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アクアマリンの章
1. Ep-12.力加減
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野菜の入った鍋がコトコトと煮えている。じっくりと煮込みながらルゼリアはなくなってしまった食材を如何しようかと考えていた。
使いに出した騎士達はまだ戻っていない、鍋が置かれている竈の横には新たに魚を焼く竈が用意されていた。
そこでは網を乗せてレクターとトリノが魚を焼いている、じっくり弱火で焼いている為に焼きあがるのにはもう少し時間が掛かるだろうか。
さてどうしよう、そう思ったルゼリアだが癒しの大樹からアリシアが出てくるのが目に付いた。
疲れた様子のアリシアが近づくと疲れましたっと報告していく。
「シュネ様は人使いが荒いですわ」
中ではシュネはまだ怪我人の手当てをしているのだろう、慰めてくださいましっとしゃがみこむアリシアにルゼリアはよしよしと頭を撫でた。
だがすぐにルゼリアは手を引っ込めると煮込んでいる鍋の方へと視線を向ける。
グツグツと言う音が聞こえたルゼリアはトリノに少し鍋をずらして欲しいと頼む。火が強すぎるのだろう。
頷いたトリノは鍋をひょいと持ち上げると火の弱い場所に移している。感謝の言葉を掛けて鍋を掻き混ぜていく、底が焦げるのは防げたようだ。
再びコトコトと言う音を聞いて視線をアリシアへと戻す。
「まだ味付けはしないんですの?」
鍋のすぐ近くまで来たアリシアが首を傾げている。
もう少し煮込んでからの方が美味しくなるのですと聞いてそうなんですの?と不思議そうだ。
「おい、アリシア。お前鍋に触るなよ、絶対に触るなよ」
魚をひっくり返していたレクターがアリシアに釘を刺していく。
「何でですの?」
「そりゃあ、お前が料理音痴だからだろうが!」
言い切ったレクターにアリシアは酷いっと頬を膨らましている。
「私料理音痴なんかじゃありませんわ!」
「嘘付け!!お前が作った料理は食えたものじゃねえんだよ!!野営の時に食って騎士団を壊滅まで追い込んだのを忘れてねえだろうな!」
以前アリシアの料理で散々な目にあったレクターはアリシアに鍋に触れるな近づくなっと警告をしている。
「あの時はたまたま近くにあった美味しそうなきのこを入れたからですわ。他は完璧でした」
毒キノコと知らずに鍋に放り込んでしまったらしい、それを食べた騎士達は酷い目にあったとか。
「いいや、毒キノコとかの問題じゃねえんだよ、あの時の味…………忘れたくても忘れられねえ」
最悪な形で記憶に残ってるぞと言うレクターに珍しくトリノも同意をしていた。
「あれ以来アリシア殿には野営地での料理番が来なくなったのは当然の事だ」
「酷い…………二人とも酷いですわ!!姫君…………私悲しいです」
泣き真似をするアリシアにルゼリアは困った顔をする、
アリシアの料理は食べた事がないが当時城でも話題になった事だった、シュネが酷く怒って数時間アリシアを説教していた記憶がある。
もしその時に他国からの戦でもあれば確実に負けていただろうとも言われていたぐらいだ。
頑丈な竜達を倒すアリシアの料理、どう作っていたのだろうかと気になりはしたもののあえてそれを口に出す事はなかった。
そうしている内に一つの鍋が丁度良く煮込まれていた。
ルゼリアは香辛料を鍋へと入れながら味を見ていく、少し薄いと塩を入れて鍋全体をゆっくりと掻き混ぜる。
それを見ていたアリシアが混ぜたいですわっと名乗り出れば混ぜるだけなら問題ないのではないかとルゼリアは木で出来た道具をアリシアに渡してしまった。
「おい姫さん、やめろって!」
受け取った道具で鍋を掻き混ぜるアリシアだがルゼリアは失念していた。
