ブラック宮廷から解放されたので、のんびりスローライフを始めます! ~最強ゴーレム使いの気ままな森暮らし~

ヒツキノドカ

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教えて、ティア先生

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 家に戻り、テーブルを囲む。

「簡単にまとめるけど、この森にはざっくり六つの勢力が暮らしてるわ」

 そう言いながらティアが石板にチョークを走らせる。
 ちなみにチョークは俺が【アースチェンジ】で用意した石灰から作った。

「六つ、ですか? ティア様」
「ええ。西、南、北、中央に一つずつ、東に二つね」

 ティアが石板に大きな円を描き、左、下、上、真ん中に丸を一つ、右に丸を二つ描き加える。

 以外とバランスよく散らばってるんだな。

「まず、中央がアタシたちドライアド。結界を張っているからアタシたちが許可をしていない者は出入りできないわ」

 中央の丸を指さすティア。

「西はクレイの村ね」
「……俺は勢力なんて作った覚えはないんだが」
「何言ってるのよ。ここは本来、サンダーバードの縄張りなの。それを倒して傘下に加えたんだから、現状だと森の西側の王者はアナタよ?」

 サンダーバード。つまりアルティたちに代わって俺が西側の支配者みたいになってるってことか。

「この広大な森の西側をまとめ上げるなんて……さすがクレイ様です」
「まとめ上げてるかぁ? 普通にゴーレム使って拠点作っただけだぞ」
「でも、アルティちゃんたちもクレイ様を主として認めているみたいですし」
「それは……まあ、そうかもしれないけど」

 荷が重い扱いだなあ。俺はのんびり暮らしたいだけなんだが。

「話を続けるわよ。南にいるのが赤狼族ね。狼の特徴を持つ亜人――獣人よ」

 獣人というのはその名の通り、獣の特徴を持つ種族のことだ。
 珍しいと言えば珍しいが、俺も王都にいた頃何度か見かけたことがある。
 最も、狼の獣人ではなかったが。

「ホーンウルフを使って狩りをするんだって?」
「そうね。あと、足が速いわ」
「危険な連中だったりするか?」
「そんなことないわよ。ただ、縄張り意識は少し強いかも。侵入してきた人間たちをぎったんぎったんにして、身ぐるみ剥いでたのは見たことあるわ」
「……」

 それ危険じゃないか?

 彼らの勢力圏にはあまり近づかないでおこう。

「東と北は?」
「東には二つの勢力があるけど、どっちもエルフね。仲が悪くていつも喧嘩してる。もう十年ぐらいずっと争ってるんじゃないかしら?」

 東は紛争中、と。
 よし、ここも近づかない方向で。

「で、北だけど……竜がいるわ」

 声をひそめてティアが言う。

 今までとは明らかに違う雰囲気だ。
 ミリルがおそるおそる尋ねた。

「……その、どんな竜ですか?」
「強くて、大きい。近づかない方がいいわよ。今は眠ってるけど、もしあれが起きたら――」
「お、起きたら……?」
「この森の半分くらいは消し飛ぶでしょうね」

 真剣な表情でティアが告げる。
 ……

「なあ、ティア。もしかしてこの森にはヤバい連中しかいないのか?」
「大丈夫、クレイも負けてないわ。ゴーレムをあんなにたくさん操れるんだもの」

 ぐっ、と親指を立てて言うティア。

 今挙げられた連中と同列視されるの、かなり不本意なんだが。

「まあ、このあたりでのんびり暮らしてる分には平気よ。いきなり襲撃されたりなんてしないでしょうし」

 ティアはそんなことを言っているが、前振りにしか聞こえないんだよなあ……

 ……警備用ゴーレムの数を増やそう。うん。




 ティアからの説明を聞き終え、家の外に出る。

 さて、ブラックダックたちの過ごす場所を作るかな。

「【ランドフォーム・ピラー】、【ランドフォーム・ウォール】、【ランドフォーム・ルーフ】」

 いつもの建築用三点セット魔術を使い、材料を用意する。
 で、後はゴーレムに組み立てさせるだけだ。
 慣れたせいでどんどんスピードが上がってきている。

 三十分くらいで完成した。

「今日からお前たちはここで暮らすように」
『『『グワッグワッグワッ!』』』

 ブラックダックも気に入ってくれたようだ。
 扉とかは……まあ作らなくていいか。
 逃げる気配は全然ないし。

「餌は野菜の切れ端なんかで大丈夫でしょうか」
「いいんじゃない? 確か雑食よ、その子たち」

 ミリルとティアがブラックダックの食事について相談している。
 まあ、害虫駆除の時に食べる分だけではさすがに足りないだろうからな。

 というか雑食なのか。
 害虫駆除の時、勢い余って作物まで食べないように注意しないと。

「だんだん賑やかになってきましたね」
「そうね。楽しくていいと思うわ」

 ミリルとティアは、そんなふうに和やかに話していた。





 カイン大森林の西側で、クレイたちが森の勢力についてティアに教わっている頃。

「……そう。あなたたちを撃退するような人間が森の西側にいたんだ」
『ガウッ……』
「いいよ、気にしないで。狩りに失敗したのは仕方ない。みんなが戻ってきてくれただけで十分だよ」

 角を生やした狼――ホーンウルフたちに、一人の少女が話しかけている。
 赤い髪と、その頭頂部から生える狼の耳が特徴的な少女だった。

 彼女は赤狼族。
 狼の特徴を持つ獣人である。

 彼女の自分たちを気遣う言葉に、ホーンウルフたちは感極まって飛びつく。

『ガウ、ガウッ』
「きゃっ!? ちょっと、もう、甘えたがりなんだから~」

 飛びついてくるホーンウルフたちをモフモフと撫でながら、赤狼族の少女は厳しい視線を西に向けた。

「……みんなが無事に戻ったのはいいけど、西を放置はできないね。うちの子を倒した以上、絶対に見過ごせない」

 近いうちに西に向かおう。
 そしてホーンウルフを倒した人間を必ず見つけ出す。

 赤狼族の少女はそう決めた。
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感想 16

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みんなの感想(16件)

daikoku9
2025.03.05 daikoku9

おもろいです。
人間の能力やたら高いのですが、、。  
獣人その他を圧倒では。

解除
水綺
2023.05.13 水綺

VSトレントで「Fランク以上の魔物」とありますが、「以上」はそれ自体も含むので、この説明だと、「全ての魔物」が対象になるかと

解除
MID.
2023.05.13 MID.

こんばんは、いつも楽しく読ませていただいています。


教えて、ティア先生 で、
「西はクレイの村ね」
の後に、

「西と北は?」
「西には二つの勢力が……

 西は紛争中、と。
と、ありますが、
紛争中なのは東では?と思いましたまる

続きも楽しみにしています。

2023.05.13 ヒツキノドカ

感想ありがとうございます! 嬉しいです。
ご指摘の箇所を修正いたしました。話数指定まで込みで大変助かります……

解除

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