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第二部 旅のはじまり~小さな娼婦編~
小さな娼婦編 第五十九話
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再び目が覚めたとき、窓の外はすっかり明るくなっていた。
目を開けた雷砂は起きあがろうとして身動きできないことに気づく。
前もこんな事があったなぁとぼんやり思いながら、雷砂は自分の体の各部に目を走らせた。
雷砂の右腕ごと彼女の体を優しく抱きしめているのがセイラ。左腕を胸に抱き込むように眠っているのがリイン。
昨日寝たときはそれだけの筈だったのに、朝になってみれば更に二人の闖入者の姿がある。
まず、足下に丸まって眠るのは少女姿のロウだ。
雷砂の足に顔をすり寄せて、この上なく幸せそうな寝顔を見せ、時折尻尾をぱたんぱたんと揺らしている。
胸の上にうつ伏せに眠るのは白い髪の少女。
雷砂のほんのり膨らみ始めた胸元に顔を埋めている。……どうりで息苦しいわけだ。
日はすっかり高いのに、まだ誰一人目を覚ましそうに無かった。
みんな、気持ちよさそうに寝ている。声をかけて無理に起こすのも可哀想だと、雷砂は小さく笑って起きるのを諦めた。
と、その時。
「雷砂、ここですか?」
そんな声と共に、部屋に入ってきたのはイルサーダだ。
彼はベッドの上の状況を見て、目を半眼にする。
「……朝から、お盛んですね?」
「……おはよう、イルサーダ」
「……ハーレムもいいですが、まあ、ほどほどに」
「……ハーレムのつもりはないんだけど」
「……ハーレム、でしょう。それは。どう見ても」
そう言われて、雷砂は己の身を省みる。
目が覚めたら体中に美女やら美少女が絡みついている今のこの状況。
確かに端から見たら、ハーレムと思われても仕方がない……かもしれない。
うーんと唸りつつ、雷砂は取りあえず弁解するのを諦めた。
寝起きで頭が働いていないせいか、イルサーダを納得させるだけの反論を絞り出せる気が、どうしてもしなかったので。
「ま、いいや。ところで、オレになにか用事?」
「いえ、急を要する事でも無いですが、物資や資金も何とか必要な分だけは用意できましたし、ぼちぼち出立を考えようかと思いましてね。雷砂の用事はすんだのか、それを聞きに来たんですよ。この街の周りで悪さをしていた魔物達も、なりを潜めてきた様ですし」
「ふうん。そうなんだ。オレの方の用事ももう大丈夫だから、いつでも出れるよ」
「では、出立の準備に取りかかるとしましょう。早ければ今日中。遅くとも明日中にはこの街を出ます。雷砂も準備をよろしくお願いしますね?そこで惰眠をむさぼってるあなたのハーレム要員にも、伝えておいて下さい」
そう言い置いて、イルサーダはくるりと背を向けた。
「ハーレム要員、って。なのなぁ」
「あ、そうそう」
苦い顔をして文句を言おうとした雷砂の言葉を遮り、イルサーダが顔だけ振り向かせ、
「セイラから、あなたのハーレム要員を一人、余分に連れて行く事は聞いてますから安心を。それなりのランクの冒険者の様ですから、当面は用心棒として働いて貰う事にします。ちなみに、あなたのお腹の上で眠ってる新顔さんの事もちゃんと聞いてありますから、同行に問題はありませんよ。それにしても……」
言いながら、まじまじと雷砂をみる。ちょっと興味深そうに。
「龍神族の女性が男性より性欲旺盛なのは良く知ってますが、あなたのはどうしてなんでしょうねぇ?聖龍様の加護があるせいなんでしょうか。興味深いので、今度ぜひ、色々とお話を……」
「しない!却下!!話は了解したからとっとと出てけ!!」
「はいはい。出立の時間が決まったら連絡します。準備が終わったら宿で待機していて下さいね」
そう言って、今度こそ出て行ったイルサーダを見送り、雷砂は小さくため息をつく。
そして、自分に絡みついたまま眠る4人を再び見つめた。
まず右のセイラの寝息が妙に不自然で、左のリインの体は緊張している。
足にひっついたままのロウの鼻息が荒く、胸の上のクゥは、寝たふりすらしておらず、チラチラと雷砂の方を見ているのが丸わかりだ。
みんな恐らく、起きてしまえば雷砂にこうしてくっついていられないから、少しでもそれを先延ばしにしようと寝たふりをしているのだろうが、出立の予定が決まったとあれば、それほどぐずぐずはしていられない。
雷砂とて、出立の時間までにやっておかなければならないこともあるし、挨拶をしておきたい人もそれなりにいるのだから。
