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間章1:戦火の蹄音(第二次世界大戦中・欧州)
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時代は進み、人類の文明は皮肉にも、その破壊力を増大させていた。大地を焦がす戦火の中、馬たちの運命もまた、大きく翻弄された。彼らはもはや、広大な草原を自由に駆け巡る存在ではなく、人間の愚かな争いの道具と成り果てていた。
「アレス」と「アシュラ」
第二次世界大戦の最中、東部戦線のある部隊に、二頭の軍馬がいた。一頭は、鍛え上げられた漆黒の軍馬で、「アレス」と呼ばれていた。彼の瞳には、常に深い悲しみと、しかし揺るぎない忠誠心が宿っていた。過酷な戦場を駆け抜け、爆音と硝煙の中を走り続ける日々。彼の背には、疲れ果てた兵士が乗っていたが、アレスは決してその歩みを止めなかった。彼の心には、説明のつかない「守るべきもの」への強い衝動が渦巻いていた。それは、遥か昔の草原で、愛する存在を守ろうとしたカヤンの魂の残滓だった。
もう一頭は、物資運搬に使われていた栗毛の雌馬で、「アシュラと名付けられていた。彼女は、その穏やかな性情とは裏腹に、驚くべき忍耐力と強靭さを秘めていた。凍てつくような雪原を、重い荷を引いて進む。飢えと疲労が極限に達しても、彼女は決して希望を捨てなかった。アシュラもまた、戦場において、一人の若い女性兵士と深い絆を育んでいた。その兵士は、アシュラの瞳の奥に、言葉を超えた知性と優しさを見出していた。アシュラの魂には、イラナとしての、生命への飽くなき探求心と、全てを受け入れる慈愛の記憶が脈打っていた。
悲劇と絆
戦況は悪化の一途を辿り、彼らが属する部隊は、敵の猛攻に晒された。砲弾が降り注ぎ、大地は血と泥にまみれた。アレスは、兵士を乗せて敵陣を突破しようと奮闘するが、その脚に銃弾を受ける。激痛に呻きながらも、彼は兵士を安全な場所へと運び続けた。その時、物資を運んでいたアシュラと、彼女と共にいた女性兵士が、爆撃に巻き込まれる寸前だった。アレスは、傷ついた体を引きずり、アシュラの盾となるようにその身を投げ出した。
爆音と土煙の中、アレスの意識は遠のいていく。彼は、アシュラを、そして彼女の背にいた兵士を、守りたかった。アレスの意識の最深部で、遥か昔の草原の記憶が蘇る。愛するイラナを守ろうとした、あの嵐の夜の記憶だ。アシュラは、崩れ落ちるアレスに駆け寄り、その温かい体温に寄り添った。彼女の瞳からは、大粒の涙が流れ落ちる。戦場の狂気の中で、二頭の馬の魂が、再び、深く共鳴し合ったのだ。それは、人間の愚かさの中で、それでもなお失われることのなかった、生命の尊厳と、魂の絆の証だった。
戦火の中で散ったアレスとアシュラの魂は、再び光となり、大空へと昇っていった。彼らの肉体は朽ちても、その魂に刻まれた「守護」と「共生」の誓いは、途切れることなく、次の時代へと受け継がれていく。人類の歴史が、また一つ、悲しい頁をめくる中、二つの魂は、静かに、次の巡り合いの時を待っていた。
「アレス」と「アシュラ」
第二次世界大戦の最中、東部戦線のある部隊に、二頭の軍馬がいた。一頭は、鍛え上げられた漆黒の軍馬で、「アレス」と呼ばれていた。彼の瞳には、常に深い悲しみと、しかし揺るぎない忠誠心が宿っていた。過酷な戦場を駆け抜け、爆音と硝煙の中を走り続ける日々。彼の背には、疲れ果てた兵士が乗っていたが、アレスは決してその歩みを止めなかった。彼の心には、説明のつかない「守るべきもの」への強い衝動が渦巻いていた。それは、遥か昔の草原で、愛する存在を守ろうとしたカヤンの魂の残滓だった。
もう一頭は、物資運搬に使われていた栗毛の雌馬で、「アシュラと名付けられていた。彼女は、その穏やかな性情とは裏腹に、驚くべき忍耐力と強靭さを秘めていた。凍てつくような雪原を、重い荷を引いて進む。飢えと疲労が極限に達しても、彼女は決して希望を捨てなかった。アシュラもまた、戦場において、一人の若い女性兵士と深い絆を育んでいた。その兵士は、アシュラの瞳の奥に、言葉を超えた知性と優しさを見出していた。アシュラの魂には、イラナとしての、生命への飽くなき探求心と、全てを受け入れる慈愛の記憶が脈打っていた。
悲劇と絆
戦況は悪化の一途を辿り、彼らが属する部隊は、敵の猛攻に晒された。砲弾が降り注ぎ、大地は血と泥にまみれた。アレスは、兵士を乗せて敵陣を突破しようと奮闘するが、その脚に銃弾を受ける。激痛に呻きながらも、彼は兵士を安全な場所へと運び続けた。その時、物資を運んでいたアシュラと、彼女と共にいた女性兵士が、爆撃に巻き込まれる寸前だった。アレスは、傷ついた体を引きずり、アシュラの盾となるようにその身を投げ出した。
爆音と土煙の中、アレスの意識は遠のいていく。彼は、アシュラを、そして彼女の背にいた兵士を、守りたかった。アレスの意識の最深部で、遥か昔の草原の記憶が蘇る。愛するイラナを守ろうとした、あの嵐の夜の記憶だ。アシュラは、崩れ落ちるアレスに駆け寄り、その温かい体温に寄り添った。彼女の瞳からは、大粒の涙が流れ落ちる。戦場の狂気の中で、二頭の馬の魂が、再び、深く共鳴し合ったのだ。それは、人間の愚かさの中で、それでもなお失われることのなかった、生命の尊厳と、魂の絆の証だった。
戦火の中で散ったアレスとアシュラの魂は、再び光となり、大空へと昇っていった。彼らの肉体は朽ちても、その魂に刻まれた「守護」と「共生」の誓いは、途切れることなく、次の時代へと受け継がれていく。人類の歴史が、また一つ、悲しい頁をめくる中、二つの魂は、静かに、次の巡り合いの時を待っていた。
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