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国王との対峙
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俺達は〈砂雲〉に乗って崖の上へと降り立った。
そこから数十分歩くと国王の城がある貴族の丘へと辿り着いた。
「ここからは〈学級閉鎖〉を使って貴族の丘に潜入して国王が暮らす城を目指すことにしよう」
俺達が貴族の丘に足を踏み入れると、豪華絢爛な暮らしぶりをしていた。煌びやかな街並みの中を昼から歌い踊り酒盛りする人々で溢れていた。
貴族は世界の人々がダンジョンの出現に苦しんでいることなど知る由もないのだろうか。
俺達は賑わう繁華街を通り過ぎると国王の城に辿り着いた。
城門の前に辿り着くと懐かしさが込み上げてきた。
俺はキーラ渓谷に落下したあの日まで城の敷地内から出たことがなかった。だから正確に言うとこの城門の中だけが故郷だ。
「ベル、城の三階の右端の部屋にゲートの出口を設置できるか?」
「ああ、ギリギリ届くが大丈夫なのか?あの位置にゲートを出すのは一瞬とはいえかなり目立つが」
「大丈夫、あそこは倉庫で無人だ。それに城内は慢心から警備体制が整っていないから問題ない」
「了解」
ベルの〈移動玄関〉で俺たちは三階の倉庫に潜入した。
「通例通りなら国王が取り仕切る幹部会が夕方の5時から開かれるはずだ。〈学級閉鎖〉でその会議に潜入して色々と情報を掴むが、それまではここで待機しよう」
「わかったよ、レオ」
ソラが静かに言った。
俺達は5時が近づくと倉庫を出て会議室へと向かった。会議室の扉は開かれており幹部4人が椅子に座って国王を待っていた。
〈学級閉鎖〉であっさりと会議室への潜入に成功した。
数分の時が経ち、俺の爺さんである国王が会議室に入ってくると幹部は一斉に立ち上がり会釈した。
爺さんの外見に変化はなかったが、不思議にも俺に怒りの感情は湧いてこなかった。
しばらく雑談が続いた後に耳を疑う言葉を聞いた。
「さて、来月のダンジョン設置場所について決めようじゃないか」
「国王、下界の近況ですがキーラ渓谷ダンジョンが何者かにより攻略されたようです」
爺さんは怪訝そうな表情で黙り込んだ。
「この件については、精査して明日の会議で報告しろ」
「承知致しました」
「早急にコンバダスの近くに強力なダンジョンを設置するのじゃ、都市が滅びても構わん」
「あともう一点ご報告がございまして都市アルカルンを魔獣が襲撃しなくなったとの情報が入ってきています」
「あの没落貴族が何かしたようじゃな、明日の朝に精鋭部隊をアルカルンへと出兵してクリア家を殲滅しろ!」
会議が終わると俺達は三階の倉庫へと無言で戻り状況を整理した。
「まさかダンジョンが人為的なもので、しかも爺さんの仕業だったとはな」
「アルカルンが危ないよ、レオどうしよう?」
ソラが涙目で言った。
「明日までに出兵をどんな手段を使っても止める、それしかない」
「レオには悪いが国王の悪事はいかなる理由があろうとも許せない」
「そうだなベル、真相を知るには俺が直接会って聞くしかないと思う、爺さんの部屋は最上階にあるから晩餐会が終わったら会いに行く」
数時間後、俺達は〈学級閉鎖〉を使い、最上階の廊下で晩餐会から戻ってくる国王を待った。
深夜となり国王は二人の護衛を付けながら部屋に千鳥足で戻ってきた。荘厳な扉を開けた隙間からベルが部屋内の天井にゲートの出口を設置した。
倉庫から爺さんの部屋まで直線距離で50mしかないから倉庫内にゲートの入り口を設置した。
「レオ、本当に一人で大丈夫なの?」
ソラが心配そうに言った。
「ああ、問題ない。爺さんも俺一人の方が本音で話しやすいだろう」
