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卒業後
1342 星暦559年 藤の月 4日 獣除け(3)
歴史学会のパーティにはシェイラと一緒に参加したが、やはり予想通りフォラスタ文明の巨木に刻まれた紋様に関する研究は全く進展がないらしい。
というか、少なくとも進展があったという報告は王立研究所からも魔術院からも入って来てないので、誰も研究していないんじゃないか?というのが歴史学会のじーさんの言葉だった。
まあ、そんなこったろうと思っていた。
という事で、今日はケレナの実家の牧場(?)に来ている。
「この子はかなりおっとりしているから、まずはその魔具をこの子で試してから、もう少し神経質な子に試して、最後に近所の牛とか勝手に紛れ込んでいる鹿で試すと良いと思うわ」
俺とシェイラ、及びアレクとラフェーンで来たのだが、ケレナはユニコーンの姿を見ても特に反応を示さなかった。
まあ、ウチに遊びに来た際に時折ラフェーンと会っているからな。
牧場の人の方が、ラフェーンを見ようとちょろちょろ建物から顔を出している。
流石に、誰も触らせてくれとか乗せてくれとかは言いに来ていないが。
帰るまでに、リンゴやニンジンを持ってきてブラッシングをしようかと誰かが言いに来るだろうと俺はシェイラに賭けたんだが、どうだろう?
ここの人間もそれなりに俺達に慣れているから、絶対に好奇心を押し殺せずに来ると思うんだよな~。
「じゃあ、効果があった場合に他の馬たちの邪魔にならないよう、あっちの端の方でまずは実験しようか」
シャルロが人影(馬影も)ない方向を示した。
「そうね」
俺たちも同意に頷いたのを見て、ケレナが黒っぽい毛の馬の手綱を引いてそっちの方へ歩き始めた。
なんか馬の毛の色って色々と呼び方があるらしいんだよなぁ。
俺的には単なる黒毛だと思うんだが、以前そう言ったらケレナに長々と解説されたので、馬に関してはそれ以来は黒っぽく見えようが、『黒毛』とは呼ばないようにした。
はっきり言ってこれが何通りも教わった黒っぽい馬のどういう形容詞(名詞?)が正しいのかは分からないし、覚える気もないからね。
『黒っぽい』でいいのだ。
という事で。
端に来て、試作品の魔具を起動させる。
一応家で試した時、ラフェーンには特に不快感はないと言われた。馬相手だとどうだろう?
「どう?」
ケレナとラフェーンを見ながら黒っぽい毛の馬の様子を観察する。
馬は俺達よりも、微風に揺れるケレナの髪の毛の方が気になるようだ。
『特に不快感はないと言っているな』
ラフェーンが馬の方に何やら嘶いたら、馬は軽く鬣を振って応じただけだった。
「大丈夫そう?
だったらこのままさっきの所まで戻って、どれかの馬が嫌がって逃げないか、確認してみようか」
シャルロが提案した。
いきなりあそこで起動させるよりは、起動させた魔具を持って近づく方が嫌がる馬がいたら自分から離れようとするから良いかな?
という事で厩の方へ戻る。
途中で牧羊犬がケレナの方に駆け寄ってきたが、そいつも特に何か感じている様子はなかった。
「っていうか。
この試作品、ちゃんと何か効果があるんかな?」
あまりにも反応が無さ過ぎて、ちょっと心配になってきた。
一応魔力が流れて魔術回路が起動しているんだけど、空振りと言うか魔力を消費するけど意味のある効果がない魔術回路だってあるからなぁ。
ある意味、そうだとしたら魔力が一体何に使われているのかは興味が湧くところだが。
「厩まで行って特に反応が無かったら、ラフェーンにこれを持って鹿の方に行って貰ったらどうかな?
それで鹿が逃げたら何か効果ありってことでしょ?」
シャルロが提案する。
「そうだな。
我々が持って行ったのでは人間から逃げようとしているのか、魔具に不快感を感じたのか分からないし。それが良さそうだ」
アレクが合意する。
ラフェーンも特に嫌そうな様子はなかったから異議はないのかな。
シェイラは何も言わずに周囲を興味深げに見まわしていた。
あまり牧場とかには縁がないのかな?
厩の方に行って、ケレナが『特に神経質な子』と言う馬の傍まで試作品と共にケレナが行ってみたが、特に反応は無し。
ラフェーンに聞いてもそよ風が吹いている程度な感覚しかないらしい。
あれ?
でもそよ風程度な何かは感じているんだ?
そんなことを考えながら試作品を袋に入れてラフェーンの背中に付けた鞍に結び付ける。
「じゃあ、あちらの鹿の方に行ってみてくれ。
嫌がられるようだったら、ついでに何が嫌なのか、どんな感覚なのかも聞いてもらえると助かる」
アレクがラフェーンに頼んだ。
『うむ。
面白そうなオモチャだからな。
試してみよう』
ラフェーンが応じて、牧場の柵の中に入り込んで草を食んでいる鹿の方へ進んでいった。
「あら。
逃げてる?」
ケレナが声を上げた。
「確かに?」
鹿たちが、ラフェーンが近づくにつれて頭を上げ、移動し始めた。
逃げるっていうほど早い動きではないが、避けようとしている感じだよな?
