借金2000万円の底辺の男が生まれ変わったらFX投資で億を稼げるようになった実話

オセロ

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分岐 - 魔法のおまじない

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もう会社での出世も見込めないどころか居場所もない。そうなると想像できるのは最悪の結果しかない。僕と妻は「もう自分達は終わりかもしれない」と抱き合って泣いた。今思えば、あの時の精神状態は自死を選んでもおかしくなかったと思う。でも死ななかった。死ねなかった。

それは、生まれたばかりの娘がいたから。娘の為に死ねない。死んではいけない。と思った。

もう誰にも頼れないなら、自分の人生は自分で切り開くしかない。



とは言うものの・・何をやるべきか検討もつかない。そんな時に軽装工事をお願いしている山本社長から偶然外貨取引の話を聞いた。

「オセロくん外貨貯金って知ってる?」

為替とか外貨とか投資なんて、全く今までの自分には縁もない別世界の話だった。ましてや何しろ投資するお金がない!

時は一方的に円安に向かっている相場で、いわゆるキャリートレードで利益を得ている投資家がメディアで露出するようになっていた。山本社長も事業で得た利益を外貨貯金でドルに変えて、大きな含み益となっていたようだった。

山本社長だって、僕に外貨預金を勧めようなんて考えてもなかったはずだ。単に現場で一緒に仕事している時、自慢話をしたかっただけだろう。

僕にしたってお金に困っておらず普通の生活をしていたなら、自分に関係ない話とスルーしたであろう、ほんと意味のない会話だったが、その山本社長の「外貨」という言葉が頭の片隅に記憶された。

日々は無情にも過ぎていく。

何かしなければと思いながら何も解決策など見つからない。でも、せめてPCのスキルは上げておこうと思った。本当は少しのお金も使えないのだが勉強せねばという強い思いから、妻の許しを得てPC雑誌を毎月買い始めた。

PCのスキルは元々は結構あったと自負していた。しかし、東京エンジニアリングで扱うFA専用機はPCとは全く別物だった。会社に数台あるノートPCは仕様書を書く為のワープロ専用機みたいな存在で、いつのまにか僕の持っているPCのスキルは錆び付いた時代遅れのものに変わっていた。

僕は失った時間を取り戻すかのように雑誌の隅から隅まで読み倒した。



最初に借金を背負ってから数年が経っていた。この頃には僕の結婚を期に建てた自宅も競売に掛けられて失っており、僕と妻と娘は社宅に移っていた。社宅は会社の所長の田原さんが僕の窮状を鑑みて入れるように手配してくれたのだ。引っ越しは業者に頼む費用も惜しいので、会社の後輩に頼んだ。

また職場も豊田市にある豊田営業所に転属していた。これも田原所長の計らいだった。豊田営業所は、幸いにも業績順調なトヨタ自動車を顧客としてもっており、仕事も潤沢で残業代を付けられる環境にあった。仕事を頑張れば頑張るだけ収入は増え、借金も少しづつではあるが減っていくように好転していた。会社に迷惑を掛けたにも関わらず本当に田原さんに感謝してやまない。

トヨタ自動車で仕事をしていると、トヨタ自動車の社員食堂も使えたのも僕にとってはありがたかった。正社員とは時間をずらして利用しなければならないが200円程で昼食を摂ることができる。僕は訪問予定がなくてもトヨタの工場に訪れ昼食だけ摂ることもあった。

そんなこんなで、相変わらず会社での居心地はよく無かったが、少しづつ僕の環境は改善しつつあった。このまま借金を返していけば普通の生活に戻れるかもしれないという気持ちも生まれてきていたのだが・・

そんなある時、上司の山口さんと田原所長が応接室とこんな話をしているのを偶然耳にした。

「オセロは優秀ですけどお金に汚いですね・・・」

山口さんが田原所長に放った僕の評価。

「お金に汚い・・・」



山口さんがそう感じているのは薄々では分かっていた。

僕は働いた分の残業は全部請求する。それが汚いというのならそうだろう。だからそのとおり否定はしない。僕には残業をサービスできるほどお金に余裕がない!1円だって欲しい。だからといって仕事がないのに残業代欲しさで居残るなんてことはしないし、仕事してるフリしてゲームで時間を潰すような奴とも違う。仕事がなければ終業時間直後に退勤のタイムカードを打刻して帰宅する。早く帰って家族と一緒に過ごしたい。

仕事はお金を稼ぐ為であり、お金を稼げなければ仕事など無意味だ。

僕の事を”お金に汚い”と評価した山口さんの実家は裕福だった。山口さんは結婚を期に実家からの援助を受けて新築の一軒家を建てていた。本人が自慢げに言っていたから間違いないだろう。ひと昔前なら僕も同じ環境だったかもしれないが、今は光と影のような相反する存在。



山口さんは残業代にも執着しない。面倒臭いと言って全てサービス残業にしてしまう。そんな恵まれた環境の人に、底辺を這いずり回っている僕の気持ちなど100%理解できるはずがないだろう。

僕の未来はこの会社にはないと痛感した。このまま借金を返していけば普通の生活に戻れるかもしれないという淡い望みを自ら断ち切った。

そんな失意の中、久しぶりの休日に妻と娘と大高のAEONへ買い出しに出かけた時のことだった。僕は読書が好きだ。例え買えなくとも本屋で本を見て回るだけで楽しくなる。しかし、その時は何故か今までの自分なら絶対に立ち入らない投資関係のコーナーに足が向いた。



ふと山本社長の声が蘇った。

「外貨預金・・・」

僕は手にとって本を貪るように読み始めた。
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