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引ったくり犯を捕まえる
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「こんなもんかな」
謁見の間を出た俺は、荷物を回収するために研究室にやってきていた。
とはいえ持っていくものはほとんどない。
宮廷務めで稼いだ金、最低限の衣服くらいだ。
研究のために山ほど作った資料はあるが、ここにある分は頭に入っているから問題ない。
あと持っていきたいものは……
「せっかくだし、これも持ってくか」
新たに研究していた“特別なゴーレム”用の素材――超高純度の魔石を手に取る。
これは研究のためにと自腹で買ったものだ。
持って行っても構わないだろう。
めちゃくちゃ高かったからな、これ……
よし、荷造り完了。
荷物を持って、最後にゴーレム生産装置である“マザーゴーレム”の動作を確認していく。
問題なく動いてるな。これなら俺がいなくても大丈夫だろう。……多分。
まあ追放された俺にはもう関係ないと言えばないんだが、何の罪もない国民が苦しむのは申し訳ないしな。
マザーゴーレムの動作確認を終えたところで、俺は長年過ごした研究室を後にした。
「どこに向かうかなー」
宮廷を出て王都の中を移動する。
こういう時、普通は故郷に戻るものなんだろう。
でも別に俺には故郷なんてものはない。
孤児院育ちだからな。
師匠も数年前に宮廷を出て行ってからどこに行ったかわからないし、本格的に行く当てがない。
いや、考え方を変えよう。
行くべき場所がない。
つまり俺は自由なんだ。どこにだって行ける。
長いこと宮廷勤めしていただけあって、金はそこそこあることだし。
そう考えるとちょっと前向きになれるな。
どこに行こうか。
……とりあえず、のびのび暮らせる場所がいいな。
自然豊かだと最高だ。
しばらく仕事はしたくない。
ひとまず乗合馬車の待合所にでも行ってみるか。何か行き先を決めるヒントくらいあるだろう。
なんて考えていたら――
「泥棒! 泥棒ぉおおお――――!」
悲痛な叫びが耳に届いた。
視線を声のしたほうに向けると、何やら商人風の男性が地面に転がって叫んでいる。
彼の視線の先には、小脇に鞄を抱えて逃げようとする、いかにも盗賊っぽい見た目の男がいた。
引ったくりか。
「どけ! どけぇええっ!」
「きゃああああああ!?」
「おいっ、こいつ刃物持ってやがるぞ!?」
盗賊っぽい男は俺のいるほうに突っ込んでくる。手にはナイフを持っており、通行人たちは怯えて道を空ける。
俺も同じようにしてもいいが……ふむ。
「……」
丁度いい。
理不尽に宮廷を追放されて鬱憤が溜まっているんだ。
ミエーノに濡れ衣を着せられた恨みをあの引ったくり犯にぶつけてやる……!!
