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第三部 学校へ行こう

特別短編 ふくろうカフェに行きたいとこぼしたら、ふくろうカフェもどきが出来た件①

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※先日カクヨム様で開催された、カクヨムチャレンジカップ・フクロウ杯第2弾の8位になんとか引っかかれた事に対する感謝を込めた短編です。
 これもいつも読んでくださっている皆様のおかげです。ありがとうございます。
 なんだか妙に長くなってしまいましたが、しばらくお付き合い下さい。
 というわけで、本編は少々お休みです。








 夢を見た。
 なんだか懐かしい夢だ。
 今の自分に生まれる前。まだ、前世の話。
 自分がまだ、女だった頃の夢。
 傍らにはかつての親友がいて、なんだか幸せな、夢だった。


 後に不幸な死を遂げて異世界へ転生するという、数奇な運命をたどることになる人物、高遠瑞希が25歳の誕生日を迎えた日のこと。
 その日、わざわざ誕生日を祝ってくれるという友人に誘われて自宅を飛び出した瑞希は、どこへ行きたいかと尋ねられて首を傾げた。
 首を傾げて考えることしばし。
 瑞希は、最近妙にはやっていると噂のふくろうカフェへ行く事を所望した。
 友人は、きれいな顔をしかめて、


 「なんでわざわざお金を出してふくろうなんか見に行かなきゃいけないわけ!?」


 と、不機嫌そうな声を上げたが、もし行きたくないなら、別の場所でもいい、と瑞希が申し出ると、今度は苦虫を噛み潰したような顔をして、


 「なによ、それ?あんたの誕生日なんだから、私の意見なんてどうでもいいでしょ?」

 「で、でもさ。やっぱり、桜も楽しめるところに行きたいし。きっとその方が楽しい、よ?だから、桜が、ふくろう、もし嫌いだったら……」

 「誰も嫌いだなんて言ってないでしょ?ったく、ちょっと待ってて!!」


 そう言うと、ものすごい勢いでスマホで情報検索を始めた。
 真剣に調べ物をするその横顔が、なんだか仕事の出来る女という感じで、ついつい見ほれてぼーっと見てると、それに気付いた彼女に、なに見てんのよ?と軽く睨まれた。
 別に見るくらいいいじゃないかと唇を尖らせたが、またすぐにスマホに目を落とした彼女は気付かない。
 むぅ、と唇を尖らせたまま見つめていると、その目元が少し赤くなっている事に気がついて、


 (なんだ。照れただけか。照れ屋さんめ)


 と、瑞希は彼女に気付かれないように小さく笑った。


 「え~っと、ふくろうカフェ……ふくろうカフェ、と。あ~、けっこう色々な場所にあるのね……ん、と、一番評判がいいところは……うん、ここね」


 瑞希が大人しく見守る前で、彼女は満足そうに一つ頷き、スマホをバッグにしまうと、


 「んじゃ、いくわよ?」


 彼女はそう言って、行く先も告げず、瑞希の手を取って歩き出す。
 瑞希は手を引かれるまま、彼女の後ろを追いかけた。


 「どこ、いくの?」

 「ふくろうカフェ」

 「じゃなくってさ」

 「うっさい。着いてからのお楽しみよ。だから、大人しく着いてきなさい」

 「……うん。わかった」


 微笑んで、瑞希は小さく頷く。
 斜め後ろから見える、友人の耳たぶが妙に赤くて、なんだか可愛いな、な~んて思ったことは自分の胸の中にそっと押し込めて。
 彼女のちょっぴり汗ばんだ手をぎゅっと握ったまま、彼女の導くままにゆっくりゆっくり歩いた。
 かたくなにこっちを見ようとしない、親友の横顔をこっそり眺めながら。

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