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『煉獄ノ雌竜イオナ』➁
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「むっかー! きみ、さっきから聞いてたら生意気すぎるよ! ロイに負けたんだから、ちゃんと言うことを聞かないと駄目でしょ!?」
反抗的なイオナの態度にシルが食って掛かる。
そんなシルを見て、イオナは意外そうな声を出した。
『……あんた、人間じゃないわね。もしかして神器?』
「そうだよ! 鍛冶神メルギスをして最高傑作と言わしめた星読みの神器、『導ノ剣』! それが私だよ!」
『鍛冶神メルギス……その名前はさすがにあたしでも知ってるわね』
ぐぬぬと赤竜が唸る。
鍛冶神メルギスといえばシルを創った神様だったはずだが、召喚獣の間でも有名なのか。
イオナの返事に気をよくしたようにシルが胸を張って言う。
「私もきみのことを知ってるよ! 煉獄ノ雌竜イオナ。確か、炎武神ラグナが直接力を与えた唯一の神獣で、神界でのあだ名は『炎の番人』――」
『……』
そこまでシルが口にしたところで。
バシッ! と、シルの真横の地面をイオナの尾がえぐった。
「な、何するのさぁ!」
『フン』
ちょっと怖かったのか涙目で抗議するシルに、イオナはふてくされたように鼻を鳴らす。
なんというか、相性最悪だな。
それにしてもどうしようか。【フィードバック】の対象になるスキルや能力上昇は自動で反映されるからいいとして、イオナ自身の力は彼女の意志がないと借りられないんだが。
「――決めた!」
「シル、どうした?」
「ロイ、イオナにはこのままこっちの世界に留まってもらおう!」
シルがそんなことを言い出した。
『嫌よ、冗談じゃない。【送還】だっけ? それでさっさと異空間に飛ばしなさいよ』
イオナは即座に反対するが、シルは首を横に振る。
「もう契約したんだから、いつまでもそんな態度じゃ駄目だよ! イオナが納得できないなら、一緒に過ごしてロイのことを好きになってもらう! それがいいよ!」
『あたしがその人間を好きに? 有り得ないわよ!』
「ふふん、ロイのことをバカにしないことだよ! 私なんてもうロイのことが好きで好きで仕方ないんだからね!」
すまんシル、その恥ずかしい暴露は俺のいないところでやってくれないか。
しかし、俺は少し考える。
イオナに協力的になってほしいのは俺も同じだ。
それに一つ気になっていることがある。
(さっき、シルに『門番』と呼ばれたとき……少しだけ、イオナがつらそうに見えた)
一瞬だけ、痛みをこらえるようにイオナが目を細めていた。
わずかな仕草だが、だからこそ彼女の本心が漏れていたと思う。
その理由が知りたい。
「……そうだな。そうしてもらうか」
『はあ!?』
俺が出した結論にイオナが即座に嫌そうな反応をする。
「俺は試練を乗り越えて、お前の契約主になった。主の言うことは少しは聞いてくれ」
『だからって……なんであたしがそんなことを』
「それとも、炎武神ラグナとやらの眷属は義理も果たせないのか?」
『ぐっ……わ、わかったわよ! 従えばいいんでしょ!?』
挑発的に言ってみると、イオナが大人しく言うことを聞いた。
眷属がどうこうというのはシルが言っていたのを適当に真似しただけなんだが……この言い方なら通じるのか。
覚えておこう。
「あ、人間の姿になってね! 竜のままだと騒ぎになっちゃうから!」
『……わかったわよ。面倒くさいわね……』
ぶつぶつ言いながらイオナはシルの指示に従う。
以前シルは『一定以上の強さを持つ神器・神獣は人間に化けられる』と言っていたし、イオナもその範疇なんだろう。
ん? 待てよ?
確かシルが前に人間の姿になったときは――
「はい、人間の姿になったわよ。これで文句ないでしょ?」
イオナがいた場所に立っているのは、鮮やかな赤い髪が特徴的な美少女だった。鋭くつり上がった目は黄金色に輝き、白い肌や長い脚は否応なく視線を引き付ける。
刺々しさと美しさを併せ持つその姿は、バラの花を思わせる。
そして服を着ていなかった。やっぱりか!
