【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

文字の大きさ
276 / 620
6歳の力走。

それぞれの幸せ。

しおりを挟む
 学校に行き始めて数ヶ月、かなり退屈な授業が続いている。僕としては二週目の小学校生活だからだ。周りとは会話も合わないし気安く話かけるような者もいない。唯一話しかけてくるのはナミリアだ。そのナミリアは女子の中でもお姉さん的ポジションを確立して、よく話を聞いている。ナミリア、かなり頑張ってるな、と思う。僕はみんな、もうちょっと大人になったら話そうな、と思いながら日々を過ごしている。
 
 そんなある日家で重大発表があった。メイドの一人であるマチルダが食事後話があると言って切り出してきた。

「私事ですが、この度、赤ちゃんを授かりました」
「それは良かった。おめでとう」
「おめでとう。良かったわね」
「良かったね」
「噂の彼?」
「大好きだって言ってらしたものね。良かったですね」
「…おめでとう」
「だれ?」
「おや、リョウは知らなかったのか。マチルダ、お相手の名前を教えてあげて」
「はい。キースさんです」
「キース?キース良かったねえ。結婚?」
「はい。もうすぐ結婚します」
「良かったねえ」
「キースはうちに来る前に色々苦労してきたから、うちに来て人並み以上の幸せを得ることができて僕も嬉しいんだ」
「よく話すものね、キースさんのこと」
「私も話してみるとすごく誠実な方とわかりましたんで、マチルダさんと一緒になれると聞いて嬉しかったです」
「…キース、優良物件よ、マチルダ」
「そうね。今やうちでも高給取りですものね」
「私、キースさんと話してその性格を知るたびに、どんどん好ましい気持ちがふくらんできて、私から付き合ってくれとお願いしたんです」
「マチルダ、すごいね」
「私とキースさんはドルトさんとアニナさんみたいになるのが理想なのです。もう少ししたら仕事は休職しますが、子供が少し大きくなったら仕事復帰しますのでよろしくお願いします」
「待ってるわ」
「はい。奥様」



 翌日、キースが工房アトリエに訪ねてきた。

「リョウ様。昨日マチルダが言った通り私たちは結婚いたします。よろしくお願いします」
「わかった。おめでとう」
「ありがとうございます」
「キースは、どんなところに、惚れたの?」
「はい。お互い似た者同士だったことからどんどん惹かれていきましたね」
「似た者同士?」
「はい、私は文官として幸せを得れずに王都を去り、ここで本当の居場所を見つけました。マチルダはメイドとして幸せを得れずに王都を去り、ここで本当の居場所を得たのです。そんな共通点でしたので惹かれあうのは必然でしたね」
「そうか。良かったね」
「はい、ありがとうございます」
「これからどうするの?」
「はい。結婚して両親と一緒に暮らします。それからマチルダのお母さんが王都にいるのでこちらへ呼ぶ話になっています」
「それ、大丈夫?」
「ええ。マチルダが賛成、というかマチルダが言い出した事です。子供が大きくなった時、両親がそばに居た方がいいだろうと言うことで」
「そうか!アニナも同じだものね」
「そうです。ドルトさんとアニナさんの関係は私たちの理想です。アニナさんはああして働きながらお子さんを立派に育て上げてますからすごいですよね」
「キース、困ったことがあれば、言う」
「はい。その時はまたお話しを聞いてください」
「わかった」
「それでは仕事に戻ります」
「頑張ってね」

 キースは商会に戻っていった。

「はあ。羨ましい」
「ギピア、どうしたの?」
「私も同じような理想を持ってますので羨ましいです」
「相手はいるの?」
「思い人はいますがなかなか振り向いて下さらないのです」
「ふうん」
「いつも仕事に一生懸命なのですが、一生懸命すぎて私の気持ちに気づいてもらえてるのかわからないのです」
「まあ、あれは唐変木な、ところあるからね」
「誰かわかったんですか?」
「うん」
「困りましたわ」
「困ることないよ。言わないし」
「いっそお願いします。なんとかなりませんか?」
「そう言われても…6歳だよ、僕」
「そうですよね。はあ」
「まあ、やるだけやってみるか」
「いいんですか?」
「よし、作戦を練ろう」
「はい!」




