9 / 17
いざ行かん
しおりを挟む
次の日
「ユウト様本当に行かれるのですか?」
ベルゼブブは心配を隠せないようだ。
「大丈夫だって、リーゼもベスがいるから」
リーゼは牛魔王の一族、ベスに至っても名門吸血鬼だ。
何かがあるとは思えない。
いや、思いたくない。
でも、人間界へ行くのは初めてだし、どんな文明が広がっているのだろう。
俺のいた世界と同じ文明水準かな。でも、魔法があるってことはそうでもないのかな?
そんな期待を膨らませ協定の会議場への道のりを歩き始めた。
ベルゼブブは終始不安げな表情だったけれど……あれ、こっそり付いてくるなんてことしないよな。
あの顔を見ているとそんな心配しか出てこない。
ともあれ何事もなく人間界と魔界の境界まで来た。
が、ここで問題が発生した。
「私は勇者アレキサンダー、そなたを魔王とお見受けした。人類のため、いざ勝負」
自称勇者の発生だ。
ろくなことにならないな。
てか、いきなり勇者の襲撃って何。
てか本当に勇者なの?
リーゼとベスを見ると二人とも殺気を出して警戒していた。
「あれって本当に勇者なの?」
「はい、その通りでございます」
そうリーゼが答える。
「え、マジで?」
「うん、私たちはあの勇者によって劣勢に立たされてるんだよ」
そうベスが言う。
まさかの自称勇者が本当の勇者だったとは。
「それよりも貴様、たとえ勇者といえど我が主人に向かってその態度許すわけにはいかぬ」
リーゼの角が巨大化する。
「まったくもってその通り」
翼を顕現させるベス。
「お、落ち着け、リーゼ、ベス。勇者さんも剣を収めてくれ。争う気は無い」
「しかし……」
渋るリーゼとベス。
その忠義はありがたいのだが、今は必要ない。
話し合いに武力は必要ではないのだ。
「落ち着け」
少しだけさっきよりも強めに言う。
「「承知」」
二人はそれぞれ殺気を霧散させた。
それを見ていた勇者も剣をしまった。
「我らはこれから行われる会議に参加するのだ。決して人間に危害は加えぬ」
「その言葉信じるに足る理由は」
「貴様……やはりここで死んでおくべきだ」
「リーゼ、やめろ」
悔しそうな顔をしながらも後ろへ下がる。
「我が人間に危害を加えないと言うのが信じられないならここで我を切ればいい」
「「ユウト様⁉︎」」
慌てふためくリーゼとベス。
「……疑ってすまなかった。確かに今日帝都で会議があると伺っている。私はその護衛を頼まれたここに赴いた次第だ」
「仇敵の魔王を勇者が護衛とな。皮肉なものだな」
「はっはっは、全くその通りでございますな。にしても今回の魔王様は随分と小さいのですね」
「あぁ、お前のせいでな」
お前が転移施設を襲撃しなければこんなことになってないんだぞ。
まったくなんてことをしてくれるんだ。
「でも、そのようなお姿でその魔力量ですか。大人になられたら恐ろしいどころではありませんね……」
そんなことを話しながら帝都への歩みを再開させた。
リーゼとベスは終始警戒を解かなかったけれど。
「ユウト様本当に行かれるのですか?」
ベルゼブブは心配を隠せないようだ。
「大丈夫だって、リーゼもベスがいるから」
リーゼは牛魔王の一族、ベスに至っても名門吸血鬼だ。
何かがあるとは思えない。
いや、思いたくない。
でも、人間界へ行くのは初めてだし、どんな文明が広がっているのだろう。
俺のいた世界と同じ文明水準かな。でも、魔法があるってことはそうでもないのかな?
そんな期待を膨らませ協定の会議場への道のりを歩き始めた。
ベルゼブブは終始不安げな表情だったけれど……あれ、こっそり付いてくるなんてことしないよな。
あの顔を見ているとそんな心配しか出てこない。
ともあれ何事もなく人間界と魔界の境界まで来た。
が、ここで問題が発生した。
「私は勇者アレキサンダー、そなたを魔王とお見受けした。人類のため、いざ勝負」
自称勇者の発生だ。
ろくなことにならないな。
てか、いきなり勇者の襲撃って何。
てか本当に勇者なの?
リーゼとベスを見ると二人とも殺気を出して警戒していた。
「あれって本当に勇者なの?」
「はい、その通りでございます」
そうリーゼが答える。
「え、マジで?」
「うん、私たちはあの勇者によって劣勢に立たされてるんだよ」
そうベスが言う。
まさかの自称勇者が本当の勇者だったとは。
「それよりも貴様、たとえ勇者といえど我が主人に向かってその態度許すわけにはいかぬ」
リーゼの角が巨大化する。
「まったくもってその通り」
翼を顕現させるベス。
「お、落ち着け、リーゼ、ベス。勇者さんも剣を収めてくれ。争う気は無い」
「しかし……」
渋るリーゼとベス。
その忠義はありがたいのだが、今は必要ない。
話し合いに武力は必要ではないのだ。
「落ち着け」
少しだけさっきよりも強めに言う。
「「承知」」
二人はそれぞれ殺気を霧散させた。
それを見ていた勇者も剣をしまった。
「我らはこれから行われる会議に参加するのだ。決して人間に危害は加えぬ」
「その言葉信じるに足る理由は」
「貴様……やはりここで死んでおくべきだ」
「リーゼ、やめろ」
悔しそうな顔をしながらも後ろへ下がる。
「我が人間に危害を加えないと言うのが信じられないならここで我を切ればいい」
「「ユウト様⁉︎」」
慌てふためくリーゼとベス。
「……疑ってすまなかった。確かに今日帝都で会議があると伺っている。私はその護衛を頼まれたここに赴いた次第だ」
「仇敵の魔王を勇者が護衛とな。皮肉なものだな」
「はっはっは、全くその通りでございますな。にしても今回の魔王様は随分と小さいのですね」
「あぁ、お前のせいでな」
お前が転移施設を襲撃しなければこんなことになってないんだぞ。
まったくなんてことをしてくれるんだ。
「でも、そのようなお姿でその魔力量ですか。大人になられたら恐ろしいどころではありませんね……」
そんなことを話しながら帝都への歩みを再開させた。
リーゼとベスは終始警戒を解かなかったけれど。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中ーー完結!!】
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
二十年の裏切りの果て、その事実だけを抱え、離縁状を置いて家を出た。
そこで待っていたのは、凍てつく絶望――。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と縋られても、
死の淵を彷徨った私には、裏切ったあなたを許す力など残っていない。
「でも、子供たちの心だけは、
必ず取り戻す」
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔い、歪な愛でもいいと手を伸ばした彼女が辿り着いた先。
それは、「歪で、完全な幸福」か、それとも――。
これは、"石"に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる