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幻のダンジョン
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俺達は宮殿での二日目も豪華な食事と大浴場を堪能した。その後に寝室で3人になった。
「ソラ、聞きたいことがあるのだが――」
「私はレオと一緒に冒険するよ」
ソラが俺の話を初めて遮って言った。
「ありがとうソラ、ならばソラのお父さんを説得する方法を考えよう」
「お父さまには私から誠心誠意伝えるから大丈夫よ」
「いや、リーダーとして俺の方からもきちんと説明したい」
翌朝、俺達はソラのお父さんがいる宮殿の一室へと行った。
「お父さま、お話があります」
ソラが神妙な面持ちで切り出した。
「ソラを失いたくないんだ、私の気持ちをわかってくれ」
ソラのお父さんが言うとソラが黙り込んだ。
「ソラさんは何があっても僕が絶対に守り抜きます」
「レオ君、その覚悟は本気か?私も貴族の端くれであり動かせる兵力も持っている。もしソラが命を落として君だけがのうのうと生きていたら無事ではすませんぞ」
「ええ、臨むところです」
俺は強い口調で言った。
「……私の負けだ。レオ君の強い決意と真っ直ぐな眼差しを信じよう」
「任せて下さい」
ソラのお父さんは引き出しから金属の箱を取り出した。
「この箱はクリア家に代々伝わる秘宝であり、真の勇者が現れた時に授けることになっている。言い伝えではSSS等級ダンジョンへの手掛かりが記されているはずだ」
「見て、レオの短剣が青く光っている」
ソラが言った通り短剣が青白く輝いていた。
「レオ、箱の鍵穴の形状が短剣の剣先と同じだ」
確かにベルの言う通りだ。
俺が短剣を鍵穴に差し込むと、箱の中には世界地図が入っていた。
「な、なんだと!」
俺は驚愕した。地図に記されたSSS等級ダンジョンの場所が国王の城であった。
まさか幻のダンジョンが俺の生まれ故郷とは……
「レオ君、SSS等級ダンジョン攻略の為には最高の装備を揃えた方が良いだろう。都市サンリアにある隠れた名店ランスに行くと良い。私が紹介文を書こう」
「ありがとうございます」
俺達は大勢の民衆に見送られてアルカルンを出発した。
幻のダンジョンが国王の城であることに最初は驚いたが結果的には好都合だ。俺の二つの目的が一回で済む。まさに一石二鳥というやつだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
壮麗な城の執務室で国王が葉巻を吸いながら書類に目を通していた。
壁には歴代国王の肖像画が飾られ、窓際では猫がうたた寝をしている。
誰かが扉をノックした。
「入っていいぞ」
国王軍の幹部が神妙な面持ちで執務室に入ってきた。
「国王、残念なご報告がございます。パレス王子がお亡くなりになりました」
「なんじゃと!?」
「ライセンス試験中に不幸な事故にあったとのことです。詳細につきましては――」
「もういい、儂を一人にしてくれ」
そういうと国王は窓際へと行き遠くの景色を眺めた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
俺達はダンジョン攻略へ向けての装備を揃えるために都市サンリアを訪れた。
この辺りは高難易度のダンジョンが数多く出現するため、優秀な冒険者が数多く駐在している。それ故に武器屋の品揃えも格別だ。
寂れた裏路地に店名ランスと書かれた小さな家があった。
どう見ても表通りにある数々の有名店の方が品揃えが良さそうだが紹介を信じることにしよう。
俺達は扉を開けて店内へと入ったが誰もいない。
外観と代わり映えしない質素な内装であり壁に飾られた武器は埃をかぶっている。
「ごめんくださーい」
ソラが言ったが誰も応答しない。
俺達は店内を回ると一つの黒剣が俺の心を強く引き付けた。
俺は黒剣に触れようと思わず手を伸ばした。
「ウチの商品に勝手に触るでないよ、下手したら命を落とすよ」
老婆がどこからともなく現れた。
「すみません、あまりに魅力的な黒剣だったものでつい……」
「ウチにあるのは表では売れない、いわくつきの武器ばかりだ。その黒剣は最たるもので非売品だよ。わかったらとっとと帰りな」
「あの、僕達はクリア家の紹介文を持って参りました」
「ほう、それならそうと早く言わんかい」
