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第5章 弟子の魔法使いは世界を彼らと共に守り抜く(掟破りの主人公大集結編!!)
第68話 異世界の来訪者たち 邂逅編(弟子は暑さと事態に目を疑う)。
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眩い光に飲まれた九条凪。抗おうとするも荒波のように引っ張られて、思うように自由が利かない。……体感であるが、既に二時間はこの波に流されていた。
「……『破波の術』!」
下手に動くと危険だと流れに任せていたが、何時間も終わりの見えない波に遂に我慢の限界がきた。
彼女の異能【陰陽】の力が込められた御札を出して解放。自身を飲み込んでいる波を吹き飛ばした。
「出たけど、何処……って!?」
波から解放されるとさっきまでのデタラメな光とは異なる太陽の光にさらされる。一瞬眩しそうにするが、続いて襲いかかってくる熱気、熱風の方に不快感を感じて無意識に手で顔を覆う。最後に体が宙に放られているのだと感覚的に理解して、数秒で眩しさにも慣れた目を動かしまず下を眺めようとして───絶句した。
「高っ!」
そこは地上からずっと上空。日本の街らしき高層ビルが見下ろせるくらいの高度。あともう少し高かったら酸素問題で呼吸も危うかったが、そんな起きなかった心配事よりも今現在起きている事態に凪は軽く血の気が引いた。
「最悪だ! 零も居ないし私だけで!?」
存在がチートな幼馴染とは光の波の中で逸れてしまった。もしかしたら近くにいるかと気配を探りたいが、そんな余裕も彼女にはない。
「っ、落ちる!」
重力に従って彼女の体は一気に落下していく。今度は暑さよりも体に当たる強烈な風に顔を引き攣らせる。なんとか冷静に努めようと新たな札を取り出して、両手でガシッと掴んで祈った。
「け『結界陣のっっ!?」
衝撃を抑えようと結界の術を使おうとした。だが、その結界が発動されるよりも早く彼女の体は落下の重力から回避された。
「……え?」
気付いたら彼女の体はゆっくりと降下をしている。彼女の術はまだ発動していないのに困惑する彼女を無視して、数分掛けてゆっくりと何処かの公園らしき場所で降ろされる。辺りに人は見えなかった。
「い、今のは……いったい」
「浮遊の魔術、間に合って良かった」
「……っ!?」
人はいない。そう思っていた凪の背後から声が……ビックリした様子で振り返る。上から見下ろしていた際は居なかった筈の二人組の男女が……いつの間に彼女の背後で待っていた。
「つまり変態衝動で彼女の胸に触ろうとしたと? ダメですよ? 見た目はともかく中身アレですから殺されます」
「貴方も殺して欲しいのか?」
「いや、不可抗力だって! 朦朧としてる時に素晴らしい御山が見えて、つい!」
「貴様は絶対殺す!」
「はいはい、桜香ストップ」
桜香の悲鳴に駆け付けたら桜香が男性を撲殺しかけていた。こんなキレた桜香を見るのは久々だけどもの凄く納得できた。けどステイだ。やっちゃいそうな勢いの桜香には悪いが、男の方には俺も何処か違和感を覚えていた。
「ホント申し訳ない! この暑さもあって思考がマジで回ってなくてよ」
「っ! まさか熱中症!? だったらすぐ病院に!」
「あ、いやいや! 確かに暑いが、フラついてたのは別の理由で!(船酔いって言うか次元酔いしただけ……なんて言えない)」
確かに倒れるそうな暑さだ。流石に怒りを忘れて焦る桜香の言葉に慌てて否定する男性。表情を見た限り熱中症の疑いは見られないが。
「……」
黒髪で背丈は俺より高め。シンプルなTシャツにズボン。この暑いのに茶色のジャケットを腕に乗せている。格好自体は厚着なジャケット以外は普通に見えるが……。
「……********?」
「は? なんて?」
異世界の……師匠の世界の言葉で話してみるが、理解出来ていない反応に違和感は感じられない。……気のせいって事か? 探って見ても特に何も感じないし……魔力が全然感じられないのは不思議だが。
「なんでもない。体調が優れないなら救急車呼ぶか? それとも近くの病院まで案内してもいいが?」
