神と魔王の弟子は魔法使い 〜神喰いの継承者〜

ルド

文字の大きさ
42 / 101
第4章 弟子の魔法使いは試験よりも魔神と一騎討ち(でも試験荒らして学園トップ共を蹴落とす)

特別企画 クリスマスはサバイバル(弟子はミニサンタのプレゼントを欲した)。

しおりを挟む
 本日12月25日はクリスマス。前日のイブではマドカとジィちゃんとで、昼は子供会のサンタ祭りに参加。本格的なジィちゃんサンタとマドカのミニサンタに子供達が大はしゃぎ。夜は家でアイドル選挙の大バトル生放送を見て盛り上がっていたが(ジィちゃんだけ)。

 今日はなんとマドカと二人っきり。ジィちゃんは昔の付き合いの人達と集まるらしく、本日は遅くまで俺たちだけとなる。家では本当に珍しい事だった。
 少しだけハメを外したくなった俺は、マドカと一緒に最新ゲームでもしないかと誘おうとしたところ……。

「これよりゲームをしましょう。雪合戦です」

 ミニ(スカートもミニな)サンタが雪で出来たようなバズーカと片手に白い袋を背負って雪が積もる中庭で待っていた。……ワッツ?

「ルールを説明します」

 まだ何も喋ってないのに説明が始まった。

「武器は全て雪関係とします」

 武器が雪という時点で普通じゃない。そのバズーカも雪だからありってことか?

「相手を戦意喪失するか消し去るか、もしくは参ったと言わせたら勝ちとします」

 それ実質二つしか勝利条件ないよね? 雪で戦意喪失とかどんだけ過激な雪合戦なの?

「あなたが勝ったらこちらを差し上げます」

 と言って大きな白い袋を見せる。何が入ってるか知らないけど勝負は決定なの?

「はい」
「心を読まないで」

 というわけで始まりました雪合戦(みたいな魔法戦)。
 プレゼントを賭けてまさかのマドカとの魔法勝負。いつの間にか中庭がサバゲーみたいに雪の壁や高台まで出来ている。……何処から用意したか、雪色の銃まで出来ていた。

「まぁ、撃ちまくる方が良さそうだな」

 一応ハンドタイプも二丁付けるが、片手用のマシンガンで挑む。
 合図の雪玉が空に上がると花火のように光って破裂した。

「行きます! 刃!」
「いきなりか!」

 プレゼント争奪戦が開始された。
 壁の隙間からバズーカを撃ってくるマドカ。スピードはまぁまぁだが、相当圧縮されて固められた雪玉(ボーリングサイズ)がこちらの雪壁を粉々に破壊して攻めて来た。……兵器やん。

「……っ危ないな!」

 遠慮していた吹き飛ばされる。片手用のマシンガンで豆粒の雪玉を連射する。

「『雪の壁スノー・フォール』」

 だが、マドカは異世界の雪魔法で張った障壁で雪の連射を防ぐ。
 トンと壁の上に飛び乗ると微笑を浮かべてバズーカを向けた。

「って、ヤバ……!」

 発射される大玉が俺の地面を吹き飛ばす。
 マシンガンを盾にするが、反動で跳ね上がる俺の体。咄嗟に身体強化を使って体に掛かる反動の押し殺す。

「まだだ……!」

 無くしたマシンガンの代わりに左右のハンドガンを抜いて……撃った。

「っ……雪よ!」

 しかし、マドカも想定してなかったわけじゃない。
 無詠唱の操作魔法プラス精霊の力も込めた雪の操作。沢山の太い蔓のようにして俺のハンドガンの雪玉を全て弾いたが……。

「え……銃が消えた?」

 撃っていた銃が無くなった俺の片手を見て、呆然とした顔をして……。

「天地魔法───『入れ替わる運命アルカナ・シャフル』」

 俺は放り投げていた銃が彼女の側に落ちそうになったところで派生魔法を発動。俺の位置が移動した。

「──ッ!?」

 彼女の側で俺は落ちる銃をキャッチして、そのままマドカへ向けようとしたが、寸前で反応したマドカの雪壁に銃ごと弾かれる。

「ッ!」
「させません!」

 だが、空いているもう一丁を向け──かけたところで、マドカの雪蔓が銃を持つ俺の腕に絡み付く。雪とは思えない硬さですぐには振り解けない。

「なら!」

 パパパパパパパパンッ!とそのまま銃を乱射。全く関係ない方向へ球が飛んでいくが、その球には俺の魔力が込められている。

「ッ、天地で操作しましたか!」

 軌道変えて迫ってくる球を見て、咄嗟に絡めていた蔓を振るって俺を球の方へ投げ飛ばすが、全ての球は俺が支配している。飛ばされながらも雪玉を操作した。

「『曲がる歪な弾丸カット・ショット』!」
「『雪国の樹スノー・ツリー』!」

 ……正直ここまで白熱するとは思わなかった。
 相手に軌道を読めせない魔弾のスキルは、俺の十八番の一つだ。雪属性は決してマドカの得意属性ではない筈だが、歪に飛ぶ俺の雪球を全部弾いてみせた。

