21 / 26
アクアマリンの章
1. Ep-20.また叱られる
しおりを挟む
部屋に戻ったルゼリアは長椅子に座ると先程の演習場での事を思い返していた。
『最初こそ如何しようと思っていましたが…………少し楽しかったです。それに騎士団長達に話を聞けてよかった』
戻る間に騎士団長達と話をした、ビオラシーマ山脈のその後の事だ。
現在事故を起した採掘場は閉鎖され、他の採掘場も王宮からの視察がはいったのだという、
貴族達から採掘場に関する報告を義務付けたようだ、視察した中にも崩落する可能性のある場所が複数見つかった。
怪我人達も回復に向かっていて採掘場近くの村にも医者を派遣する話もでているのだとか。
父が民を見捨てずに動いてくれている事に対して安堵していた。
『皆さんががんばっているのですから僕もお役に立てるようにせねばなりません』
出来る事など限られているけれど、そう思いながらも刺繍を始めたのだがルゼリアはすっかりと忘れていた。自分が離宮から別の場所に転移しクリスタルを壊してしまったと言う事を。
シュネが慌てて戻ってきたのはルゼリアが離宮に戻ってすぐの事だった。
ズズンッと地響きがしてから瞬く間に、シュネが飛び込んでくた。
普段であれば返事があるまで扉を開けないシュネなのだが今は違うらしい、突如大きな音を立てて扉が開かれルゼリアはびっくりして飛び上がれば駆け寄ってくるシュネの姿。
「姫様、お怪我はありませんか」
シュネはルゼリアの返答を待つ事なく刺繍を奪い取ると、ルゼリアの両脇に手を入れて持ち上げて椅子の上に立たせた。戸惑っているルゼリアの体に触れて傷がないかを調べているようだ。
「王宮で騎士団長達から話を聞かされ、飛んで帰ってまいりました」
“飛んで帰ってきた”と聞いて先程の地響きを思い返し、言葉通り飛んで帰って来たのだろうなとルゼリアは思った。一通り調べ終わったシュネはルゼリアを叱り始める。
「魔力の不安定さから転移に失敗したそうですが…………何故私に知らせてはくださらなかったのですか」
瞳孔が細くなっているシュネは冷静を欠いているようだ。
「今回はよかったものの、もし別の場所に飛ばされでもしたらどうなさっていたのです、それに何度も転移クリスタルを使ってはならぬとレザリック様には言われていた筈です」
注意をされていた事は覚えていたけれど焦っていた為に冷静な判断が出来なかったのだ。
言い訳をする事もなくしばらく叱られ続ければ少しずつシュネが落ち着いてくるのがわかった。
落ち着きを取り戻したシュネは申し訳ございませんでしたと頭を下げた。
今まで叱られていただけに何に対してシュネが謝っているのかが一瞬理解出来なかったルゼリアだが、どうやらガリオンはシュネの孫である為、ガリオンのした事に対して謝っているようだ。
『平気です、僕が隠れていたから皆気付かなかったんです。僕は魔力を持っていないので竜達には気づかれづらいのはシュネもご存知の筈、それに逃げ遅れたのは僕ですから』
ルゼリアは逆に攻撃をしてしまった事で二人が騎士団長達から怒られないかと心配している様子だ。
「それこそ姫様が心配される事ではありません、自分のした事に対しての責任をとってこそ一人前の雄と言えますでしょう」
そう言ったシュネにルゼリアはお願いをする事にする。
『シュネ、お父様と叔父様に手紙を持っていってくださいませんか?シュネは今言いましたね、自分のした事に対しての責任は取らねばならないと。迷い込んでしまったのは僕ですから謝罪の手紙を書きます、それをお父様と叔父様に持っていって欲しいのです』
渋るシュネにルゼリアはお願いしますと頭を下げる。
『僕は近づく事は出来ません…………本当はお手紙も許されてはいませんでしょう、ですが迷い込んで騎士達に迷惑を掛けてしまったのは僕です。二人に処罰が下るのは僕は望みません』
じっとルゼリアを見ていたシュネは息を吐き出しながら分かりましたと頷いた。
『出来れば……至急で行って欲しいのです。シュネが此処に戻ってきた時のように』
「………………気付かれておりましたか」
あれだけの音が響けば想像も容易い事だ。急いで父王と叔父に宛てて手紙を書くとルゼリアはポーチから二人へのプレゼントをシュネに渡した。