「だ、大丈夫大丈夫! 大分調子も良くなっ──あ、あれ?」
本当に体調が悪いならと提案するが、男は手をブンブン振って断ろうと……する中、彼の周囲に突如キラキラとした光が集まっていく。その際、なんだと目を向けただけで何もしなかったのは殺気や攻撃の気配を感じられなかったからだ。染み付いた危機察知の五感が無意識にソレを無害だと認識した事で、その光がやがて男を包み込もうとしても呆然と見ているしかなく……
【危ない!】
【逃げてください!】
頭に直接届くような女の声。途端、彼を覆おうとした光の粒子が弾き飛ばされる。予期せぬ展開に男も俺たちも唖然とする中、飛ばされた粒子が一つ一つ琥珀色の鎖の欠片となって落ちた。
「魔道具」
「ッ何処から!」
ひと目でそれが欠片が何なのか理解した俺が呟く。反応して桜香が腰に付けていた警棒を取り出して一気に伸ばした。俺も持っていた銀銃を出して周囲を警戒していると……。
「念の為の拘束だったが、仕方ないか」
「貴方は強引なのよ。圧倒的な精霊の気配からして彼がそうなんでしょ?」
そう言った男の声、それに女の声に俺たちは一斉に声の方へ振り向く。すぐさま桜香が警棒を構えて俺も銃を向けようとしたが。
「落ち着け神喰い」
「──ッ!」
男の方が知らない筈のその名を告げた。構えようとした銀銃が点滅を起こしてブルブルと激しく振動。標準が合わせれず引き金もハンマーも動かせなくなった。
「なんで……」
「安全装置だ。付けてるに決まってるだろ?
「は?」
格好は明らかに日本人のそれではない。ファンタジー映画に出てそうな模様が付いた黒いマントを着る黒髪の男性。もう一人は胸当てや籠手など金属防具を各部位に付けたスカート、同じく赤いマントを付けた紅い髪の女性。
二人とも俺たちより年上に見えるが……雰囲気のそれは異世界の人達と同等。特に男の方は師匠と同じ雰囲気がある。
「シルバーから聞いてないのか? その銃は作ったのは私だ」
「え??」
何言ってんのこの人は……というか異世界人なのか? こっちの男も変だしどうなってる?
「シルバー? 銃? なんの話?」
何にも知らない桜香がハテナマークだらけの目で向けてくる。男の発言で余計な面倒が増えた。どうしてくれる。
「そうか、そっちの彼女さんは知らないのか」
「か、彼女!?」
「違うけど確かに知らない」
「さっきから何の話!?」
もう桜香の顔は見ない。なんか温度が余計に上がった気がする。
「なるほど……じゃあ、まずは場所を変えようか」
言うや男は両手を広げると散らばっていた鎖が発光。地面で線を描いて見た事ない魔法陣を作り上げる。
「うわっ!」
「桜k──ッ!?」
俺たち全員を囲うように描かれた光の魔法陣。桜香だけを強制的に外側に弾き飛ばすや中にいた俺たちを眩い光が飲み込むと……。光が止んだそこは何もないボロボロの部屋であった。
「っ……こ、此処は」
「今は使われてない建物だ。許可は取ってないので何も壊すなよ」
「いや、既に廃墟なんだけど」
そう説明する男の手元に魔法陣を描いていた鎖が集まる。小さいなネックレスのようになって手のひらで巻き付いた。専用の魔道具のようだが、魔法式がかなり特殊だ。魔力は一応感じるが、根本的な部分が全然違う。
「で、こんな場所に俺たちを連れて来たワケって何なんだ?」
「色々な事が一度に多く発生している。混乱もよく理解できるが、どうか話を聞いてほしい」
「貴方達は……誰なんだ?」
銃が使えない。男は安全装置だと言ったが、本当に製作者なのか? だとすれば師匠の世界の住人という事になるが、この人から感じる魔力は……何かあの世界の人達と違う。
「私はシュウ・カミヤ。魔術師だ」
「私はクレハ・スカーレット。剣士をして彼の護衛を務めているの」
男性と女性はそれぞれ簡単に自己紹介を済ませる。あくまで話すのはシュウと名乗る黒髪の男性のようで、クレハという紅い髪の女性は後ろに退がった。
「シルバーの弟子の龍崎刃君だね? 悪いけど少し用がある。……いや、少しでは済まないと思うから覚悟してほしい」
「用……ですか?」
