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二章
観光
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「人が多いね! 賑やか~!」
「それに色んな出店もあるわ」
「よ、呼び込みの声が大きくて目が回りそうです……」
シルたち三人がそれぞれそんなリアクションを見せる。
レンデル王国の首都レディリア。
それがこの街の名前だ。
とにかく広くて人が多い。
「拙者も初めて来たときは同じリアクションをしたでござるなあ。こんなに活気のある街を見たのは初めてだったでござるよ」
うんうんと頷くカナタ。
その後は王都を観光することに。
先にギルドマスターの用事を済ませた方がいいんだろうが、シルとイオナがうずうずしていたから仕方ない。
言葉には出さないが、セフィラも出店を通りかかるために目を輝かせていたことだし。
「おっ、そこのお嬢さん方! アイスクリームはいかがだい?」
とある屋台の店主がシルたちに声をかける。
「アイスクリームってなにー?」
「簡単にいやあ、冷たくて甘くておいしいお菓子だよ。王都で最近大流行なんだ」
「へえーっ! ロイ、食べてみたい!」
「あ、あたしも興味あるわ!」
シルとイオナの要望によりアイスクリームとやらを買うことに。
香ばしく焼き上げられた逆三角形の焼き菓子の上に、玉のような形のひんやりしたものが乗っている。味がいくつかあったので、全員バラバラのものを買ってみた。
ちなみにシルがはちみつ、イオナがレッドベリー、セフィラが紅茶、カナタは柑橘系、俺はプレーンである。
「冷たくて美味しい~~~~!」
「すごい、こんなの初めて食べたわ!」
「エルフの里ではこんなもの見たことがありません」
「はぐはぐはぐ……むうっ、頭が痛い……!?」
大好評だ。実際、俺も食べてみたら本当に美味かった。単なる氷ではないようだが、どうやって作っているのか不思議だ。
それにしても、こんなにたくさん味があるのか。
「イオナ、一口交換しないか?」
「うぇっ!?」
「いや、せっかくみんなで違うものを頼んだんだから、別の味も楽しんでみたいなと」
隣に座っていたイオナに一口トレードを申し出てみると、イオナは顔を真っ赤にして固まった。
「あ、いや、駄目ならいいんだ」
「だ、駄目じゃないけど……でも、なんか、そういうのはちょっと、は、恥ずかしい気が」
目を泳がせてごにょごにょと言うイオナ。ううむ、そんなに抵抗があるのか。
「わかった。無理強いをするつもりはなかったんだ」
「べ、別に無理強いなんかじゃ。でもこれって間接的に口づけをしているのと変わらないと」
「それじゃあシル、俺と一口交換しな――」
「うりゃあ!」
「ぐむ」
イオナの向こうのシルに同じ話を持ち掛けたところで、イオナによってアイスクリームを口に押し込まれた。ベリーの甘酸っぱい味が口の中に広がる。
「こっちも美味いな……」
「そ、そう。よかったわね」
「俺のも一口食べるか?」
「……うん」
なぜシルに話を持ちかけようとした途端にトレードが成立したのかわからないが、イオナが頷いたので俺のプレーンアイスクリームも食べてもらう。イオナの小さな口が遠慮がちにアイスクリームの端をかじり、そのまま咀嚼されていく。
こくん、とイオナは細い喉を鳴らした。
「お、美味しいわね」
「だろ?」
わかってもらえてなによりだ。
しかしなぜイオナの顔が真っ赤なのかわからない。
「ええと、他の三人にも交換を持ち掛けて構わないか?」
「別にいいわよ」
ううむ、この反応だとシルと一口トレードするのが駄目とかいうわけではないのか。
女の子はよくわからん。
「……イオナ、最初に一口交換しようって言われたのが嬉しかったんだね」
「……気持ちはちょっとわかります。最初の間接キスって一番純粋ですよね」
「む? シル殿とセフィラ殿はなにを話しているのでござるか?」
残り三人がなにやら話し合っていたが、一体なにを話していたのやら。