手紙を受け取ったシュネを見送った。
扉が閉まったのを確認しながら窓に近づき外を見つめれば木々が大きく揺れるのが見える、恐らくシュネが竜体となって飛び上がったのだろう。
待っている間ルゼリアは刺繍をしながら演習場での出来事を思い返していた。
剣で戦う騎士達はとても輝いていた、ルゼリアには持つ事の出来ない重い剣を軽々と振り回す騎士達の姿が脳裏から離れない。
特に目を奪われたのが師団長達の戦いだった、師団長というだけあってその強さは騎士達の中で抜きに出ている、
滅多に見ないものを見た高揚感が未だに抜けないようだ。
シュネが離宮に戻ってきた頃にはすっかりと夜も更けていた。
父からの返事にはルゼリアを傷つけた二人の処罰を考えていた事がつづられている。
処罰を決まる直前にルゼリアの手紙が届きシュネの言葉と元老院の言葉があった事で二人の処分は軽いものへと決定されたようで処罰の内容は後日決める事になったそうだ。不問を望んでいたルゼリアは悲しそうに目を伏せる。
『シュネの言葉があったので二人の処分は軽いものだそうですが…………不問には出来ませんでした。ですが元老院の方々も二人を庇ってくださっていたようですね』
元老院はガリオンを庇う為に今回の事に関与したのだとシュネは答えた。
貴族でもあるガリオンが処罰される事を元老院はいい顔をせずアルヴァーニ王に進言した事、
それに加えてのルゼリアの手紙もあり処罰は軽いものになったと言う事だった。
『そうですか、………………元老院の方には感謝したほうが良いのかもしれません』
ルゼリアに冷たく当たり何かと嫌味を言い続ける元老院だが今回に限ってはそのお陰で二人の処罰が軽いものになったのだ複雑そうなシュネに二人に悪い事をしましたとルゼリアは反省した。
次に叔父からの手紙を読んだ。
その後には手紙一面に長々とレザリックからの説教が書かれていた。
『最初こそ如何しようと思っていましたが…………少し楽しかったです。それに騎士団長達に話を聞けてよかった』
戻る間に騎士団長達と話をした、ビオラシーマ山脈のその後の事だ。
現在事故を起した採掘場は閉鎖され、他の採掘場も王宮からの視察がはいったのだという、
貴族達から採掘場に関する報告を義務付けたようだ、視察した中にも崩落する可能性のある場所が複数見つかった。
怪我人達も回復に向かっていて採掘場近くの村にも医者を派遣する話もでているのだとか。
父が民を見捨てずに動いてくれている事に対して安堵していた。
『皆さんががんばっているのですから僕もお役に立てるようにせねばなりません』
出来る事など限られているけれど、そう思いながらも刺繍を始めたのだがルゼリアはすっかりと忘れていた。自分が離宮から別の場所に転移しクリスタルを壊してしまったと言う事を。
シュネが慌てて戻ってきたのはルゼリアが離宮に戻ってすぐの事だった。
ズズンッと地響きがしてから瞬く間に、シュネが飛び込んでくた。
普段であれば返事があるまで扉を開けないシュネなのだが今は違うらしい、突如大きな音を立てて扉が開かれルゼリアはびっくりして飛び上がれば駆け寄ってくるシュネの姿。
「姫様、お怪我はありませんか」
シュネはルゼリアの返答を待つ事なく刺繍を奪い取ると、ルゼリアの両脇に手を入れて持ち上げて椅子の上に立たせた。戸惑っているルゼリアの体に触れて傷がないかを調べているようだ。
「王宮で騎士団長達から話を聞かされ、飛んで帰ってまいりました」
“飛んで帰ってきた”と聞いて先程の地響きを思い返し、言葉通り飛んで帰って来たのだろうなとルゼリアは思った。一通り調べ終わったシュネはルゼリアを叱り始める。
「魔力の不安定さから転移に失敗したそうですが…………何故私に知らせてはくださらなかったのですか」
瞳孔が細くなっているシュネは冷静を欠いているようだ。
「今回はよかったものの、もし別の場所に飛ばされでもしたらどうなさっていたのです、それに何度も転移クリスタルを使ってはならぬとレザリック様には言われていた筈です」
注意をされていた事は覚えていたけれど焦っていた為に冷静な判断が出来なかったのだ。