「緊急事態だ。間も無くこの世界に魔王が現れる。それも元守護獣でもあった神の化身だ」
気の所為か空の向こうで何かガラスが割れる音がした。
よりにもよってこの夏休み中でかと嘆きたくなったが、向こうにそんな気遣いや遠慮など皆無なのだと改めて理解した。
*作者コメント*
現代世界(略)転生魔術師 登場人物
シュウ・カミヤ(魔術師)*転生前の名前
クレハ・スカーレット(剣士)*転生前の名前、元勇者(略)に登場
「……『破波の術』!」
下手に動くと危険だと流れに任せていたが、何時間も終わりの見えない波に遂に我慢の限界がきた。
彼女の異能【陰陽】の力が込められた御札を出して解放。自身を飲み込んでいる波を吹き飛ばした。
「出たけど、何処……って!?」
波から解放されるとさっきまでのデタラメな光とは異なる太陽の光にさらされる。一瞬眩しそうにするが、続いて襲いかかってくる熱気、熱風の方に不快感を感じて無意識に手で顔を覆う。最後に体が宙に放られているのだと感覚的に理解して、数秒で眩しさにも慣れた目を動かしまず下を眺めようとして───絶句した。
「高っ!」
そこは地上からずっと上空。日本の街らしき高層ビルが見下ろせるくらいの高度。あともう少し高かったら酸素問題で呼吸も危うかったが、そんな起きなかった心配事よりも今現在起きている事態に凪は軽く血の気が引いた。
「最悪だ! 零も居ないし私だけで!?」
存在がチートな幼馴染とは光の波の中で逸れてしまった。もしかしたら近くにいるかと気配を探りたいが、そんな余裕も彼女にはない。
「っ、落ちる!」
重力に従って彼女の体は一気に落下していく。今度は暑さよりも体に当たる強烈な風に顔を引き攣らせる。なんとか冷静に努めようと新たな札を取り出して、両手でガシッと掴んで祈った。
「け『結界陣のっっ!?」
衝撃を抑えようと結界の術を使おうとした。だが、その結界が発動されるよりも早く彼女の体は落下の重力から回避された。
「……え?」
気付いたら彼女の体はゆっくりと降下をしている。彼女の術はまだ発動していないのに困惑する彼女を無視して、数分掛けてゆっくりと何処かの公園らしき場所で降ろされる。辺りに人は見えなかった。
「い、今のは……いったい」
「浮遊の魔術、間に合って良かった」
「……っ!?」
人はいない。そう思っていた凪の背後から声が……ビックリした様子で振り返る。上から見下ろしていた際は居なかった筈の二人組の男女が……いつの間に彼女の背後で待っていた。
「つまり変態衝動で彼女の胸に触ろうとしたと? ダメですよ? 見た目はともかく中身アレですから殺されます」
「貴方も殺して欲しいのか?」
「いや、不可抗力だって! 朦朧としてる時に素晴らしい御山が見えて、つい!」
「貴様は絶対殺す!」
「はいはい、桜香ストップ」
桜香の悲鳴に駆け付けたら桜香が男性を撲殺しかけていた。こんなキレた桜香を見るのは久々だけどもの凄く納得できた。けどステイだ。やっちゃいそうな勢いの桜香には悪いが、男の方には俺も何処か違和感を覚えていた。
「ホント申し訳ない! この暑さもあって思考がマジで回ってなくてよ」
「っ! まさか熱中症!? だったらすぐ病院に!」
「あ、いやいや! 確かに暑いが、フラついてたのは別の理由で!(船酔いって言うか次元酔いしただけ……なんて言えない)」
確かに倒れるそうな暑さだ。流石に怒りを忘れて焦る桜香の言葉に慌てて否定する男性。表情を見た限り熱中症の疑いは見られないが。
「……」
黒髪で背丈は俺より高め。シンプルなTシャツにズボン。この暑いのに茶色のジャケットを腕に乗せている。格好自体は厚着なジャケット以外は普通に見えるが……。
「……********?」
「は? なんて?」
異世界の……師匠の世界の言葉で話してみるが、理解出来ていない反応に違和感は感じられない。……気のせいって事か? 探って見ても特に何も感じないし……魔力が全然感じられないのは不思議だが。
「なんでもない。体調が優れないなら救急車呼ぶか? それとも近くの病院まで案内してもいいが?」
「だ、大丈夫大丈夫! 大分調子も良くなっ──あ、あれ?」
