僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

ブラッシュアップ開始。

タウンハウス。

　門を潜るとそこは門前街と倉庫街だった。ファンタジー小説だとすぐに街の光景が広がっているように書いてあるが、人がたくさんいる街では利便性を考えるとこういう配置になるのだろう。僕はその倉庫街の大きさに驚く。道が何筋もあり、かなり奥まで倉庫があるようだ。そこを抜けるのにしばらく時間がかかった。
　倉庫街を抜けると大通りに店が立ち並ぶ。ルステインより高い建物が多い。たくさんの人間が歩いている。大通りには馬車が行き交う。大きな筋に当たるとロータリーになる。かなり計画的に王都は作られているようだ。
　お店が並ぶ通りを抜けるのにすごい時間がかかったが、そこを抜けると門に当たる。ここにも検問がいてまたお父さんが招待状を出した。ここでも敬礼されすんなりと中に入る。
　門を抜けると草地の広場がある。そこにはプテラノドンのような生き物が羽を休めている。あれがワイバーンだ、とデボンさんが目を輝かせて言う。
　広場を抜けると豪華な建物が並んでいる。お父さんもデボンさんも緊張している。ここは貴族街だそうだ。手前から奥に進むごとに建物が大きくなっている。奥に入るごとに偉い貴族になるのだろうな。馬車は途中で筋を曲がり大きな屋敷で止まる。かなり大きい。お父さんがここがルステイン伯爵のタウンハウスだよ、と教えてくれた。
　お父さん、僕、デボンさんの順で馬車を降りる。お兄さん達が降りてくる。御者を勤めてくれた商会員かぞく達は傭兵たちの精算をしているようだ。フレドとミザーリとジェンはハイタッチをしている。一仕事終えてお互いに労りあってるようだ。
　使用人一同だろうか、玄関から十数人が出てきて並ぶ。レイさんみたいなナイスミドルが僕たちの前に出てくる。

「お待ちしておりました。王様のお客人の皆様を迎えられたことは望外の喜びでございます。精一杯お世話させていただきますが、至らぬ点がございましたらいつでもおっしゃってください。では係の者がお客様のご案内をいたしますのでよろしくお願い致します」
「ルステイン伯爵家御用商会スサン商会商会長ハッセルエン・スサン様、ご案内致します」

　お父さんが案内のメイドさんについていく。他の使用人がお父さんが前を過ぎると一斉に『いらっしゃいませ』と頭を下げる。

「ルステイン伯爵家御用商会スサン商会ロイックエン・スサン様、ご案内致します」
「ルステイン伯爵家御用商会スサン商会ストラスト・スサン様、ご案内致します」

　お兄さん達がついていった。次は僕の番だ。嫌だなあ。

「ルステイン伯爵家御用商会スサン商会リョウエスト・スサン様、ご案内致します」
「うん！」

　僕を迎えにきたのは年若いメイドだった。着いていくと一階の廊下を進んでいく。

「お父さん達は？」
「ここの２階のゲストルームにご案内しています」
「そっちじゃないの？」
「階段が急な為一階にさせていただきました。一緒の方がよろしかったですか？」
「大丈夫」
「伯爵家のお子様の為にご用意した部屋ですので安全面も考慮されております。ご安心下さい」
「うん！」

　部屋に案内されたらものすごくデカい部屋だった。十二畳はゆうにあるだろう。その部屋に案内されると僕はソファーに座らせられる。

「マチルダと申します。滞在中のお世話をさせていただきます。よろしくお願いします」
「お願いします」
「お荷物はございますか？」
「全部収納に、入ってる」
「洗濯される服などはございますか？」
「あるー」
「お出しいただけますか？」
「いいの？」
「それが我々の仕事ですので大丈夫でございます」
「お願いします」

　僕は収納から用意されている籠に出した。

「お預かり致します。それから王城に着ていくご衣装をお手入れさせていただきます。お出しいただけますか？」
「うん！」

　僕は衣装を出して渡した。

「まあ。素敵なご衣装で。お預かりさせていただきます」
「お願いします」
「ではごゆっくりお寛ぎ下さいませ」
「うん！」

　マチルダさんが出て行った。しばらくお茶と用意されたお菓子を楽しんでいたが、する事もないので魔力を集める練習と魔力を動かす練習をする。エメイラにはそこまでしか教えてもらってないが全身に魔力を行き渡らせる練習もする。早く魔法使いたいわー。

　いつの間にか寝てしまった僕はノックの音で目が覚めた。返事をするとマチルダさんが入ってきてご飯だと言う。またマチルダさんに連れられて食堂に行った。

　食堂に行くとお高いであろう料理が並んでいた。マチルダさんが言うには僕の事を知ってるシェフが腕によりをかけて作ったのだという。緊張するわー。待っていたらお父さんとお兄さん達とデボンさんが揃ったのでご飯を食べ始める。なにこれ。ソース美味い。そこにナイスミドルがやってきてお父さんに一言二言言った。お父さんがうなずくとナイスミドルは出て行った。

「お前達の叔父さんが今から会いに来る。きちんと挨拶するんだぞ」
「レウフォ叔父さん？」
「そうだ」
「レウフォ叔父さんって？」
「お爺様の息子、お母さんのお兄さんだよ、ストラ」
「そうなんだね」

　ご飯を食べ終わり待っていると一人の男性が入ってくる。

「失礼する。ハッセルエン、久しぶりだなあ」
「レウフォ兄さん、しばらくぶり」

　お父さんと叔父さんはハグする。

「お前達、紹介しよう。レウフォ・ナフェル騎士爵。お前達の叔父さんだ」
「レウフォだ。気楽に叔父さんと呼んでくれ」
「叔父さん、久しぶりです。長男のロイックエンです」
「あんな小さかったロイックエンがもう成人してるとは。元気か？」
「おかげさまで」
「歌になるほど頑張ってるようだな」
「ありがとうございます」
「で、そっちがストラストだな」
「はい。次男のストラストです。よろしくお願いします」
「うん。後ほど学園入学後の話をしよう。我が家はいつでもストラストを歓迎するぞ」
「ありがとうございます」
「で。この可愛いのがリョウエストだな？会いたかったぞ」
「リョウエスト、です。お願いします」
「うん。お前のレシピをハッセルエンからもらって作ってみた。おかげで同僚達がわんさと家に押しかけて来るわ。ははは」
「ロイックは知ってると思うがレウフォ兄さんはルステイン伯爵家から近衛騎士団に出向している優秀な騎士だ。お前達も学ぶ事が多いだろう。仲良くさせてもらいなさい」
「「よろしくお願いします」」
「お願いします」
「うん。よろしく頼む」