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いざ行かん
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次の日
「ユウト様本当に行かれるのですか?」
ベルゼブブは心配を隠せないようだ。
「大丈夫だって、リーゼもベスがいるから」
リーゼは牛魔王の一族、ベスに至っても名門吸血鬼だ。
何かがあるとは思えない。
いや、思いたくない。
でも、人間界へ行くのは初めてだし、どんな文明が広がっているのだろう。
俺のいた世界と同じ文明水準かな。でも、魔法があるってことはそうでもないのかな?
そんな期待を膨らませ協定の会議場への道のりを歩き始めた。
ベルゼブブは終始不安げな表情だったけれど……あれ、こっそり付いてくるなんてことしないよな。
あの顔を見ているとそんな心配しか出てこない。
ともあれ何事もなく人間界と魔界の境界まで来た。
が、ここで問題が発生した。
「私は勇者アレキサンダー、そなたを魔王とお見受けした。人類のため、いざ勝負」
自称勇者の発生だ。
ろくなことにならないな。
てか、いきなり勇者の襲撃って何。
てか本当に勇者なの?
リーゼとベスを見ると二人とも殺気を出して警戒していた。
「あれって本当に勇者なの?」
「はい、その通りでございます」
そうリーゼが答える。
「え、マジで?」
「うん、私たちはあの勇者によって劣勢に立たされてるんだよ」
そうベスが言う。
まさかの自称勇者が本当の勇者だったとは。
「それよりも貴様、たとえ勇者といえど我が主人に向かってその態度許すわけにはいかぬ」
リーゼの角が巨大化する。
「まったくもってその通り」
翼を顕現させるベス。
「お、落ち着け、リーゼ、ベス。勇者さんも剣を収めてくれ。争う気は無い」
「しかし……」
渋るリーゼとベス。
その忠義はありがたいのだが、今は必要ない。
話し合いに武力は必要ではないのだ。
「落ち着け」
少しだけさっきよりも強めに言う。
「「承知」」
二人はそれぞれ殺気を霧散させた。
それを見ていた勇者も剣をしまった。
「我らはこれから行われる会議に参加するのだ。決して人間に危害は加えぬ」
「その言葉信じるに足る理由は」
「貴様……やはりここで死んでおくべきだ」
「リーゼ、やめろ」
悔しそうな顔をしながらも後ろへ下がる。
「我が人間に危害を加えないと言うのが信じられないならここで我を切ればいい」
「「ユウト様⁉︎」」
慌てふためくリーゼとベス。
「……疑ってすまなかった。確かに今日帝都で会議があると伺っている。私はその護衛を頼まれたここに赴いた次第だ」
「仇敵の魔王を勇者が護衛とな。皮肉なものだな」
「はっはっは、全くその通りでございますな。にしても今回の魔王様は随分と小さいのですね」
「あぁ、お前のせいでな」
お前が転移施設を襲撃しなければこんなことになってないんだぞ。
まったくなんてことをしてくれるんだ。
「でも、そのようなお姿でその魔力量ですか。大人になられたら恐ろしいどころではありませんね……」
そんなことを話しながら帝都への歩みを再開させた。
リーゼとベスは終始警戒を解かなかったけれど。
「ユウト様本当に行かれるのですか?」
ベルゼブブは心配を隠せないようだ。
「大丈夫だって、リーゼもベスがいるから」
リーゼは牛魔王の一族、ベスに至っても名門吸血鬼だ。
何かがあるとは思えない。
いや、思いたくない。
でも、人間界へ行くのは初めてだし、どんな文明が広がっているのだろう。
俺のいた世界と同じ文明水準かな。でも、魔法があるってことはそうでもないのかな?
そんな期待を膨らませ協定の会議場への道のりを歩き始めた。
ベルゼブブは終始不安げな表情だったけれど……あれ、こっそり付いてくるなんてことしないよな。
あの顔を見ているとそんな心配しか出てこない。
ともあれ何事もなく人間界と魔界の境界まで来た。
が、ここで問題が発生した。
「私は勇者アレキサンダー、そなたを魔王とお見受けした。人類のため、いざ勝負」
自称勇者の発生だ。
ろくなことにならないな。
てか、いきなり勇者の襲撃って何。
てか本当に勇者なの?
リーゼとベスを見ると二人とも殺気を出して警戒していた。
「あれって本当に勇者なの?」
「はい、その通りでございます」
そうリーゼが答える。
「え、マジで?」
「うん、私たちはあの勇者によって劣勢に立たされてるんだよ」
そうベスが言う。
まさかの自称勇者が本当の勇者だったとは。
「それよりも貴様、たとえ勇者といえど我が主人に向かってその態度許すわけにはいかぬ」
リーゼの角が巨大化する。
「まったくもってその通り」
翼を顕現させるベス。
「お、落ち着け、リーゼ、ベス。勇者さんも剣を収めてくれ。争う気は無い」
「しかし……」
渋るリーゼとベス。
その忠義はありがたいのだが、今は必要ない。
話し合いに武力は必要ではないのだ。
「落ち着け」
少しだけさっきよりも強めに言う。
「「承知」」
二人はそれぞれ殺気を霧散させた。
それを見ていた勇者も剣をしまった。
「我らはこれから行われる会議に参加するのだ。決して人間に危害は加えぬ」
「その言葉信じるに足る理由は」
「貴様……やはりここで死んでおくべきだ」
「リーゼ、やめろ」
悔しそうな顔をしながらも後ろへ下がる。
「我が人間に危害を加えないと言うのが信じられないならここで我を切ればいい」
「「ユウト様⁉︎」」
慌てふためくリーゼとベス。
「……疑ってすまなかった。確かに今日帝都で会議があると伺っている。私はその護衛を頼まれたここに赴いた次第だ」
「仇敵の魔王を勇者が護衛とな。皮肉なものだな」
「はっはっは、全くその通りでございますな。にしても今回の魔王様は随分と小さいのですね」
「あぁ、お前のせいでな」
お前が転移施設を襲撃しなければこんなことになってないんだぞ。
まったくなんてことをしてくれるんだ。
「でも、そのようなお姿でその魔力量ですか。大人になられたら恐ろしいどころではありませんね……」
そんなことを話しながら帝都への歩みを再開させた。
リーゼとベスは終始警戒を解かなかったけれど。
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