ハズレ職〈召喚士〉がS級万能職に化けました〜無能と蔑まれた俺、伝説の召喚獣達に懐かれ力が覚醒したので世界最強です~

ヒツキノドカ

文字の大きさ
20 / 82

ロイの過去ととある召喚スポットの出現

しおりを挟む
「「乾杯!」」

 ランクアップしたその日の夜、俺とシルはグレフ村の酒場で祝杯を上げていた。

「むぐむぐ……んーっ、ロイ、この煮込み料理すっごく美味しいよ!」
「そうか? ん、確かにこれは美味いな」

 山あいの村ということでここの酒場の料理はアルムの街とは異なっている。近くに大きな川や泉があるようで、上質な川魚を用いたものが多い。また、猪や熊といったクセの強い食材を活かした肉料理も魅力の一つだ。

 しばらく酒場の料理を食べ進めていると、シルがふと尋ねてきた。

「ねえ、ロイ。ちょっと聞いてもいい?」
「なんだ?」
「ロイはどうして冒険者になったの?」
「……急にどうした?」

 俺が訝しむと、シルはこう答えた。

「昼間にギルドのお姉さんが言ってたことを思い出して。ロイみたいな<召喚士>は、他の冒険者と比べて大変なんでしょ? なのに、ロイは冒険者を続けてた。……何か理由があるのかなーって」

 ああ、普通の<召喚士>はEランクになることすら難しいっていうあの話か。
 それでシルは俺がきつい思いをしてまで冒険者をしている理由が気になったらしい。

「言いたくなかったら別にいいけど、ロイのことは何でも知りたいから」

 そう言ってまっすぐな視線を俺に向けてくるシル。

「別に面白い話じゃないぞ?」
「うん」
「……わかった。何から話すかな」

 俺は冒険者になる前のことを思い出しながら、シルに語り始めた。

「簡単に言えば、育ての親の遺言がそれだったからだな」
「遺言? それに、育ての親って?」
「俺の両親は子供の頃に殺されてる。いきなり村にやってきた盗賊たちに、他の村人もろとも惨殺された」
「――!」

 俺の言葉にシルが目を見開く。

 俺にとってもっとも古い記憶は、家に武器を持って乗り込んで来る盗賊たちの姿だ。

 村に掠奪目的でやってきた盗賊たちに村人は惨殺され、咄嗟に親に物置へと押し込められた俺だけが生き残った。物置で俺はがたがた震えながら一晩過ごした。両親の断末魔と、盗賊たちの下卑た笑い声を聞きながら。

 生き残った後も地獄だった。

 盗賊たちが去ったあとに俺は逃げ出し、近くの街のスラムへと入り込んだ。ゴミを漁り、どぶ川の水を飲み、ぎりぎりのところで生き続けた。

 唯一救いだったことは、村を襲った盗賊たちが騎士団によって討伐されたことだ。
 両親はもう戻ってこないが、多少溜飲は下がった。

「そんなある日、たまたまスラム街を訪れた旅人の爺さんに拾われた。元冒険者だったけど、腕を片方なくして引退したとかで、要するにヒマだったんだろうな」

 爺さんに拾われた俺は、スラム街での生活から脱出することができた。

 山の中に小屋を建て、畑を作ったり、罠を用意して獣を狩ったりして過ごす。

 そんな生活を十年近く続けたころ、爺さんが倒れた。
 病気でも何でもない、ただの寿命だ。

「死ぬ間際、爺さんは俺に『冒険者になれ』と言った。自由に世界を旅して色んなものを見るのは楽しいから、って。俺は言う通りにすることにした。他にすることもなかったし、色んな場所に行くのは楽しそうだったからな。けど――」
「……けど?」
「一番望んでいたのは、誰かとパーティを組むことだったかもしれない」

 両親に続き育ての親である爺さんを亡くした俺は、どうしようもなく孤独だった。

 故郷はなく、身寄りもない。
 そんなときに思い出したのは、爺さんが話してくれた冒険者だった頃の思い出話だ。力を合わせて強大な敵に挑むパーティの在り方は、俺にとって羨ましかった。

