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◇ 師匠が言うには(3)
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その頃、ノエルは応接室で悩んでいた。丸つけはとうに終わり、ベルクール大公から寄せられた苦情とにらめっこしている。
――三人とも、戻ってこないな。
これはもしかして、あの筆談を読んだ子供たちからのメッセージなのだろうか。ベルクール大公のように放置される寂しさを味わってみなさいと。ああ、そうかもしれない。頭のいい子たちだから、似たような状況を体験させることで反省を促すつもりで……
改めて思い返してみれば、酷い仕打ちをした。指摘を受けて改善するとまで宣言したのに、たった数日でまた放置。ベルクール大公のほうはノエルを気遣って、今日だってローランとふたりでお茶会に行くのを笑顔で見送ってくれたし、やりづらいだろうに義両親の相手もしてくれた。
そう考えると、ノエルはいよいよ体を差し出す以外のお詫びが思い浮かばなくなった。
あとでローランに、今日の朗読会を休んでもいいか相談してみようか。あんな筆談を見た後だし、理由を言わずともローランならきっと察してくれる。それでベルクール大公に「今夜はふたりで寝ましょう」と言えば、誠意が伝わるだろう。
でも屋敷の仕事を覚えきっていないうちに抱き潰されるわけには……とノエルが葛藤していると、応接室のドアが開いた。
「あっ……! 大公殿下」
「今はふたりきりだよ」
素早い指摘に、ノエルはおっとと口元に手をあてた。ベルクール大公の後ろには、確かにローランもクロードもついてきていない。
「ジョスラン様。子供たちは……」
「すっかり打ち解けたみたいでね。同級生で親睦を深めたいからって、部屋を追い出されてしまったよ」
「……そうでしたか」
ローランとクロードが仲良くしていることにはほっとしたが、戻ってこなかったのは少し気がかりだ。
先程の筆談で、子供たちから距離を置かれてはいやしないだろうか。婚約者を放置するような人間に、教わることはないのだと。胸がずんと重くなるような感覚に、ノエルの表情が暗くなる。
「その顔は……私だけでは不満なのかな?」
ベルクール大公――ジョスランに顔を覗きこまれて、ノエルは慌てて首を横に振った。
「いいえ! 先程は申し訳ありませんでした。子供たちが私に教えてくれたんです。ひとりで放っておかれるとどんな気持ちになるのか」
「うん?」
「頭がいい子たちなので。ジョスラン様と同じ状況を私に体験させて、反省を促そうとしたんだと思います。本当に申し訳ありませんでした……」
「どうも暗い顔をしてると思ったら。子供たちはそんな意図で私を連れ出したのではないよ」
「えっ? そうなんですか?」
「うん。彼らの標的は私だったんだ」
ジョスランが言うには、子供たちの和やかな態度は演技。実際はノエルの話を餌にジョスランをおびき寄せ、ローランの部屋に入った途端「ノエルを困らせるな」とお説教を始めたらしい。
しかし何がどうなったのか、最終的にはローランとクロードから恋愛指南を受けたというのだ。
「それで今から、師匠たちの助言に従って婿殿をお茶に誘いたいんだけど。庭を散歩して、そのまま外でお茶を飲む健全なデートに興味はあるかな?」
「……はい! とても興味があります」
――ふたりとも、ありがとう……!
