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火を起こそう
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次は火起こしだ。
よくあるのは木の棒を木の板にこすりつけて摩擦熱で火を起こす、というやつだな。
普通なら重労働だろうが、何とかなる。
そう、ゴーレムがいればな!
「とりあえず火口を作るか」
さっき切り倒した木の適当な枝を切る。
石製ナイフでそれを削っていく。
がりがりがりがり……
そうしていると木くずが山ほど手に入った。
これが火を起こす時に重要な着火剤になるのだ。
摩擦熱で火種を作り、この木くず――火口をまず燃やす。そして最終的には燃え尽きにくい太い薪に燃え移らせる、というのが火起こしの手順だ。
この木くず作りの手順だけは不器用なゴーレムには任せられない。
よって俺がやる必要がある。
そんなに手間でもないからいいが。
「やべ、日が暮れてきた」
いつの間にか空が赤くなり始めている。
もう夕方だ。
夜になる前に火起こしは済ませたい。作業を急ごう。
メインの火種作りに移る。
用意するもの。
ゴーレム×三。
でかい木の棒(直径三十センチ/長さ十メートル)。
でかい木の板(五十センチ)。
道具がいちいち大きいのは仕方がない。このくらい頑丈な道具でないとゴーレムがすぐに壊してしまうからな。
『『『――』』』
まずゴーレムの一体が木の棒を地面と垂直に持つ。
さらに残り二体のゴーレムが、木の棒と接する位置に置かれた木の板を両端からしっかり支える。
準備が完了したところで――
『――』
ゴリゴリゴリギガゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!
ゴーレムが勢いよく木の棒を回転させ木の板に擦り付ける。
……凄い音だ。
周囲一帯から鳥が逃げ去っていったぞ。
俺はそのままゴーレムに木の棒を回し続けさせる。
ゴーレムには明確な利点がある。
それは疲れないことだ。
操っている俺がへばらない限りは永遠に動き続け、その性能が落ちることはない。
摩擦によって木の板が削られ、その破片が木の棒の先端部分にまとわりつく。
それらが熱を受け取り、やがて煙を放つようになる。
お、火種ができたな。
「この火種をさっき作った火口に移して……」
煙を出す木の板の破片をさっき作った木くずの塊の中に入れる。
で、息を吹きかけて火を強めていく。
しばらく酸素を供給していると――ボッ! と火口からオレンジ色の炎が生まれた。
きたきたきたきた!
俺はそれを地面に置き、屋根を作るように集めておいた薪を乗せていく。
オレンジ色の炎は薪にすぐに燃え移り、より大きく燃え始める。
「うおお、あったけー……」
たき火の近くに座って手を当てると、じんわりと熱が体に伝わってくる。
周囲はすでに薄暗くなっている。
すぐに夜が来るだろう。
間に合って良かった。
たき火の近くに石で椅子を作り、夕飯の準備をする。
と言っても行商にもらった干し肉と干し果物しか食べるものはないんだが。
あとは飲み放題の美味すぎる水。
「いただきます」
たき火で炙った干し肉を齧る。
塩っけが強いが、悪くない。
あれだ。パンが欲しくなる味だな。
続いて干しぶどう。
あー、魔術を使って疲れた脳に糖分が染みる……
たき火から上る煙を目で追うと、空はすっかり夜の色だ。
雲一つない夜空にはいくつも星が見える。
「……綺麗だなー」
思えばこんなふうにのんびり空を眺めたのなんていつぶりだろう?
宮廷にいた頃は毎日研究室にこもって新たな魔術理論を組んだり、ゴーレム作りをしたりと仕事以外の過ごし方をほとんどしていなかった。
疲れたら意識を失い、気が付いたら朝。
で、またすぐに仕事みたいな。
そんな生活を何年も続けていた。
やりがいがなかったわけじゃない。
俺の作るゴーレムが国の生活を支えてるんだと思うと誇らしかったし、責任感みたいなものもちゃんとあった。
けれど今は、色々なものから解放されて心からほっとしてしまっている。
あれだ。
俺は疲れてたのかもしれんな、色々と。
「干し肉うめぇ……」
宮廷では豪勢な食事をとる機会もあった。
庶民が一生食べられないようなものだって口にしたことはある。
けれど、こうして一人で夜空を見ながら齧る保存食が、不思議とそのどれよりも美味く感じた。
よくあるのは木の棒を木の板にこすりつけて摩擦熱で火を起こす、というやつだな。
普通なら重労働だろうが、何とかなる。
そう、ゴーレムがいればな!