言い訳をする事もなくしばらく叱られ続ければ少しずつシュネが落ち着いてくるのがわかった。
落ち着きを取り戻したシュネは申し訳ございませんでしたと頭を下げた。
今まで叱られていただけに何に対してシュネが謝っているのかが一瞬理解出来なかったルゼリアだが、どうやらガリオンはシュネの孫である為、ガリオンのした事に対して謝っているようだ。
『平気です、僕が隠れていたから皆気付かなかったんです。僕は魔力を持っていないので竜達には気づかれづらいのはシュネもご存知の筈、それに逃げ遅れたのは僕ですから』
ルゼリアは逆に攻撃をしてしまった事で二人が騎士団長達から怒られないかと心配している様子だ。
「それこそ姫様が心配される事ではありません、自分のした事に対しての責任をとってこそ一人前の雄と言えますでしょう」
そう言ったシュネにルゼリアはお願いをする事にする。
『シュネ、お父様と叔父様に手紙を持っていってくださいませんか?シュネは今言いましたね、自分のした事に対しての責任は取らねばならないと。迷い込んでしまったのは僕ですから謝罪の手紙を書きます、それをお父様と叔父様に持っていって欲しいのです』
渋るシュネにルゼリアはお願いしますと頭を下げる。
『僕は近づく事は出来ません…………本当はお手紙も許されてはいませんでしょう、ですが迷い込んで騎士達に迷惑を掛けてしまったのは僕です。二人に処罰が下るのは僕は望みません』
じっとルゼリアを見ていたシュネは息を吐き出しながら分かりましたと頷いた。
『出来れば……至急で行って欲しいのです。シュネが此処に戻ってきた時のように』
「………………気付かれておりましたか」
あれだけの音が響けば想像も容易い事だ。急いで父王と叔父に宛てて手紙を書くとルゼリアはポーチから二人へのプレゼントをシュネに渡した。
手紙を受け取ったシュネを見送った。
扉が閉まったのを確認しながら窓に近づき外を見つめれば木々が大きく揺れるのが見える、恐らくシュネが竜体となって飛び上がったのだろう。
待っている間ルゼリアは刺繍をしながら演習場での出来事を思い返していた。
剣で戦う騎士達はとても輝いていた、ルゼリアには持つ事の出来ない重い剣を軽々と振り回す騎士達の姿が脳裏から離れない。
特に目を奪われたのが師団長達の戦いだった、師団長というだけあってその強さは騎士達の中で抜きに出ている、
滅多に見ないものを見た高揚感が未だに抜けないようだ。
シュネが離宮に戻ってきた頃にはすっかりと夜も更けていた。
父からの返事にはルゼリアを傷つけた二人の処罰を考えていた事がつづられている。
処罰を決まる直前にルゼリアの手紙が届きシュネの言葉と元老院の言葉があった事で二人の処分は軽いものへと決定されたようで処罰の内容は後日決める事になったそうだ。不問を望んでいたルゼリアは悲しそうに目を伏せる。
『シュネの言葉があったので二人の処分は軽いものだそうですが…………不問には出来ませんでした。ですが元老院の方々も二人を庇ってくださっていたようですね』
元老院はガリオンを庇う為に今回の事に関与したのだとシュネは答えた。
貴族でもあるガリオンが処罰される事を元老院はいい顔をせずアルヴァーニ王に進言した事、
それに加えてのルゼリアの手紙もあり処罰は軽いものになったと言う事だった。
『そうですか、………………元老院の方には感謝したほうが良いのかもしれません』
ルゼリアに冷たく当たり何かと嫌味を言い続ける元老院だが今回に限ってはそのお陰で二人の処罰が軽いものになったのだ複雑そうなシュネに二人に悪い事をしましたとルゼリアは反省した。
次に叔父からの手紙を読んだ。
その後には手紙一面に長々とレザリックからの説教が書かれていた。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。
結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。
アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。
アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる