悠久の蹄跡-Eternal Hoofprints-

こおえい

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間章3:新世界の嘶き(第二次世界大戦中・アメリカ)

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大西洋を隔てた新大陸、アメリカ。広大なフロンティアを馬と共に開拓してきたこの地では、自動車や航空機が主要な戦力となりつつあったものの、それでもなお、馬たちは様々な形で戦争に貢献していた。彼らは軍の輸送、偵察、そして兵士たちの心の支えとして、影の功労者となっていた。

「シャドウ」と「スターダスト」
広大なネバダの牧場で育った一頭の漆黒のクォーターホースがいた。「シャドウ」と呼ばれた彼は、その名が示す通り、影のように素早く、どんな荒れた地形も臆することなく駆け抜けることができた。彼は、徴用され、軍馬として最前線へと送られることになった。彼の背に乗るのは、故郷の牧場を愛する若き兵士「ジェイク」だった。ジェイクは、シャドウの瞳の奥に、かつてフロンティアを切り開いた先祖たちの魂と、そして、戦いの理不解に対する静かな悲しみを感じ取っていた。シャドウの心には、カヤンとしての、力強く守護する本能と、自由への渇望が強く脈打っていた。

一方、騎兵隊の訓練施設で、まだ幼い栗毛の牝馬がいた。「スターダスト」と名付けられた彼女は、その繊細な美しさとは裏腹に、並外れた感受性と、人間に対する深い信頼を持っていた。彼女は、兵士たちの心を癒すセラピー馬として、あるいは訓練馬として、その役割を果たしていた。スターダストは、戦場へと送り出される兵士たちが抱える不安や恐怖を敏感に感じ取り、彼らに寄り添った。彼女の魂には、イラナとしての、生命への共感と、どんな逆境でも希望を見出そうとする、しなやかな強さが息づいていた。

貢献と再会の兆し
シャドウとジェイクは、北アフリカの砂漠戦線へと送られ、過酷な偵察任務に従事した。灼熱の太陽と、見えない敵の脅威の中、シャドウはジェイクの命綱だった。彼の蹄が砂漠を蹴るたび、ジェイクは生きていることを実感した。

アメリカ国内に残されたスターダストは、傷ついた兵士たちの慰撫にあたっていた。ある日、戦線から負傷して戻ってきたジェイクが、治療のために彼女の施設へと運ばれてきた。彼は深い心的外傷を負い、心閉ざしていた。しかし、スターダストが彼にそっと鼻面を擦り寄せた時、ジェイクの固く閉ざされた心が、少しだけ開いた。彼は、スターダストの瞳の奥に、遠い昔、共にフロンティアを駆けた相棒の面影を見るような気がした。

シャドウとスターダスト。物理的には遠く離れていた二頭の馬の魂は、戦時下という極限状況の中で、それぞれ異なる形で人類に貢献し、絆を深めていた。彼らは互いの存在を直接知ることはなかったが、それぞれの魂に刻まれた「守護」と「共生」の記憶は、静かに、次の巡り合いの時を告げる兆しとなっていた。戦いの終焉が近づく中、彼らの魂は、新しい時代、新たな姿での再会を、無意識のうちに予感していた。
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