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ひのま

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桜庭 美雨 Sakuraba Miu 水泳部あるある?

第1話

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「ごめんね、相談のってもらっちゃって・・・」
「全然いいっすよ!」
「でも、もう大丈夫だから!」

 私は桜庭美雨。水泳部の3年生です。受験勉強が思うようにはかどらなくて、こうしてたまにプールに遊びに来ている。

「でも、俺、先輩の顔見てる感じだと、まだ困ってることあるっぽいっすよ?」

 この男の子は佐久間謙信(さくまけんしん)くん。
 1つ下なんだけど、とても頼れるいい人。
 ちょっと気になってたり・・・なんてね。

「・・・実は、かくかくしかじか」



「はあ?バイト先でセクハラぁ???」
「で、でももう大丈夫なの!」
「・・・てことは、新しい子が犠牲になったってことっすか?」
「あっ・・・」
「それで先輩は負い目感じてたんすね、先輩えらいっす」
「えらくなんてないよ・・・私、最低だよ」
「だめっす、先輩が辛い思いしてるのなんて耐えられねっす」
「・・・うん・・・でも・・・」
「あれ、たしか、モグモグハンバーガーっすよね、先輩が前に働いてたの」
「そうだよ」
「あそこの社長、俺の父さんっす」
「えっ?」
「その熊谷だかっていうやつ、警察差し出せるか聞いてみるっす」
「あっあ、あありがとうっ!!」

 安心して涙が出てきた。よかった・・・。

「先輩、泣いてるんすか?」
「な、泣いてないし!」

 そう言って羽織っていたパーカーを脱いでプールへ入る。そのまま50メートルを往復してまた元に戻ってくる。

「ふーっ」
「先輩、競泳用のなんて着ちゃって、ずいぶん本気っすね」

 競泳水着には桜丘学院の校章がついている。これもあと着る機会はないだろうなあ・・・。
 それから私はプールから上がり、謙信くんの横に座る。

「私ね、ここに来るの、最後にしようかなって思ってるの」
「えっ?なんでっすか??」
「大学に行ったら、こうして頼ってばかりいられないでしょ?だから、私、そろそろ桜丘学院水泳部から、自立しようかなって思って」
「俺からも、自立しちゃうっすか?」

 意外な返答に思わず目をそらす。

「そう、かなあ・・・」
「まじっすか?」

 目をそらした先に謙信くんがわざわざ移動してきて、もう一度目を合わせながら言われる。

「本当に俺からも離れちゃうっすか?」
「だって・・・謙信くんがそばにいたら、私、頼りっぱなしだもん・・・」
「そんなに俺に気を使ってくれるんすか?」
「そりゃ、そうだよ・・・私ばっかり迷惑かけて申し訳ないなって」
「じゃあ、先輩。俺も、先輩に迷惑させていいっすか?」
「へっ?」
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