「とりあえず火口を作るか」
さっき切り倒した木の適当な枝を切る。
石製ナイフでそれを削っていく。
がりがりがりがり……
そうしていると木くずが山ほど手に入った。
これが火を起こす時に重要な着火剤になるのだ。
摩擦熱で火種を作り、この木くず――火口をまず燃やす。そして最終的には燃え尽きにくい太い薪に燃え移らせる、というのが火起こしの手順だ。
この木くず作りの手順だけは不器用なゴーレムには任せられない。
よって俺がやる必要がある。
そんなに手間でもないからいいが。
「やべ、日が暮れてきた」
いつの間にか空が赤くなり始めている。
もう夕方だ。
夜になる前に火起こしは済ませたい。作業を急ごう。
メインの火種作りに移る。
用意するもの。
ゴーレム×三。
でかい木の棒(直径三十センチ/長さ十メートル)。
でかい木の板(五十センチ)。
道具がいちいち大きいのは仕方がない。このくらい頑丈な道具でないとゴーレムがすぐに壊してしまうからな。
『『『――』』』
まずゴーレムの一体が木の棒を地面と垂直に持つ。
さらに残り二体のゴーレムが、木の棒と接する位置に置かれた木の板を両端からしっかり支える。
準備が完了したところで――
『――』
ゴリゴリゴリギガゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!
ゴーレムが勢いよく木の棒を回転させ木の板に擦り付ける。
……凄い音だ。
周囲一帯から鳥が逃げ去っていったぞ。
俺はそのままゴーレムに木の棒を回し続けさせる。
ゴーレムには明確な利点がある。
それは疲れないことだ。
操っている俺がへばらない限りは永遠に動き続け、その性能が落ちることはない。
摩擦によって木の板が削られ、その破片が木の棒の先端部分にまとわりつく。
それらが熱を受け取り、やがて煙を放つようになる。
お、火種ができたな。
「この火種をさっき作った火口に移して……」
煙を出す木の板の破片をさっき作った木くずの塊の中に入れる。
で、息を吹きかけて火を強めていく。
しばらく酸素を供給していると――ボッ! と火口からオレンジ色の炎が生まれた。
きたきたきたきた!
俺はそれを地面に置き、屋根を作るように集めておいた薪を乗せていく。
オレンジ色の炎は薪にすぐに燃え移り、より大きく燃え始める。
「うおお、あったけー……」
たき火の近くに座って手を当てると、じんわりと熱が体に伝わってくる。
周囲はすでに薄暗くなっている。
すぐに夜が来るだろう。
間に合って良かった。
たき火の近くに石で椅子を作り、夕飯の準備をする。
と言っても行商にもらった干し肉と干し果物しか食べるものはないんだが。
あとは飲み放題の美味すぎる水。
「いただきます」
たき火で炙った干し肉を齧る。
塩っけが強いが、悪くない。
あれだ。パンが欲しくなる味だな。
続いて干しぶどう。
あー、魔術を使って疲れた脳に糖分が染みる……
たき火から上る煙を目で追うと、空はすっかり夜の色だ。
雲一つない夜空にはいくつも星が見える。
「……綺麗だなー」
思えばこんなふうにのんびり空を眺めたのなんていつぶりだろう?
宮廷にいた頃は毎日研究室にこもって新たな魔術理論を組んだり、ゴーレム作りをしたりと仕事以外の過ごし方をほとんどしていなかった。
疲れたら意識を失い、気が付いたら朝。
で、またすぐに仕事みたいな。
そんな生活を何年も続けていた。
やりがいがなかったわけじゃない。
俺の作るゴーレムが国の生活を支えてるんだと思うと誇らしかったし、責任感みたいなものもちゃんとあった。
けれど今は、色々なものから解放されて心からほっとしてしまっている。
あれだ。
俺は疲れてたのかもしれんな、色々と。
「干し肉うめぇ……」
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