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2 捕食スキルのチート性能
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森の中は、しんと静まり返っていた。
ついさっきまで俺を襲っていたゴブリンは、もうどこにもいない。
残っているのは――
地面の上でぷるぷると揺れる、青いスライム。
つまり、俺だ。
「……」
しばらくの間、俺は何も考えられなかった。
いや、正確には――考えが追いつかない。
さっき起きたことを、頭の中で何度も思い返す。
ゴブリンが襲ってきた。
俺は逃げようとした。
そして次の瞬間、体が勝手に動いて――
飲み込んだ。
完全に。
腕も、体も、何もかも。
跡形もなく。
「……いやいやいや」
そんなの、スライムの能力じゃないだろ。
どう考えてもおかしい。
普通のスライムなら、ゴブリンなんて相手にもならないはずだ。
ゲームでもそうだし、ファンタジー作品でも同じだ。
それなのに俺は、今――
ゴブリンを一瞬で吸収した。
その時だった。
突然、頭の中に機械のような声が響いた。
---
【ステータスを確認しますか?】
---
「……え?」
思わず間抜けな声が漏れる。
ステータス?
ゲームみたいなやつか?
俺は少し迷ったが、すぐに理解した。
異世界転生。
スキル。
魔物。
ここまで来れば、もうゲーム的なシステムがあっても不思議じゃない。
「……ステータス」
そう念じた瞬間だった。
視界のようなものの前に、半透明の文字が浮かび上がる。
---
スライム
レベル:3
スキル
【捕食 Lv1】
【ゴブリンの腕力】
【ゴブリンの耐久】
---
「……?」
俺は思わず固まった。
今、なんて書いてあった?
ゴブリンの腕力?
俺は自分の体を見下ろす。
もちろん、腕なんてない。
手も足もない、ただのスライムだ。
だが――
さっきより、体が軽い気がする。
試しに、体を動かしてみた。
ぷるん。
思ったより大きく揺れた。
「……あれ?」
もう一度。
ぴょん。
今度は地面から少し跳ねた。
「おお?」
俺は驚いた。
さっきまでの俺は、地面をずるずる這うのが精一杯だったはずだ。
なのに今は――
普通に跳ねられる。
試しに思い切り跳んでみる。
ぴょん!
思った以上に体が浮いた。
「おおお!?」
明らかに動きが良くなっている。
もしこれが本当に、
ゴブリンの能力を吸収した結果だとしたら――
「……これ、かなり強いスキルじゃないか?」
俺は少しワクワクしてきた。
その時だった。
体の近くを、小さな黒い影が通り過ぎる。
アリだ。
森ではどこにでもいる、小さな虫。
俺はそれをじっと見つめた。
そして、ふと思う。
「……試してみるか」
ゆっくりと体を伸ばす。
そして、
ぺたり。
アリを覆うように体をかぶせた。
すると――
---
【捕食発動】
【アリを吸収しました】
---
一瞬だった。
アリは抵抗する間もなく、俺の体の中へ沈んで消えた。
「……早っ」
思わず呟く。
あまりにも簡単すぎる。
しかも、
---
【スキル経験値を獲得】
---
という表示まで出た。
「スキル経験値?」
つまり――
捕食スキルは使うほど成長するのか?
俺の中で、ある考えが浮かび始める。
もしこのスキルが、
食べた相手の能力を取り込むものだとしたら。
そしてそれが、
使うほど強くなるのだとしたら。
「……これ、かなりヤバいんじゃ」
その直後だった。
ガサガサ。
近くの草むらが揺れた。
飛び出してきたのは、小さなネズミのような動物だった。
灰色の毛並み。
森に住む普通の小動物だ。
「よし」
俺は静かに構える。
ネズミはこちらに気づいていない。
今なら――
ぴょん!
俺は跳ねた。
ネズミが気づいた時には、もう遅い。
べちゃっ。
俺の体がネズミを包み込む。
「チュッ!?」
短い悲鳴。
そして――
---
【捕食発動】
【小型ネズミを吸収しました】
---
数秒後。
ネズミは完全に消えた。
俺の体の中へ溶けるように吸収されていく。
そして、
新しい表示が現れた。
---
【捕食 Lv1 → Lv2】
---
「……え?」
俺は驚いた。
スキルがレベルアップした。
しかも、
ゴブリン一体。
アリ一匹。
ネズミ一匹。
それだけで。
「早すぎないか……?」
だが、その疑問をよそに、さらに表示が続く。
---
【捕食 Lv2】
捕食速度上昇
吸収効率上昇
---
「……」
俺は森の奥を見つめた。
木々の影の向こう。
そこには、無数の気配がある。
虫。
小動物。
魔物。
そして――
ゴブリン。
この森には、
食べられるものが山ほどある。
そして俺は、
それを全部――
吸収できる。
「……なるほど」
どうやら俺は、とんでもない能力を手に入れてしまったらしい。
最弱モンスターのスライム。
だが、
この【捕食】スキルがある限り――
「俺、どこまでも強くなれるんじゃないか?」
ぷるん、と体が揺れる。
その時、森の奥から新しい気配が近づいてきた。
ゴブリン。
しかも――
二体。
俺は逃げなかった。
むしろ、ゆっくりと前へ跳ねる。
ぴょん。
ぴょん。
「……よし」
試してみるか。
俺の【捕食】が、
どこまで通用するのかを。
最弱のはずのスライムは、
静かな森の中で、
次の獲物を迎え撃とうとしていた。
ついさっきまで俺を襲っていたゴブリンは、もうどこにもいない。
残っているのは――
地面の上でぷるぷると揺れる、青いスライム。
つまり、俺だ。
「……」
しばらくの間、俺は何も考えられなかった。
いや、正確には――考えが追いつかない。
さっき起きたことを、頭の中で何度も思い返す。
ゴブリンが襲ってきた。
俺は逃げようとした。
そして次の瞬間、体が勝手に動いて――
飲み込んだ。
完全に。
腕も、体も、何もかも。
跡形もなく。
「……いやいやいや」
そんなの、スライムの能力じゃないだろ。
どう考えてもおかしい。
普通のスライムなら、ゴブリンなんて相手にもならないはずだ。
ゲームでもそうだし、ファンタジー作品でも同じだ。
それなのに俺は、今――
ゴブリンを一瞬で吸収した。
その時だった。
突然、頭の中に機械のような声が響いた。
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【ステータスを確認しますか?】
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「……え?」
思わず間抜けな声が漏れる。
ステータス?
