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アクアマリンの章
1. Ep-19.迷惑を掛けた
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ガリオンの放った魔法はルゼリアを襲う、咄嗟に持っていたクリスタルを前に突き出せば魔法はクリスタルに触れたのか四散した。
だが衝撃が強かったのかクリスタルは粉々に砕けルゼリアはその衝撃で吹き飛ばされてしまった。
地面を滑るようにして倒れこんだルゼリアに騎士達は驚き逸早くレクターがルゼリアの名を呼んで駆け寄ってきた。
「姫さん!!」
倒れこんだルゼリアの元まで駆けたレクターはルゼリアの小さな体を抱き起こした。
「姫さん!姫さん、しっかりしろ」
身を揺するレクターに、次に駆けて来たトリノが慌ててレクターからルゼリアを奪った。
「馬鹿!落ち着け、頭を打っているかも知れないのに揺するな!」
辺りが騒然となる中でルゼリアは苦しそうに眉を潜めはしたもののゆっくりと瞳を開く。
「姫君」
ぼんやりとしながらも、ルゼリアは大丈夫とトリノから身を起こした。
体を打ちつけはしたものの大きな怪我はしていないようだ、辺りにはクリスタルの残骸が砕け散っていて危険だ。トリノは失礼しますというとルゼリアの膝裏に腕を回して横抱きに抱き上げた。そのままルゼリアを安全な場所へと運んでいく、騎士達は何故此処にルゼリアが居るのかが分からず口々に何かを言っているようだった。
安全な場所で下ろされたルゼリアはその場で座りながら心配そうな表情を浮かべている騎士達を見つめる、特に心配そうな表情を浮かべているのがレクターとガリオンだった。
「姫さん…………悪かったな」
騎士でありながら守るべき主であるルゼリアに怪我をさせ掛けた事を悔いているようだ。それはガリオンも同じだったようで申し訳ありませんと頭を下げている。
そんな二人にルゼリアは平気ですと答え許しながら此処がどこかを尋ねた、トリノは不思議そうに此処は王宮の一角にある騎士団の営所の近くの演習場である事を告げた、位置的には王宮の北東よりに位置していて離宮から見れば王宮を挟んだ反対側になる、普段訪れる事のないこんな場所に何故来てしまったのか不思議がるルゼリアだがそれは騎士達にも同じだったようだ。
「姫君、失礼ながらどうやってこの場所までいらしたのですか?」
『…………わかりません、離宮の階段を上がるのに転移のクリスタルを使ったのですがいつもとは違い違う場所に出てしまったのです、何度か転移したんですが離宮に戻れずにクリスタルの魔力が切れてしまい迷っていました』
そこに人の声が聞こえたので近づいた事、その先に居たのが騎士達だった事を告げればあの砕けたクリスタルは転移クリスタルだったのですかと表情を強張らせた。頷けがトリノはレクターとガリオンを睨みつけた、あの魔道具はそうそう作れるものではなく予備もないはずだ。あちゃーっと頭を抱えているレクターと表情を強張らせたガリオン、二人にルゼリアは自分が悪いのですと二人を庇う。
『僕が壊してしまったのです、二人は悪くないのでそんなに睨まないでください』
「いいえ、もしクリスタルがなければ姫君は魔法を受けて傷ついていたはずです、貴方様は魔力に対する耐性をお持ちでないでしょう」
魔力耐性がない者は魔力に酷く弱い、僅かな事でも体内のバランスを崩して倒れてしまう。
竜自体は頑丈で魔力も高いのでそのような症状が出るものは極稀だ、力を持っていないルゼリアには猛毒に近いもののようだ。
ごめんなさいと謝るルゼリアにトリノは急いで離宮に戻りましょうと促していく。
「シュネ様も心配されているかもしれません」
『シュネはお父様の所です』
「でしたら尚の事早くお戻りになりませんと」