ルゼリアは非力でありアリシアは竜の力が使えるのだ、あっと思った時には遅くボキっと言う音が耳に響く。
鍋を見ればアリシアが持つ道具の持つ部分が真っ二つになっていた。
慌ててルゼリアは鍋から道具を取り出す、欠片など入っていたら食べれなくなってしまう。
「…………割れちゃいましたわ」
「お前……“割れちゃいましたわ”じゃねえよ!!だから触るなって言っただろうが!」
木で出来た道具はアリシアの力には耐えれなかった。
愛用していた道具を割られてしまったルゼリアは悲しそうにしながらもトリノに鍋を下ろして欲しいと頼む。
もう少しで出来上がりかけていた鍋の一つが食べれなくなってしまった、表面には道具の欠片である木の屑が浮んでいるのが見える。
それを見てレクターはアリシアは鍋に近づくなっと警告しながら食べれなくなった鍋を見つめた。
「…………屑とれば食べれるんじゃね?」
そう言って浮んでいる木屑をすくい上げていく。
『ですが木屑の入った料理を来てくださった方に出すわけには…………』
「なら騎士達の昼飯にすればいいだろ。捨てるのは勿体無いしな」
レクターはそう言って最後まで味付けしてくれよっとルゼリアに頼んだ、
確かに料理を捨てるのは気がひける、ルゼリアはわかりましたと頷いた。
出来る限る木屑を取り除き味を調えていく、小皿に移して味を確認しながら頷いた。
『出来ました』
「姫さん、味見してもいいか?」
ええと頷いてルゼリアは新しい小皿にスープを入れて差し出していく。
『トリノもどうぞ、アリシアも味を見てください』
二人にも渡せば全員が味見をする。
「トロリとしてて野菜の甘みが一杯出て美味しいですわ」
トリノも美味しいですと頷いている。
『では他の鍋も仕上げていきます』
木屑の入ってしまった料理は蓋をして邪魔にならないように移動させておく。
そうして他の鍋の料理も味付けをしていきトリノとレクターに鍋に近づくなと言われたアリシアは大人しく鍋から離れて見ている。
出来上がった鍋はこれ以上沸騰させないように火から下ろせば買出しに出ていた騎士達が戻ってきた。
使いに出した騎士達はまだ戻っていない、鍋が置かれている竈の横には新たに魚を焼く竈が用意されていた。
そこでは網を乗せてレクターとトリノが魚を焼いている、じっくり弱火で焼いている為に焼きあがるのにはもう少し時間が掛かるだろうか。
さてどうしよう、そう思ったルゼリアだが癒しの大樹からアリシアが出てくるのが目に付いた。
疲れた様子のアリシアが近づくと疲れましたっと報告していく。
「シュネ様は人使いが荒いですわ」
中ではシュネはまだ怪我人の手当てをしているのだろう、慰めてくださいましっとしゃがみこむアリシアにルゼリアはよしよしと頭を撫でた。
だがすぐにルゼリアは手を引っ込めると煮込んでいる鍋の方へと視線を向ける。
グツグツと言う音が聞こえたルゼリアはトリノに少し鍋をずらして欲しいと頼む。火が強すぎるのだろう。
頷いたトリノは鍋をひょいと持ち上げると火の弱い場所に移している。感謝の言葉を掛けて鍋を掻き混ぜていく、底が焦げるのは防げたようだ。
再びコトコトと言う音を聞いて視線をアリシアへと戻す。
「まだ味付けはしないんですの?」
鍋のすぐ近くまで来たアリシアが首を傾げている。
もう少し煮込んでからの方が美味しくなるのですと聞いてそうなんですの?と不思議そうだ。
「おい、アリシア。お前鍋に触るなよ、絶対に触るなよ」
魚をひっくり返していたレクターがアリシアに釘を刺していく。
「何でですの?」
「そりゃあ、お前が料理音痴だからだろうが!」
言い切ったレクターにアリシアは酷いっと頬を膨らましている。
「私料理音痴なんかじゃありませんわ!」
「嘘付け!!お前が作った料理は食えたものじゃねえんだよ!!野営の時に食って騎士団を壊滅まで追い込んだのを忘れてねえだろうな!」