「ストーク、話があるんだけど」
「はい。なんでしょう?」
「ある女の子から、相談受けた」
「はい」
「なかなか気持ちが、わかってくれない人が、いる。なんとかしたい、って」
「はい」
「どうしたら良いかな」
「はあ。そう言ったことは苦手で」
「でも、自分だったら、どういう風にされたいって、あるでしょ?」
「そうですね…真っ直ぐに言ってみればどうでしょうか。たとえダメでも気持ちの整理がつくと思いますし」
「なるほど。そうだってよ、ギピア」
「ありがとうございます」
「どう言うことですか?」
「まあまあ、ストーク。ギピアの話を、聞いてやって」
「は、はい」
「えーと。す、ストークさん、あ、あなたの仕事の一生懸命さと、誠実な人柄が大好きです。私とお付き合いして頂きませんか?」
「えーと。私、仕事が恋人みたいなものだし、確かにギピアさんの事が気になってはいますが。どうしましょう。ちょっと困っています」
「ストーク、うちは、恋愛オッケーだから」
「リョウ様…」
「仕事抜きで、考えて」
「ちょっと考えていいですか?」
「はい」
「あの、ギピアさん」
「はい」
「私、ギピアさんの仕事、奪いたくないんです。だから躊躇してしまうんです」
「どうしてでしょう?」
「仕事をしているギピアさんが好きです。だから…」
「ストークさん、勘違いしてます。私は仕事を辞める気はありませんよ。あなたと一緒に歩むつもりです。だってあなたの間近で仕事するのが好きなんですもの」
「でも子供が…」
「ストークさん、それは少し待てますか?」
「え?」
「キーカが成人となってから考えませんか?」
「はい」
「どちらにせよ、私は仕事辞めるつもりはないですからね」
「そうですか…すいません。言わせてしまって。ギピアさん、このような私ですがよろしくお願いいたします」
「はい。よろしくお願いします」








 
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

成り上がりたいのなら勝手にどうぞ。僕は『テリトリー』で使い魔と楽しく過ごす事にします

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 スキルを持っている事が国民として認められるレビューブ皇国では、スキルを持って生まれた者を『シルバー』と呼び、スキルを買って得た者を『ブラック』と呼ぶ。魔獣が蔓延るこの大陸では、シルバーで編成されたスキル隊と、シルバーがマスターとなってギルドを形成する冒険者が、魔獣を駆除していた。  そこには、成り上がる事を目指す者も。  そんな中、ラシルは使い魔と楽しく暮らす事を選ぶ事にするのだが――。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

お帰り転生―素質だけは世界最高の素人魔術師、前々世の復讐をする。

永礼 経
ファンタジー
特性「本の虫」を選んで転生し、3度目の人生を歩むことになったキール・ヴァイス。 17歳を迎えた彼は王立大学へ進学。 その書庫「王立大学書庫」で、一冊の不思議な本と出会う。 その本こそ、『真魔術式総覧』。 かつて、大魔導士ロバート・エルダー・ボウンが記した書であった。 伝説の大魔導士の手による書物を手にしたキールは、現在では失われたボウン独自の魔術式を身に付けていくとともに、 自身の生前の記憶や前々世の自分との邂逅を果たしながら、仲間たちと共に、様々な試練を乗り越えてゆく。 彼の周囲に続々と集まってくる様々な人々との関わり合いを経て、ただの素人魔術師は伝説の大魔導士への道を歩む。 魔法戦あり、恋愛要素?ありの冒険譚です。 【本作品はカクヨムさまで掲載しているものの転載です】

処理中です...