紹介文を読むと老婆の態度が一変した。
「それぞれ好きな武器を一つずつ選んで持っていきな、金はとらんよ!」
「ソラ、聞きたいことがあるのだが――」
「私はレオと一緒に冒険するよ」
ソラが俺の話を初めて遮って言った。
「ありがとうソラ、ならばソラのお父さんを説得する方法を考えよう」
「お父さまには私から誠心誠意伝えるから大丈夫よ」
「いや、リーダーとして俺の方からもきちんと説明したい」
翌朝、俺達はソラのお父さんがいる宮殿の一室へと行った。
「お父さま、お話があります」
ソラが神妙な面持ちで切り出した。
「ソラを失いたくないんだ、私の気持ちをわかってくれ」
ソラのお父さんが言うとソラが黙り込んだ。
「ソラさんは何があっても僕が絶対に守り抜きます」
「レオ君、その覚悟は本気か?私も貴族の端くれであり動かせる兵力も持っている。もしソラが命を落として君だけがのうのうと生きていたら無事ではすませんぞ」
「ええ、臨むところです」
俺は強い口調で言った。
「……私の負けだ。レオ君の強い決意と真っ直ぐな眼差しを信じよう」
「任せて下さい」
ソラのお父さんは引き出しから金属の箱を取り出した。
「この箱はクリア家に代々伝わる秘宝であり、真の勇者が現れた時に授けることになっている。言い伝えではSSS等級ダンジョンへの手掛かりが記されているはずだ」
「見て、レオの短剣が青く光っている」
ソラが言った通り短剣が青白く輝いていた。
「レオ、箱の鍵穴の形状が短剣の剣先と同じだ」
確かにベルの言う通りだ。
俺が短剣を鍵穴に差し込むと、箱の中には世界地図が入っていた。
「な、なんだと!」
俺は驚愕した。地図に記されたSSS等級ダンジョンの場所が国王の城であった。
まさか幻のダンジョンが俺の生まれ故郷とは……
「レオ君、SSS等級ダンジョン攻略の為には最高の装備を揃えた方が良いだろう。都市サンリアにある隠れた名店ランスに行くと良い。私が紹介文を書こう」
「ありがとうございます」
俺達は大勢の民衆に見送られてアルカルンを出発した。
幻のダンジョンが国王の城であることに最初は驚いたが結果的には好都合だ。俺の二つの目的が一回で済む。まさに一石二鳥というやつだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
壮麗な城の執務室で国王が葉巻を吸いながら書類に目を通していた。
壁には歴代国王の肖像画が飾られ、窓際では猫がうたた寝をしている。
誰かが扉をノックした。
「入っていいぞ」
国王軍の幹部が神妙な面持ちで執務室に入ってきた。
「国王、残念なご報告がございます。パレス王子がお亡くなりになりました」
「なんじゃと!?」
「ライセンス試験中に不幸な事故にあったとのことです。詳細につきましては――」
「もういい、儂を一人にしてくれ」
そういうと国王は窓際へと行き遠くの景色を眺めた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
俺達はダンジョン攻略へ向けての装備を揃えるために都市サンリアを訪れた。
この辺りは高難易度のダンジョンが数多く出現するため、優秀な冒険者が数多く駐在している。それ故に武器屋の品揃えも格別だ。
寂れた裏路地に店名ランスと書かれた小さな家があった。
どう見ても表通りにある数々の有名店の方が品揃えが良さそうだが紹介を信じることにしよう。
俺達は扉を開けて店内へと入ったが誰もいない。
外観と代わり映えしない質素な内装であり壁に飾られた武器は埃をかぶっている。
「ごめんくださーい」
ソラが言ったが誰も応答しない。
俺達は店内を回ると一つの黒剣が俺の心を強く引き付けた。
俺は黒剣に触れようと思わず手を伸ばした。
「ウチの商品に勝手に触るでないよ、下手したら命を落とすよ」
老婆がどこからともなく現れた。
「すみません、あまりに魅力的な黒剣だったものでつい……」
「ウチにあるのは表では売れない、いわくつきの武器ばかりだ。その黒剣は最たるもので非売品だよ。わかったらとっとと帰りな」
「あの、僕達はクリア家の紹介文を持って参りました」
「ほう、それならそうと早く言わんかい」
紹介文を読むと老婆の態度が一変した。
「それぞれ好きな武器を一つずつ選んで持っていきな、金はとらんよ!」
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