頷いて立ち上がれば辺りがざわりとざわついた、視線を向ければ王宮のある方向から大柄な騎士が二人、マントを靡かせながら歩いてきている、年齢的にはアルヴァーニ王と同じぐらいだろうか、一人は黒地に淵が水色の制服でもう一人は白地に淵が水色の制服だ、ただ他の騎士達とは違い二人の胸元にはいくつかの勲章をつけていて騎士達よりも位が高い事を物語っている、纏っている雰囲気も熟練しているような印象を受ける。
大柄な二人の騎士はトリノの体で隠れていたルゼリアの姿を確認したのかこちらに向かって突如走り出した、凄い速度で駆けてきた二人はルゼリアの前で止まれば強い風でルゼリアの体はぐらりと揺れそれを近くにいたネスが留めている。
「姫君!!」
大柄な二人の騎士はルゼリアに方膝を付いた。驚いたルゼリアだが二人の騎士は周りを見て立場をわきまえよっと騎士達全員を叱った、
咄嗟の事で驚いた騎士達だがルゼリアがこのアルヴァーニ王国の第一王女であること、臣下として頭を下げるのが当然であると言われれば皆一斉に方膝を付いた。
普段騎士達の礼で慣れはしていたものの、膝を付かれる事には慣れていないルゼリアは慌ててしまう。
『ロラン東方騎士団長、ラジカ南方騎士団長、普通で良いのです、膝を付くのはやめてください』
二人はこのアルヴァーニ王国の騎士団で立場的に高い地位にある人物達だ。白地に淵が水色の服を着ているのが東方騎士団を纏めるロラン騎士団長、黒地に淵が水色の服を着ているのが南方騎士団を纏めるラジカ騎士団長だ。このアルヴァーニ王国は総司令官を筆頭に二人の副総司令官、その下に東西南北のそれぞれの騎士団を纏める四人の騎士団長を有している、この二人はその東西南北の東と南の騎士団を纏める騎士団長なのだ。
発言権の強い二人の言葉に騎士達は従っている、膝を付かないで、立って欲しいと願うルゼリアの言葉に二人は頑なに首を横に振る。
「いいえ、我等は臣下でもあり、これが我等の正式な王族に対する礼でもあります」
二人の言葉にでもっと戸惑うルゼリアを見て一早くに立ち上がったのはレクターだった。そんなレクターに上司でもある南方騎士団長のラジカは殺気を込めた瞳でレクターを睨みつけている。瞳孔が縦長になっているラジカは怒っているようだ、それを見ながらも気にした様子もなくレクターは頭をガシガシと掻く。
「姫さんが止めろと言うのなら膝を付くのは逆に失礼なんじゃないかと俺は思うわけですよ。王族の言葉は絶対だっていつも言ってるのは誰だったか」
「レクター!お前はまた我が南方騎士団の品位を落とすような事を……」
「姫さんが普通が良いって言うんなら、俺達はそれに従うだけだろ、南方騎士団長殿も東方騎士団長殿も固すぎるんだって」
南方騎士団長が何か言おうとする前にルゼリアが頷いてレクターを援護する。
『お願いですから膝は付かないでください、普通の方が僕は嬉しいです』
「姫君…………」
ルゼリアの願いに渋々といった様子でわかりましたと頷いた二人は立ち上がった、それに従うように他の騎士達も立ち上がる。
ほっとしたルゼリアに騎士団長の二人は何故ルゼリアが此処にいるのかと尋ねた、それが一番重要だろうがと突っ込みを入れるレクターを横目にルゼリアが此処にいる経緯を伝えていく。
「話を聞く限り姫君が転移した場所は王宮の一角である事は間違いないようですが何故このような事に、以前にもこのような事がおありに?」
首を振って否定しながらルゼリアは一度もありませんと答えた。
「……ふむ、魔力が不安定になり揺らいでいるのかもしれませんな、今日に限ってはドームでさえ揺れている」
そう言って騎士団長の二人は空を見上げた、釣られる様にしてルゼリアも空を見れば空の一角が微かに揺れているのが見える。
王宮にはドームと呼ばれる大掛かりな魔法が常に展開されている、普段はただの空に見えるそこにはうっすらと魔法の膜がつねに覆っていて外敵からの攻撃を防ぐ役割を帯びている。
普段は薄すぎて見る事が出来ないのだが時々魔力が不安定になるとこうしてユラユラと揺れて肉眼でも見えるようになるのだ。
ドームが揺れている事に気付かなかったルゼリアはそれで転移クリスタルが不安定になっていたのかもしれないと納得する。