マジか~。
あれ、本当に効果があるんだ??
というか、少なくとも進展があったという報告は王立研究所からも魔術院からも入って来てないので、誰も研究していないんじゃないか?というのが歴史学会のじーさんの言葉だった。
まあ、そんなこったろうと思っていた。
という事で、今日はケレナの実家の牧場(?)に来ている。
「この子はかなりおっとりしているから、まずはその魔具をこの子で試してから、もう少し神経質な子に試して、最後に近所の牛とか勝手に紛れ込んでいる鹿で試すと良いと思うわ」
俺とシェイラ、及びアレクとラフェーンで来たのだが、ケレナはユニコーンの姿を見ても特に反応を示さなかった。
まあ、ウチに遊びに来た際に時折ラフェーンと会っているからな。
牧場の人の方が、ラフェーンを見ようとちょろちょろ建物から顔を出している。
流石に、誰も触らせてくれとか乗せてくれとかは言いに来ていないが。
帰るまでに、リンゴやニンジンを持ってきてブラッシングをしようかと誰かが言いに来るだろうと俺はシェイラに賭けたんだが、どうだろう?
ここの人間もそれなりに俺達に慣れているから、絶対に好奇心を押し殺せずに来ると思うんだよな~。
「じゃあ、効果があった場合に他の馬たちの邪魔にならないよう、あっちの端の方でまずは実験しようか」
シャルロが人影(馬影も)ない方向を示した。
「そうね」
俺たちも同意に頷いたのを見て、ケレナが黒っぽい毛の馬の手綱を引いてそっちの方へ歩き始めた。
なんか馬の毛の色って色々と呼び方があるらしいんだよなぁ。
俺的には単なる黒毛だと思うんだが、以前そう言ったらケレナに長々と解説されたので、馬に関してはそれ以来は黒っぽく見えようが、『黒毛』とは呼ばないようにした。
はっきり言ってこれが何通りも教わった黒っぽい馬のどういう形容詞(名詞?)が正しいのかは分からないし、覚える気もないからね。
『黒っぽい』でいいのだ。
という事で。
端に来て、試作品の魔具を起動させる。
一応家で試した時、ラフェーンには特に不快感はないと言われた。馬相手だとどうだろう?
「どう?」
ケレナとラフェーンを見ながら黒っぽい毛の馬の様子を観察する。
馬は俺達よりも、微風に揺れるケレナの髪の毛の方が気になるようだ。
『特に不快感はないと言っているな』
ラフェーンが馬の方に何やら嘶いたら、馬は軽く鬣を振って応じただけだった。
「大丈夫そう?
だったらこのままさっきの所まで戻って、どれかの馬が嫌がって逃げないか、確認してみようか」
シャルロが提案した。
いきなりあそこで起動させるよりは、起動させた魔具を持って近づく方が嫌がる馬がいたら自分から離れようとするから良いかな?
という事で厩の方へ戻る。
途中で牧羊犬がケレナの方に駆け寄ってきたが、そいつも特に何か感じている様子はなかった。
「っていうか。
この試作品、ちゃんと何か効果があるんかな?」
あまりにも反応が無さ過ぎて、ちょっと心配になってきた。
一応魔力が流れて魔術回路が起動しているんだけど、空振りと言うか魔力を消費するけど意味のある効果がない魔術回路だってあるからなぁ。
ある意味、そうだとしたら魔力が一体何に使われているのかは興味が湧くところだが。
「厩まで行って特に反応が無かったら、ラフェーンにこれを持って鹿の方に行って貰ったらどうかな?
それで鹿が逃げたら何か効果ありってことでしょ?」
シャルロが提案する。
「そうだな。
我々が持って行ったのでは人間から逃げようとしているのか、魔具に不快感を感じたのか分からないし。それが良さそうだ」
アレクが合意する。
ラフェーンも特に嫌そうな様子はなかったから異議はないのかな。
シェイラは何も言わずに周囲を興味深げに見まわしていた。
あまり牧場とかには縁がないのかな?
厩の方に行って、ケレナが『特に神経質な子』と言う馬の傍まで試作品と共にケレナが行ってみたが、特に反応は無し。
ラフェーンに聞いてもそよ風が吹いている程度な感覚しかないらしい。
あれ?
でもそよ風程度な何かは感じているんだ?
そんなことを考えながら試作品を袋に入れてラフェーンの背中に付けた鞍に結び付ける。
「じゃあ、あちらの鹿の方に行ってみてくれ。
嫌がられるようだったら、ついでに何が嫌なのか、どんな感覚なのかも聞いてもらえると助かる」
アレクがラフェーンに頼んだ。
『うむ。
面白そうなオモチャだからな。
試してみよう』
ラフェーンが応じて、牧場の柵の中に入り込んで草を食んでいる鹿の方へ進んでいった。
「あら。
逃げてる?」
ケレナが声を上げた。
「確かに?」
鹿たちが、ラフェーンが近づくにつれて頭を上げ、移動し始めた。
逃げるっていうほど早い動きではないが、避けようとしている感じだよな?
マジか~。
あれ、本当に効果があるんだ??
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