さあて、どうやって寝たふりを暴こうかーそんな事を考えながら、雷砂は窓の外に目を向ける。
外は快晴。雲一つ無い青空が広がっていた。
目を開けた雷砂は起きあがろうとして身動きできないことに気づく。
前もこんな事があったなぁとぼんやり思いながら、雷砂は自分の体の各部に目を走らせた。
雷砂の右腕ごと彼女の体を優しく抱きしめているのがセイラ。左腕を胸に抱き込むように眠っているのがリイン。
昨日寝たときはそれだけの筈だったのに、朝になってみれば更に二人の闖入者の姿がある。
まず、足下に丸まって眠るのは少女姿のロウだ。
雷砂の足に顔をすり寄せて、この上なく幸せそうな寝顔を見せ、時折尻尾をぱたんぱたんと揺らしている。
胸の上にうつ伏せに眠るのは白い髪の少女。
雷砂のほんのり膨らみ始めた胸元に顔を埋めている。……どうりで息苦しいわけだ。
日はすっかり高いのに、まだ誰一人目を覚ましそうに無かった。
みんな、気持ちよさそうに寝ている。声をかけて無理に起こすのも可哀想だと、雷砂は小さく笑って起きるのを諦めた。
と、その時。
「雷砂、ここですか?」
そんな声と共に、部屋に入ってきたのはイルサーダだ。
彼はベッドの上の状況を見て、目を半眼にする。
「……朝から、お盛んですね?」
「……おはよう、イルサーダ」
「……ハーレムもいいですが、まあ、ほどほどに」
「……ハーレムのつもりはないんだけど」
「……ハーレム、でしょう。それは。どう見ても」
そう言われて、雷砂は己の身を省みる。
目が覚めたら体中に美女やら美少女が絡みついている今のこの状況。
確かに端から見たら、ハーレムと思われても仕方がない……かもしれない。
うーんと唸りつつ、雷砂は取りあえず弁解するのを諦めた。
寝起きで頭が働いていないせいか、イルサーダを納得させるだけの反論を絞り出せる気が、どうしてもしなかったので。
「ま、いいや。ところで、オレになにか用事?」
「いえ、急を要する事でも無いですが、物資や資金も何とか必要な分だけは用意できましたし、ぼちぼち出立を考えようかと思いましてね。雷砂の用事はすんだのか、それを聞きに来たんですよ。この街の周りで悪さをしていた魔物達も、なりを潜めてきた様ですし」
「ふうん。そうなんだ。オレの方の用事ももう大丈夫だから、いつでも出れるよ」
「では、出立の準備に取りかかるとしましょう。早ければ今日中。遅くとも明日中にはこの街を出ます。雷砂も準備をよろしくお願いしますね?そこで惰眠をむさぼってるあなたのハーレム要員にも、伝えておいて下さい」
そう言い置いて、イルサーダはくるりと背を向けた。
「ハーレム要員、って。なのなぁ」
「あ、そうそう」
苦い顔をして文句を言おうとした雷砂の言葉を遮り、イルサーダが顔だけ振り向かせ、
「セイラから、あなたのハーレム要員を一人、余分に連れて行く事は聞いてますから安心を。それなりのランクの冒険者の様ですから、当面は用心棒として働いて貰う事にします。ちなみに、あなたのお腹の上で眠ってる新顔さんの事もちゃんと聞いてありますから、同行に問題はありませんよ。それにしても……」
言いながら、まじまじと雷砂をみる。ちょっと興味深そうに。
「龍神族の女性が男性より性欲旺盛なのは良く知ってますが、あなたのはどうしてなんでしょうねぇ?聖龍様の加護があるせいなんでしょうか。興味深いので、今度ぜひ、色々とお話を……」
「しない!却下!!話は了解したからとっとと出てけ!!」
「はいはい。出立の時間が決まったら連絡します。準備が終わったら宿で待機していて下さいね」
そう言って、今度こそ出て行ったイルサーダを見送り、雷砂は小さくため息をつく。
そして、自分に絡みついたまま眠る4人を再び見つめた。
まず右のセイラの寝息が妙に不自然で、左のリインの体は緊張している。
足にひっついたままのロウの鼻息が荒く、胸の上のクゥは、寝たふりすらしておらず、チラチラと雷砂の方を見ているのが丸わかりだ。
みんな恐らく、起きてしまえば雷砂にこうしてくっついていられないから、少しでもそれを先延ばしにしようと寝たふりをしているのだろうが、出立の予定が決まったとあれば、それほどぐずぐずはしていられない。
雷砂とて、出立の時間までにやっておかなければならないこともあるし、挨拶をしておきたい人もそれなりにいるのだから。
さあて、どうやって寝たふりを暴こうかーそんな事を考えながら、雷砂は窓の外に目を向ける。
外は快晴。雲一つ無い青空が広がっていた。
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