「それならレオのMPを満タンにするから上の服をちょっとめくってね」
-------------------------------
回復の右手 消費MP:40 残MP:120/160
効果:対象者の腹部に直に触れることでMPを200回復させる
-------------------------------
ソラが俺のへその上に手のひらを置くと数秒でMPが満タンになった。
「ありがとう、ソラ」
「レオ、絶対に無理しないでね」
俺は〈無断欠席〉を使わずにゲートに入ると爺さんの部屋に出た。部屋内は黄金の装飾で眩いばかりに光り輝いていた。
壁には歴代グリフォン家の数多くの写真が飾られていた。
「誰じゃ?」
足音に気づいた爺さんはそう言うと奥の執務室から出てきた。
俺のことをこの世の物とは思えない顔で見ている。
「お久しぶりです、爺様」
「……」
爺さんは現実を受け入れられずに言葉を失っている。
「色々と聞きたいことがあるのですが、まずは爺様がダンジョンを創っている理由が知りたいです」
「レオ、お前どうやってキーラ渓谷を攻略した?」
「自分の力で攻略しました。爺様、僕の質問にも答えて下さい」
「そこまで知っているなら答えるまでもないだろう、簡単なことじゃ。お前が考え得る最悪の理由を思い浮かべればいい」
俺の脳内で最悪の答えを導きだした。
「……搾取と愉悦か」
「その通りだ、下界にダンジョンを創出すれば必然的に都市は軍事力を必要とする。我が軍隊を傭兵として法外な額で雇うしかなくなる。そして何よりも下民共がもがき苦しむ姿を見るのは至高の愉悦なのだ」
「爺さん、安心したよ。手加減しないで済みそうだ」
「言うようになったなレオ、だがこの部屋は戦うには少々窮屈だとは思わないか?屋上での一騎打ちといこうではないか」
「いいよ、俺はそれでも」
俺にとっても城内は破壊したくないから了承した。
隠し階段を昇り屋上へと辿り着くと、遂に爺さんと対峙した。
そこから数十分歩くと国王の城がある貴族の丘へと辿り着いた。
「ここからは〈学級閉鎖〉を使って貴族の丘に潜入して国王が暮らす城を目指すことにしよう」
俺達が貴族の丘に足を踏み入れると、豪華絢爛な暮らしぶりをしていた。煌びやかな街並みの中を昼から歌い踊り酒盛りする人々で溢れていた。
貴族は世界の人々がダンジョンの出現に苦しんでいることなど知る由もないのだろうか。
俺達は賑わう繁華街を通り過ぎると国王の城に辿り着いた。
城門の前に辿り着くと懐かしさが込み上げてきた。
俺はキーラ渓谷に落下したあの日まで城の敷地内から出たことがなかった。だから正確に言うとこの城門の中だけが故郷だ。
「ベル、城の三階の右端の部屋にゲートの出口を設置できるか?」
「ああ、ギリギリ届くが大丈夫なのか?あの位置にゲートを出すのは一瞬とはいえかなり目立つが」
「大丈夫、あそこは倉庫で無人だ。それに城内は慢心から警備体制が整っていないから問題ない」
「了解」
ベルの〈移動玄関〉で俺たちは三階の倉庫に潜入した。
「通例通りなら国王が取り仕切る幹部会が夕方の5時から開かれるはずだ。〈学級閉鎖〉でその会議に潜入して色々と情報を掴むが、それまではここで待機しよう」
「わかったよ、レオ」
ソラが静かに言った。
俺達は5時が近づくと倉庫を出て会議室へと向かった。会議室の扉は開かれており幹部4人が椅子に座って国王を待っていた。
〈学級閉鎖〉であっさりと会議室への潜入に成功した。
数分の時が経ち、俺の爺さんである国王が会議室に入ってくると幹部は一斉に立ち上がり会釈した。
爺さんの外見に変化はなかったが、不思議にも俺に怒りの感情は湧いてこなかった。
しばらく雑談が続いた後に耳を疑う言葉を聞いた。
