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二人きりの夜
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看守室を出て行った看守長の後を俺とソラは付けた。すると、更に地下へと続く螺旋階段を下って行き、最下層に分厚い鉄の扉があった。
看守長が暗証番号を入れると扉が自動で開いた。中に入ると鉄格子の部屋がいくつもあり囚人が入れられていた。
一番奥の鉄格子にモニターで見た黒髪の女の子がおり、看守長はその鉄格子の前で立ち止まった。
「よぉ……お前の処刑日が明日に決まった。どうだ、最期に命乞いでもしてみるか?」
「命乞いはしないが、私が死ぬ理由くらいは聞きたいものだな」
「見せしめさ。今後、お前のような輩が現れないようにする為のな」
そう言うと看守長は鉄格子を離れて地下牢から出ていった。
俺は辺りに看守がいないのを確認するとモニターの死角で〈学級閉鎖〉を解いて黒髪の女の子に話しかけた。
「やあ、急に現れてごめん!俺はレオ、君と話をしにきた」
黒髪の女の子は一瞬だけ驚いた顔をしたが、すぐに真顔になった。
「透明になれるスキルとは便利だな、何の用だ?」
「まず聞きたいのだが君がベルか?」
「ああ、そうだ」
ベルは明日が処刑日なのに毅然とした態度をしている。
「ベルが処刑される理由について詳しく聞きたい。君は何をしたんだ?」
「私は国王軍が受注していたB等級ダンジョン攻略の依頼を無断で攻略した。アイツら、それが許せないらしい」
「ソロで攻略したのかい?」
「その通りだ」
ここで俺とベルの会話を静かに聞いていたソラが口を開いた。
「おかしいよ、こんなの……命懸けでダンジョンを攻略して処刑されるなんて」
「俺もそう思う、だから君を救いたい」
「気持ちはありがたいが私はもう覚悟はできている、これ以上私には関わるな」
その時、地下牢の鍵を開ける音が聞こえた。
「じゃあ、また……」
俺はそう言うと〈学級閉鎖〉を発動した。ベルは何があっても救い出そうと思った。そして出来れば仲間にしたい。少し会話しただけだがそう思える凄みがあった。
俺とソラは地下牢を出ると城内の隅で作戦会議をした。やはり、ソラもなんとしてでもベルを助けたいと思っていた。
「やっぱりベルを助けるには看守室から鍵を借りるしかないかな」
「そうね、だけど鉄格子からベルを救出できたとしても地下牢で閉じ込められるリスクがあると思う」
「だとすれば処刑場へと向かう道中での奪還が現実的か」
俺とソラは城を出ると街の人達に明日の処刑についての聞き込みをして処刑場の位置や城からの経路などを把握した。
処刑時間は夕方の五時であり場所は城の傍にある高台の上だった。
「これまでの情報が正しければ、処刑場への道中よりも処刑が執行される高台で奪還すべきかもな」
「どうしてそう思うの?」
「道中は大通りだから多数の護衛がつくだろうが、あの狭い高台に昇るのは処刑執行人を含めた数人だけだろうからな」
「でもその分、奪還後の逃走が大変だと思うけど」
ソラがもっともなことを言った。
「……確かにね、そこは古典的だが煙幕を使おう。ベルが煙幕に乗じて逃げたと敵に思わせて実際は俺のスキルで身を潜めながら去ればいい」
「うん、少し不安だけどレオの作戦でいきましょう」
その日は街の宿に泊まることになったが、部屋に入るとベッドが一つしかなかった。
「俺はソファで寝るからソラがベッド使っていいよ」
「そんな、申し訳ないよ」
「いや、俺はソファのがよく眠れるからさ」
「そうなんだー」
俺は人生で初めてソファで眠ることになった。
明日のベル奪還作戦は命懸けになる。はたしてソラを連れていくべきなのだろうか。
「レオ、私達は仲間だからね。一人で作戦遂行とか考えちゃだめだよ」
「わ、わかってるよ」
俺の心を見透かすようなソラの発言に驚いた一方で迷いが消えた。