あの筆談で子供たちに失望されてしまったのではないかと心配したが、そうではなかった。むしろノエルの窮地を救うために、ジョスランを連れ出してくれたのだ。
あとでうんとお礼しないとと思いながら、ノエルはジョスランと一緒に外に出た。春たけなわの昼下がり。今日は上着なしでも過ごせそうな暖かさだ。
「婿殿。お手をどうぞ」
「ありがとうございます」
些細な段差で手を差し出されて、ノエルは何気なくジョスランの手を取った。しかし段差を下りた後もジョスランはノエルの手を離さず、指を絡めるようにして手を繋いだ。
「ひゃっ!?」
「人目もないことだし、普通の恋人みたいに手を繋ぐのはどうかな?」
「えっと……いいと思います……!」
そのまま散歩を始めたものの、ノエルの動揺は少しもおさまらない。理由はすぐにわかった。公の場でエスコートされる時は必ず手袋を着けているし、礼服の上から腕に手を添える。しかし今日は、お互いに手袋をつけていない。だから手を繋ぐだけでジョスランと素肌が密着して、こんなにドキドキしてしまうのだ。
傍から見ても健全なデートなのに、どうもいけないことをしているような気分になる。景色を楽しむ余裕もなくノエルが黙々と歩いていると、ジョスランが足を止めた。
「……ノエル君。もしかして、私と手を繋ぐのは嫌?」
「違うんです! こういう繋ぎ方をするのが初めてなので、緊張してしまって……」
「よかった。実はこう見えて、私も緊張してるんだよ」
ジョスランがくすりと微笑んで、ノエルと繋いでいた手をおもむろに持ち上げた。ノエルの指の間にジョスランの指が入り、手のひらが隙間なく合わさっている。
ノエルの指は白く頼りない細さだが、ジョスランの指は長く関節が太い。手のひらの厚みと大きさも、まるで大人と子供の手のようだ。
「こうしてみると、ジョスラン様の手はすごく大きいですね」
「ノエル君の手が小さいんじゃないかな? 可愛くて食べてしまいたくなるよ」
その言葉どおり、ジョスランはノエルの指にちゅっと口づけると、かぷりと齧りついた。突然指を食まれたノエルが頬を真っ赤にして固まっていると、しばらくしてジョスランが我に返った。
「ああ、いけない。ローランに言われたんだ。ノエル君のことはガラス製のティーカップだと思って、急に熱湯を注ぐような真似はしないようにって」
「そっ、そんな話をしていたのですか……!?」
「うん。クロード君も、既婚者の私がノエル君にどれだけ配慮できるかが鍵だと言っていたよ」
「……どうしてふたりとも、熟練者のようなアドバイスができるのでしょう?」
まるで恋愛経験が豊富な大人のようだとノエルが言うと、ジョスランも笑いながら同意した。
「私も驚いたんだ。王立学院で恋愛の講義をするようになったのかなと思ったんだけど、この程度は紳士の常識らしいよ?」
そんなこととは知らず、ノエルもへぇと唸ってしまう。そもそも自分には政略結婚しかないと思っていたので、恋愛について考えてみたことがなかったのだ。
ジョスランもジョスランで、アルファの本能が煩わしく、結婚を遠ざけていた。それでも最後は兄王の命令で誰かと結婚するんだろうと、恋愛について少しも考えたことがなかったそうだ。
「今後は困ったことがあったら、小さな有識者のお世話になればいいね」
「うふふ……そうですね」
他愛もない話をしながら庭をひとしきり見て戻ると、木陰に敷物が広げられ、お茶の準備が整っていた。並んで座ればまるでピクニックにでも来たような気分だ。
ジョスランとノエルが一杯目のお茶を受け取るなり、控えていた侍従たちはそそくさと屋敷へ戻っていった。ティーカップの水面が木漏れ日できらりと輝いて、なんだか飲むのがもったいない。とはいえ冷めないうちにとお茶を飲み、茶菓子をつまむ。
「そういえば結局、クロードは私の話をしてくれたんですか?」
「ほんの少しだけね。休日は丸一日、仕事に時間を割けると喜んでいたとか」
「ああ……」
「君が庭でお茶を飲むのが好きだというのもクロード師匠の教えなんだけど、本当かい?」
「はい。本当ですよ」
ノエルは幼い頃から、外でお茶を飲むのが好きだった。そのひと時だけは父からの叱責や、屋敷の中の重苦しい空気から逃げられたからだ。
