貴方と何故こうなった

涙

暗い

そこはその一言に尽きた。

古い使われなくなった屋敷、その離れにそこは存在した。

扉を開くとギギギッと音がなり力をいれて押し入った

見えるだけでも牢が続いている

手分けし迷路みたいな牢内を探す

日の光がうっすらとしか入らないなか焦る気持ちを押し殺し懸命に捜索を続けた。

「隊長、本当にここで間違い無いのでしょうか？」

何も返答できない、何か手掛かりだけでも欲しい
その時奥を捜索中の隊員が声を上げた

「「こちらへ来てください！」」

数名と急ぎ駆け寄る

「どうした！」

「はい、こちらの壁が建物の構造と合っていない気がしまして、色んな所をさわっていましたら」

そう言って隊員が壁を触りながら1ヶ所で止まる

「ここです！石が動くので隠し通路があるかもしれません」

隊員と共に壁に張り付き触れて、押して、何かの拍子にからくりが上手く作動出来たのだろう壁が動き奥へと通路が見えた。

「・・・更に暗いな、明かりが無いと見えない」

灯りを持ち数名と入る

少し入ると下りの階段が表れた。

数名の足音と共に下り終えると数部屋の牢が見えた。

そして、人形の様に動かない倒れた人

急いで駆け寄る

牢の入り口はただ外から閉められているだけで鍵などはかかって居なかった。
だが、内側からは開けられない構造の上、倒れている人の前腕を重なるように背中際で縛られ、足首も縛られて倒れていた。

身動ぎもせず眼を閉じたままの人へ近付く

「サナ」

抱き起こす。

冷たい身体がくたりと腕にしなだれる

最悪な事態を予想していた。

ただの逆恨みなら生死など問わない

だが、身体がまだ、柔らかい！

「急げ！まだ息はある！」

縛っている縄を切り捨て抱き上げる

抱きしめ少しでも暖めたい

急ぎ階段を駆け上がり待たせていた馬車へ

馬車が急ぎ動き出す

「サナ、遅くなってごめん・・・サナ、サナ」

眠るような顔に雫が落ちた

自分が涙を流している事に気がついたが馬車が停まるまで流れる涙を止めはしなかった。