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縄張り
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『すぴー……すぴー……』
まだ寝ているスピカを放置して起き上がる。
朝だ。
「ふぁあ~……」
家を出て顔を洗いに行く。綺麗な水で意識をしゃきっとさせてから、空を見上げると……
「……天気が悪いな」
灰色の雲が空を覆っている。
雨が降るかもしれない。
今日の活動は早めに済ませたほうがいい気がするな。
この生活を始めて初めての曇り空。
……うーむ。
何かの悪い予兆でないといいが。
――結論から言うと、その予感は残念ながら当たっていた。
「ん?」
イワナの干物をたき火で炙りながら食べていると、ばさっ、ばさっ、という羽音が聞こえてきた。
視線を上げる。
すると何かがこちらに近づいてきていた。
鳥だ。
しかも超でかい。翼を広げれば端から端までで五メートルにはなるだろう。羽毛は品格すら感じる薄黄色。
そんな巨大な鳥が二羽、こっちに向かってきている。
巨大鳥たちは俺の斜め上方で動きを止めた。明らかに俺を睨んでいる。
『キュアアアアアッ!』
敵意のこもった鋭い鳴き声が上がる。
向こうはやる気だ。
「そっちがその気ならやってやる。魔石はいくらあっても困らないしな」
まあでかい鳥くらい何とかなるだろ。
相手が飛んでいるので多少厄介ではあるが、やりようはいくらでも――
『……』
何かが弾けるような音が響く。
見れば、巨大鳥の片方がその全身から光を放っている。
……何だ? 何をしてる?
猛烈に嫌な予感がする。
『キュアアアアアアアアアアアッッ!』
光を放っていたほうの巨大鳥がひときわ強く鳴いた、その直後。
ドガンッッ!!
「……は?」
雷が、落ちた。
雲に覆われた空が光ったかと思うと、五つの雷が空から降ってきたのだ。
何だ、今の。
しかも今雷が落ちた位置って……
「……衛兵ゴーレムがやられてる、のか?」
口元が引きつる。
拠点周辺を囲むように配置している自動ゴーレムたちに直撃させられた。
どう考えてもあの巨大鳥が狙ったとしか思えない。
だが、そんなことがあり得るのか?
自然現象に過ぎないはずの雷を狙って落とした。
そんなことができる魔物なんて聞いたことがない。
「はは……そうか、そういうことだったのか」
ようやく腑に落ちた。
ずっと気になっていたのだ。行商の話ではこの森には魔物が多いらしい。それに水場探しの途中、偵察に出したリトルゴーレムの何体かは魔物に襲われたような形跡があった。
なのに俺が出会った魔物はスピカを除けばトレントのみ。
トレント。
そう。木に擬態する――隠れるのが得意な魔物。
そんな魔物だけが生き残っているとするなら、理由はもう一つしかない。
この周辺は、そこらの魔物の生存すら許さない圧倒的強者の縄張りだったのだ。
『『キュアアアアアアアアアアアアアッ!』』
巨大鳥は甲高く鳴いて殺気を撒き散らした。
……まあ、相手が強かろうとやるしかないわけだが。
せっかく作った拠点を破壊されても困るしな。
『キュアアアアアッ!』
「【ランドフォーム・ウォール】!」
バチィッ!
飛んできた電撃を土で作った壁で防ぐ。
が、もたない。
「うおっ!?」
二発目でヒビが入り、三発目で壁が吹っ飛ばされた。
飛んでくる破片を横に飛んで回避。
強すぎだろ、電撃の威力!
しかも連射のスピードが速い。これじゃあ【アースチェンジ】で足元の土を頑丈な素材に変えている時間もない。
『……』
もう片方がさっきのように光を溜めている。
……あの落雷が来る。
次はおそらく俺目がけてだ。
あんなもん食らったら当然即死。
阻止しようにも、もう一方の巨大鳥が絶え間なくバカみたいな威力の電撃を乱射してくるせいでその隙がない。
『キュアアアアアアアアア!』
そうこうしている間に力を溜めていた巨大鳥の攻撃準備が終わってしまう。
上空に光が走った。
「【ランドフォーム・スパイク】」
ドガンッッ!
