キツネの女王

わんころ餅

文字の大きさ
85 / 108

世界の謎じゃ

しおりを挟む
「それだよ!セイラさん!」

「えっ!?」

「ポチお殿、図面は描くことできるか?」

「多少なら描けるよ?お絵描きくらいだけど」

「あ、あのぅ……?」

「にゃんちゃん!ウチたちは何をしたらいいかな!?」

「材料を持ってこよう!多分鉄がかなりいると思う……かな?」

「よーし、いっくぞー!」

「えっと……!」

 セイラはいきなり手際良く動き始める四人に対し、置いてけぼりになってしまう。
 声をかけても集中しているのか、返事が一つも返ってこず、握り拳を作ってプルプルと震える。
 そして偶々目の前を通ったポチおの頭に鉄槌を浴びせる。

「話を聞きなさいっ!」

「ウボァー!?」

 腕力のない鳥人族でも魔力を込めればそれなりの殴打力になるため、ポチおはなす術もなく地面に叩きつけられた。

「全く!あなたたちは勝手に動かないでくださいっ!今からどうするのか説明がないから、わたくしはどう動けばいいのですかっ!?」

「……セイラさんは一番の功労者じゃない?」

「え……?」

「一番のヒントをくれたヒトになるな……!」

「ええっ……?」
 
「そうです!魔道具のこと分からないけど、さっきの大事な発言がみんなにハマりましたよ!」

「えええ……」

「ヒントがなかったらガルド君もポチお君もどうすればいいか分かんなかったし、セイラ様はナイスアプローチだよ!」

 結局、自身のどういう発言で彼らのやる気を上げたのか不明であり、頭を抱えることになる。
 すると、ポチおが簡単な絵を持ってきてセイラに見せる。
 渦巻き貝のような見た目をした部分とそれから伸びるアンテナのようなものが描かれてあった。
 
「このグルグルに【魔素】?を入れて、魔法を発動させて【太陽】に直接転送できるようなものを作りたいんだけど、このグルグルに魔素を集める魔法とこのアンテナから集めた魔素を太陽に転送する魔法って存在する?」

「……ああ、【魔素】のことだったのですか……。えっと、【吸収】か【収束】の魔法を使えば集めることができること思います。【転送】の魔法は存在しますが、おそらくこの世界に使い手はいないかと……」

「それって、使い手が死んだから?」

 セイラは頷く。
 ポチおはがっくしと肩を落とし、落胆する。
 セイラはポチおの説明を聴き、絵をじっくりと見ると、一つ指摘する。

「【吸収】や【収束】で集めるのはわかったのですが、逆の【放出】か【発散】を考えないといけませんよ?普通に使う魔法とは違って、溜め込むと魔道具に負荷がかかって故障の元になるので、反対魔法で力を逃す必要があります」

「へぇ……!扇風機みたいだな……」

「センプウキ……?」

「ごめんごめん……!地上にある機械と同じなんだなぁって」

 ポチおが謝りながら設計図と睨めっこしていると、セイラは一つ気がついた。

「もしかして、この世界は地上と同じような環境にするために色々なものを魔法や魔力、魔素で補っている……?」

「……!そうか、地上は色んなものがここに比べて充実しているから魔法が必要ない。逆にこの世界は色んなものが足りないから魔法で補っている……そんな関係なのか……」

「じゃあ、【太陽】はウチ達の世界に足りないものを作ってくれる存在になるはずだった……?でも、どうして魔素が足りないの?アレってこの世界で無くなることってないはずだけど……」

 ライラの指摘でセイラとガルドは魔素がなぜ不足する事態になったのか分からず、考え込む。
 ポチおは難しい顔をしていると、にゃんがポンと肩に手を置く。

「大丈夫。分かってくれるよ?」

 そんな言葉をかけられ、ポチおは安心したような表情に変わり、頷く。

「きっと……地上の仕業だと思う。」

 セイラ、ガルド、ライラはポチおを見る。

「地上の世界は石油や石炭とかの燃料がなくなってな……。【新人類】の実験が始まった。おそらく、それまでも……ふくさんがいた頃にも同じような実験はあったはず……。……失敗作は何で生まれた……?」

「……失敗作……魔物の事ですね。」

「悩んでも仕方ないよ!まずはヴォルフさまを助ける?ために魔道具作らなきゃ!」

 ライラは難しい説明が嫌になってきたのか魔道具製作の続きを急かす。
 本来の目的を思い出した一同は作業再開する。
 セイラがブツブツと独り言を言いながら歩いていると、何かにぶつかる。

「あ、ごめんなさい。前をみて……ヴォルフ様!?帰ってきたのですか!?」
 
「ああ。今帰ったところ」

「戻ったのじゃ。……なぜ作業をしておるのか?【みすりる】の余りでもあったのかの?」

 ふくがドサッとミスリルの原石を置く。
 その量に驚いていると、セイラはその場に座り、頭を下げる。

「ふく様、採ってきてもらえて助かったのですが……、実は……ミスリルを精製できたようです」

「ほう……!どうやったら作れるのかわかったのかの?」

「……お、お叱りはないのですか……?」

「あるわけないじゃろう。作れるようになったのは良い事じゃろう?採取以外で材料が手に入るなら良い方法じゃ」

 ふくは嬉しそうに背伸びをすると裏庭に向かっていく。
 セイラは安心して、ホッとすると作業を再開するのである。
 設計図と睨めっこをし、どのように加工していこうかと考えていると裏庭から大きな声が聞こえた。

「せいらーっ!!」

 ふくが般若のような形相で加工場に走って乗り込んでくる。
 完全に怒っているふくに腰を抜かしたセイラはその場に座り込む。
 今まで生きてきて感じたことのない魔力の威圧感で怯えてしまい、足元に水溜りを作り、震え上がる。

「お前達もじゃ!なぜ風呂ができておらんのじゃ!」

 ふくの言葉にハッとする。
 ヴォルフの為の魔道具作りは確かにあったのだが、お風呂を作るという、当初の目的を皆忘れており、ふくに叱られることになる。
 その日は急ピッチでお風呂を作ることになったのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...