翌朝、旅支度を整えてから昼過ぎに城の前へと行くと、ライルの民衆が集い怒りの声が最高潮に達していた。
すると、衛兵に連れられたベルが城から出てきた。
看守長が暗証番号を入れると扉が自動で開いた。中に入ると鉄格子の部屋がいくつもあり囚人が入れられていた。
一番奥の鉄格子にモニターで見た黒髪の女の子がおり、看守長はその鉄格子の前で立ち止まった。
「よぉ……お前の処刑日が明日に決まった。どうだ、最期に命乞いでもしてみるか?」
「命乞いはしないが、私が死ぬ理由くらいは聞きたいものだな」
「見せしめさ。今後、お前のような輩が現れないようにする為のな」
そう言うと看守長は鉄格子を離れて地下牢から出ていった。
俺は辺りに看守がいないのを確認するとモニターの死角で〈学級閉鎖〉を解いて黒髪の女の子に話しかけた。
「やあ、急に現れてごめん!俺はレオ、君と話をしにきた」
黒髪の女の子は一瞬だけ驚いた顔をしたが、すぐに真顔になった。
「透明になれるスキルとは便利だな、何の用だ?」
「まず聞きたいのだが君がベルか?」
「ああ、そうだ」
ベルは明日が処刑日なのに毅然とした態度をしている。
「ベルが処刑される理由について詳しく聞きたい。君は何をしたんだ?」
「私は国王軍が受注していたB等級ダンジョン攻略の依頼を無断で攻略した。アイツら、それが許せないらしい」
「ソロで攻略したのかい?」
「その通りだ」
ここで俺とベルの会話を静かに聞いていたソラが口を開いた。
「おかしいよ、こんなの……命懸けでダンジョンを攻略して処刑されるなんて」
「俺もそう思う、だから君を救いたい」
「気持ちはありがたいが私はもう覚悟はできている、これ以上私には関わるな」
その時、地下牢の鍵を開ける音が聞こえた。
「じゃあ、また……」
俺はそう言うと〈学級閉鎖〉を発動した。ベルは何があっても救い出そうと思った。そして出来れば仲間にしたい。少し会話しただけだがそう思える凄みがあった。
俺とソラは地下牢を出ると城内の隅で作戦会議をした。やはり、ソラもなんとしてでもベルを助けたいと思っていた。
「やっぱりベルを助けるには看守室から鍵を借りるしかないかな」
「そうね、だけど鉄格子からベルを救出できたとしても地下牢で閉じ込められるリスクがあると思う」
「だとすれば処刑場へと向かう道中での奪還が現実的か」
俺とソラは城を出ると街の人達に明日の処刑についての聞き込みをして処刑場の位置や城からの経路などを把握した。
処刑時間は夕方の五時であり場所は城の傍にある高台の上だった。
「これまでの情報が正しければ、処刑場への道中よりも処刑が執行される高台で奪還すべきかもな」
「どうしてそう思うの?」
「道中は大通りだから多数の護衛がつくだろうが、あの狭い高台に昇るのは処刑執行人を含めた数人だけだろうからな」
「でもその分、奪還後の逃走が大変だと思うけど」
ソラがもっともなことを言った。
「……確かにね、そこは古典的だが煙幕を使おう。ベルが煙幕に乗じて逃げたと敵に思わせて実際は俺のスキルで身を潜めながら去ればいい」
「うん、少し不安だけどレオの作戦でいきましょう」
その日は街の宿に泊まることになったが、部屋に入るとベッドが一つしかなかった。
「俺はソファで寝るからソラがベッド使っていいよ」
「そんな、申し訳ないよ」
「いや、俺はソファのがよく眠れるからさ」
「そうなんだー」
俺は人生で初めてソファで眠ることになった。
明日のベル奪還作戦は命懸けになる。はたしてソラを連れていくべきなのだろうか。
「レオ、私達は仲間だからね。一人で作戦遂行とか考えちゃだめだよ」
「わ、わかってるよ」
俺の心を見透かすようなソラの発言に驚いた一方で迷いが消えた。
翌朝、旅支度を整えてから昼過ぎに城の前へと行くと、ライルの民衆が集い怒りの声が最高潮に達していた。
すると、衛兵に連れられたベルが城から出てきた。
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