間違いだらけの久島くん

魔根喪部荼毘座右衛門

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三章 クラス派閥闘争編

13.謝るでなく……

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放課後、グラウンドは野球部とサッカー部、テニスコートにはテニス部とないまぜの声と音が響き渡る。僕は伊佐美くん達を引き連れて、ある場所に向かっていた。

 美術室……およそ自分達には馴染みの無い部屋……そのドアをノックして応答を待つ。

「どうぞー」

 明るい声だった、その声に従い入れば……ただ一人、キャンパスを向かってこちらを見ずに描き続ける鳥風くんが居た。

「鳥風くん、もしかして邪魔だった?」
「いやぁ?邪魔じゃ無いよー……って、何だぁ?久島くん達か」

 ようやくこっちを見て、僕たちだと気付いた。描いている途中らしい……人物画だろうか、美術への知識も絵画も下手くそな自分からすれば、途中であれその人物画は……美術館に並べられるような、それ程上手としか僕には言えない絵であった。

「はえー……すげぇな、ようこんな上手く描くなぁ……てか、美術部ってまさか鳥風一人なんか?」
「まぁね、ところで……何か用かな」

 絵に感嘆する伊佐美くんを他所に、僕は早速と鳥風くんに頼みを話す事にした。

「実は……体育祭なんだけどさ、今過半数割ったのは朝言われて知ってるよね?」
「ああ勿論、それで?」
「今、前池くんがさ……参加派閥説得してるんだ、勝ちにこだわらないように、楽しめる、負けても叱責や罵倒しないから、体育祭に参加して欲しいって……」

 それを聞いた鳥風くんは、笑みが一気に真顔となり……そしてため息を吐いた。

「うーん……前池くんがねぇ……元クリアユースで、今はクラス内ヒエラルキーも体育会系で下の彼が?説得ねぇ……」

 流石に、はいわかりましたと頷かないよなと僕も苦笑した。何しろ彼も『やりたくない側』なのだ。体育祭や、中学時代も同じように嫌な体験をしたから、周防さんにああまで言い切って不参加を宣言したのだ。

「しかし、言い出しっぺのキミが僕らを説得しに来たあたり、何か理由があるわけ?」
「まぁ……幻滅するだろうけど、全て話すよ、どうしてこうなったか……」

 全てを打ち明けた方が早い、正直に、包み隠さず、僕達が学食で周防さんと言い争いになり、岩田先生の甘い話に乗ってしまい、何も行動を起こさなかった結果ここまで大惨事になった事を、鳥風くんに話たのだった。

「……怖いな、岩田先生……下手したら学級崩壊、懲戒ものじゃない?」
「いや本当、甘く見てた……ガチなんだよ、岩田先生は」

 あんな澄まし顔で、自身の教師人生ベットして、言葉の重さや選択の重要さを解いてくるんだから怖すぎると、鳥風くんも同情してくれたのだった。

「まぁそう言う事なら、他の四人にも話を通しておくよ……体育祭を授業に代替は魅力的だったんだけどね」
「巻き込んで期待させて、面目ない……」

 自分達が発端で、こんな事に巻き込んだ挙句に期待までさせて申し訳ないと、僕は深々頭を下げた。鳥風くんは笑いながら、僕たちのやらかしを許し、そして体育祭参加派閥に戻る事、引き連れたクラスメイト4人も連れてくる事を約束してくれた。

「いいよ、ただ……前池くんの説得がどうなるか、だね……?」

 しかし、懸念はまだあるんだと鳥風くんは腕を組みながら僕に語った。それは前池くんが、参加派閥を説き伏せてくれるかどうかだった。

「周防さん含め体育会系って、こっちを見下してくるからさ……キミらも言い合いになった時、そう感じたんじゃない?今回だって、僕たちはイレギュラー側だからさ、あっちからしたら戻って来てもらうために我慢して、頭下げるのかよって思ってそうでね」
「あー……学食ん時もそんな感じだったわ……」

 最初の学食の言い争いの時も、確かに高圧的だった事を思い出して、言い争った伊佐美くんも苦笑いした。

「伊佐美くん……周防さんへ謝ろうよ一度、始まりは僕たちなんだし」

 ここで山城くんが、伊佐美くんに進言した。円滑な体育祭参加派閥との合流の為に、謝罪はしておくべきじゃあないかと。伊佐美くんは……苦虫を噛み潰したかおになりながら、絞り出すように……声を出した。

「お、おう……謝る……よ」

 めちゃくちゃ嫌な顔で、不服全開で、伊佐美くんは決意を見せた。が……ここで、ある人物から声がかかった。

「待った、久島……お前このまま全員の不参加派を引き連れて頭を下げに行く気か?」
「えっ」

 本田くんだった。本田くんがここで、ちょっと待って欲しいと声を上げたのだ。

 お前は今から『謝罪』に行くのかと。

「謝罪はするとして……久島、お前に賛同して不参加を決めた鳥風やその取り巻き、そして山城の、参加するならば意見を飲んでもらう、と言う事を相手に伝えなければならないぞ?謝って合流したら……こちらが悪かったとなって、参加派閥はこっちに従えと言い出さないか?」
「!!」

 言われてみれば……確かに。

 前池くんは、あくまで『交渉』してくれてはいる。だが、それが上手く行くかは分からない……そのままただ合流し、頭を下げたら何も意味なく元の体育祭となるだけになってしまうのだ。

「じゃあどうすんだ本田、何かいい案があんのかよ?」

 こちらの意見を飲み込ませつつ、体育祭参加派閥と合流する方法……そんな物があるのかと伊佐美くんが尋ねれば、本田くんは妖しく笑った。

「ある、そして……場合によってではあるが……最高の結果なら、あちらが悪いと言う終わり方で、体育祭不参加を勝ち取れる方法がな」

 「「「なにっ」」」

 僕も、伊佐美くんも、山城くんも、そして鳥風くんも、本田くんの策略が一体何なのかと尋ねると、本田くんはその策を発表した。

「先生の前で、正式な議論を行う……皆もトラウマがあろう……帰りの会をやるのさ」

 
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