クロードが生まれて大きくなってからは、さらに癒しの時間になった。ひとりでお茶を飲んでいると、クロードがクラリッサの目を盗んでやってきて、ふたりで本を読んだり勉強を教えたり……ただ、王太子との結婚が近づくにつれて日焼けを気にするようになって、どうしても出席しなければならないガーデンパーティーでもない限り、室内でお茶を飲むようにしていたのだ。
ローランの教育係になってからは気にすることもなくなって、また外でお茶を楽しむ機会が増えた。ベルクール大公領の自然豊かな森で過ごすティータイムも素晴らしかったが、こうして美しく手入れされた庭で、花を眺めながらお茶を飲むのも楽しい。
クロードが幼い頃の話をしているとあっという間に時間が過ぎ、気づけばおかわりしたお茶も空になっていた。
「ありがとうございますジョスラン様。素敵なデートにお誘いいただいて」
「どういたしまして。師匠たちが見ていたら、優秀な弟子に拍手喝采だろうね。実に健全なデートだって」
「うふふ……」
きっと今頃、ローランとクロードもふたりでお茶を飲んでいるだろう。お菓子の好みが似ているので、さらに仲良くなっているかもしれない。そう思いながら三階の窓を見上げようとしたら木漏れ日が目に入り、ノエルは眩しさで思わず顔をしかめた。
「ああ。木陰を選んだのに眩しくなってきたね。こちらにおいで」
手招きされてノエルが間を詰めると、ジョスランが日傘を開いた。余った手でノエルの肩を抱いて、さらに自分のほうに引き寄せる。
「これで眩しくない?」
「は、はい……! ありがとうございます」
日傘のおかげで眩しさは気にならなくなった。ただ、健全なデートからは少し遠のいた気がする。ジョスランのフェロモンが庭の瑞々しい緑の匂いと自然に馴染んで、ノエルの鼻をくすぐるのだ。
肩を抱かれているので距離をとることもできない。ノエルは次第にうっとりした気分になり、気づけばジョスランにもたれかかっていた。しまったと思ってジョスランの顔を見上げると、何か気になるものでもあるのか、視線を動かさず庭を眺めている。その先で、咲き始めの鈴蘭が風に揺れていた。
まだ蕾のほうが多いが、ところどころ白い花が顔を見せている。見頃を迎えるまであとひと月といったところだ。
「そこに咲いている鈴蘭を見ているのですか?」
「うん。改めて見ると、香りだけじゃなくて姿も君に似ていると思って」
そう言われてみると、ノエルの襟足が少し外にはねる髪型は、鈴蘭の花の形と似ているかもしれない。ローランからは『真っ白な髪がシロツメクサみたいだ』と言われたことがあるのだとノエルが話すと、ジョスランも確かにと頷いた。
「ローランから見たら、シロツメクサのほうが似ているかもしれないね」
「……と申されますと?」
「鈴蘭の花は下を向いているみたいだろう? ノエル君もああしてよく下を向いて、その先にはローランか書類がある。私が目で訴えようとしても、絶対にこちらを向いてくれないんだ。見れば見るほどそっくりだよ」
ジョスランが鈴蘭に向ける眼差しが急に恨みがましくなったのを見て、ノエルは思った。ローランの世話や仕事に集中している時、こんな視線を送られていたのだろうか。まったく気づかなかったなと反省しつつジョスランの顔を見上げていたら、ふと目が合った。
「おや。婿殿から見つめられるなんてめずらしいこともあるものだね」
「大変失礼しました……!」
間近で見つめるのはさすがに不躾だったと、ノエルは慌てて顔を逸らそうとしたのだが。ノエルの肩を抱いていたジョスランの手が頭の後ろに回って、くいと上を向かされた。
「失礼なんてことはないよ。君の視線を浴びられて光栄だ」
ジョスランの目が細められ、ノエルの額に唇が落ちてきた。恥ずかしさに思わず目を閉じると、まぶたの上にも柔らかい感触が。そこからちゅ、ちゅと頬を下りてくるのを感じて、ノエルの体が緊張で固まる。唇に吐息があたり、次の瞬間には唇に温かいものがそっと触れた。
少し押しつけられたジョスランの唇は、額や頬で感じたよりもさらに柔らかで、触れ合っている部分に熱が溜まっていく。
ノエルの心臓が耳元で鳴っているようにうるさく脈を打って、それからいつ、ジョスランの唇が離れたのか。顔の前を涼しい風が吹き抜けるのを感じて、ノエルはハッと目を開いた。頭の後ろにあったはずのジョスランの手は、ノエルの体を支えるように背中に回されている。
「もしかして、唇にキスされるのは初めてだったかな?」