本当に体調が悪いならと提案するが、男は手をブンブン振って断ろうと……する中、彼の周囲に突如キラキラとした光が集まっていく。その際、なんだと目を向けただけで何もしなかったのは殺気や攻撃の気配を感じられなかったからだ。染み付いた危機察知の五感が無意識にソレを無害だと認識した事で、その光がやがて男を包み込もうとしても呆然と見ているしかなく……
【危ない!】
【逃げてください!】
頭に直接届くような女の声。途端、彼を覆おうとした光の粒子が弾き飛ばされる。予期せぬ展開に男も俺たちも唖然とする中、飛ばされた粒子が一つ一つ琥珀色の鎖の欠片となって落ちた。
「魔道具」
「ッ何処から!」
ひと目でそれが欠片が何なのか理解した俺が呟く。反応して桜香が腰に付けていた警棒を取り出して一気に伸ばした。俺も持っていた銀銃を出して周囲を警戒していると……。
「念の為の拘束だったが、仕方ないか」
「貴方は強引なのよ。圧倒的な精霊の気配からして彼がそうなんでしょ?」
そう言った男の声、それに女の声に俺たちは一斉に声の方へ振り向く。すぐさま桜香が警棒を構えて俺も銃を向けようとしたが。
「落ち着け神喰い」
「──ッ!」
男の方が知らない筈のその名を告げた。構えようとした銀銃が点滅を起こしてブルブルと激しく振動。標準が合わせれず引き金もハンマーも動かせなくなった。
「なんで……」
「安全装置だ。付けてるに決まってるだろ?
「は?」
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二人とも俺たちより年上に見えるが……雰囲気のそれは異世界の人達と同等。特に男の方は師匠と同じ雰囲気がある。
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「え??」
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何にも知らない桜香がハテナマークだらけの目で向けてくる。男の発言で余計な面倒が増えた。どうしてくれる。
「そうか、そっちの彼女さんは知らないのか」
「か、彼女!?」
「違うけど確かに知らない」
「さっきから何の話!?」
もう桜香の顔は見ない。なんか温度が余計に上がった気がする。
「なるほど……じゃあ、まずは場所を変えようか」
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「うわっ!」
「桜k──ッ!?」
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「っ……こ、此処は」
「今は使われてない建物だ。許可は取ってないので何も壊すなよ」
「いや、既に廃墟なんだけど」
そう説明する男の手元に魔法陣を描いていた鎖が集まる。小さいなネックレスのようになって手のひらで巻き付いた。専用の魔道具のようだが、魔法式がかなり特殊だ。魔力は一応感じるが、根本的な部分が全然違う。
「で、こんな場所に俺たちを連れて来たワケって何なんだ?」
「色々な事が一度に多く発生している。混乱もよく理解できるが、どうか話を聞いてほしい」
「貴方達は……誰なんだ?」
銃が使えない。男は安全装置だと言ったが、本当に製作者なのか? だとすれば師匠の世界の住人という事になるが、この人から感じる魔力は……何かあの世界の人達と違う。
「私はシュウ・カミヤ。魔術師だ」
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「シルバーの弟子の龍崎刃君だね? 悪いけど少し用がある。……いや、少しでは済まないと思うから覚悟してほしい」
「用……ですか?」
「緊急事態だ。間も無くこの世界に魔王が現れる。それも元守護獣でもあった神の化身だ」
気の所為か空の向こうで何かガラスが割れる音がした。
よりにもよってこの夏休み中でかと嘆きたくなったが、向こうにそんな気遣いや遠慮など皆無なのだと改めて理解した。
*作者コメント*
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