たに取り出した符を投げる。
符は【火行・炸球】の火球と化して飛来する。
同時に背後から気配。
もうひとりの道士が放った水の巨刃【水行・刀刃】。
前後からの挟み撃ちだ。
舞奈は素早く身をかがめる。
頭上で小さなツインテールの先をかすめ、火球と水の巨刃が交差する。
「いやだから、挟み撃ちしようとすんな」
しゃがんだ態勢で素早く弾倉を交換しながら、舞奈の口元に嘲笑。
いつかのバーンと同じミスだ。
目標を前後から挟み撃ちにして、避けられたり貫通すると流れ弾が互いに当たる。
バーンのときは舞奈が跳び退いて事無きを得た。
だが道士どもは何も考えずそのまま互いにぶちかました。
これだから普段から銃を使わない脳筋は!
火球は青シャツの【水行・防衣】に当たり、爆発して吹き飛ばす。
逆に水刃は赤シャツの【火行・防衣】に当たって溶ける。
どちらも攻撃魔法の腕前がそれほどでもないのが幸いしたか。
そんな間抜けな敵の隙を舞奈は逃さない。
態勢を崩した赤シャツに再び接敵。
細くて生白い膝裏に渾身の回し蹴り。
へし折るとまではいかなかったが、赤シャツは抵抗すらできずに転倒する。
仰向けになった道士の、くわえ煙草の顔面めがけて短機関銃《マイクロガリル》を掃射。
赤シャツは両腕をクロスして【火行・防衣】の袖で小口径ライフル弾を防ぐ。
小柄な少年の身体が衝撃と恐怖で小刻みに震える。
舞奈の口元にはサメのような笑み。
撃ち尽くした弾倉を交換。
掃射が止んだのを察した道士の腕がゆるむ。
その隙を逃さず舞奈は渾身の力で脇腹を蹴る。
スニーカーを炎衣の熱が炙る感触にも構わない。
赤シャツはたまらず床を転がる。
舞奈はその背に短機関銃《マイクロガリル》を向けて撃つ。三点射撃。
1発は衣の背に当たって防がれる。
次の1発は首をへし折り、最後の1発が頭を砕く。容赦はない。
術者が死んで【火行・防衣】が消えた背中に残りの弾丸を食らわせる。
ノースリーブのシャツの背に、貧相な腕に、半ズボンからのびる細長い足に、まんべんなく小口径ライフル弾を見舞ってミンチにする。
ズタズタになった身体からヤニ色の体液を垂れ流しながら、少年は動かない。
あのときの切丸と同じように。
その背後で、明日香も最後の道士を片付けようとしていた。
足元を氷漬けにされた青シャツが、恐慌に駆られて周囲を見渡す。
そんな彼の、日本刀を手にした右腕が不意に凍りつく。
次いで符を取り出した左腕。
唇に煙草を癒着させたまま少年の表情が恐怖に染まる。
両手と動きを封じられ、案山子のように立つ青シャツの背後に明日香が出現する。
姿が見えなくなったと思ったら、二段構えの隠形で姿を消していたらしい。
その状態から【氷棺・弐式】を放ったのだ。
氷の茨は、青シャツを守っていた【水行・防衣】を巻きこんで強引に凍らせた。
その状態の敵の背後に明日香は出現。
少年が手にした日本刀を、【力鎖】の重力場でつかんで手首ごともぎ取る。
思いのほか中までしっかり凍っていたようだ。
次いで【力鎖】を操作し、宙を舞う日本刀を振り回す。
そして驚愕に目を見開く少年の額の上に垂直に振り下ろす。
そのまま【力波】で器用に力をこめて、悲鳴をあげる少年の顔面を剥ぐ。
普段の明日香らしからぬ、弄るような惨たらしい屠殺。
だが口元には凄惨だが満ち足りた笑み。
「……楓さんや小夜子さんに似て来たぞ、おまえ」
舞奈はやれやれと苦笑してみせる。
だが正直、気持ちは理解できる。
気づくと周囲の結界は消えていた。
殴山一子の声もしない。
新しい息子タンとやらが殺されたのに。
最後に顔を剥がれたのが嫌で、愛想が尽きたのかもしれない。
だが奴の心中なんかどうでもいい。
問題なのは奴をどう確実に屠るかだ。
だから舞奈と明日香は再び走り出す。
階段をいくつか駆け上がり、あっさり最上階へとたどり着いた。
そして疣豚潤子がいるはずの最後の部屋へのドアを探しながら廊下を走る。
「あのドアの向こうか?」
「ええ、おそらく」
警戒しながら走る最中、
「――!?」
とっさに気配を感じ、側の明日香を抱えて跳ぶ。
同時に耳をつんざく轟音と共に、側の壁全体が吹き飛んだ。
どうやら敵は舞奈たちを廊下ごと吹き飛ばそうと試みたか。
しくじった、と思った瞬間――
――舞奈と明日香は建物の外にいた。
明日香のクロークから4枚の焼け焦げたドッグタグがこぼれ落ちる。
彼女の【反応的移動】で安全圏まで脱出したようだ。
まさか奴の居場所まで再び階段を駆け上がるのかとビルを見上げると――
「――!?」
歪なビル――死酷人糞舎の上部が内側から爆ぜていた。
舞奈たちは、あれに巻きこまれたのだろう。
降り注ぐビルの残骸を明日香が【力盾】で防ぐ。
だが舞奈は再び明日香を抱えて跳ぶ。
瓦礫まみれの道路を転がる。
そして一挙動で立ち上がり、先ほどまで2人が立っていた場所を見やり――
「――なるほど、あれがゲームのボスって訳か」
不敵に笑う。
睨む舞奈の目前に、巨大屍虫よりなお大きい鋼鉄の巨人が立っていた。
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二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
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https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
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