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囚われの美少女

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 俺とソラが都市コンバダスの冒険者ギルドへと戻るとギルド職員から拍手喝采で迎えられた。どうやら俺たちが構造変化したA等級ダンジョンを攻略したことが国王軍から伝わっているらしい。

「おめでとうございます!構造変化で難度が跳ね上がったダンジョンを冒険者だけで攻略するのは異例の事です」
「お褒めの言葉ありがとうございます!では、魔石の換金をお願いします」
「かしこまりました」

 俺はサバンチュラの魔石とグレンバーンの魔石をバッグから取り出した。

 魔石の鑑定額はサバンチュラが1300万、グレンバーンが700万だった。

 俺とソラは報酬に関しては折半する決まりにした。

 所持金:9200万G

「レオさん、ソラさん、構造変化したダンジョンの攻略報酬ですが超高額になる為、冒険者ギルドでの受け渡しは不可能となります。依頼主である国王軍の方々から直々に報酬を頂くことになりますので都市アラゴルへと向かってください」

「わかりました、では失礼します」

 この世界は断崖の上で暮らす貴族が絶対的な権力を保持しており、その直属の軍隊である国王軍が平地のいくつかの都市に駐在することで民を支配している。その内の一つが都市アラゴルだ。

 俺とソラは冒険者ギルドを出ると都市アラゴルへと向かった。

 都市間の移動でもダンジョンから出てきた魔獣に襲われることがあるから油断できない。移動時の護衛だけを生業としている冒険者も一定数いるくらいだ。

 都市アラゴルに着くと街全体を取り囲む高い塀の前で、門番の男が街に入る人の身分証明をしていた。

「お待ちしておりました。レオさん、ソラさん、司令官がお会いするのを楽しみにしております」

 俺とソラが門番の男に連れられて塀の中に入ると民衆が集い声を張り上げていた。

「何かあったんですか?」
「大したことじゃないです。お気になさらず」

 ソラの問いかけを門番は軽く受け流した。

 俺達は国王軍の駐在する城に入ると謁見の間へと通された。高価そうな絵画が数多く飾られた部屋で待っていると風呂敷包みを抱えた司令官が現れた。

「勇者たちよ、これが構造変化したダンジョン攻略の報酬2億だ。受け取ってくれ!」
「ありがたく頂戴します」

 所持金:1億9200万G

 報酬を受け取り俺達が帰ろうとした時、謁見の間に大慌てで衛兵が入ってきた。

「なんだ、騒々しいぞ!」
「しかし司令官、一部の民衆の怒りが収まらず街は大混乱です」
「力で押さえつけろ、武力行使も厭わん」

 衛兵の男は敬礼すると謁見の間を出て行った。

「どうかしたんですか?」
「これはこれは見苦しいところをお見せした、心配には及ばんよ」

 俺の問いかけに険しい顔つきの司令官が頬を緩ませた。

 俺達が城を出ると国王軍が武力で騒動を鎮圧していた。さすがに気になるから事情を街の女性に聞いた。

「明日、ベルという冒険者の女の子がこの街で処刑されるから、それを阻止しようとしてるみたいよ」

 なるほど、冒険者の処刑に対する怒りの暴動だったか。

 その後も聞き込みを進めると、国王軍が放置してたダンジョンをベルが攻略したから処刑されるという理不尽が明らかになった。

「ソラ、この件どう思う?」
「私はなんとかベルを助け出してあげたいな」
 
 明日が処刑日ならばベルは城内で幽閉されてるとみて間違いない。俺の〈学級閉鎖クローズ〉の効果なら城内に潜入することは容易い。

「色々と気になるから俺のスキルで本人に聞きに行こう」
「うん、そうしましょう!」

 俺が〈学級閉鎖クローズ〉を発動すると再び二人で城内へと入った。

「とりあえず看守室を探そうと思う」
「そうね、それなら見張りから帰ってきた衛兵に付いて行きましょう」

 俺たちは外から帰ってきた衛兵に付いていき城内へと潜入すると、地下へと降りて行き看守室の鉄の扉を突破した。

「なんか今さ、扉の閉まり方が不自然じゃなかった?俺には一瞬だけ止まったように見えたんだが」
「看守長ご冗談を!幽霊でもいるんですか」
「気のせい……か」

 看守長の言葉に俺の鼓動は高鳴ったが何とか事なきを得た。

 看守室内は至る所にモニターが設置されており、城内をくまなく監視していた。
 
 俺達がここまで気づかれずに来れたことを考えると〈学級閉鎖クローズ〉はモニター越しでも有効らしい。

「レオ、あのモニター見て!」

 ソラが手で示したモニターを見ると端正な顔立ちをした黒髪の女の子が鉄格子の中にいた。
 髪の色や背格好が聞き込みの情報と一致していた。

「あの子だろうね。少しここで様子見しようか」
 
 しばらく看守室内で待つと、看守長が席を立って黒髪の女の子が映っているモニターを一瞥してから歩き出した。

「では、行ってくる」
「看守長、いってらっしゃいませ」

 俺たちは看守長の後を付けることにした。
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