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10章 ~ひさめんとこの来客~
その1
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「…おばあちゃん?おばあちゃんどこへ行ったのですか?」
「…おや、机の上になにやら書き置きが…どれどれ」
「…ふむふむ。なるほどなるほど」
「やれやれ、面倒なことになりましたね」
北海道。
「キャーッ!引ったくりーっ!」
女性から鞄を引ったくって駆け抜ける男がいた。
「おらおらどけどけぇ!」
道行く人々はその男を止めることが出来なかった。
巻き込まれることを恐れたか、怪我を恐れたか、もしかしたら面倒だっただけの人も居たかもしれない。
そんな中、一人が男の前に走り出た。小さなまだ小学生に見える銀髪の少女だった。
「どけ邪魔だこのくそガキ!」
男は少女を蹴り飛ばそうとした。
しかし、それは叶わなかった。
蹴りに来た男の足をむんずと掴んで、
「そぉいっ!」
思い切り投げ捨てた。
地面に伏した男は完全にkoされていた。
「…ふぅ」
手をパンパンと払い、何事もなかったかのように少女は歩き出した。
「大沢警部!」
「ん?どうした?」
「ここ最近反抗を繰り返していた連続引ったくり犯が逮捕されました」
「そうか、それがどうかしたのか?」
「その他にも今まで中々進展しなかった数々の事件が今日一日で一挙に解決しつつあります。さらに銀行強盗未遂などの犯人も捕まえることができました」
「そうか。良いことじゃないか」
「そうですね。ただ一つ気になることが…」
「なんだ?」
「今日解決された事件の9割ほどは警官が駆けつけた時点で犯人が気絶している状態でした。そして、なぜ気絶しているのかと聞くと口を揃えて言うのです。「銀髪の少女がやった」と」
「銀髪の…?珍しいな」
「はい。それで、近隣の小学校に問い合わせてみたのですが…銀髪の少女なんて居ないと何処も言うのです」
「…銀髪の…少女…。その少女の写真とかはあるか?」
「あ、はい。あります。こちらです」
一枚の写真が手渡される。
「…」
「…警部?」
「………やっぱり…か…」
「やっぱり、とは?」
「そのままの意味だ」
「はぁ…そうですか」
「悪いが少し電話をする。少し席をはずさしてもらうぞ」
「はい」
prrrr…prrrr…
『もしもし?』
「おお、和馬。手短に本題だけ言うが、あの人が来た」
『あの人…』
「あぁ。誰だかわかるか?」
『あぁ、すごーくわかる』
「そうだよな」
『だって今俺のとなりにいるもん』
「そうだよな…え?」
『あ、ちょっと替わるわ』
「いや、別にわざわざ替わらなくても…」
電話は替わられた。
「…あー、もしもし?」
『…大沢?』
「…はい。そうです」
『………』
「…あの?」
『………この大うつけがぁぁぁぁ!!!!』
その声は異常に大きかったと言う。
「…おや、机の上になにやら書き置きが…どれどれ」
「…ふむふむ。なるほどなるほど」
「やれやれ、面倒なことになりましたね」
北海道。
「キャーッ!引ったくりーっ!」
女性から鞄を引ったくって駆け抜ける男がいた。
「おらおらどけどけぇ!」
道行く人々はその男を止めることが出来なかった。
巻き込まれることを恐れたか、怪我を恐れたか、もしかしたら面倒だっただけの人も居たかもしれない。
そんな中、一人が男の前に走り出た。小さなまだ小学生に見える銀髪の少女だった。
「どけ邪魔だこのくそガキ!」
男は少女を蹴り飛ばそうとした。
しかし、それは叶わなかった。
蹴りに来た男の足をむんずと掴んで、
「そぉいっ!」
思い切り投げ捨てた。
地面に伏した男は完全にkoされていた。
「…ふぅ」
手をパンパンと払い、何事もなかったかのように少女は歩き出した。
「大沢警部!」
「ん?どうした?」
「ここ最近反抗を繰り返していた連続引ったくり犯が逮捕されました」
「そうか、それがどうかしたのか?」
「その他にも今まで中々進展しなかった数々の事件が今日一日で一挙に解決しつつあります。さらに銀行強盗未遂などの犯人も捕まえることができました」
「そうか。良いことじゃないか」
「そうですね。ただ一つ気になることが…」
「なんだ?」
「今日解決された事件の9割ほどは警官が駆けつけた時点で犯人が気絶している状態でした。そして、なぜ気絶しているのかと聞くと口を揃えて言うのです。「銀髪の少女がやった」と」
「銀髪の…?珍しいな」
「はい。それで、近隣の小学校に問い合わせてみたのですが…銀髪の少女なんて居ないと何処も言うのです」
「…銀髪の…少女…。その少女の写真とかはあるか?」
「あ、はい。あります。こちらです」
一枚の写真が手渡される。
「…」
「…警部?」
「………やっぱり…か…」
「やっぱり、とは?」
「そのままの意味だ」
「はぁ…そうですか」
「悪いが少し電話をする。少し席をはずさしてもらうぞ」
「はい」
prrrr…prrrr…
『もしもし?』
「おお、和馬。手短に本題だけ言うが、あの人が来た」
『あの人…』
「あぁ。誰だかわかるか?」
『あぁ、すごーくわかる』
「そうだよな」
『だって今俺のとなりにいるもん』
「そうだよな…え?」
『あ、ちょっと替わるわ』
「いや、別にわざわざ替わらなくても…」
電話は替わられた。
「…あー、もしもし?」
『…大沢?』
「…はい。そうです」
『………』
「…あの?」
『………この大うつけがぁぁぁぁ!!!!』
その声は異常に大きかったと言う。
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