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ひのま

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天璋院 清 Tensyoin Kiyora 私は私の道を行く

第2話

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 もちろん、多少は傷つきました。
 ですが、星宮様の次のお言葉で私は気がついてしまったのです。

『私は恋がしたいのです、愛する人と結ばれたいのです』

 そう。私はそれで、気がついてしまったのです。
 気づいてはいけない気持ちに。
 恋をしたい、心から幸せになりたい。
 そして、それを満たしてくれる人は誰かということ。
 そこで、私たちは密かに契約を結びました。 
 唯一、親の目が届かない学校で、結びました。

『愛する人と結婚する』

 という、契約を。

 そのためにはまず、お母様を説得しなければなりませんでした。

「お母様、お話ししたいことがあります」
「どうしたのですか?清」
「私は、星宮様とは結婚したくありません」

 そう決心しました。
 しかし、お母様の表情は何も変わりませんでした。

「冗談はよしなさい。あなたのためを思っているのよ?」
「私は恋がしたいのです!愛する人と結ばれたいのです…」

 私は、様子を見ながら、でも本当に伝えたいことを言いました。

「お母様…どうか…「清」

 私は話を遮られました。清と呼んだお母様の表情は笑ったままでした。
 それが、逆に怖くて……

「私を失望させないうちに、この話をよしなさい?」

 お母様は笑顔のまま、部屋を出て行きました。 



「時雨、私はどうすれば良いのですか」
「私は一使用人として、お嬢様の幸せを願うことしかできません」
「時雨…私は、星宮様と結婚したくはないのです」
「そうおっしゃっておりましたね」
「時雨にはわかってほしいのです。私の本当の幸せとは何かを!私はなんとしてもお母様を説得したいのです!だから、時雨にも手伝っ「それはいけません、お嬢様」
「どうして!?どうしてなの」
「それはご主人様の考えですから…」
「そんな理由なの!?私は時雨の気持ちが知りたいというのに!もういいです、もう一度お母様を説得しにいきます!」
「お嬢様!」

 バタン

 お母様といい、時雨といい、どうして誰も私の気持ちを分かろうとしてくれないのですか!
 すごく腹が立って、普段の自分には絶対にできないようなことができるような気がした。
 いまならお母様を説得できてしまうような気分になってきた。
 
 ガチャ

「どうしたのです、そんなに物音を立てて!はしたない!」
「お母様、私は星宮様とは結婚しません。
 そして、どうしても結婚しろというならこの家を出ていきます」
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