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第3章
【3.2.1】 人間の祈る、神とは。
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チチチとでも鳴いていそうな雰囲気で、マツ君が飛んでいく。その小さな身体は、今にも見失ってしまいそうだ。
欅の並木は、もう随分と葉を落とし、それが作り出す影は、枝が作り出すただ線を描いただけの寂し気なものだ。
倫太郎達が車を降りたのは、その参道も終わり、本殿ももうすぐそこというような場所にある駐車場だった、らしい。境内を表す地図の前で、倫太郎達がその場所を確認していると、ギンが精霊二匹を引き連れて走り出した。
その先には、本殿があるはずだ。七五三かいつかの初詣か忘れてしまったが、倫太郎には小さい頃に来たような記憶があった。
「俺、毎年ここ来てるわ。」と神田が言った。
「うちは近所の神社で終わらせちゃってるなぁ。」
後ろから覗き込むようにして言った岸間春の言葉を聞きながら、倫太郎が自分の家族はどうだったかと思い出すが、あまり記憶に無い。そういったものに、頓着しない家族なのかもしれない。
白黒の精霊たちと子供の形をした銀色が、小さくなっていく。相変わらず、こちらを待つ気はさらさら無いらしい。倫太郎が見失わないようにと走り出せば、神田も一緒になってついてきた。
走りながら一度振り返れば、その後ろで菅原がさきちゃんを抱っこして、春がそれを気遣っている。スマホがあれば、はぐれてもどうにかなるだろうと、倫太郎は気にせずスピードを上げた。
久しぶりに走ってみれば、自分の本当の身体であるはずのこの殻が、とても重いものに感じた。ここ数日自転車に乗ったぐらいで、解消されるレベルの運動不足ではないのだ。
足の裏側の筋が、引き攣れている感覚がある。子供の運動会で、腱を切ってしまうお父さんたちがいるという話を思い出す。それでも、倫太郎は必死で走る。苦しくて、苦しくて。でも、それが今はひどく気持ちが良い。
何の意味を持つのかもわからない、昔ながらの建物がいくつか並んでいる場所を過ぎ、池にかかる赤い橋の手前でギンたちはその足を止めた。
倫太郎達がやっとのことで追いついた時、橋の上から池を覗き込んだクロが、「こんな所まで。」と呟いた。ギンは欄干の隙間から、マツ君は欄干の上から同じように下を覗いている。
傍から見ていると、今にも池に落ちてしまいそうだ。
「何かいるの?」
倫太郎の問いかけにこちらを振り向いたギンが、「いるには、いる。」と、少し悲し気に言った。鯉だろうか、黒っぽい影が向こうから近づいて来る。水に映るその姿は、水が深い緑色に濁っているせいでよく見えない。
「それでも、元ある形のものではない。人間はいよいよ、自然なものに見せかけた物さえそうぞうし始めていたんだな。」
そう言って、ゆっくりと立ち上がると、再び歩き出したギンに続くように、倫太郎と神田も歩いて行く。
「全く、食えたもんじゃない。」
倫太郎の肩に、クロが飛び乗って来て、一度そこでぐるりと回ってからすとんと座り込んだ。その頃には追い付いてきた菅原達が、その後に続く。
光を浴びて、銀色に輝く髪が眩しい。ずっとこの世界を見て来ただけだという、神では無いという存在。その向こうに、朱色の大きな門が見えた。
「いないな。」
小さく呟かれたそれは、倫太郎の頭の中に直接響いてくる。相変わらず距離感のわからないそれに、倫太郎の足がすくむ。
「ここで、精霊が祀られたような様子は無い。」
「それでも、欠片ぐらいは残っているかと思ったが。」
耳元でひどくがっかりしたように呟かれた言葉に、ギンが少し肩を落とした。どうやら、ここに精霊はいないということらしい。
「やはり、少しでもそれらしい人間がいないとダメか。」
そう言って周りを見回すが、土曜日だというのに人の姿は疎らだった。七五三のシーズンも終わり、年末年始まではこんな感じなのだろうか。
イベントの度に祈られる神は、普段はこれほどまでに忘れ去られている。
本殿と思われる場所まで辿り着けば、祈祷についての説明が書かれた場所があった。お札が並び、細かく値段が書かれたそれに、倫太郎は思わず情けない気持ちで笑う。
神に祈るためにも金がかかり、しかも、出した金額によって何かが変わるとでも言うのだろうか。祈るということが、金額に左右されるということが、そもそも馬鹿馬鹿しい。
『お前たちは何に手を合わせ、祈っているのか、考えたことがあるか。』
人間達は、ここに来て、この札をもらうために金を払う。何を信じて、そうしているのか。既に、信じてはいないのか。「なんとなく、そうするもの。」という形に囚われてはいないか。
