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7歳の駈歩。
実用化した温もり。
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試作を終え、実地テストも成功した時点で、僕たちは本格的な量産体制を整えることにした。
最大の課題は、いかにして安定した品質の革を確保するかだ。火食いトカゲは魔物だが、比較的おとなしい性質で、捕獲と飼育が可能なことがわかっていた。すでに何頭かは、火の民自治領で訓練済みの猟師たちによって確保されており、革の供給に目処が立っていた。
「革の加工、問題ないよ。高温処理はブルッグさんたちの炉で完璧だし、革の扱いは私たちの得意分野さ」
クルムが胸を張ってそう言うと、ボリビエさんも続いた。
「縫製は私がやるわ。でも、補助職人が必要なの。これ、見た目より手間がかかるのよ」
僕はうなずき、すぐに孤児院に行った。スサン商会はパッチワークの製品を作る為孤児院に仕事を頼んでいる。孤児院に仕事を頼めば子供の仕事も出来て子供達が大人になった時に生活のゆとりができるはずだ。院長先生も子供達も仕事をやると請け負ってくれたので補助職人の方は確保できた。
「驚きました。スサン商会はそんな事もやってらしたのですね」
「ヂョウギ、これは商会の丁稚達が仕切ってやってるの。なかなかの売り上げの製品なんだよ。王都で流行ってるんだって」
「元々スサン商会にはそのような土壌があったんですね」
「うん。最近は丁稚がすぐに仕事覚えて商会員見習いになる事も多いし、孤児院から丁稚になる子も多いんだ」
「そうなんですね。何かあったらまた仕事を頼みましょう」
「そうだね」
ドワーヴンベースの裏にある倉庫が改装され、今では完全に「熱源装置製造部門」として機能している。そこでは、大小様々な装置が手作業で丁寧に仕上げられていた。そのおかげで商業登録もすごいいっぱいした。そこの魔法道具や装置達は色んな種族が使えるようにしたよ。
全ての工程に僕が関わることはできないからね。だからこそ信頼できる仲間たちと、工程ごとの責任者を決め、品質の均一化と記録管理を徹底したんだ。
そしてついに、初の正式出荷の日がやってきた。
「リョウ様、これ…本当に10日、動くんだよね?」
荷車の脇で、アレクとボルクが装置の積み込みを手伝ってくれている。僕は笑ってうなずいた。
「魔法瘤の質にもよるけど、あの農村のテストでは十一日目で止まったよ」
最初の出荷先は、王都郊外の貧民街の孤児院とお救い小屋だった。寒さで亡くなる子供や大人が毎年出ていた場所。貧民街のセーフティネットの一つである。コリント王国は現在ワインとパンの売り上げで余剰金がある為ついに貧民街にメスを入れよう、と言う事になったのだ。
その報告が王都の布告で発表されると王都の役人や新興貴族達がこぞって導入を検討しはじめた。
「ルステインにて、新たな熱源装置開発だという。寒冷地の希望となるのでは?」
「魔法石燃費10倍だと!?我が領地に取り入れたら加工食品が増えるぞ」
「リョウエスト生産商会でまたしても革命が起こったぞ。乗り遅れるな」
それを皮切りに王都の貴族や高官からも問い合わせが殺到し、マックスさんを通して調達部や行政部も視察にやってきた。中には、王軍魔法師団の団長までいて、僕は急きょ工房で説明会を開く羽目になった。
「あなたが……噂のリョウエスト殿か。確かに、これは革新的だ」
そうつぶやいたのは、王軍魔法師団長バルドゥス氏だった。白髪交じりの老紳士で、見るからに厳格な印象の人物だが、僕の説明を聞くうちに何度もうなずいてくれた。
「王家に納入するにふさわしい品質ですな」
「…そう言っていただけると、嬉しいです」
そして、その週末には王都から公式な要請が届く。王立研究所との共同開発契約、王都内の公共施設への試験導入、さらに寒冷地を多く抱える北辺領への大量輸送。あれよあれよという間に、装置の需要は膨れ上がった。僕らはスサン商会に卸しているだけだが、お父さんに早く注文に対応してくれとお願いされた。
もちろん、対応できるのは限られた数だ。だからこそ、今後の課題は製造拠点の拡大だった。ルステインだけでは間に合わない量が来ている。
「いっそ、他の地方にも支工房を作ってはいかがでしょう?」
クルムの提案に、皆が静かにうなずいた。
そして…僕たちは、二つ目の工房を火の民自治領に建設することを決めた。材料の調達が容易だからである。これはミザーリのお母さんであるミリカが全ての段取りをした。ミリカはルステインを見習いここに異種族を呼び寄せ協働すると言う。スサン商会の支店第三号店はここになりそうだ。
そこでは、火食いトカゲの飼育、革の処理、部品の組立までが一貫して行えるように設計されたらしい。まるで一つの小さな町のような形みたいだ。職人や家族たちが住み込みで働き、子供たちの学校や診療所まで併設される予定だそうだ。第二のルステインになって欲しい。僕は個人的にコメを求めて火の民自治領に行こうと思ってるからこう言う所があると行きやすいから嬉しい。
「リョウ様、この技術も…王国の未来を変えるかもしれませんな」
ストークの言葉に、僕は小さく首を振る。
「未来を変えるのは、僕じゃなくて…使ってくれる人たちだよ」
老夫婦の家、孤児院、お救い小屋。どの場所にも、確かな温かさが届けられた。
その夜静かな工房の中。火食いトカゲの革を一枚手に取りながら、僕は一人そっとつぶやいた。