「あっ……」
ジョスランにたずねられて、ノエルの頬がさらに熱くなった。唇同士が触れ合うなんて、これが人生で初めてのことだ。この年でようやくファーストキスを経験したのだと肯定するのが恥ずかしく、ノエルは思わず両手で顔を覆った。
「ああ、ごめんね。困らせるつもりはなかったんだ。嫌ならもうしないよ」
まるで子供をあやすように、ジョスランの手がノエルの背中を撫でている。しかし嫌なんてことはない。ただ恥ずかしいだけなのだ。どうにか伝えたくて、ノエルはジョスランの胸に顔を押しつけた。
「あの……嫌じゃなくて、初めてなのが恥ずかしくて……」
もごもごと弁解すると、ジョスランの胸が大きく上下した。深呼吸をしているのか、ふうと息を吐く音が聞こえてくる。
「……ノエル君。鈴蘭の花言葉って何だか知ってる?」
ノエルはジョスランの胸に顔をうずめたまま、首を横に振った。贈り物の花束や宴会のアレンジによく使う花については、最低限の知識として覚えているのだが……
ちらりと顔をあげると、ジョスランの愛おしそうな眼差しと目が合った。
「私も知らないんだけど、君にぴったりな言葉に違いないよ。『世界一愛らしい』とかね」
調べもしていないのに自信たっぷりにそんなことを言うので、ノエルはふふと笑ってしまった。
仮に鈴蘭の花言葉が世界一愛らしいだったとしても、それが自分にぴったりだとは到底思えない。それでもジョスランに褒められると、少しくらい自信を持っていいだろうかという気持ちになる。きっと庭で鈴蘭を見る度に、前向きな気分になれるだろう。
ノエルの背中を撫でていたジョスランの手が顎の下にやってきて、親指がノエルの唇をついとなぞった。
「もっとしたいと言ったら、君を困らせてしまうかな?」
「えっと……」
「ああ、無理しないで。次にいつふたりで過ごせるかわからないと思って、ついね」
そう言いながらあっさりと顎を離れていったジョスランの手を、ノエルは無意識のうちに両手で掴んでいた。ジョスランが意外そうに目を丸くしている。
「いいのかな? そんなことをされると、もっとしてもいいという意味に捉えてしまうよ?」
ノエルも一瞬、自分の行動に驚いてしまった。先程のようなことを何度も……と想像すると、それだけで困ってしまう。ただジョスランが言うとおり、次にふたりきりで過ごせる機会がいつ訪れるかわからないと思ったら、引き留めるようにジョスランの手を握っていたのだ。
指先が緊張で震える。しかしノエルは、意を決してジョスランを真っ直ぐに見上げた。
「あの……言い訳がましく聞こえるかもしれませんが、実は今日の午後、どこかでジョスラン様とふたりきりになれたらと考えていたんです」
「そうなのかい?」
「はい。先週は結局、仕事を覚えるのにほとんど時間を使ってしまったので」
今日こそはと思って、ローランに不自然に思われない方法を考えていたのだと告白すると、ジョスランが感動の溜息をもらした。
「こんなに嬉しいことはないよ。今日は君の中で、私が一番だったんだね」
「そうなんです。なので、好きなだけどうぞ……!」
ノエルは唇を差し出すようにして、ぎゅっと目を瞑った。そして思った。「好きなだけ」は言いすぎだったかもしれないと。
間もなくしてジョスランの唇が遠慮なく重ねられ、そこからノエルのまぶたはほとんど開く暇がなく。ローランとクロードが窓から覗いていることに、ノエルは最後まで気づかなかったのだった。
ーーーーーー
その頃、ローランのお部屋――
「ちっ。クロード隊員! 日傘に阻まれて状況がちっともわからんぞ!」
「隊長! あれは兄上への気遣いに見せかけてわざとやってると思います!」
「監視に気づかれていたか……こうなったら出動だ!」
バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ
――三人とも、戻ってこないな。
これはもしかして、あの筆談を読んだ子供たちからのメッセージなのだろうか。ベルクール大公のように放置される寂しさを味わってみなさいと。ああ、そうかもしれない。頭のいい子たちだから、似たような状況を体験させることで反省を促すつもりで……