だからこそ、それを「おかしい」と感じ始めた人間が、いよいよ神を信じなくなり、倫太郎の様に馬鹿馬鹿しいとさえ思ってしまうのではないか。
本殿の正面では、菅原が財布から小銭を取り出して、さきちゃんに渡していた。それを受け取ったさきちゃんは、両手の脇を抱えられ菅原に持ち上げてもらうと、それを賽銭箱に向かって投げた。
春も、自分の財布から出したらしい小銭を投げる。パンッ!パンッ!と音がして、三人が手を合わせる。
『お前の言う、神とは何だ。』
ここに祀られているものが何かさえ知らないまま、着物を着てお参りに来た人間達は、金を払い、祈り、札をもらい、そして喜び勇んで帰るのだろうか。
二礼二拍手一礼を終えた菅原達三人が、満足そうにこちらに向かって歩いてくる。その形式通りに終えたことに、満足したかのようだ。
「人間が精霊を神だと信じ、祈ったこともあながち間違いでは無いんだぞ。」
倫太郎の心に答えるようにして、ギンが倫太郎を見上げて言った。倫太郎が神に祈るという行為全てを否定しようとしていたことを、咎めるかのように。
「お前たちの言う魔法とか、願いが叶ったりするといったことは、———では無く、精霊が原因であるものがほとんどだろうから。」
向けられた言葉に、しばらく思考を巡らせば、なるほど。———と、倫太郎は頷いた。
神社で願ってはいけないと、いつだったか当たり前のことのように教わった。そんな決まりごとのようなものでさえ、形式的な決まりでしかなかったのだ。神という存在自体があやふやで、本来はそれで良かったのに。
願い、精霊が力を増し、時には叶え、時には悪戯もしただろう。そして人間はますます神を信じ、精霊はますます力を増す。それで良かったのに。
それならば、一体どこで間違ったのか。
「この世界にあるものは、本来その境界線など関係無く、混ざりあっていた。ここに生きる全てのものは、自由なはずなんだ。」
ギンが空を見上げた。その銀色の瞳が空を映して、白っぽく光っているように見える。冷たい風が、吹き抜けていく。どこからか飛んできたらしい枯れ葉が、ちりちりと音をさせながら足元を通り過ぎていく。
「自由を自ら放棄した人間と、それに依存していたせいで滅びゆく精霊。それも、決して間違いじゃ無い。全ての生き物は、いつかは滅びるんだから。」
「人間も、いつかは滅びるのかな。」
神田が、ふと呟いた。ギンは、ははっと笑ってから「滅びるさ。」と言った。
欅の並木は、もう随分と葉を落とし、それが作り出す影は、枝が作り出すただ線を描いただけの寂し気なものだ。
倫太郎達が車を降りたのは、その参道も終わり、本殿ももうすぐそこというような場所にある駐車場だった、らしい。境内を表す地図の前で、倫太郎達がその場所を確認していると、ギンが精霊二匹を引き連れて走り出した。
その先には、本殿があるはずだ。七五三かいつかの初詣か忘れてしまったが、倫太郎には小さい頃に来たような記憶があった。
「俺、毎年ここ来てるわ。」と神田が言った。
「うちは近所の神社で終わらせちゃってるなぁ。」
後ろから覗き込むようにして言った岸間春の言葉を聞きながら、倫太郎が自分の家族はどうだったかと思い出すが、あまり記憶に無い。そういったものに、頓着しない家族なのかもしれない。
白黒の精霊たちと子供の形をした銀色が、小さくなっていく。相変わらず、こちらを待つ気はさらさら無いらしい。倫太郎が見失わないようにと走り出せば、神田も一緒になってついてきた。
走りながら一度振り返れば、その後ろで菅原がさきちゃんを抱っこして、春がそれを気遣っている。スマホがあれば、はぐれてもどうにかなるだろうと、倫太郎は気にせずスピードを上げた。
久しぶりに走ってみれば、自分の本当の身体であるはずのこの殻が、とても重いものに感じた。ここ数日自転車に乗ったぐらいで、解消されるレベルの運動不足ではないのだ。
足の裏側の筋が、引き攣れている感覚がある。子供の運動会で、腱を切ってしまうお父さんたちがいるという話を思い出す。それでも、倫太郎は必死で走る。苦しくて、苦しくて。でも、それが今はひどく気持ちが良い。
何の意味を持つのかもわからない、昔ながらの建物がいくつか並んでいる場所を過ぎ、池にかかる赤い橋の手前でギンたちはその足を止めた。
倫太郎達がやっとのことで追いついた時、橋の上から池を覗き込んだクロが、「こんな所まで。」と呟いた。ギンは欄干の隙間から、マツ君は欄干の上から同じように下を覗いている。
傍から見ていると、今にも池に落ちてしまいそうだ。
「何かいるの?」