「【クリエイト・ゴーレム】!」
『――』
石畳の石材を原料にゴーレムを作る。
体高三メートル、肩幅二メートルほどのずんぐりした石人形が引ったくり犯の前に出現する。
「………………は? な、何でこんなところにゴーレムが……」
呆然とゴーレムを見上げる引ったくり犯の男。
その手からずるりと盗品の鞄が落ちる。
あれを回収すればこの場は収まるだろう。
しかしどうでもいい。
俺が念じるとゴーレムはゆっくりと拳を振りかぶった。
「――何で俺がコソ泥扱いされなきゃいけないんだ! ふざけるなよミエーノぉおおおおおおっ!!」
「待っ、ミエーノって誰――げふぉあああああああああっ!?」
ゴーレムの拳をもろに食らい、ひったくり犯が吹っ飛んでいく。一秒後、ドガンッ! と音を立て民家の壁にぶつかって気絶した。
よし。
「すっきりした」
『――』
すまないひったくり犯。でもお前のおかげで胸のモヤモヤが解消された。ありがとう。
「「「……何だ今のぉおおおおおおおおおおお――っ!?」」」
一拍遅れて通行人たちの叫び声が響いた。
謁見の間を出た俺は、荷物を回収するために研究室にやってきていた。
とはいえ持っていくものはほとんどない。
宮廷務めで稼いだ金、最低限の衣服くらいだ。
研究のために山ほど作った資料はあるが、ここにある分は頭に入っているから問題ない。
あと持っていきたいものは……
「せっかくだし、これも持ってくか」
新たに研究していた“特別なゴーレム”用の素材――超高純度の魔石を手に取る。
これは研究のためにと自腹で買ったものだ。
持って行っても構わないだろう。
めちゃくちゃ高かったからな、これ……
よし、荷造り完了。
荷物を持って、最後にゴーレム生産装置である“マザーゴーレム”の動作を確認していく。
問題なく動いてるな。これなら俺がいなくても大丈夫だろう。……多分。
まあ追放された俺にはもう関係ないと言えばないんだが、何の罪もない国民が苦しむのは申し訳ないしな。
マザーゴーレムの動作確認を終えたところで、俺は長年過ごした研究室を後にした。
「どこに向かうかなー」
宮廷を出て王都の中を移動する。
こういう時、普通は故郷に戻るものなんだろう。
でも別に俺には故郷なんてものはない。
孤児院育ちだからな。
師匠も数年前に宮廷を出て行ってからどこに行ったかわからないし、本格的に行く当てがない。
いや、考え方を変えよう。
行くべき場所がない。
つまり俺は自由なんだ。どこにだって行ける。
長いこと宮廷勤めしていただけあって、金はそこそこあることだし。
そう考えるとちょっと前向きになれるな。
どこに行こうか。
……とりあえず、のびのび暮らせる場所がいいな。
自然豊かだと最高だ。
しばらく仕事はしたくない。
ひとまず乗合馬車の待合所にでも行ってみるか。何か行き先を決めるヒントくらいあるだろう。
なんて考えていたら――
「泥棒! 泥棒ぉおおお――――!」
悲痛な叫びが耳に届いた。
視線を声のしたほうに向けると、何やら商人風の男性が地面に転がって叫んでいる。
彼の視線の先には、小脇に鞄を抱えて逃げようとする、いかにも盗賊っぽい見た目の男がいた。
引ったくりか。
「どけ! どけぇええっ!」
「きゃああああああ!?」
「おいっ、こいつ刃物持ってやがるぞ!?」
盗賊っぽい男は俺のいるほうに突っ込んでくる。手にはナイフを持っており、通行人たちは怯えて道を空ける。
俺も同じようにしてもいいが……ふむ。
「……」
丁度いい。
理不尽に宮廷を追放されて鬱憤が溜まっているんだ。
ミエーノに濡れ衣を着せられた恨みをあの引ったくり犯にぶつけてやる……!!
「【クリエイト・ゴーレム】!」
『――』
石畳の石材を原料にゴーレムを作る。
体高三メートル、肩幅二メートルほどのずんぐりした石人形が引ったくり犯の前に出現する。
「………………は? な、何でこんなところにゴーレムが……」
呆然とゴーレムを見上げる引ったくり犯の男。
その手からずるりと盗品の鞄が落ちる。
あれを回収すればこの場は収まるだろう。
しかしどうでもいい。
俺が念じるとゴーレムはゆっくりと拳を振りかぶった。
「――何で俺がコソ泥扱いされなきゃいけないんだ! ふざけるなよミエーノぉおおおおおおっ!!」
「待っ、ミエーノって誰――げふぉあああああああああっ!?」
ゴーレムの拳をもろに食らい、ひったくり犯が吹っ飛んでいく。一秒後、ドガンッ! と音を立て民家の壁にぶつかって気絶した。
よし。
「すっきりした」
『――』
すまないひったくり犯。でもお前のおかげで胸のモヤモヤが解消された。ありがとう。
「「「……何だ今のぉおおおおおおおおおおお――っ!?」」」
一拍遅れて通行人たちの叫び声が響いた。
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