「ありがとう。君たちの命はたくさんの人を救う。ちゃんと意味がある」
革は静かに僕の手の中でぬくもりを保っていた。
最大の課題は、いかにして安定した品質の革を確保するかだ。火食いトカゲは魔物だが、比較的おとなしい性質で、捕獲と飼育が可能なことがわかっていた。すでに何頭かは、火の民自治領で訓練済みの猟師たちによって確保されており、革の供給に目処が立っていた。
「革の加工、問題ないよ。高温処理はブルッグさんたちの炉で完璧だし、革の扱いは私たちの得意分野さ」
クルムが胸を張ってそう言うと、ボリビエさんも続いた。
「縫製は私がやるわ。でも、補助職人が必要なの。これ、見た目より手間がかかるのよ」
僕はうなずき、すぐに孤児院に行った。スサン商会はパッチワークの製品を作る為孤児院に仕事を頼んでいる。孤児院に仕事を頼めば子供の仕事も出来て子供達が大人になった時に生活のゆとりができるはずだ。院長先生も子供達も仕事をやると請け負ってくれたので補助職人の方は確保できた。
「驚きました。スサン商会はそんな事もやってらしたのですね」
「ヂョウギ、これは商会の丁稚達が仕切ってやってるの。なかなかの売り上げの製品なんだよ。王都で流行ってるんだって」
「元々スサン商会にはそのような土壌があったんですね」
「うん。最近は丁稚がすぐに仕事覚えて商会員見習いになる事も多いし、孤児院から丁稚になる子も多いんだ」
「そうなんですね。何かあったらまた仕事を頼みましょう」
「そうだね」
ドワーヴンベースの裏にある倉庫が改装され、今では完全に「熱源装置製造部門」として機能している。そこでは、大小様々な装置が手作業で丁寧に仕上げられていた。そのおかげで商業登録もすごいいっぱいした。そこの魔法道具や装置達は色んな種族が使えるようにしたよ。
全ての工程に僕が関わることはできないからね。だからこそ信頼できる仲間たちと、工程ごとの責任者を決め、品質の均一化と記録管理を徹底したんだ。
そしてついに、初の正式出荷の日がやってきた。
「リョウ様、これ…本当に10日、動くんだよね?」
荷車の脇で、アレクとボルクが装置の積み込みを手伝ってくれている。僕は笑ってうなずいた。
「魔法瘤の質にもよるけど、あの農村のテストでは十一日目で止まったよ」
最初の出荷先は、王都郊外の貧民街の孤児院とお救い小屋だった。寒さで亡くなる子供や大人が毎年出ていた場所。貧民街のセーフティネットの一つである。コリント王国は現在ワインとパンの売り上げで余剰金がある為ついに貧民街にメスを入れよう、と言う事になったのだ。
その報告が王都の布告で発表されると王都の役人や新興貴族達がこぞって導入を検討しはじめた。
「ルステインにて、新たな熱源装置開発だという。寒冷地の希望となるのでは?」
「魔法石燃費10倍だと!?我が領地に取り入れたら加工食品が増えるぞ」
「リョウエスト生産商会でまたしても革命が起こったぞ。乗り遅れるな」
それを皮切りに王都の貴族や高官からも問い合わせが殺到し、マックスさんを通して調達部や行政部も視察にやってきた。中には、王軍魔法師団の団長までいて、僕は急きょ工房で説明会を開く羽目になった。
「あなたが……噂のリョウエスト殿か。確かに、これは革新的だ」
そうつぶやいたのは、王軍魔法師団長バルドゥス氏だった。白髪交じりの老紳士で、見るからに厳格な印象の人物だが、僕の説明を聞くうちに何度もうなずいてくれた。
「王家に納入するにふさわしい品質ですな」
「…そう言っていただけると、嬉しいです」
そして、その週末には王都から公式な要請が届く。王立研究所との共同開発契約、王都内の公共施設への試験導入、さらに寒冷地を多く抱える北辺領への大量輸送。あれよあれよという間に、装置の需要は膨れ上がった。僕らはスサン商会に卸しているだけだが、お父さんに早く注文に対応してくれとお願いされた。
もちろん、対応できるのは限られた数だ。だからこそ、今後の課題は製造拠点の拡大だった。ルステインだけでは間に合わない量が来ている。
「いっそ、他の地方にも支工房を作ってはいかがでしょう?」
クルムの提案に、皆が静かにうなずいた。
そして…僕たちは、二つ目の工房を火の民自治領に建設することを決めた。材料の調達が容易だからである。これはミザーリのお母さんであるミリカが全ての段取りをした。ミリカはルステインを見習いここに異種族を呼び寄せ協働すると言う。スサン商会の支店第三号店はここになりそうだ。
そこでは、火食いトカゲの飼育、革の処理、部品の組立までが一貫して行えるように設計されたらしい。まるで一つの小さな町のような形みたいだ。職人や家族たちが住み込みで働き、子供たちの学校や診療所まで併設される予定だそうだ。第二のルステインになって欲しい。僕は個人的にコメを求めて火の民自治領に行こうと思ってるからこう言う所があると行きやすいから嬉しい。
「リョウ様、この技術も…王国の未来を変えるかもしれませんな」
ストークの言葉に、僕は小さく首を振る。
「未来を変えるのは、僕じゃなくて…使ってくれる人たちだよ」
老夫婦の家、孤児院、お救い小屋。どの場所にも、確かな温かさが届けられた。
その夜静かな工房の中。火食いトカゲの革を一枚手に取りながら、僕は一人そっとつぶやいた。
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革は静かに僕の手の中でぬくもりを保っていた。
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