「すまん、この上着を着てくれ……!」
「はあ? このあたしにこんな薄汚い布を着ろって?」
嫌そうなイオナに俺は視線を外したまま懇願した。
「頼む。お前みたいな美人に裸でいられるのは、色々ときつい……」
「美人? あたしが?」
「他に誰がいるっていうんだ」
本当に勘弁してほしい。シル(剣)に続いて竜にまでドキドキする男になったら、俺は今後どう生きていけばいいかわからなくなる。
「そ、そう。まあ、そんなに言うなら着てあげるわよ」
どうやらイオナは素直に服を着てくれる気になったようだ。
「……怯えられることはあったけど……そんなふうに言われたのは初めてね」
「何か言ったか?」
「な、何でもないわよ!」
「そ、そうか」
聞こえなかったから聞き返したら、ガルルルと威嚇された。なぜだ。
「……ロイってやっぱりたらしだよねー」
「不名誉な言いがかりをつけるんじゃない」
そしてシルまで不機嫌になっている事態に、俺は頭を悩ませるのだった。
反抗的なイオナの態度にシルが食って掛かる。
そんなシルを見て、イオナは意外そうな声を出した。
『……あんた、人間じゃないわね。もしかして神器?』
「そうだよ! 鍛冶神メルギスをして最高傑作と言わしめた星読みの神器、『導ノ剣』! それが私だよ!」
『鍛冶神メルギス……その名前はさすがにあたしでも知ってるわね』
ぐぬぬと赤竜が唸る。
鍛冶神メルギスといえばシルを創った神様だったはずだが、召喚獣の間でも有名なのか。
イオナの返事に気をよくしたようにシルが胸を張って言う。
「私もきみのことを知ってるよ! 煉獄ノ雌竜イオナ。確か、炎武神ラグナが直接力を与えた唯一の神獣で、神界でのあだ名は『炎の番人』――」
『……』
そこまでシルが口にしたところで。
バシッ! と、シルの真横の地面をイオナの尾がえぐった。
「な、何するのさぁ!」
『フン』
ちょっと怖かったのか涙目で抗議するシルに、イオナはふてくされたように鼻を鳴らす。
なんというか、相性最悪だな。
それにしてもどうしようか。【フィードバック】の対象になるスキルや能力上昇は自動で反映されるからいいとして、イオナ自身の力は彼女の意志がないと借りられないんだが。
「――決めた!」
「シル、どうした?」
「ロイ、イオナにはこのままこっちの世界に留まってもらおう!」
シルがそんなことを言い出した。
『嫌よ、冗談じゃない。【送還】だっけ? それでさっさと異空間に飛ばしなさいよ』
イオナは即座に反対するが、シルは首を横に振る。
「もう契約したんだから、いつまでもそんな態度じゃ駄目だよ! イオナが納得できないなら、一緒に過ごしてロイのことを好きになってもらう! それがいいよ!」
『あたしがその人間を好きに? 有り得ないわよ!』
「ふふん、ロイのことをバカにしないことだよ! 私なんてもうロイのことが好きで好きで仕方ないんだからね!」
すまんシル、その恥ずかしい暴露は俺のいないところでやってくれないか。
しかし、俺は少し考える。
イオナに協力的になってほしいのは俺も同じだ。
それに一つ気になっていることがある。
(さっき、シルに『門番』と呼ばれたとき……少しだけ、イオナがつらそうに見えた)
一瞬だけ、痛みをこらえるようにイオナが目を細めていた。
わずかな仕草だが、だからこそ彼女の本心が漏れていたと思う。
その理由が知りたい。
「……そうだな。そうしてもらうか」
『はあ!?』
俺が出した結論にイオナが即座に嫌そうな反応をする。
「俺は試練を乗り越えて、お前の契約主になった。主の言うことは少しは聞いてくれ」
『だからって……なんであたしがそんなことを』
「それとも、炎武神ラグナとやらの眷属は義理も果たせないのか?」
『ぐっ……わ、わかったわよ! 従えばいいんでしょ!?』
挑発的に言ってみると、イオナが大人しく言うことを聞いた。
眷属がどうこうというのはシルが言っていたのを適当に真似しただけなんだが……この言い方なら通じるのか。
覚えておこう。
「あ、人間の姿になってね! 竜のままだと騒ぎになっちゃうから!」
『……わかったわよ。面倒くさいわね……』
ぶつぶつ言いながらイオナはシルの指示に従う。
以前シルは『一定以上の強さを持つ神器・神獣は人間に化けられる』と言っていたし、イオナもその範疇なんだろう。
ん? 待てよ?
確かシルが前に人間の姿になったときは――
「はい、人間の姿になったわよ。これで文句ないでしょ?」
イオナがいた場所に立っているのは、鮮やかな赤い髪が特徴的な美少女だった。鋭くつり上がった目は黄金色に輝き、白い肌や長い脚は否応なく視線を引き付ける。
刺々しさと美しさを併せ持つその姿は、バラの花を思わせる。
そして服を着ていなかった。やっぱりか!
「すまん、この上着を着てくれ……!」
「はあ? このあたしにこんな薄汚い布を着ろって?」
嫌そうなイオナに俺は視線を外したまま懇願した。
「頼む。お前みたいな美人に裸でいられるのは、色々ときつい……」
「美人? あたしが?」
「他に誰がいるっていうんだ」
本当に勘弁してほしい。シル(剣)に続いて竜にまでドキドキする男になったら、俺は今後どう生きていけばいいかわからなくなる。
「そ、そう。まあ、そんなに言うなら着てあげるわよ」
どうやらイオナは素直に服を着てくれる気になったようだ。
「……怯えられることはあったけど……そんなふうに言われたのは初めてね」
「何か言ったか?」
「な、何でもないわよ!」
「そ、そうか」
聞こえなかったから聞き返したら、ガルルルと威嚇された。なぜだ。
「……ロイってやっぱりたらしだよねー」
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そしてシルまで不機嫌になっている事態に、俺は頭を悩ませるのだった。
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