改めて思い返してみれば、酷い仕打ちをした。指摘を受けて改善するとまで宣言したのに、たった数日でまた放置。ベルクール大公のほうはノエルを気遣って、今日だってローランとふたりでお茶会に行くのを笑顔で見送ってくれたし、やりづらいだろうに義両親の相手もしてくれた。
そう考えると、ノエルはいよいよ体を差し出す以外のお詫びが思い浮かばなくなった。
あとでローランに、今日の朗読会を休んでもいいか相談してみようか。あんな筆談を見た後だし、理由を言わずともローランならきっと察してくれる。それでベルクール大公に「今夜はふたりで寝ましょう」と言えば、誠意が伝わるだろう。
でも屋敷の仕事を覚えきっていないうちに抱き潰されるわけには……とノエルが葛藤していると、応接室のドアが開いた。
「あっ……! 大公殿下」
「今はふたりきりだよ」
素早い指摘に、ノエルはおっとと口元に手をあてた。ベルクール大公の後ろには、確かにローランもクロードもついてきていない。
「ジョスラン様。子供たちは……」
「すっかり打ち解けたみたいでね。同級生で親睦を深めたいからって、部屋を追い出されてしまったよ」
「……そうでしたか」
ローランとクロードが仲良くしていることにはほっとしたが、戻ってこなかったのは少し気がかりだ。
先程の筆談で、子供たちから距離を置かれてはいやしないだろうか。婚約者を放置するような人間に、教わることはないのだと。胸がずんと重くなるような感覚に、ノエルの表情が暗くなる。
「その顔は……私だけでは不満なのかな?」
ベルクール大公――ジョスランに顔を覗きこまれて、ノエルは慌てて首を横に振った。
「いいえ! 先程は申し訳ありませんでした。子供たちが私に教えてくれたんです。ひとりで放っておかれるとどんな気持ちになるのか」
「うん?」
「頭がいい子たちなので。ジョスラン様と同じ状況を私に体験させて、反省を促そうとしたんだと思います。本当に申し訳ありませんでした……」
「どうも暗い顔をしてると思ったら。子供たちはそんな意図で私を連れ出したのではないよ」
「えっ? そうなんですか?」
「うん。彼らの標的は私だったんだ」
ジョスランが言うには、子供たちの和やかな態度は演技。実際はノエルの話を餌にジョスランをおびき寄せ、ローランの部屋に入った途端「ノエルを困らせるな」とお説教を始めたらしい。
しかし何がどうなったのか、最終的にはローランとクロードから恋愛指南を受けたというのだ。
「それで今から、師匠たちの助言に従って婿殿をお茶に誘いたいんだけど。庭を散歩して、そのまま外でお茶を飲む健全なデートに興味はあるかな?」
「……はい! とても興味があります」
――ふたりとも、ありがとう……!
あの筆談で子供たちに失望されてしまったのではないかと心配したが、そうではなかった。むしろノエルの窮地を救うために、ジョスランを連れ出してくれたのだ。
あとでうんとお礼しないとと思いながら、ノエルはジョスランと一緒に外に出た。春たけなわの昼下がり。今日は上着なしでも過ごせそうな暖かさだ。
「婿殿。お手をどうぞ」
「ありがとうございます」
些細な段差で手を差し出されて、ノエルは何気なくジョスランの手を取った。しかし段差を下りた後もジョスランはノエルの手を離さず、指を絡めるようにして手を繋いだ。
「ひゃっ!?」
「人目もないことだし、普通の恋人みたいに手を繋ぐのはどうかな?」
「えっと……いいと思います……!」
そのまま散歩を始めたものの、ノエルの動揺は少しもおさまらない。理由はすぐにわかった。公の場でエスコートされる時は必ず手袋を着けているし、礼服の上から腕に手を添える。しかし今日は、お互いに手袋をつけていない。だから手を繋ぐだけでジョスランと素肌が密着して、こんなにドキドキしてしまうのだ。
傍から見ても健全なデートなのに、どうもいけないことをしているような気分になる。景色を楽しむ余裕もなくノエルが黙々と歩いていると、ジョスランが足を止めた。
「……ノエル君。もしかして、私と手を繋ぐのは嫌?」
「違うんです! こういう繋ぎ方をするのが初めてなので、緊張してしまって……」
「よかった。実はこう見えて、私も緊張してるんだよ」
ジョスランがくすりと微笑んで、ノエルと繋いでいた手をおもむろに持ち上げた。ノエルの指の間にジョスランの指が入り、手のひらが隙間なく合わさっている。
ノエルの指は白く頼りない細さだが、ジョスランの指は長く関節が太い。手のひらの厚みと大きさも、まるで大人と子供の手のようだ。
