どうも、賢者の後継者です~チートな魔導書×5で自由気ままな異世界生活~

ヒツキノドカ

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メタルリザード

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 メイズニア近郊のダンジョン一層で、突然変異のAランクの魔物“メタルリザード”が暴れている。
 しかも、冒険者が一人でそいつの足止めをしているらしい。

 俺たちに助けを求めた冒険者の男たちが追加で話したことによれば、その冒険者はかなりの手練れではあるが、一人でメタルリザードの変異種を倒せるほどではないとのことだった。

 放っておけないので、ダンジョンに突っ込む。

「あっちです!」

 ロナが先行する。

「わかるのか?」

「魔物のにおいがします!」

 さすが獣人。鼻がいいんだな。

「ケント、ダンジョンの中では属性魔術を使うでないぞ。汝の制御能力では、どう考えてもダンジョンが崩落する」

「……わかったよ」

 生き埋めなんてごめんだ。くそ、せっかく属性魔術を使えるようになったのに全然生かす機会がないな……

『グルォオオオオオオ!』

「――っ、ああもう、しつこいわね!」

 なんて話しているうちに、メタルリザードと足止め役の冒険者を発見した。

 メタルリザードは、一言で表せば巨大なトカゲだ。
 ただし全身を銀色の頑丈そうな鱗にがっちり覆われており、まるで鎧をまとっているかのようだ。
 地面から頭までの高さが三メートルはあるだろう。
 ダンジョンの通路を無理やり押し広げながら進んでいる。

 メタルリザードに追い回されている冒険者は、手練れというからゴツい人物かと勝手に思っていたが、予想外に小柄だった。

 というか、小さすぎないか?
 ローブのフードを目深にかぶっているため顔はわからないが、身長はロナと大差ないだろう。
 手には大き目の杖を持っているので、魔術師だと思われる。

 メタルリザードに追いかけられるローブ姿の冒険者は、奥からこっちに向かって走ってきている。
 ローブ姿の冒険者が俺たちに気付いた。
 声を張り上げてくる。

「あなたたち、逃げなさい! このメタルリザードはまともに戦って勝てる相手じゃないわ! 魔術がろくに効かないのよ!」

「わかった! 物理的に攻撃すればいいんだな! 教えてくれて助かる!」

「違うわよ! 逃げろって言ってるの!」

 怒鳴られた。一応助けにきたんだがなあ……
 まあいいや。
 付与の書を出して、こっちに走ってくるローブ姿の冒険者とすれ違うようにメタルリザードの前に出る。

「ちょっ――!」

『グルゥウオオオオオオオオオオオオオオオオオ!』

「【ヘヴィ】、【ストレングス】」

 ズドンッ!

『……!?』

 自分の重さと腕力を付与魔術によって強化した俺は、付与の書を持っていないほうの手でメタルリザードの突進を受け止める。
 かなりの威力だけど……多分ガレオスほどじゃないだろう。
 いや、あれと比べるのがおかしいのか。

「……は!? め、メタルリザードの突進を、片手で……!?」

 ローブ姿の冒険者が驚いている。
 とりあえず、倒してしまうか。

「【インパクト】」

 呪文を唱え、デコピンの要領でメタルリザードの額を弾く。すると、バゴンッ! という音がしてメタルリザードが真後ろに吹き飛んだ。

 【インパクト】は触れた箇所の衝撃を増幅させる魔術だ。
 これにより俺のデコピンの威力が跳ね上がったのだ。
 しかも【ストレングス】で強化した腕力が元なので、衝撃はそれはもうとんでもないことになっている。

『――――……』

「よし、倒したな」

「倒したな、じゃないわよ! あなた一体何なの!? あんな大きな魔物をあっさり倒してしまうなんて、普通じゃないわよ!」

 ローブ姿の冒険者が突っ込んでくる。

「ケント様はすごいお方なのです」

 ロナ、それは説明になっているのか。

「怪我はないか?」

「大したことはないわ。……顔を隠したままお礼を言うのも不誠実ね」

 ローブ姿の冒険者がフードを取る。
 俺は驚いた。
 フードの下から現れたのは、おそろしいまでに整った少女の顔だった。
 金色のロングヘアは絹のように光沢を放ち、釣り気味の大きな瞳は翡翠のよう、肌は透き通るほどに白い。

 ……が、一番目を引かれたのは木の葉型の耳だ。

「……エルフ?」

「ええ、そうよ。私は冒険者のルシア。助けてくれてありがとう」

 獣人がいるからまさかと思ったけど、エルフもいるのか、この世界。
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