ひさめんとこ

zausu

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6章~ひさめんとこのお父さんとおじいちゃん~

その1

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「…Zzz」
「…Zzz」
「…Zzz」
「…Zzz…」ピクッ
「…」
「…時計…」
午前11時 月曜日
「…」

「♪~」
部屋の掃除中の綾香。
「おはよう、綾香」
「はい、お早うございます、お母さん」
「…」
「♪~」
少しのタイムラグがあってから、
「あら?」
振り向いたが、誰も居ない。
「気のせい…かしら?」

「…こんなもんか?」
昼御飯の用意をしている隼輝。
「おはよう、隼輝」
「もう昼だけどな、おはよう母さん」
「…」
「…ん?」
振り向いたが、誰も居ない。
「…気のせいか」

「「「「いただきます」」」」
四人だけの食卓、普段が賑やかすぎる、というのもあるが、多少寂しいものがある。
「…静かだなぁ…」
和真が呟く。
「平日の昼間だからこんなもんだろ」
「そうねぇ…夜にはきっと賑やかな食卓が待っていますよ」
「…ところでさ、一つ良いかな?」
「…きっと俺もお前と同じことを考えてると思う」
「…そうね…」
三人は一斉にある人物の顔を見る。
「…なに?顔にご飯粒でもついてる?」
「…」「…」「…」
三人は少しの沈黙の後、口を揃えてこう言った。
「「「(お)母さんが自力で起きてる!?」」」(()内は綾香のみ)
「何?私が起きてたらおかしいの?」
「いや、だってさ…」

  普段
      「起きろ!」ガスッ
      「まだ眠い…Zzz」

「こうじゃん」
「…」
否定はできない。
「ほんとに珍しいわね…何があったんですか?」
「こりゃあ我が家にとんでもないものが訪れるかもなぁ…」
と、言ったその瞬間、
ピンポーン 
呼び鈴がなった。
「と、いった瞬間に誰か来るとか…コメディかホラーかって…」
「ちょっと出てきますね」
綾香が席をたちかけたところで、
「駄目!私が出る!」
穂香が立ち上がり玄関へ駆けていく。
「…ホントなんなんだ…」
「付いていって見るか」
三人は穂香の後を追って玄関へ向かった。

穂香が玄関のドアを開ける。
ガチャ、と、ドアの開く音が聞こえた。
「た」0.2秒
「だ」0.4秒
「い」0.6秒
「m「お帰りあなたぁー!」アグッ!」0.8秒
「ちょ!母さん!いきなり押し倒したりしたら迷惑じゃないか!」
「いや!迷惑とかの問題じゃないだろ!」
「あ…あれは…」
「お帰りなさいあなた!久しぶりね!ずっと会いたかったのよ!」
「あ、あぁ…そうか、すまなかった」
「「「翔太(お)父さん!」」」(()内は綾香のみ)
三人の声がほぼ揃った。
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