「こうしてみると、ジョスラン様の手はすごく大きいですね」
「ノエル君の手が小さいんじゃないかな? 可愛くて食べてしまいたくなるよ」
その言葉どおり、ジョスランはノエルの指にちゅっと口づけると、かぷりと齧りついた。突然指を食まれたノエルが頬を真っ赤にして固まっていると、しばらくしてジョスランが我に返った。
「ああ、いけない。ローランに言われたんだ。ノエル君のことはガラス製のティーカップだと思って、急に熱湯を注ぐような真似はしないようにって」
「そっ、そんな話をしていたのですか……!?」
「うん。クロード君も、既婚者の私がノエル君にどれだけ配慮できるかが鍵だと言っていたよ」
「……どうしてふたりとも、熟練者のようなアドバイスができるのでしょう?」
まるで恋愛経験が豊富な大人のようだとノエルが言うと、ジョスランも笑いながら同意した。
「私も驚いたんだ。王立学院で恋愛の講義をするようになったのかなと思ったんだけど、この程度は紳士の常識らしいよ?」
そんなこととは知らず、ノエルもへぇと唸ってしまう。そもそも自分には政略結婚しかないと思っていたので、恋愛について考えてみたことがなかったのだ。
ジョスランもジョスランで、アルファの本能が煩わしく、結婚を遠ざけていた。それでも最後は兄王の命令で誰かと結婚するんだろうと、恋愛について少しも考えたことがなかったそうだ。
「今後は困ったことがあったら、小さな有識者のお世話になればいいね」
「うふふ……そうですね」
他愛もない話をしながら庭をひとしきり見て戻ると、木陰に敷物が広げられ、お茶の準備が整っていた。並んで座ればまるでピクニックにでも来たような気分だ。
ジョスランとノエルが一杯目のお茶を受け取るなり、控えていた侍従たちはそそくさと屋敷へ戻っていった。ティーカップの水面が木漏れ日できらりと輝いて、なんだか飲むのがもったいない。とはいえ冷めないうちにとお茶を飲み、茶菓子をつまむ。
「そういえば結局、クロードは私の話をしてくれたんですか?」
「ほんの少しだけね。休日は丸一日、仕事に時間を割けると喜んでいたとか」
「ああ……」
「君が庭でお茶を飲むのが好きだというのもクロード師匠の教えなんだけど、本当かい?」
「はい。本当ですよ」
ノエルは幼い頃から、外でお茶を飲むのが好きだった。そのひと時だけは父からの叱責や、屋敷の中の重苦しい空気から逃げられたからだ。
クロードが生まれて大きくなってからは、さらに癒しの時間になった。ひとりでお茶を飲んでいると、クロードがクラリッサの目を盗んでやってきて、ふたりで本を読んだり勉強を教えたり……ただ、王太子との結婚が近づくにつれて日焼けを気にするようになって、どうしても出席しなければならないガーデンパーティーでもない限り、室内でお茶を飲むようにしていたのだ。
ローランの教育係になってからは気にすることもなくなって、また外でお茶を楽しむ機会が増えた。ベルクール大公領の自然豊かな森で過ごすティータイムも素晴らしかったが、こうして美しく手入れされた庭で、花を眺めながらお茶を飲むのも楽しい。
クロードが幼い頃の話をしているとあっという間に時間が過ぎ、気づけばおかわりしたお茶も空になっていた。
「ありがとうございますジョスラン様。素敵なデートにお誘いいただいて」
「どういたしまして。師匠たちが見ていたら、優秀な弟子に拍手喝采だろうね。実に健全なデートだって」
「うふふ……」
きっと今頃、ローランとクロードもふたりでお茶を飲んでいるだろう。お菓子の好みが似ているので、さらに仲良くなっているかもしれない。そう思いながら三階の窓を見上げようとしたら木漏れ日が目に入り、ノエルは眩しさで思わず顔をしかめた。
「ああ。木陰を選んだのに眩しくなってきたね。こちらにおいで」
手招きされてノエルが間を詰めると、ジョスランが日傘を開いた。余った手でノエルの肩を抱いて、さらに自分のほうに引き寄せる。
「これで眩しくない?」
「は、はい……! ありがとうございます」
日傘のおかげで眩しさは気にならなくなった。ただ、健全なデートからは少し遠のいた気がする。ジョスランのフェロモンが庭の瑞々しい緑の匂いと自然に馴染んで、ノエルの鼻をくすぐるのだ。