 そんなふうに誰かとつながりを持ちたいと思った。

「まあ、結果としてはさんざんだったけどな。<召喚士>ってだけでパーティを組むどころか、依頼も受けさせてもらえずギルドで雑用やらされてたわけだし」

 笑い話にもならない。

「ロイは寂しかったんだね」
「……そうかもな」

 俺が自嘲気味に呟くと、くしゃり、とシルが俺の髪を撫でた。
 身を乗り出して、至近距離から俺と目を合わせて言う。

「ロイは一人じゃないよ。私がいるから」
「ああ」
「ロイの育ての親は死んじゃったけど、私はずっとそばにいる。契約者であるロイのそばに、ずっとずっとい続ける。だから、もう寂しくなんてないよ」
「……ああ」

 シルの言葉は優しく、温かかった。
 ずっと見ないふりをしてきた心の傷を癒してくれている気がした。

「シル。……ありがとな」
「えへへ、いいよー。ロイのこと、教えてくれてありがとね」
「何だよそれ」

 気を遣われたのはこっちなのに、シルがお礼を言う理由がわからない。

 けれど、初めて契約した相手がシルでよかったと、俺はそう思った。

「って、なんか湿っぽくなったな。景気づけにもう一回乾杯するか?」
「いいねいいね! それじゃあ乾ぱ――ッ!?」

 瞬間。
 シルが固まり、次いで、シュバッ! とすごい勢いで視線を窓の外に向けた。

「う、うそ、こんなことあるの? でも、そんな」

 何やら混乱したようにシルがうめく。

「お、おい。シル、急にどうした?」
「……召喚スポットが出た」
「は? 召喚スポット?」
「うん。それも……今までにないくらい強い。私が能力を使わなくても、気配が伝わってくるくらいに」

 そう言うシルの表情は引きつっていた。

 シルがそこまで言うほど強力な反応があるだと……?

「シル、宴会は後日改めてでいいか?」
「う、うん! さすがにこれは私も気になる……!」

 俺とシルはテーブルに並んだ料理を勢いよく食べきり、慌ただしく店を出るのだった。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

追放された最強ヒーラーは、美少女令嬢たちとハーレム生活を送る ~公爵令嬢も義妹も幼馴染も俺のことを大好きらしいので一緒の風呂に入ります~

軽井広@北欧美少女 書籍化!
ファンタジー
白魔道師のクリスは、宮廷魔導師団の副団長として、王国の戦争での勝利に貢献してきた。だが、国王の非道な行いに批判的なクリスは、反逆の疑いをかけられ宮廷を追放されてしまう。 そんなクリスに与えられた国からの新たな命令は、逃亡した美少女公爵令嬢を捕らえ、処刑することだった。彼女は敵国との内通を疑われ、王太子との婚約を破棄されていた。だが、無実を訴える公爵令嬢のことを信じ、彼女を助けることに決めるクリス。 クリスは国のためではなく、自分のため、そして自分を頼る少女のために、自らの力を使うことにした。やがて、同じような境遇の少女たちを助け、クリスは彼女たちと暮らすことになる。 一方、クリスのいなくなった王国軍は、隣国との戦争に負けはじめた……。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき
ファンタジー
 ある日乗っていた飛行機が事故にあり、死んだはずの井原は名もない世界に神によって召喚された。現代を生きていた井原は、そこで神に”ダンジョンマスター”になって欲しいと懇願された。自身も建物を建てたい思いもあり、二つ返事で頷いた…。そんなダンジョンマスターの”はじまお”本編とは全くテイストの違う”普通のダンジョンマスター物”です。タグは書いていくうちに足していきます。  なろうさんに、これの本編である”はじまりのまおう”があります。そちらも一緒にご覧ください。こちらもあちらも、一日一話を目標に書いています。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

処理中です...