「──
「──

 気付いたらお互いに本気の状態に入った。

 二つの魔力が一つになる『魔力融合』。
 眠る魔王の血を覚醒させる『血統覚醒』。

「『全弾発射フル・バースト』ッ!『曲がる歪な弾丸カット・ショット』ッ!」
「『雪国の祝祭スノー・パーティー』ッ!『白き雪王スノー・ロード』ッ!」

 用意していたマガジンを十消費した雪球の弾幕嵐。
 それに対抗するようにマドカは巨大な雪ダルマで迎え撃って来た。



 途中からなんとなく気付いたが……これは絶対雪合戦じゃない。
 雪を利用した魔法戦はさらに白熱していく。いよいよ用意していたマガジンが尽きそうになったところで……。

「崩れろ『属性優劣エレメント・チェンジ』」
「それは……ッ!?」

不動なマドカに隙が生まれた。
溶けるように崩壊する雪ダルマ。背に乗っていたマドカの体勢が崩れたところで、弾切れの銃を捨てる。

「ミヤモト流──八式改」
「ッ……!? 『雪国スノー……」

 雪で剣を作ったのを見て、慌てて新たに魔法を発動しようとしたが───。


「遅い!『雪桜・白華乱れ桜ユキザクラ・シロバナミダレザクラ』ッ!」


 素早く繰り出された雪刀の乱舞がマドカを斬り裂いた。峰打ちだけど、勝敗は決した。



「プレゼントってこれ?」

 袋の中に入っていたのは、雪ダルマのぬいぐるみ。大きいやつで多分手作りだが……。

「俺ってぬいぐるみ好きって思われてる?」

 偶にマドカの考えが分からない時がある。なんてリビングで眠っている彼女を見て、ふとぬいぐるみを弄っていると……鼻のあたりがスイッチになっていた。

「え、何これ?」

 ポチッと押したら雪ダルマが変形。
 ガシャガシャと音をたてて雪ダルマだった物が雪色のバズーカに変わった。

「……」

 試しに残った壁を的に片手で引き金を引いた。
 マドカが使っていた物と同じで大玉が発射されて、壁が粉々に吹き飛んだ。

「……」

 もう一度思った。……うちのメイドさんは俺の事どう思ってるんだろうと。

 こうして高校の受験前、ちょっとした二人っきりのクリスマスイベントは幕を閉じた。
 ……プレゼントは雪ダルマ(バズーカ)のぬいぐるみであった。


*作者コメント*
 ちょっと遅いですが、クリスマスの特別編になります。
 本編待っていた人には申し訳ありませんが、受験前のクリスマスの話を追加しました。
 ちなみに貰ったぬいぐるみ(バズーカ)を使う機会は未定です(笑)。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

(更新終了) 採集家少女は採集家の地位を向上させたい ~公開予定のない無双動画でバズりましたが、好都合なのでこのまま配信を続けます~

にがりの少なかった豆腐
ファンタジー
突然世界中にダンジョンが現れた。 人々はその存在に恐怖を覚えながらも、その未知なる存在に夢を馳せた。 それからおよそ20年。 ダンジョンという存在は完全にとは言わないものの、早い速度で世界に馴染んでいった。 ダンジョンに関する法律が生まれ、企業が生まれ、ダンジョンを探索することを生業にする者も多く生まれた。 そんな中、ダンジョンの中で獲れる素材を集めることを生業として生活する少女の存在があった。 ダンジョンにかかわる職業の中で花形なのは探求者(シーカー)。ダンジョンの最奥を目指し、日々ダンジョンに住まうモンスターと戦いを繰り広げている存在だ。 次点は、技術者(メイカー)。ダンジョンから持ち出された素材を使い、新たな道具や生活に使える便利なものを作り出す存在。 そして一番目立たない存在である、採集者(コレクター)。 ダンジョンに存在する素材を拾い集め、時にはモンスターから採取する存在。正直、見た目が地味で功績としても目立たない存在のため、あまり日の目を見ない。しかし、ダンジョン探索には欠かせない縁の下の力持ち的存在。 採集者はなくてはならない存在ではある。しかし、探求者のように表立てって輝かしい功績が生まれるのは珍しく、技術者のように人々に影響のある仕事でもない。そんな採集者はあまりいいイメージを持たれることはなかった。 しかし、少女はそんな状況を不満に思いつつも、己の気の赴くままにダンジョンの素材を集め続ける。 そんな感じで活動していた少女だったが、ギルドからの依頼で不穏な動きをしている探求者とダンジョンに潜ることに。 そして何かあったときに証拠になるように事前に非公開設定でこっそりと動画を撮り始めて。 しかし、その配信をする際に設定を失敗していて、通常公開になっていた。 そんなこともつゆ知らず、悪質探求者たちにモンスターを擦り付けられてしまう。 本来であれば絶望的な状況なのだが、少女は動揺することもあせるようなこともなく迫りくるモンスターと対峙した。 そうして始まった少女による蹂躙劇。 明らかに見た目の年齢に見合わない解体技術に阿鼻叫喚のコメントと、ただの作り物だと断定しアンチ化したコメント、純粋に好意的なコメントであふれかえる配信画面。 こうして少女によって、世間の採取家の認識が塗り替えられていく、ような、ないような…… ※カクヨムにて先行公開しています。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

処理中です...