肩を抱かれているので距離をとることもできない。ノエルは次第にうっとりした気分になり、気づけばジョスランにもたれかかっていた。しまったと思ってジョスランの顔を見上げると、何か気になるものでもあるのか、視線を動かさず庭を眺めている。その先で、咲き始めの鈴蘭が風に揺れていた。
まだ蕾のほうが多いが、ところどころ白い花が顔を見せている。見頃を迎えるまであとひと月といったところだ。
「そこに咲いている鈴蘭を見ているのですか?」
「うん。改めて見ると、香りだけじゃなくて姿も君に似ていると思って」
そう言われてみると、ノエルの襟足が少し外にはねる髪型は、鈴蘭の花の形と似ているかもしれない。ローランからは『真っ白な髪がシロツメクサみたいだ』と言われたことがあるのだとノエルが話すと、ジョスランも確かにと頷いた。
「ローランから見たら、シロツメクサのほうが似ているかもしれないね」
「……と申されますと?」
「鈴蘭の花は下を向いているみたいだろう? ノエル君もああしてよく下を向いて、その先にはローランか書類がある。私が目で訴えようとしても、絶対にこちらを向いてくれないんだ。見れば見るほどそっくりだよ」
ジョスランが鈴蘭に向ける眼差しが急に恨みがましくなったのを見て、ノエルは思った。ローランの世話や仕事に集中している時、こんな視線を送られていたのだろうか。まったく気づかなかったなと反省しつつジョスランの顔を見上げていたら、ふと目が合った。
「おや。婿殿から見つめられるなんてめずらしいこともあるものだね」
「大変失礼しました……!」
間近で見つめるのはさすがに不躾だったと、ノエルは慌てて顔を逸らそうとしたのだが。ノエルの肩を抱いていたジョスランの手が頭の後ろに回って、くいと上を向かされた。
「失礼なんてことはないよ。君の視線を浴びられて光栄だ」
ジョスランの目が細められ、ノエルの額に唇が落ちてきた。恥ずかしさに思わず目を閉じると、まぶたの上にも柔らかい感触が。そこからちゅ、ちゅと頬を下りてくるのを感じて、ノエルの体が緊張で固まる。唇に吐息があたり、次の瞬間には唇に温かいものがそっと触れた。
少し押しつけられたジョスランの唇は、額や頬で感じたよりもさらに柔らかで、触れ合っている部分に熱が溜まっていく。
ノエルの心臓が耳元で鳴っているようにうるさく脈を打って、それからいつ、ジョスランの唇が離れたのか。顔の前を涼しい風が吹き抜けるのを感じて、ノエルはハッと目を開いた。頭の後ろにあったはずのジョスランの手は、ノエルの体を支えるように背中に回されている。
「もしかして、唇にキスされるのは初めてだったかな?」
「あっ……」
ジョスランにたずねられて、ノエルの頬がさらに熱くなった。唇同士が触れ合うなんて、これが人生で初めてのことだ。この年でようやくファーストキスを経験したのだと肯定するのが恥ずかしく、ノエルは思わず両手で顔を覆った。
「ああ、ごめんね。困らせるつもりはなかったんだ。嫌ならもうしないよ」
まるで子供をあやすように、ジョスランの手がノエルの背中を撫でている。しかし嫌なんてことはない。ただ恥ずかしいだけなのだ。どうにか伝えたくて、ノエルはジョスランの胸に顔を押しつけた。
「あの……嫌じゃなくて、初めてなのが恥ずかしくて……」
もごもごと弁解すると、ジョスランの胸が大きく上下した。深呼吸をしているのか、ふうと息を吐く音が聞こえてくる。
「……ノエル君。鈴蘭の花言葉って何だか知ってる?」
ノエルはジョスランの胸に顔をうずめたまま、首を横に振った。贈り物の花束や宴会のアレンジによく使う花については、最低限の知識として覚えているのだが……
ちらりと顔をあげると、ジョスランの愛おしそうな眼差しと目が合った。
「私も知らないんだけど、君にぴったりな言葉に違いないよ。『世界一愛らしい』とかね」
調べもしていないのに自信たっぷりにそんなことを言うので、ノエルはふふと笑ってしまった。
仮に鈴蘭の花言葉が世界一愛らしいだったとしても、それが自分にぴったりだとは到底思えない。それでもジョスランに褒められると、少しくらい自信を持っていいだろうかという気持ちになる。きっと庭で鈴蘭を見る度に、前向きな気分になれるだろう。
ノエルの背中を撫でていたジョスランの手が顎の下にやってきて、親指がノエルの唇をついとなぞった。
「もっとしたいと言ったら、君を困らせてしまうかな?」