「しかしながら…………王宮内でよかった、もし外に転移でもしていたら大変な事になっていましたな」
「まったくです、御身に何かあればあの方は暴走してしまいますからな」
あの方と言うのはアルヴァーニ王の事らしい、二人ともアルヴァーニ王が幼少の頃からの知り合いのようだ。
「では姫君、我等と共に離宮にお戻りください」
騎士団長二人が自らルゼリアを送るという、ルゼリアは迷惑を掛けてごめんなさいと頭を下げる。
それに対して二人は問題ありませんよと笑っている。
「北方に見つかる前に移動した方がよろしいでしょうな」
その言葉でルゼリアは僅かに表情を曇らせた、北方騎士団は貴族階級の出が多い為ルゼリアを嫌っていて守るべき主ではあるけれどその扱いは冷たいのだ。
東方は中立の者達が多くルゼリアを慕っているわけではないけれど嫌っているわけでもないと言う。
『そう言えば北方騎士団の方々はどちらに?今日は稽古をしているとアリシアに伺いましたが…………それにアリシアもいないようですが』
東方騎士団長や東方騎士達がいるのにアリシアの姿が見えない事が不思議だったのだ。
「深い理由はございませんよ、ただ騎士達は数が多い為この演習場だけでは入りきらぬのです。いくつかに分けて此処にいない者達は別の演習場におります」
西方騎士や東方騎士の何人かも別の演習場にいると言いアリシアは別の演習場の方にいるらしい、アリシアがいないだけで随分静かですというルゼリアに二人は笑っていた。
「我が東方の騎士ではありますがあれは毛色が違いますからな、お転婆すぎて大変です」
頷いている二人を見てルゼリアはアリシアはやはり誰からも愛されているのだなと実感する。
参りましょうかと促す二人に頷いてからルゼリアは一度騎士達を見た。普段見る騎士から見慣れない騎士達を一度見るとルゼリアはドレスの裾を摘んでお辞儀した。
『貴重な時間を止めてしまってごめんなさい、皆さんの戦いはとても綺麗で見ていて心躍るものがありました。これからも国を、民を守る為に父様に仕えてくださいませ』
ルゼリアの言葉が聞き取れるのは極僅かだろう、ルゼリアはそのまま騎士団長に連れられて演習場を後にした。
だが衝撃が強かったのかクリスタルは粉々に砕けルゼリアはその衝撃で吹き飛ばされてしまった。
地面を滑るようにして倒れこんだルゼリアに騎士達は驚き逸早くレクターがルゼリアの名を呼んで駆け寄ってきた。
「姫さん!!」
倒れこんだルゼリアの元まで駆けたレクターはルゼリアの小さな体を抱き起こした。
「姫さん!姫さん、しっかりしろ」
身を揺するレクターに、次に駆けて来たトリノが慌ててレクターからルゼリアを奪った。
「馬鹿!落ち着け、頭を打っているかも知れないのに揺するな!」
辺りが騒然となる中でルゼリアは苦しそうに眉を潜めはしたもののゆっくりと瞳を開く。
「姫君」
ぼんやりとしながらも、ルゼリアは大丈夫とトリノから身を起こした。
体を打ちつけはしたものの大きな怪我はしていないようだ、辺りにはクリスタルの残骸が砕け散っていて危険だ。トリノは失礼しますというとルゼリアの膝裏に腕を回して横抱きに抱き上げた。そのままルゼリアを安全な場所へと運んでいく、騎士達は何故此処にルゼリアが居るのかが分からず口々に何かを言っているようだった。
安全な場所で下ろされたルゼリアはその場で座りながら心配そうな表情を浮かべている騎士達を見つめる、特に心配そうな表情を浮かべているのがレクターとガリオンだった。
「姫さん…………悪かったな」
騎士でありながら守るべき主であるルゼリアに怪我をさせ掛けた事を悔いているようだ。それはガリオンも同じだったようで申し訳ありませんと頭を下げている。
そんな二人にルゼリアは平気ですと答え許しながら此処がどこかを尋ねた、トリノは不思議そうに此処は王宮の一角にある騎士団の営所の近くの演習場である事を告げた、位置的には王宮の北東よりに位置していて離宮から見れば王宮を挟んだ反対側になる、普段訪れる事のないこんな場所に何故来てしまったのか不思議がるルゼリアだがそれは騎士達にも同じだったようだ。