雷が降る。
あらゆる生物を一撃で消し飛ばすほどの轟雷が。
地面を揺らし、衝撃の余波だけで周囲の木々か軋む。
だが――
『キュアッ……!?』
巨大鳥が動揺したような気配を発する。
当然だろう。
土煙の晴れた先には、無傷の俺がいたんだから。
「残念だったな。俺の魔術は雷と相性がいいんだ」
地属性魔術で作り出した杭に引き寄せられ、雷は俺から離れた位置に落ちた。
避雷針というやつだ。
必殺の雷撃か不発に終わって巨大鳥たちが困惑している。今が反撃のチャンスだ。
俺は両手を地面に叩きつけた。
「【クリエイト・ゴーレムハンド】!」
俺が触れた地面から膨大な量“土の腕”が出現した。
まだ寝ているスピカを放置して起き上がる。
朝だ。
「ふぁあ~……」
家を出て顔を洗いに行く。綺麗な水で意識をしゃきっとさせてから、空を見上げると……
「……天気が悪いな」
灰色の雲が空を覆っている。
雨が降るかもしれない。
今日の活動は早めに済ませたほうがいい気がするな。
この生活を始めて初めての曇り空。
……うーむ。
何かの悪い予兆でないといいが。
――結論から言うと、その予感は残念ながら当たっていた。
「ん?」
イワナの干物をたき火で炙りながら食べていると、ばさっ、ばさっ、という羽音が聞こえてきた。
視線を上げる。
すると何かがこちらに近づいてきていた。
鳥だ。
しかも超でかい。翼を広げれば端から端までで五メートルにはなるだろう。羽毛は品格すら感じる薄黄色。
そんな巨大な鳥が二羽、こっちに向かってきている。
巨大鳥たちは俺の斜め上方で動きを止めた。明らかに俺を睨んでいる。
『キュアアアアアッ!』
敵意のこもった鋭い鳴き声が上がる。
向こうはやる気だ。
「そっちがその気ならやってやる。魔石はいくらあっても困らないしな」
まあでかい鳥くらい何とかなるだろ。
相手が飛んでいるので多少厄介ではあるが、やりようはいくらでも――
『……』
何かが弾けるような音が響く。
見れば、巨大鳥の片方がその全身から光を放っている。
……何だ? 何をしてる?
猛烈に嫌な予感がする。
『キュアアアアアアアアアアアッッ!』
光を放っていたほうの巨大鳥がひときわ強く鳴いた、その直後。
ドガンッッ!!
「……は?」
雷が、落ちた。
雲に覆われた空が光ったかと思うと、五つの雷が空から降ってきたのだ。
何だ、今の。
しかも今雷が落ちた位置って……
「……衛兵ゴーレムがやられてる、のか?」
口元が引きつる。
拠点周辺を囲むように配置している自動ゴーレムたちに直撃させられた。
どう考えてもあの巨大鳥が狙ったとしか思えない。
だが、そんなことがあり得るのか?
自然現象に過ぎないはずの雷を狙って落とした。
そんなことができる魔物なんて聞いたことがない。
「はは……そうか、そういうことだったのか」
ようやく腑に落ちた。
ずっと気になっていたのだ。行商の話ではこの森には魔物が多いらしい。それに水場探しの途中、偵察に出したリトルゴーレムの何体かは魔物に襲われたような形跡があった。
なのに俺が出会った魔物はスピカを除けばトレントのみ。
トレント。
そう。木に擬態する――隠れるのが得意な魔物。
そんな魔物だけが生き残っているとするなら、理由はもう一つしかない。
この周辺は、そこらの魔物の生存すら許さない圧倒的強者の縄張りだったのだ。
『『キュアアアアアアアアアアアアアッ!』』
巨大鳥は甲高く鳴いて殺気を撒き散らした。
……まあ、相手が強かろうとやるしかないわけだが。
せっかく作った拠点を破壊されても困るしな。
『キュアアアアアッ!』
「【ランドフォーム・ウォール】!」
バチィッ!
飛んできた電撃を土で作った壁で防ぐ。
が、もたない。
「うおっ!?」
二発目でヒビが入り、三発目で壁が吹っ飛ばされた。
飛んでくる破片を横に飛んで回避。
強すぎだろ、電撃の威力!
しかも連射のスピードが速い。これじゃあ【アースチェンジ】で足元の土を頑丈な素材に変えている時間もない。
『……』
もう片方がさっきのように光を溜めている。
……あの落雷が来る。
次はおそらく俺目がけてだ。
あんなもん食らったら当然即死。
阻止しようにも、もう一方の巨大鳥が絶え間なくバカみたいな威力の電撃を乱射してくるせいでその隙がない。
『キュアアアアアアアアア!』
そうこうしている間に力を溜めていた巨大鳥の攻撃準備が終わってしまう。
上空に光が走った。
「【ランドフォーム・スパイク】」
ドガンッッ!
雷が降る。
あらゆる生物を一撃で消し飛ばすほどの轟雷が。
地面を揺らし、衝撃の余波だけで周囲の木々か軋む。
だが――
『キュアッ……!?』
巨大鳥が動揺したような気配を発する。
当然だろう。
土煙の晴れた先には、無傷の俺がいたんだから。
「残念だったな。俺の魔術は雷と相性がいいんだ」
地属性魔術で作り出した杭に引き寄せられ、雷は俺から離れた位置に落ちた。
避雷針というやつだ。
必殺の雷撃か不発に終わって巨大鳥たちが困惑している。今が反撃のチャンスだ。
俺は両手を地面に叩きつけた。
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