大好きな貴方への手紙

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嘘だと言って

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昨日は素直に食事を取り泣いた事から疲れていたのだろう寝てしまっていた

薄情な人間だ・・・。エルヴィス様が苦しんでいるのに

呑気に食べて満足して寝てしまう

ただ、泣いた後とあって目は腫れぼったくむくんでいる

急いで準備をし公爵様と一緒にアルベル侯爵邸へ向かった

エルヴィス様・・・・どうか無事で




とても急いでくれたのだろう昼過ぎにはアルベル侯爵邸へ到着する

門番も何も言わず馬車を通してくれる

入口に見える場所に人影が見えた

彼の執事と、我が両親の姿に驚く

「え?なんで?」

馬車の中で呟いた時公爵様から低い声で「・・・遅かったか」と聞こえた

まさか!!

馬車が止まり急いで一人で馬車を降りた

そこにいた父と母の顔は暗くなんとも言えない顔をしている

「・・・ぁ、あの、お父様?お母様?ここへはどうして?」

「あぁ私の可愛いイブレクト」

質問の答えは返ってこない、母に抱きしめられる

抱きしめている母は小刻みに震えている

・・・・遅かったかと言った公爵様、父に母の表情、母は震えている

もしかして間に合わなかった?

「エ、エルヴィス様は?」

執事が重く口を開いた

「・・・・お部屋に」

その瞬間、父が顔を背けて肩が震える

「・・・うそ」

母は抱きしめる力が強くなり顔を背けた

「・・・冗談でしょ?」

誰も何も言ってくれない

「信じないから!」

淑女としてあり得ない行動だろうが今はそんなこと言っていられない

執事が止めるのを無視して走り出していた

後から公爵様と父、母そして執事が追ってくる

部屋を開けるとベットに横たわる包帯で顔が判らないぐらい巻かれたエルヴィス様が見えた

・・・・・横たわっているだけ胸が動いて居ない、呼吸をしていないのだとわかる

「・・・・な、なんで?」

「お嬢様申し訳ございません、坊ちゃまは・・・・」

「・・・なによ、寝てるのよね?」

「・・・・いいえ、寝て居ません」

「じゃ、ここで横になっているのは何よ!」

「・・・・・」

「イブ・・・。」

「お母様・・・エルヴィス様が」

「・・・・・」

皆無言になり顔を背ける

皆の沈黙、静寂のなか誰も動かない

嫌だ・・・。そっと近づき触れてみる

ヒンヤリとした冷たい感触から人が持つ熱を一切感じなかった

「「「「いやぁぁぁぁぁ」」」」

泣きながらベットに縋りつく

ガタン!何か動いた音がしたがそれどころではなく気づきさえもしなかった

「「やだよぉエルヴィス様、起きてぇぇ」」

「坊ちゃまはお嬢様をとても愛しております」

「嘘よ、嫌っていたわ!」

「いいえ、坊ちゃまは不器用な方でしてお嬢様に男らしくみせたい一心であのような態度をとっておりました」

「・・・本当に?」

「えぇ、お嬢様からの手紙を読んで泣いてしまわれておりました」

「・・・・私の、勘違いでエルヴィス様は死んじゃったの?」

「・・・・・。」

「・・・・私が勝手に居なくなったから」

「イブレクト嬢、自分を責めないで」

「公爵様・・・でも私が彼の前から消えなかったら」

涙を流しながら彼にしがみ付く

最後にお顔を拝見したくそっと包帯へ手を伸ばそうとしたら

「あ」

「え?」

執事が声を上げた

びっくりして振り返ったが「いえ・・・・今は見ないであげてほしく」

「・・・嫌よ、きちんと姿を見たいわ」

手を伸ばすと公爵様に止められる

「きちんとしてからの方が彼のためだよ?」

「・・・・こんな最後ないわ」





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