「さて、来月のダンジョン設置場所について決めようじゃないか」
「国王、下界の近況ですがキーラ渓谷ダンジョンが何者かにより攻略されたようです」
爺さんは怪訝そうな表情で黙り込んだ。
「この件については、精査して明日の会議で報告しろ」
「承知致しました」
「早急にコンバダスの近くに強力なダンジョンを設置するのじゃ、都市が滅びても構わん」
「あともう一点ご報告がございまして都市アルカルンを魔獣が襲撃しなくなったとの情報が入ってきています」
「あの没落貴族が何かしたようじゃな、明日の朝に精鋭部隊をアルカルンへと出兵してクリア家を殲滅しろ!」
会議が終わると俺達は三階の倉庫へと無言で戻り状況を整理した。
「まさかダンジョンが人為的なもので、しかも爺さんの仕業だったとはな」
「アルカルンが危ないよ、レオどうしよう?」
ソラが涙目で言った。
「明日までに出兵をどんな手段を使っても止める、それしかない」
「レオには悪いが国王の悪事はいかなる理由があろうとも許せない」
「そうだなベル、真相を知るには俺が直接会って聞くしかないと思う、爺さんの部屋は最上階にあるから晩餐会が終わったら会いに行く」
数時間後、俺達は〈学級閉鎖〉を使い、最上階の廊下で晩餐会から戻ってくる国王を待った。
深夜となり国王は二人の護衛を付けながら部屋に千鳥足で戻ってきた。荘厳な扉を開けた隙間からベルが部屋内の天井にゲートの出口を設置した。
倉庫から爺さんの部屋まで直線距離で50mしかないから倉庫内にゲートの入り口を設置した。
「レオ、本当に一人で大丈夫なの?」
ソラが心配そうに言った。
「ああ、問題ない。爺さんも俺一人の方が本音で話しやすいだろう」
「それならレオのMPを満タンにするから上の服をちょっとめくってね」
-------------------------------
回復の右手 消費MP:40 残MP:120/160
効果:対象者の腹部に直に触れることでMPを200回復させる
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ソラが俺のへその上に手のひらを置くと数秒でMPが満タンになった。
「ありがとう、ソラ」
「レオ、絶対に無理しないでね」
俺は〈無断欠席〉を使わずにゲートに入ると爺さんの部屋に出た。部屋内は黄金の装飾で眩いばかりに光り輝いていた。
壁には歴代グリフォン家の数多くの写真が飾られていた。
「誰じゃ?」
足音に気づいた爺さんはそう言うと奥の執務室から出てきた。
俺のことをこの世の物とは思えない顔で見ている。
「お久しぶりです、爺様」
「……」
爺さんは現実を受け入れられずに言葉を失っている。
「色々と聞きたいことがあるのですが、まずは爺様がダンジョンを創っている理由が知りたいです」
「レオ、お前どうやってキーラ渓谷を攻略した?」
「自分の力で攻略しました。爺様、僕の質問にも答えて下さい」
「そこまで知っているなら答えるまでもないだろう、簡単なことじゃ。お前が考え得る最悪の理由を思い浮かべればいい」
俺の脳内で最悪の答えを導きだした。
「……搾取と愉悦か」
「その通りだ、下界にダンジョンを創出すれば必然的に都市は軍事力を必要とする。我が軍隊を傭兵として法外な額で雇うしかなくなる。そして何よりも下民共がもがき苦しむ姿を見るのは至高の愉悦なのだ」
「爺さん、安心したよ。手加減しないで済みそうだ」
「言うようになったなレオ、だがこの部屋は戦うには少々窮屈だとは思わないか?屋上での一騎打ちといこうではないか」
「いいよ、俺はそれでも」
俺にとっても城内は破壊したくないから了承した。
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