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ひのま

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天璋院 清 Tensyoin Kiyora 私は私の道を行く

第1話

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 私の名前は天璋院清(てんしょういん きよら)と申します。
 代々続く天璋院一家の一人娘であり、同時に跡継ぎでもあります。17歳の誕生日に私はこう告げられました。

『あら、そうでしたの?奇遇でしたわね、うちの清もですのよ』
『稀にではありますが、校内でお目にかかります』
 
 我が家の薔薇園を、お母様とある男性が歩いていた。とても仲睦まじく、しかし年齢はどうみてもお母様よりは下。なんなら、親子のようにすら見えたのです。

『お母様、そちらの方は?』
『紹介するわ、こちら星宮様』
『星宮隼人と申します、どうもごきげんよう。
 清さん・・・

 名前を呼ばれた瞬間、どきっとした。 
 それは、恋に落ちたという意味ではなく、悪い予感がしたのです。

『星宮様は、どうしてこちらへ?』
『それは、私が説明いたします、清』

 そういうとお母様は、私の方を見て、にこりと笑っていうのです。

『この方はゆくゆくは、天璋院家のものとなるお方です。
 失礼のないようになさい』

 どうして、なぜ、という言葉が出なかった。そう心の中では思っているのに言えなかった。
 今まで、お母様に逆らうことができなかったからだろうか。

『天璋院一家の繁栄のためにも、この方が必要なのです。
 あなたももちろん、星宮様をご存知でしょう?』
『たしかに、この辺りでは、いえ、この国全体の中の名家とはいわれておりますが…』
『あなたは一人娘なのです、つまり、跡継ぎにならなければならないのです』
『ですが、お母様、『これはもう決まったことなのです。反論は認めません。あと一年、星宮様が18になられ、あなたたちが卒業するのと同時に婚約します』

 悪い予感が当たった。
 私は、恋をすることも許されないのだろうか。
 このことをもちろん、すぐに執事の時雨に伝えた。

『時雨…私はどうすれば…』
『きっと、お嬢様ならどんな方からも愛されます。
 それに奥様が見初めた方です。間違いはないのではないでしょうか?』

 時雨にはそう、いって欲しくなかった。
 私にとって大切な存在で…
 私が密かに恋心を寄せているだなんて、そんなこと、許されるわけがないのだけど…
 時雨には、私の気持ちを読み取ってもらえると思っていたのに…

 その夜は泣いた。
 その次の夜も泣いた。
 でも、学校で星宮様と会った時、あることを告げられた。

『誠に、申しにくいことですが…』
『いかがなさいましたか?』
『私はあなたとは結婚したくありません』

 と、言われたのです。
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