71 / 102
天璋院 清 Tensyoin Kiyora 私は私の道を行く
第1話
しおりを挟む
私の名前は天璋院清(てんしょういん きよら)と申します。
代々続く天璋院一家の一人娘であり、同時に跡継ぎでもあります。17歳の誕生日に私はこう告げられました。
『あら、そうでしたの?奇遇でしたわね、うちの清もですのよ』
『稀にではありますが、校内でお目にかかります』
我が家の薔薇園を、お母様とある男性が歩いていた。とても仲睦まじく、しかし年齢はどうみてもお母様よりは下。なんなら、親子のようにすら見えたのです。
『お母様、そちらの方は?』
『紹介するわ、こちら星宮様』
『星宮隼人と申します、どうもごきげんよう。
清さん』
名前を呼ばれた瞬間、どきっとした。
それは、恋に落ちたという意味ではなく、悪い予感がしたのです。
『星宮様は、どうしてこちらへ?』
『それは、私が説明いたします、清』
そういうとお母様は、私の方を見て、にこりと笑っていうのです。
『この方はゆくゆくは、天璋院家のものとなるお方です。
失礼のないようになさい』
どうして、なぜ、という言葉が出なかった。そう心の中では思っているのに言えなかった。
今まで、お母様に逆らうことができなかったからだろうか。
『天璋院一家の繁栄のためにも、この方が必要なのです。
あなたももちろん、星宮様をご存知でしょう?』
『たしかに、この辺りでは、いえ、この国全体の中の名家とはいわれておりますが…』
『あなたは一人娘なのです、つまり、跡継ぎにならなければならないのです』
『ですが、お母様、『これはもう決まったことなのです。反論は認めません。あと一年、星宮様が18になられ、あなたたちが卒業するのと同時に婚約します』
悪い予感が当たった。
私は、恋をすることも許されないのだろうか。
このことをもちろん、すぐに執事の時雨に伝えた。
『時雨…私はどうすれば…』
『きっと、お嬢様ならどんな方からも愛されます。
それに奥様が見初めた方です。間違いはないのではないでしょうか?』
時雨にはそう、いって欲しくなかった。
私にとって大切な存在で…
私が密かに恋心を寄せているだなんて、そんなこと、許されるわけがないのだけど…
時雨には、私の気持ちを読み取ってもらえると思っていたのに…
その夜は泣いた。
その次の夜も泣いた。
でも、学校で星宮様と会った時、あることを告げられた。
『誠に、申しにくいことですが…』
『いかがなさいましたか?』
『私はあなたとは結婚したくありません』
と、言われたのです。
代々続く天璋院一家の一人娘であり、同時に跡継ぎでもあります。17歳の誕生日に私はこう告げられました。
『あら、そうでしたの?奇遇でしたわね、うちの清もですのよ』
『稀にではありますが、校内でお目にかかります』
我が家の薔薇園を、お母様とある男性が歩いていた。とても仲睦まじく、しかし年齢はどうみてもお母様よりは下。なんなら、親子のようにすら見えたのです。
『お母様、そちらの方は?』
『紹介するわ、こちら星宮様』
『星宮隼人と申します、どうもごきげんよう。
清さん』
名前を呼ばれた瞬間、どきっとした。
それは、恋に落ちたという意味ではなく、悪い予感がしたのです。
『星宮様は、どうしてこちらへ?』
『それは、私が説明いたします、清』
そういうとお母様は、私の方を見て、にこりと笑っていうのです。
『この方はゆくゆくは、天璋院家のものとなるお方です。
失礼のないようになさい』
どうして、なぜ、という言葉が出なかった。そう心の中では思っているのに言えなかった。
今まで、お母様に逆らうことができなかったからだろうか。
『天璋院一家の繁栄のためにも、この方が必要なのです。
あなたももちろん、星宮様をご存知でしょう?』
『たしかに、この辺りでは、いえ、この国全体の中の名家とはいわれておりますが…』
『あなたは一人娘なのです、つまり、跡継ぎにならなければならないのです』
『ですが、お母様、『これはもう決まったことなのです。反論は認めません。あと一年、星宮様が18になられ、あなたたちが卒業するのと同時に婚約します』
悪い予感が当たった。
私は、恋をすることも許されないのだろうか。
このことをもちろん、すぐに執事の時雨に伝えた。
『時雨…私はどうすれば…』
『きっと、お嬢様ならどんな方からも愛されます。
それに奥様が見初めた方です。間違いはないのではないでしょうか?』
時雨にはそう、いって欲しくなかった。
私にとって大切な存在で…
私が密かに恋心を寄せているだなんて、そんなこと、許されるわけがないのだけど…
時雨には、私の気持ちを読み取ってもらえると思っていたのに…
その夜は泣いた。
その次の夜も泣いた。
でも、学校で星宮様と会った時、あることを告げられた。
『誠に、申しにくいことですが…』
『いかがなさいましたか?』
『私はあなたとは結婚したくありません』
と、言われたのです。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる