【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

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旅立つ者。

閑話・子供達の仕事。

 ある日お父さんと二人で話をした。題名はパッチワークの仕事の話だ。

「お父さんな、あの布を縫い合わせる仕事、ちょっと今の状態じゃ無理だと思ってる。せっかく考えたのにすまん」
「なんで?」
「お父さんも今手を離せないし、他の商会員かぞくも色々仕事を抱えていて、誰も出来そうにないんだ」
「なるほど…」
「だからリョウごめんな」
「お父さん、諦めるの、早い」
「何か手があるのか?」
「余ってる。人いるよ」
「どこに?」
「毎日店先に、いる」
「丁稚か?」
「そう。丁稚」
「あの子ら商売のしの字もわからないぞ」
「お父さん、まずね、お母さんに頼むの」
「何をだい?」
「あの布の、縫い方を、丁稚に教えてって」
「うん。それから?」
「縫い方を、覚えた所で、孤児に丁稚が、教えるの」
「そういう手もあるか」
「ただし、お父さん、丁稚に、ただ働きしちゃダメ。きちんと、お金、払うの」
「仕事だから払うよ」
「孤児がね、働くように、なったら出来たものの検品をさせるの」
「続けて」
「良いもの、いくら、悪いもの、いくらと決めて、支払いをさせる。そして良いものが、いっぱい、あった時は丁稚の小遣いが、増える」
「なるほど。そうやってけば丁稚達でも大丈夫なのか。でも誤魔化しやすいよな……」
「ごまかせないよ」
「なんでだ?」
「最後、検品するの、お母さんだもの」
「お母さんも働かせるのか?」
「子供は、お母さんの言う事を、聞くものだよ。褒められたくて、がんばりそうでしょ?」
「確かに」
「それにね、検品は、1時間も、いらない」
「そうか。あとは材料の受け取りと受け渡しだけか」
「そこまで、できるように、教育すれば?」
「そこまでできるか?」
「お父さん、これは丁稚の、教育の場なの。儲からなくて、良いって決めた。それなら、そこに、丁稚がいても、いいでしょ?」
「失敗させるのも親心か」
「お父さん、これは将来の、お兄さん達の手足と、なって働く、人を探して、作り上げる仕事、なんだよ。ただ、呼び込みだけして、過ごさせるより、よっぽど、良いと僕は思う」
「そうだな。よっぽどいいな」
「良い事ばかり、じゃないけど、少なくとも、丁稚は、商売のしの字は覚えるし、孤児は、身近な、目標ができて、スサン商会の、丁稚に、なりたいと、いうものも、出てくるよ」
「それでやってみようか。さて、二人で母さんの説得をしよう」
「はい!」


 お母さんの説得はあっさり終わった。すぐに「いいわよ」と言ってくれたのだ。その日からお母さんの指導が始まった。初めは緊張する子や状況が理解できない子、落ち着きがない子がいたがお母さんはたちまちその包容力でみんなの心をつかんでしまった。上手くできた子にはよくがんばったわね、とハグをして、なかなか上手くできない子には辛抱強く教えて、優しくがんばろうね、と言っていた。みんな褒められたくて必死にやっている。僕はその近くで手紙を読んだり書いたりしていたが、明らかに目の色が変わりやる気になっていたのがわかった。

 本当に短期間で縫製技術を上げた丁稚達は今度は孤児相手に教え始めた。見に行ったお母さん曰く、どの子も辛抱強く教えていて、これを覚えたらお金が稼げる事を説いていたらしい。そしてお母さんはここでも活躍した。どの丁稚に対しても今日はどうだったかな?ときちんと話を聞いて、良かった子はきちんと褒めて、悪かった子にはどうしてだろうね、と一緒にかんがえて答えを出してあげていた。さすが四人の子持ちであるな、と見ていて感動した。

 実際に仕事を孤児にやってもらう日が来た。お母さんはがんばってね、とみんなを送り出す。実際の光景がどうだったかわからないが話を聞くと、良い子はきちんと褒めて、できない子はなんでだろうね、と一緒に考えたと言っていた。お母さんイズムが着々と受け継がれているんだな、と思う。

 毎日のように溜まっていく生地を仕事が終わった夕方みんなで荷積みして、荷馬車で工場まで持っていき、材料と製品を受け取って帰ってきた。はじめての事でどきどきだったろう。みんなの顔が晴れやかだった。黙って見守っていた大人たちもにこにことしている。きっとみな若い頃同じ体験をしたのではないかな?お母さんがみなを出迎えた。みなとハグをして褒め称えていた。

 そんな訳で、今日からパッチワークデザインの商品がお店に並んでいる。物珍しさで買っていく人もいれば、丁稚達が自ら書いた説明書きを読んで買っていく人もいる。接客対応の人、お客様に見えやすいところにわざわざ置いてくれている。一人買い、また一人買いとかなりのお客様が手に取るようになった。

 店先で客寄せをしている丁稚達はそれを見てニンマリとしている。自分たちの手がけた初の商品がこれだけ売れるのを見るのは本当に嬉しい事なんだろう。仕事が終わって丁稚達が走っていく。孤児院の子供達に売れ行きを知らせにいったのだろう。その後ろ姿を見ながら僕はニンマリとした。




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