ゲームみたいなやつか?
俺は少し迷ったが、すぐに理解した。
異世界転生。
スキル。
魔物。
ここまで来れば、もうゲーム的なシステムがあっても不思議じゃない。
「……ステータス」
そう念じた瞬間だった。
視界のようなものの前に、半透明の文字が浮かび上がる。
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スライム
レベル:3
スキル
【捕食 Lv1】
【ゴブリンの腕力】
【ゴブリンの耐久】
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「……?」
俺は思わず固まった。
今、なんて書いてあった?
ゴブリンの腕力?
俺は自分の体を見下ろす。
もちろん、腕なんてない。
手も足もない、ただのスライムだ。
だが――
さっきより、体が軽い気がする。
試しに、体を動かしてみた。
ぷるん。
思ったより大きく揺れた。
「……あれ?」
もう一度。
ぴょん。
今度は地面から少し跳ねた。
「おお?」
俺は驚いた。
さっきまでの俺は、地面をずるずる這うのが精一杯だったはずだ。
なのに今は――
普通に跳ねられる。
試しに思い切り跳んでみる。
ぴょん!
思った以上に体が浮いた。
「おおお!?」
明らかに動きが良くなっている。
もしこれが本当に、
ゴブリンの能力を吸収した結果だとしたら――
「……これ、かなり強いスキルじゃないか?」
俺は少しワクワクしてきた。
その時だった。
体の近くを、小さな黒い影が通り過ぎる。
アリだ。
森ではどこにでもいる、小さな虫。
俺はそれをじっと見つめた。
そして、ふと思う。
「……試してみるか」
ゆっくりと体を伸ばす。
そして、
ぺたり。
アリを覆うように体をかぶせた。
すると――
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【捕食発動】
【アリを吸収しました】
---
一瞬だった。
アリは抵抗する間もなく、俺の体の中へ沈んで消えた。
「……早っ」
思わず呟く。
あまりにも簡単すぎる。
しかも、
---
【スキル経験値を獲得】
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という表示まで出た。
「スキル経験値?」
つまり――
捕食スキルは使うほど成長するのか?
俺の中で、ある考えが浮かび始める。
もしこのスキルが、
食べた相手の能力を取り込むものだとしたら。
そしてそれが、
使うほど強くなるのだとしたら。
「……これ、かなりヤバいんじゃ」
その直後だった。
ガサガサ。
近くの草むらが揺れた。
飛び出してきたのは、小さなネズミのような動物だった。
灰色の毛並み。
森に住む普通の小動物だ。
「よし」
俺は静かに構える。
ネズミはこちらに気づいていない。
今なら――
ぴょん!
俺は跳ねた。
ネズミが気づいた時には、もう遅い。
べちゃっ。
俺の体がネズミを包み込む。
「チュッ!?」
短い悲鳴。
そして――
---
【捕食発動】
【小型ネズミを吸収しました】
---
数秒後。
ネズミは完全に消えた。
俺の体の中へ溶けるように吸収されていく。
そして、
新しい表示が現れた。
---
【捕食 Lv1 → Lv2】
---
「……え?」
俺は驚いた。
スキルがレベルアップした。
しかも、
ゴブリン一体。
アリ一匹。
ネズミ一匹。
それだけで。
「早すぎないか……?」
だが、その疑問をよそに、さらに表示が続く。
---
【捕食 Lv2】
捕食速度上昇
吸収効率上昇
---
「……」
俺は森の奥を見つめた。
木々の影の向こう。
そこには、無数の気配がある。
虫。
小動物。
魔物。
そして――
ゴブリン。
この森には、
食べられるものが山ほどある。
そして俺は、
それを全部――
吸収できる。
「……なるほど」
どうやら俺は、とんでもない能力を手に入れてしまったらしい。
最弱モンスターのスライム。
だが、
この【捕食】スキルがある限り――
「俺、どこまでも強くなれるんじゃないか?」
ぷるん、と体が揺れる。
その時、森の奥から新しい気配が近づいてきた。
ゴブリン。
しかも――
二体。
俺は逃げなかった。
むしろ、ゆっくりと前へ跳ねる。
ぴょん。
ぴょん。
「……よし」
試してみるか。
俺の【捕食】が、
どこまで通用するのかを。
最弱のはずのスライムは、
静かな森の中で、
次の獲物を迎え撃とうとしていた。
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