「姫君、失礼ながらどうやってこの場所までいらしたのですか?」
『…………わかりません、離宮の階段を上がるのに転移のクリスタルを使ったのですがいつもとは違い違う場所に出てしまったのです、何度か転移したんですが離宮に戻れずにクリスタルの魔力が切れてしまい迷っていました』
そこに人の声が聞こえたので近づいた事、その先に居たのが騎士達だった事を告げればあの砕けたクリスタルは転移クリスタルだったのですかと表情を強張らせた。頷けがトリノはレクターとガリオンを睨みつけた、あの魔道具はそうそう作れるものではなく予備もないはずだ。あちゃーっと頭を抱えているレクターと表情を強張らせたガリオン、二人にルゼリアは自分が悪いのですと二人を庇う。
『僕が壊してしまったのです、二人は悪くないのでそんなに睨まないでください』
「いいえ、もしクリスタルがなければ姫君は魔法を受けて傷ついていたはずです、貴方様は魔力に対する耐性をお持ちでないでしょう」
魔力耐性がない者は魔力に酷く弱い、僅かな事でも体内のバランスを崩して倒れてしまう。
竜自体は頑丈で魔力も高いのでそのような症状が出るものは極稀だ、力を持っていないルゼリアには猛毒に近いもののようだ。
ごめんなさいと謝るルゼリアにトリノは急いで離宮に戻りましょうと促していく。
「シュネ様も心配されているかもしれません」
『シュネはお父様の所です』
「でしたら尚の事早くお戻りになりませんと」
頷いて立ち上がれば辺りがざわりとざわついた、視線を向ければ王宮のある方向から大柄な騎士が二人、マントを靡かせながら歩いてきている、年齢的にはアルヴァーニ王と同じぐらいだろうか、一人は黒地に淵が水色の制服でもう一人は白地に淵が水色の制服だ、ただ他の騎士達とは違い二人の胸元にはいくつかの勲章をつけていて騎士達よりも位が高い事を物語っている、纏っている雰囲気も熟練しているような印象を受ける。
大柄な二人の騎士はトリノの体で隠れていたルゼリアの姿を確認したのかこちらに向かって突如走り出した、凄い速度で駆けてきた二人はルゼリアの前で止まれば強い風でルゼリアの体はぐらりと揺れそれを近くにいたネスが留めている。
「姫君!!」
大柄な二人の騎士はルゼリアに方膝を付いた。驚いたルゼリアだが二人の騎士は周りを見て立場をわきまえよっと騎士達全員を叱った、
咄嗟の事で驚いた騎士達だがルゼリアがこのアルヴァーニ王国の第一王女であること、臣下として頭を下げるのが当然であると言われれば皆一斉に方膝を付いた。
普段騎士達の礼で慣れはしていたものの、膝を付かれる事には慣れていないルゼリアは慌ててしまう。
『ロラン東方騎士団長、ラジカ南方騎士団長、普通で良いのです、膝を付くのはやめてください』
二人はこのアルヴァーニ王国の騎士団で立場的に高い地位にある人物達だ。白地に淵が水色の服を着ているのが東方騎士団を纏めるロラン騎士団長、黒地に淵が水色の服を着ているのが南方騎士団を纏めるラジカ騎士団長だ。このアルヴァーニ王国は総司令官を筆頭に二人の副総司令官、その下に東西南北のそれぞれの騎士団を纏める四人の騎士団長を有している、この二人はその東西南北の東と南の騎士団を纏める騎士団長なのだ。
発言権の強い二人の言葉に騎士達は従っている、膝を付かないで、立って欲しいと願うルゼリアの言葉に二人は頑なに首を横に振る。
「いいえ、我等は臣下でもあり、これが我等の正式な王族に対する礼でもあります」
二人の言葉にでもっと戸惑うルゼリアを見て一早くに立ち上がったのはレクターだった。そんなレクターに上司でもある南方騎士団長のラジカは殺気を込めた瞳でレクターを睨みつけている。瞳孔が縦長になっているラジカは怒っているようだ、それを見ながらも気にした様子もなくレクターは頭をガシガシと掻く。
