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二章
霧と毒2
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「【回復光】」
『癒光ノ珠獣』から得たスキルで三人を癒そうと試みる。
だが、三人の顔色は戻らなかった。
「【解毒】」
『癒光ノ珠獣』から得たもう一つのスキルを試すと、こちらは効果があった。シルたちの呼吸が落ち着き、顔色も戻ってくる。
よかった……!
「三人とも、しばらくゆっくりしていてくれ」
「ロイ……手、貸してくれる?」
「あたしも。近くに座ってくれてるだけでいいから」
「わ、私もお願いします」
「……いや、もう治療は終わってるからな?」
「もう、なんでロイはそんなに鈍いかな」
「そうよ。治療がどうこうじゃないの」
「そうです」
なぜか怒られた。いや、まあ、近くにいるくらいで安心するなら別にいいけど。
最終的には右にイオナ、左にセフィラ、正面から背中を預ける形でシル、という謎の陣形が完成した。ぐったりと体重を預けてくる三人にどぎまぎしつつ、さっきのことについて考える。
【解毒】で解決できた以上、三人を襲っていた不調は毒のせいなんだろう。
だが、どこで毒を受けたんだ?
タイミングを考えれば霧が怪しい。だが冒険者ギルドで確認した資料によれば、あの霧には毒の成分は含まれていなかったはずだ。
なら気付かないうちに魔物の攻撃でももらっていたんだろうか。
それも怪しい。『樹ノ悪食蛇』が周囲を見張っていたわけだし。
「たぶん霧が原因だわ。なにかに攻撃された感覚もなかったし、中心部に入ってから少しずつ息が苦しくなっていったもの」
イオナの言葉にシルとセフィラも頷く。
当事者が言うならそうなんだろう。
そうなるともう一つ疑問が浮かぶわけだが……なんで俺は無事なんだ?
あ、もしかして『樹ノ悪食蛇』のスキルか?
『樹ノ悪食蛇』には【状態異常耐性】というスキルがある。これは毒や睡眠薬などの特殊効果を遮断するもので、意識しなくても常に発動しているものだ。
これで俺は霧に含まれる(と思われる)毒から身を守っていた。
そう考えれば辻褄は合う。
「これは戻ったら冒険者ギルドに報告したほうがいいな……」
少なくとも中心部の奥でなんらかの異常が起こっていると考えた方がよさそうだ。
他の冒険者が知らずに霧の中に突っ込んでいけば、毒で動けなくなって魔物の餌食になるだろう。
それは避けなくてはならない。
「これからどうしようか?」
シルが尋ねてくる。
「とりあえず、ソルフ草だけは確保する必要がある。俺は霧の中に入っても大丈夫みたいだから、さくっと行って取ってくる」
「けど、ロイだけじゃソルフ草のある場所がわからないよね。私も行くよ。この姿だと駄目だけど、剣の姿なら毒も効かないだろうし」
なるほど。
今のシルの姿は人間に近いものなので、本来なら効かないはずの毒が効いてしまう。けれどそれは剣の姿なら回避できる。
その理屈でいけば、イオナも竜の姿なら毒に耐えられそうだが……
「よし、俺とシルで霧の中に行く。イオナとセフィラはここで待機だ。もし魔物がきたら、イオナは竜の姿に戻ってセフィラを守ってやってくれ」
「わかったわ」
「すみません、イオナ様」
「別にいいわよ。仲間なんだから、そのくらい当然だわ」
「……ありがとうございます」
イオナの言葉にセフィラはそう言って微笑んだ。
『癒光ノ珠獣』から得たスキルで三人を癒そうと試みる。
だが、三人の顔色は戻らなかった。
「【解毒】」
『癒光ノ珠獣』から得たもう一つのスキルを試すと、こちらは効果があった。シルたちの呼吸が落ち着き、顔色も戻ってくる。
よかった……!
「三人とも、しばらくゆっくりしていてくれ」
「ロイ……手、貸してくれる?」
「あたしも。近くに座ってくれてるだけでいいから」
「わ、私もお願いします」
「……いや、もう治療は終わってるからな?」
「もう、なんでロイはそんなに鈍いかな」
「そうよ。治療がどうこうじゃないの」
「そうです」
なぜか怒られた。いや、まあ、近くにいるくらいで安心するなら別にいいけど。
最終的には右にイオナ、左にセフィラ、正面から背中を預ける形でシル、という謎の陣形が完成した。ぐったりと体重を預けてくる三人にどぎまぎしつつ、さっきのことについて考える。
【解毒】で解決できた以上、三人を襲っていた不調は毒のせいなんだろう。
だが、どこで毒を受けたんだ?
タイミングを考えれば霧が怪しい。だが冒険者ギルドで確認した資料によれば、あの霧には毒の成分は含まれていなかったはずだ。
なら気付かないうちに魔物の攻撃でももらっていたんだろうか。
それも怪しい。『樹ノ悪食蛇』が周囲を見張っていたわけだし。
「たぶん霧が原因だわ。なにかに攻撃された感覚もなかったし、中心部に入ってから少しずつ息が苦しくなっていったもの」
イオナの言葉にシルとセフィラも頷く。
当事者が言うならそうなんだろう。
そうなるともう一つ疑問が浮かぶわけだが……なんで俺は無事なんだ?
あ、もしかして『樹ノ悪食蛇』のスキルか?
『樹ノ悪食蛇』には【状態異常耐性】というスキルがある。これは毒や睡眠薬などの特殊効果を遮断するもので、意識しなくても常に発動しているものだ。
これで俺は霧に含まれる(と思われる)毒から身を守っていた。
そう考えれば辻褄は合う。
「これは戻ったら冒険者ギルドに報告したほうがいいな……」
少なくとも中心部の奥でなんらかの異常が起こっていると考えた方がよさそうだ。
他の冒険者が知らずに霧の中に突っ込んでいけば、毒で動けなくなって魔物の餌食になるだろう。
それは避けなくてはならない。
「これからどうしようか?」
シルが尋ねてくる。
「とりあえず、ソルフ草だけは確保する必要がある。俺は霧の中に入っても大丈夫みたいだから、さくっと行って取ってくる」
「けど、ロイだけじゃソルフ草のある場所がわからないよね。私も行くよ。この姿だと駄目だけど、剣の姿なら毒も効かないだろうし」
なるほど。
今のシルの姿は人間に近いものなので、本来なら効かないはずの毒が効いてしまう。けれどそれは剣の姿なら回避できる。
その理屈でいけば、イオナも竜の姿なら毒に耐えられそうだが……
「よし、俺とシルで霧の中に行く。イオナとセフィラはここで待機だ。もし魔物がきたら、イオナは竜の姿に戻ってセフィラを守ってやってくれ」
「わかったわ」
「すみません、イオナ様」
「別にいいわよ。仲間なんだから、そのくらい当然だわ」
「……ありがとうございます」
イオナの言葉にセフィラはそう言って微笑んだ。
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