倫太郎の問いかけにこちらを振り向いたギンが、「いるには、いる。」と、少し悲し気に言った。鯉だろうか、黒っぽい影が向こうから近づいて来る。水に映るその姿は、水が深い緑色に濁っているせいでよく見えない。
「それでも、元ある形のものではない。人間はいよいよ、自然なものに見せかけた物さえそうぞうし始めていたんだな。」
そう言って、ゆっくりと立ち上がると、再び歩き出したギンに続くように、倫太郎と神田も歩いて行く。
「全く、食えたもんじゃない。」
倫太郎の肩に、クロが飛び乗って来て、一度そこでぐるりと回ってからすとんと座り込んだ。その頃には追い付いてきた菅原達が、その後に続く。
光を浴びて、銀色に輝く髪が眩しい。ずっとこの世界を見て来ただけだという、神では無いという存在。その向こうに、朱色の大きな門が見えた。
「いないな。」
小さく呟かれたそれは、倫太郎の頭の中に直接響いてくる。相変わらず距離感のわからないそれに、倫太郎の足がすくむ。
「ここで、精霊が祀られたような様子は無い。」
「それでも、欠片ぐらいは残っているかと思ったが。」
耳元でひどくがっかりしたように呟かれた言葉に、ギンが少し肩を落とした。どうやら、ここに精霊はいないということらしい。
「やはり、少しでもそれらしい人間がいないとダメか。」
そう言って周りを見回すが、土曜日だというのに人の姿は疎らだった。七五三のシーズンも終わり、年末年始まではこんな感じなのだろうか。
イベントの度に祈られる神は、普段はこれほどまでに忘れ去られている。
本殿と思われる場所まで辿り着けば、祈祷についての説明が書かれた場所があった。お札が並び、細かく値段が書かれたそれに、倫太郎は思わず情けない気持ちで笑う。
神に祈るためにも金がかかり、しかも、出した金額によって何かが変わるとでも言うのだろうか。祈るということが、金額に左右されるということが、そもそも馬鹿馬鹿しい。
『お前たちは何に手を合わせ、祈っているのか、考えたことがあるか。』
人間達は、ここに来て、この札をもらうために金を払う。何を信じて、そうしているのか。既に、信じてはいないのか。「なんとなく、そうするもの。」という形に囚われてはいないか。
だからこそ、それを「おかしい」と感じ始めた人間が、いよいよ神を信じなくなり、倫太郎の様に馬鹿馬鹿しいとさえ思ってしまうのではないか。
本殿の正面では、菅原が財布から小銭を取り出して、さきちゃんに渡していた。それを受け取ったさきちゃんは、両手の脇を抱えられ菅原に持ち上げてもらうと、それを賽銭箱に向かって投げた。
春も、自分の財布から出したらしい小銭を投げる。パンッ!パンッ!と音がして、三人が手を合わせる。
『お前の言う、神とは何だ。』
ここに祀られているものが何かさえ知らないまま、着物を着てお参りに来た人間達は、金を払い、祈り、札をもらい、そして喜び勇んで帰るのだろうか。
二礼二拍手一礼を終えた菅原達三人が、満足そうにこちらに向かって歩いてくる。その形式通りに終えたことに、満足したかのようだ。
「人間が精霊を神だと信じ、祈ったこともあながち間違いでは無いんだぞ。」
倫太郎の心に答えるようにして、ギンが倫太郎を見上げて言った。倫太郎が神に祈るという行為全てを否定しようとしていたことを、咎めるかのように。
「お前たちの言う魔法とか、願いが叶ったりするといったことは、———では無く、精霊が原因であるものがほとんどだろうから。」
向けられた言葉に、しばらく思考を巡らせば、なるほど。———と、倫太郎は頷いた。
神社で願ってはいけないと、いつだったか当たり前のことのように教わった。そんな決まりごとのようなものでさえ、形式的な決まりでしかなかったのだ。神という存在自体があやふやで、本来はそれで良かったのに。
願い、精霊が力を増し、時には叶え、時には悪戯もしただろう。そして人間はますます神を信じ、精霊はますます力を増す。それで良かったのに。
それならば、一体どこで間違ったのか。
「この世界にあるものは、本来その境界線など関係無く、混ざりあっていた。ここに生きる全てのものは、自由なはずなんだ。」
ギンが空を見上げた。その銀色の瞳が空を映して、白っぽく光っているように見える。冷たい風が、吹き抜けていく。どこからか飛んできたらしい枯れ葉が、ちりちりと音をさせながら足元を通り過ぎていく。
「自由を自ら放棄した人間と、それに依存していたせいで滅びゆく精霊。それも、決して間違いじゃ無い。全ての生き物は、いつかは滅びるんだから。」
「人間も、いつかは滅びるのかな。」
神田が、ふと呟いた。ギンは、ははっと笑ってから「滅びるさ。」と言った。
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