「姫さんが止めろと言うのなら膝を付くのは逆に失礼なんじゃないかと俺は思うわけですよ。王族の言葉は絶対だっていつも言ってるのは誰だったか」
「レクター!お前はまた我が南方騎士団の品位を落とすような事を……」
「姫さんが普通が良いって言うんなら、俺達はそれに従うだけだろ、南方騎士団長殿も東方騎士団長殿も固すぎるんだって」
南方騎士団長が何か言おうとする前にルゼリアが頷いてレクターを援護する。
『お願いですから膝は付かないでください、普通の方が僕は嬉しいです』
「姫君…………」
ルゼリアの願いに渋々といった様子でわかりましたと頷いた二人は立ち上がった、それに従うように他の騎士達も立ち上がる。
ほっとしたルゼリアに騎士団長の二人は何故ルゼリアが此処にいるのかと尋ねた、それが一番重要だろうがと突っ込みを入れるレクターを横目にルゼリアが此処にいる経緯を伝えていく。
「話を聞く限り姫君が転移した場所は王宮の一角である事は間違いないようですが何故このような事に、以前にもこのような事がおありに?」
首を振って否定しながらルゼリアは一度もありませんと答えた。
「……ふむ、魔力が不安定になり揺らいでいるのかもしれませんな、今日に限ってはドームでさえ揺れている」
そう言って騎士団長の二人は空を見上げた、釣られる様にしてルゼリアも空を見れば空の一角が微かに揺れているのが見える。
王宮にはドームと呼ばれる大掛かりな魔法が常に展開されている、普段はただの空に見えるそこにはうっすらと魔法の膜がつねに覆っていて外敵からの攻撃を防ぐ役割を帯びている。
普段は薄すぎて見る事が出来ないのだが時々魔力が不安定になるとこうしてユラユラと揺れて肉眼でも見えるようになるのだ。
ドームが揺れている事に気付かなかったルゼリアはそれで転移クリスタルが不安定になっていたのかもしれないと納得する。
「しかしながら…………王宮内でよかった、もし外に転移でもしていたら大変な事になっていましたな」
「まったくです、御身に何かあればあの方は暴走してしまいますからな」
あの方と言うのはアルヴァーニ王の事らしい、二人ともアルヴァーニ王が幼少の頃からの知り合いのようだ。
「では姫君、我等と共に離宮にお戻りください」
騎士団長二人が自らルゼリアを送るという、ルゼリアは迷惑を掛けてごめんなさいと頭を下げる。
それに対して二人は問題ありませんよと笑っている。
「北方に見つかる前に移動した方がよろしいでしょうな」
その言葉でルゼリアは僅かに表情を曇らせた、北方騎士団は貴族階級の出が多い為ルゼリアを嫌っていて守るべき主ではあるけれどその扱いは冷たいのだ。
東方は中立の者達が多くルゼリアを慕っているわけではないけれど嫌っているわけでもないと言う。
『そう言えば北方騎士団の方々はどちらに?今日は稽古をしているとアリシアに伺いましたが…………それにアリシアもいないようですが』
東方騎士団長や東方騎士達がいるのにアリシアの姿が見えない事が不思議だったのだ。
「深い理由はございませんよ、ただ騎士達は数が多い為この演習場だけでは入りきらぬのです。いくつかに分けて此処にいない者達は別の演習場におります」
西方騎士や東方騎士の何人かも別の演習場にいると言いアリシアは別の演習場の方にいるらしい、アリシアがいないだけで随分静かですというルゼリアに二人は笑っていた。
「我が東方の騎士ではありますがあれは毛色が違いますからな、お転婆すぎて大変です」
頷いている二人を見てルゼリアはアリシアはやはり誰からも愛されているのだなと実感する。
参りましょうかと促す二人に頷いてからルゼリアは一度騎士達を見た。普段見る騎士から見慣れない騎士達を一度見るとルゼリアはドレスの裾を摘んでお辞儀した。
『貴重な時間を止めてしまってごめんなさい、皆さんの戦いはとても綺麗で見ていて心躍るものがありました。これからも国を、民を守る為に父様に仕えてくださいませ』
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