「えっと……」
「ああ、無理しないで。次にいつふたりで過ごせるかわからないと思って、ついね」
そう言いながらあっさりと顎を離れていったジョスランの手を、ノエルは無意識のうちに両手で掴んでいた。ジョスランが意外そうに目を丸くしている。
「いいのかな? そんなことをされると、もっとしてもいいという意味に捉えてしまうよ?」
ノエルも一瞬、自分の行動に驚いてしまった。先程のようなことを何度も……と想像すると、それだけで困ってしまう。ただジョスランが言うとおり、次にふたりきりで過ごせる機会がいつ訪れるかわからないと思ったら、引き留めるようにジョスランの手を握っていたのだ。
指先が緊張で震える。しかしノエルは、意を決してジョスランを真っ直ぐに見上げた。
「あの……言い訳がましく聞こえるかもしれませんが、実は今日の午後、どこかでジョスラン様とふたりきりになれたらと考えていたんです」
「そうなのかい?」
「はい。先週は結局、仕事を覚えるのにほとんど時間を使ってしまったので」
今日こそはと思って、ローランに不自然に思われない方法を考えていたのだと告白すると、ジョスランが感動の溜息をもらした。
「こんなに嬉しいことはないよ。今日は君の中で、私が一番だったんだね」
「そうなんです。なので、好きなだけどうぞ……!」
ノエルは唇を差し出すようにして、ぎゅっと目を瞑った。そして思った。「好きなだけ」は言いすぎだったかもしれないと。
間もなくしてジョスランの唇が遠慮なく重ねられ、そこからノエルのまぶたはほとんど開く暇がなく。ローランとクロードが窓から覗いていることに、ノエルは最後まで気づかなかったのだった。
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その頃、ローランのお部屋――
「ちっ。クロード隊員! 日傘に阻まれて状況がちっともわからんぞ!」
「隊長! あれは兄上への気遣いに見せかけてわざとやってると思います!」
「監視に気づかれていたか……こうなったら出動だ!」
バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ
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実は粘着系殿下×健気系貴族子息のファンタジーBLです。
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟第10回BL小説大賞(2022年)奨励賞。2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞での応援ありがとうございました!
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
婚約破棄を提案したら優しかった婚約者に手篭めにされました
多崎リクト
BL
ケイは物心着く前からユキと婚約していたが、優しくて綺麗で人気者のユキと平凡な自分では釣り合わないのではないかとずっと考えていた。
ついに婚約破棄を申し出たところ、ユキに手篭めにされてしまう。
ケイはまだ、ユキがどれだけ自分に執着しているのか知らなかった。
攻め
ユキ(23)
会社員。綺麗で性格も良くて完璧だと崇められていた人。ファンクラブも存在するらしい。
受け
ケイ(18)
高校生。平凡でユキと自分は釣り合わないとずっと気にしていた。ユキのことが大好き。
pixiv、ムーンライトノベルズにも掲載中
巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
11月にアンダルシュノベルズ様から出版されます!
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
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王妃の椅子~母国のために売られた公子
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BL
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