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プロローグ
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「うぎゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃあ!!」
藤崎駿、17歳。ごく普通の高校2年生。
日課は飼い犬――ポメラニアンのポメオウ(オス)との散歩。
ところがある日、ポメオウがいきなり怒り出して、ジャンピングキック! してきやがった。
路上で派手にスッテンコロリン。
……あれ、これって走馬灯?いやいや、まだ早すぎるだろ!!
ドンッ!鈍い衝撃。意識が、遠のく。
次に意識が浮上したのは、フワフワとした、しかしどこか懐かしい感触の中だった。
「ん……?ここ、どこだ?」
目を開くと、目の前にはざらついた木の壁。視線が、やけに低い。どういうことだ?俺は、あの後どうなったんだ?
身体を起こそうとした、その時。
「ヒヒーン!」
間抜けな鳴き声が、俺の口から飛び出した。
「は……はぁ!?」
驚いて見下ろした自分の身体は、紛れもない馬になっていた。茶色の毛並み、スラリと伸びた四肢、そして、床に落ちていた水たまりに映る自分の顔は――大きな瞳と、長く伸びた顔。どう見ても、人間ではない。
「なんでだよっ!なんで俺が馬になってんだよ!?」
再び「ヒヒーン!」という情けない声が響く。声帯まで馬仕様かよ!
混乱と絶望の中、俺の馬生(?)は始まった。俺は馬房の中で必死にもがいたが、四本の足ではどうにも要領を得ない。そのうち、馬房の扉がガチャリと開いた。
「おはよう、シュンライ。元気そうだね」
聞こえてきたのは、耳に心地よい、しかしどこか見覚えのある声だった。そこに立っていたのは、すらりと背が高く、まるで絵から抜け出てきたような美青年。学園の制服らしきものを身につけている。
「さあ、朝の運動の時間だよ」
美青年はそう言って、俺の首に革製の輪をつけようとする。
「シュンライって誰だよ!?俺は藤崎駿だって言ってんだろ!……って、ああもう、言葉が通じねぇ!!」
俺は必死に頭を振って抵抗するが、美青年は困ったように微笑むだけだ。
「今日は特に元気だね。うん、それでこそシュンライだ」
何を勘違いしているのか知らないが、俺の言葉は全く通じていないらしい。
美青年は俺の背中にそっと手を当てた。その手つきは優しく、しかし有無を言わせない力強さがあった。
「今日から君の担当になった、岩井玲司だ。よろしく、シュンライ」
玲司と名乗る青年の声を聞いた瞬間、脳裏に一つの映像がフラッシュバックした。
『駿、またスマホゲームしてるのか。視力が落ちるぞ』
そう言って呆れたように笑う、高校時代の玲司の顔。
「うそだろ……玲司!?なんでお前がここに……って、俺、お前の担当馬になったってことかよ!?」
俺は絶叫した。もちろん、玲司には「ヒヒーン!」という馬の鳴き声にしか聞こえていない。
そして、ここが「神之守ホース学園」という、未来のホースマンを育成する名門校であること。そして、俺が「シュンライ」という名の競走馬として、この学園に引き取られたことを知るのは、もう少し後のことだった。
俺の、そして馬になった俺たちの、爆走ドタバタ学園ライフが、今、蹄の音を立てて始まったばかりだった。
藤崎駿、17歳。ごく普通の高校2年生。
日課は飼い犬――ポメラニアンのポメオウ(オス)との散歩。
ところがある日、ポメオウがいきなり怒り出して、ジャンピングキック! してきやがった。
路上で派手にスッテンコロリン。
……あれ、これって走馬灯?いやいや、まだ早すぎるだろ!!
ドンッ!鈍い衝撃。意識が、遠のく。
次に意識が浮上したのは、フワフワとした、しかしどこか懐かしい感触の中だった。
「ん……?ここ、どこだ?」
目を開くと、目の前にはざらついた木の壁。視線が、やけに低い。どういうことだ?俺は、あの後どうなったんだ?
身体を起こそうとした、その時。
「ヒヒーン!」
間抜けな鳴き声が、俺の口から飛び出した。
「は……はぁ!?」
驚いて見下ろした自分の身体は、紛れもない馬になっていた。茶色の毛並み、スラリと伸びた四肢、そして、床に落ちていた水たまりに映る自分の顔は――大きな瞳と、長く伸びた顔。どう見ても、人間ではない。
「なんでだよっ!なんで俺が馬になってんだよ!?」
再び「ヒヒーン!」という情けない声が響く。声帯まで馬仕様かよ!
混乱と絶望の中、俺の馬生(?)は始まった。俺は馬房の中で必死にもがいたが、四本の足ではどうにも要領を得ない。そのうち、馬房の扉がガチャリと開いた。
「おはよう、シュンライ。元気そうだね」
聞こえてきたのは、耳に心地よい、しかしどこか見覚えのある声だった。そこに立っていたのは、すらりと背が高く、まるで絵から抜け出てきたような美青年。学園の制服らしきものを身につけている。
「さあ、朝の運動の時間だよ」
美青年はそう言って、俺の首に革製の輪をつけようとする。
「シュンライって誰だよ!?俺は藤崎駿だって言ってんだろ!……って、ああもう、言葉が通じねぇ!!」
俺は必死に頭を振って抵抗するが、美青年は困ったように微笑むだけだ。
「今日は特に元気だね。うん、それでこそシュンライだ」
何を勘違いしているのか知らないが、俺の言葉は全く通じていないらしい。
美青年は俺の背中にそっと手を当てた。その手つきは優しく、しかし有無を言わせない力強さがあった。
「今日から君の担当になった、岩井玲司だ。よろしく、シュンライ」
玲司と名乗る青年の声を聞いた瞬間、脳裏に一つの映像がフラッシュバックした。
『駿、またスマホゲームしてるのか。視力が落ちるぞ』
そう言って呆れたように笑う、高校時代の玲司の顔。
「うそだろ……玲司!?なんでお前がここに……って、俺、お前の担当馬になったってことかよ!?」
俺は絶叫した。もちろん、玲司には「ヒヒーン!」という馬の鳴き声にしか聞こえていない。
そして、ここが「神之守ホース学園」という、未来のホースマンを育成する名門校であること。そして、俺が「シュンライ」という名の競走馬として、この学園に引き取られたことを知るのは、もう少し後のことだった。
俺の、そして馬になった俺たちの、爆走ドタバタ学園ライフが、今、蹄の音を立てて始まったばかりだった。
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