その後もしばらく王都を観光した俺たちは、冒険者ギルドの本部へと向かうことにした。
「それに色んな出店もあるわ」
「よ、呼び込みの声が大きくて目が回りそうです……」
シルたち三人がそれぞれそんなリアクションを見せる。
レンデル王国の首都レディリア。
それがこの街の名前だ。
とにかく広くて人が多い。
「拙者も初めて来たときは同じリアクションをしたでござるなあ。こんなに活気のある街を見たのは初めてだったでござるよ」
うんうんと頷くカナタ。
その後は王都を観光することに。
先にギルドマスターの用事を済ませた方がいいんだろうが、シルとイオナがうずうずしていたから仕方ない。
言葉には出さないが、セフィラも出店を通りかかるために目を輝かせていたことだし。
「おっ、そこのお嬢さん方! アイスクリームはいかがだい?」
とある屋台の店主がシルたちに声をかける。
「アイスクリームってなにー?」
「簡単にいやあ、冷たくて甘くておいしいお菓子だよ。王都で最近大流行なんだ」
「へえーっ! ロイ、食べてみたい!」
「あ、あたしも興味あるわ!」
シルとイオナの要望によりアイスクリームとやらを買うことに。
香ばしく焼き上げられた逆三角形の焼き菓子の上に、玉のような形のひんやりしたものが乗っている。味がいくつかあったので、全員バラバラのものを買ってみた。
ちなみにシルがはちみつ、イオナがレッドベリー、セフィラが紅茶、カナタは柑橘系、俺はプレーンである。
「冷たくて美味しい~~~~!」
「すごい、こんなの初めて食べたわ!」
「エルフの里ではこんなもの見たことがありません」
「はぐはぐはぐ……むうっ、頭が痛い……!?」
大好評だ。実際、俺も食べてみたら本当に美味かった。単なる氷ではないようだが、どうやって作っているのか不思議だ。
それにしても、こんなにたくさん味があるのか。
「イオナ、一口交換しないか?」
「うぇっ!?」
「いや、せっかくみんなで違うものを頼んだんだから、別の味も楽しんでみたいなと」
隣に座っていたイオナに一口トレードを申し出てみると、イオナは顔を真っ赤にして固まった。
「あ、いや、駄目ならいいんだ」
「だ、駄目じゃないけど……でも、なんか、そういうのはちょっと、は、恥ずかしい気が」
目を泳がせてごにょごにょと言うイオナ。ううむ、そんなに抵抗があるのか。
「わかった。無理強いをするつもりはなかったんだ」
「べ、別に無理強いなんかじゃ。でもこれって間接的に口づけをしているのと変わらないと」
「それじゃあシル、俺と一口交換しな――」
「うりゃあ!」
「ぐむ」
イオナの向こうのシルに同じ話を持ち掛けたところで、イオナによってアイスクリームを口に押し込まれた。ベリーの甘酸っぱい味が口の中に広がる。
「こっちも美味いな……」
「そ、そう。よかったわね」
「俺のも一口食べるか?」
「……うん」
なぜシルに話を持ちかけようとした途端にトレードが成立したのかわからないが、イオナが頷いたので俺のプレーンアイスクリームも食べてもらう。イオナの小さな口が遠慮がちにアイスクリームの端をかじり、そのまま咀嚼されていく。
こくん、とイオナは細い喉を鳴らした。
「お、美味しいわね」
「だろ?」
わかってもらえてなによりだ。
しかしなぜイオナの顔が真っ赤なのかわからない。
「ええと、他の三人にも交換を持ち掛けて構わないか?」
「別にいいわよ」
ううむ、この反応だとシルと一口トレードするのが駄目とかいうわけではないのか。
女の子はよくわからん。
「……イオナ、最初に一口交換しようって言われたのが嬉しかったんだね」
「……気持ちはちょっとわかります。最初の間接キスって一番純粋ですよね」
「む? シル殿とセフィラ殿はなにを話しているのでござるか?」
残り三人がなにやら話し合っていたが、一体なにを話していたのやら。
その後もしばらく王都を観光した俺たちは、冒険者ギルドの本部へと向かうことにした。
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