以前アリシアの料理で散々な目にあったレクターはアリシアに鍋に触れるな近づくなっと警告をしている。
「あの時はたまたま近くにあった美味しそうなきのこを入れたからですわ。他は完璧でした」
毒キノコと知らずに鍋に放り込んでしまったらしい、それを食べた騎士達は酷い目にあったとか。
「いいや、毒キノコとかの問題じゃねえんだよ、あの時の味…………忘れたくても忘れられねえ」
最悪な形で記憶に残ってるぞと言うレクターに珍しくトリノも同意をしていた。
「あれ以来アリシア殿には野営地での料理番が来なくなったのは当然の事だ」
「酷い…………二人とも酷いですわ!!姫君…………私悲しいです」
泣き真似をするアリシアにルゼリアは困った顔をする、
アリシアの料理は食べた事がないが当時城でも話題になった事だった、シュネが酷く怒って数時間アリシアを説教していた記憶がある。
もしその時に他国からの戦でもあれば確実に負けていただろうとも言われていたぐらいだ。
頑丈な竜達を倒すアリシアの料理、どう作っていたのだろうかと気になりはしたもののあえてそれを口に出す事はなかった。
そうしている内に一つの鍋が丁度良く煮込まれていた。
ルゼリアは香辛料を鍋へと入れながら味を見ていく、少し薄いと塩を入れて鍋全体をゆっくりと掻き混ぜる。
それを見ていたアリシアが混ぜたいですわっと名乗り出れば混ぜるだけなら問題ないのではないかとルゼリアは木で出来た道具をアリシアに渡してしまった。
「おい姫さん、やめろって!」
受け取った道具で鍋を掻き混ぜるアリシアだがルゼリアは失念していた。
ルゼリアは非力でありアリシアは竜の力が使えるのだ、あっと思った時には遅くボキっと言う音が耳に響く。
鍋を見ればアリシアが持つ道具の持つ部分が真っ二つになっていた。
慌ててルゼリアは鍋から道具を取り出す、欠片など入っていたら食べれなくなってしまう。
「…………割れちゃいましたわ」
「お前……“割れちゃいましたわ”じゃねえよ!!だから触るなって言っただろうが!」
木で出来た道具はアリシアの力には耐えれなかった。
愛用していた道具を割られてしまったルゼリアは悲しそうにしながらもトリノに鍋を下ろして欲しいと頼む。
もう少しで出来上がりかけていた鍋の一つが食べれなくなってしまった、表面には道具の欠片である木の屑が浮んでいるのが見える。
それを見てレクターはアリシアは鍋に近づくなっと警告しながら食べれなくなった鍋を見つめた。
「…………屑とれば食べれるんじゃね?」
そう言って浮んでいる木屑をすくい上げていく。
『ですが木屑の入った料理を来てくださった方に出すわけには…………』
「なら騎士達の昼飯にすればいいだろ。捨てるのは勿体無いしな」
レクターはそう言って最後まで味付けしてくれよっとルゼリアに頼んだ、
確かに料理を捨てるのは気がひける、ルゼリアはわかりましたと頷いた。
出来る限る木屑を取り除き味を調えていく、小皿に移して味を確認しながら頷いた。
『出来ました』
「姫さん、味見してもいいか?」
ええと頷いてルゼリアは新しい小皿にスープを入れて差し出していく。
『トリノもどうぞ、アリシアも味を見てください』
二人にも渡せば全員が味見をする。
「トロリとしてて野菜の甘みが一杯出て美味しいですわ」
トリノも美味しいですと頷いている。
『では他の鍋も仕上げていきます』
木屑の入ってしまった料理は蓋をして邪魔にならないように移動させておく。
そうして他の鍋の料理も味付けをしていきトリノとレクターに鍋に近づくなと言われたアリシアは大人しく鍋から離れて見ている。
出来上がった鍋はこれ以上沸騰させないように火から下ろせば買出しに出ていた騎士達が戻ってきた。
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