14 / 104
第一章
つけまとれる
しおりを挟む
栗林とのやり取りが終わった後、俺は再び教室に向かった。
荷物を教室に全部置いているからだ。
教室のスライドドアを開けると、美奈子がいた。
「あ、龍ちゃんまだいたのぉ?」
「宿泊訓練のことを栗林に聞きに行ってたんだ」
「あーね。宿泊訓練とかやりたい子だけで勝手にやってよって感じだしぃ」
ネイルされた爪を見ながら美奈子が言う。
「龍ちゃん今暇?」
「もう帰ろうと思ってたけど・・・」
「なら学食の近くにある自販機行ってちょっと語ろうよ。アタシ喉乾いちゃったしぃ」
そう言って鞄からブランド物の財布を出す。
「うん、別にいいよ」
俺も財布を出し、美奈子と一緒に教室を出た。
──────────────
美奈子と他愛ない話をしながら、学食横の自販機に辿り着く。
美奈子は缶に入った温かいこぶ茶を、俺はペットボトルのレモンティーをそれぞれ買い、すぐ近くに設置されたベンチに並んで腰かける。
「冬でもないのに温かいこぶ茶?」
「アタシこれ超好きなのぉ!」
そう言って、美奈子はズズズとこぶ茶をすする。
・・・ばあさんかこいつは。
「あ、そう」
俺もレモンティーを少し口に含む。
「そう言えばさ、美奈子ちゃんはなんで教室に残ってたの?」
「携帯小説読んでたの。家だと集中して読めないからたまに放課後教室で読んでるのぉ」
詳しく話を聞いてみると、どうやらこの若ババアが読んでいたのは少し前に流行っていた『オロと海の女王』というファンタジー小説らしい。
俺は読んだことはないが、映画化もされ大ヒットした作品だ。
「もう泣けちゃって泣けちゃってぇ。つけま何回も取れちゃうからまつエクに変えたのぉ」
話が散らかりすぎてどこからつっこんでいいのかわからない。
「・・・そうなんだ、いろいろ大変だね」
当たり障りのない返しをしておいた。
「転校してきて2日目、どうだったぁ?」
急に話が変わる。
「少しずつだけど友達もできてきたよ」
「龍ちゃん、今日の昼休みは加藤と山下と一緒に昼ご飯食べてたもんねぇ」
その言葉を聞いたとき、牽制し合っていた諒太と智也のことを思い出した。
「・・・諒太と智也ってさ、なんかあったりした?」
ダメもとでこぶ茶をすする美奈子に聞いてみる。
「あの2人入学した時からなんか仲悪いみたいでぇ、理由はよく分かんないんだけどぉ。アタシに言わせてみれば女々しいことしてないで文句あるなら拳で勝負しろって感じだしぃ。ギャル業界でもそんなの当たり前なのぉ」
だてにクラスのギャル軍団を統括しているのではないということか。
「もしかして美奈子ちゃんも殴り合うようなケンカしたことあんの?」
「アタシも昔はちょっとヤンチャガールだったから相手を病院送りにしたこともあったけどぉ。今は超平和主義だしぃ」
そう言って残り少ないこぶ茶をズズズと飲み干す。
こぶ茶すすりながら言うような話じゃねえ・・・。
「でもね、自分の譲れないものを懸けて本気でやり合った相手のことは自然と理解できるものだし、結果的にそれでお互い分かり合えるのなら、そういうのも時には大事だとアタシは思うよ」
いつになく真剣に言う美奈子。
「・・・かっこいいね、美奈子ちゃん」
「やだぁ。なんか自分語りしちゃってマジありえないんだけどぉ」
美奈子がペロリと舌を出して笑う。
俗に言うてへぺろってやつだ。
─────グラウンドの方から部活に励む運動部の声が聞こえる。
その後、俺達は辺りが薄暗くなるまで他愛ない話に花を咲かせた。
荷物を教室に全部置いているからだ。
教室のスライドドアを開けると、美奈子がいた。
「あ、龍ちゃんまだいたのぉ?」
「宿泊訓練のことを栗林に聞きに行ってたんだ」
「あーね。宿泊訓練とかやりたい子だけで勝手にやってよって感じだしぃ」
ネイルされた爪を見ながら美奈子が言う。
「龍ちゃん今暇?」
「もう帰ろうと思ってたけど・・・」
「なら学食の近くにある自販機行ってちょっと語ろうよ。アタシ喉乾いちゃったしぃ」
そう言って鞄からブランド物の財布を出す。
「うん、別にいいよ」
俺も財布を出し、美奈子と一緒に教室を出た。
──────────────
美奈子と他愛ない話をしながら、学食横の自販機に辿り着く。
美奈子は缶に入った温かいこぶ茶を、俺はペットボトルのレモンティーをそれぞれ買い、すぐ近くに設置されたベンチに並んで腰かける。
「冬でもないのに温かいこぶ茶?」
「アタシこれ超好きなのぉ!」
そう言って、美奈子はズズズとこぶ茶をすする。
・・・ばあさんかこいつは。
「あ、そう」
俺もレモンティーを少し口に含む。
「そう言えばさ、美奈子ちゃんはなんで教室に残ってたの?」
「携帯小説読んでたの。家だと集中して読めないからたまに放課後教室で読んでるのぉ」
詳しく話を聞いてみると、どうやらこの若ババアが読んでいたのは少し前に流行っていた『オロと海の女王』というファンタジー小説らしい。
俺は読んだことはないが、映画化もされ大ヒットした作品だ。
「もう泣けちゃって泣けちゃってぇ。つけま何回も取れちゃうからまつエクに変えたのぉ」
話が散らかりすぎてどこからつっこんでいいのかわからない。
「・・・そうなんだ、いろいろ大変だね」
当たり障りのない返しをしておいた。
「転校してきて2日目、どうだったぁ?」
急に話が変わる。
「少しずつだけど友達もできてきたよ」
「龍ちゃん、今日の昼休みは加藤と山下と一緒に昼ご飯食べてたもんねぇ」
その言葉を聞いたとき、牽制し合っていた諒太と智也のことを思い出した。
「・・・諒太と智也ってさ、なんかあったりした?」
ダメもとでこぶ茶をすする美奈子に聞いてみる。
「あの2人入学した時からなんか仲悪いみたいでぇ、理由はよく分かんないんだけどぉ。アタシに言わせてみれば女々しいことしてないで文句あるなら拳で勝負しろって感じだしぃ。ギャル業界でもそんなの当たり前なのぉ」
だてにクラスのギャル軍団を統括しているのではないということか。
「もしかして美奈子ちゃんも殴り合うようなケンカしたことあんの?」
「アタシも昔はちょっとヤンチャガールだったから相手を病院送りにしたこともあったけどぉ。今は超平和主義だしぃ」
そう言って残り少ないこぶ茶をズズズと飲み干す。
こぶ茶すすりながら言うような話じゃねえ・・・。
「でもね、自分の譲れないものを懸けて本気でやり合った相手のことは自然と理解できるものだし、結果的にそれでお互い分かり合えるのなら、そういうのも時には大事だとアタシは思うよ」
いつになく真剣に言う美奈子。
「・・・かっこいいね、美奈子ちゃん」
「やだぁ。なんか自分語りしちゃってマジありえないんだけどぉ」
美奈子がペロリと舌を出して笑う。
俗に言うてへぺろってやつだ。
─────グラウンドの方から部活に励む運動部の声が聞こえる。
その後、俺達は辺りが薄暗くなるまで他愛ない話に花を咲かせた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる