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報告書12『フレイム王国』
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「網と袋は買ってくるしかどうしようもないよな……」
俺は困っていた。
意気揚々と作戦は成功だと確信していたのだが、こんな場所にブラックホースがいるとは……
実はこのダンジョンに住み着いたスズネ、ダンジョンからは出たくないというこだわりがあるのだ。その割に俺が寝ている間ダンジョン出てったよな。
「なあスズネ。この作戦に網と大きな袋はどうしても必要なんだ。だから……」
「うん。行ってきていいよ。前も行ったけどレイドが外に出たいなら好きな時に出ていっていいんだよ」
俺が腹を割ろうと逡巡しているのを他所に即答で返って来た。
「けど、スズネ一人じゃ……」
「ははは、大丈夫だよ。私には『魔除けの加護』があるからね」
そうだった。こいつにはありえないような能力が付与されていた。
「じゃあ言葉に甘えて……」
俺は後ろにある扉に向かい、前にぴたと止まると扉に手を掛け本当に行っていいものかとここでもまた逡巡する。
「何してるの? 早く行きなよ」
「う、うん。気をつけろよ」
意を決して扉を開く。
扉の向こう側は長い長い階段だ。
俺はもう一度スズネの方へ振り返る。スズネは満面の笑みで手を振っていた。スズネの満面の笑みを見ると俺は安堵する。そうだ、少しの間ここを留守にするだけで、別に遠出で長い別れなわけでもないのだからここまで心配する必要はないではないか。
「じゃぁ行ってくるよ」
いつもの調子に戻ると俺は長い階段を一気に駆け上がった。
外は昼間のようで日光が差し込んでいる。その光目指して俺はダッシュする。
「久しぶりの空気だぁぁ!」
久しぶりの外界に懐かしさを覚えるおいしい新鮮な空気が肺を通る。
ダンジョンを出て直ぐのところに広がる寛大な草原。風が吹きその緑を波打たせる。恐る恐る左を向くと、見上げなければいけない程大きな城が佇んでいた。そうこのダンジョンに隣接する世界でも名高い国家、フレイム王国だ。
「うわぁすげー。俺も一度はあの城から街を見下ろしてみたいな」
そんな淡い期待を胸に今後ともダンジョンにお世話になります。
◆
「うっはー、すげーデカイ。これが城下街か。俺のいた街とは比べ物にならんね」
一直線に伸びる道が巨大な城まで続いており、その傍らに人を集わせ賑わう店が数多にある。城下街の店で賑わい過ぎて道を通るのも困難な程。それだけ人が集まる財力を持っているのだと見せられんばかりの人口密度だった。
俺はその人混みをせっせと掻き分けて通っていく。歩みを進める度に、武器屋やよろず屋、宿屋から酒場まで目に入り大勢の人がそこへ集っている。そんな光景を見て俺もあの中の一員になりたいと思った。
「えーと俺が目指している場所は、っておっと、うわっ」
人混みが凄すぎて考え事なんてしていられない。俺はどこか空いているところは、と探し店と店の間にもう一つの道を発見する。
そこは別に混雑している訳でもなくまた暗がりで盗賊がたむろしている訳でもない。店も転々と並んでいる、しかし中心街と比べて少々人気が少ないというだけ。つまり王国の中心に一直線と伸びる道に隣接する店は名のある店なのだろう、しかし一歩外れるとこのように俺が見てきたような光景がずらりと並んでいる訳だ。
俺にはこっちの方が見慣れているからこっちの方が性に合っているかも知れん。
「そんで俺は網と、大きな袋を買いに来たんだよな」
冒険に使うような代物なら冒険者ギルドに行くのが早いだろうが、もう一度あの人混みを掻き分けそれにあれ以上に人がいそうなフレイム王国冒険者ギルドなんてところには行きたくない。それに俺の持ち金全部はたいても足りないようなものしか置いていなさそうなので俺はこっちの賑わいが少しない商店街でよろず屋を見つける事にした。
幾らか歩くとそこによろず屋があった。値札を見るが多くて銀貨2、3枚。俺でも十分に買える金額だ。
「すいません。網を一つとできるだけ大きな袋を一つ、それとこの縄で」
「あいよ、大きな袋ってのはこれでいいか?」
俺に見せてくれたのは人一人入りそうな大きな袋。プチレッドを入れるには、十分過ぎる大きさだった。俺は、黙って頷いた。
「あいよ、全部で銀貨2枚になるね」
「おお、安いな」
「だろー。俺んとこは安売りが商売の売りなのよ! なんて俺も言ってみたいよ」
よろず屋のおっちゃんは静かに中心街を眺めた。
「大丈夫だよ、おっちゃんなら直ぐ大成出来るって」
「そうか、ありがとよ。それサービスだ銀貨1枚でいいよ」
「本当か! ありがと!」
俺は銀貨1枚をおっちゃんの掌へ置く。そして商品を受け取ると、俺は手を振って別れを告げた。
「じゃあ、またなんかあったらここに来るよ!」
「そりゃありがたいね。いつかここの店と契約出来たらもっと嬉しいの」
おっちゃんも手を振り返してくれた。
俺はまた中心街へと戻っていき王国の出口を目指した。
いい、おっちゃんだったな。もし本当にダンジョンが街になったら真っ先に呼んでやろう。
その為にも俺はまずダンジョンへ戻ってあの化物を倒す作戦を練らないといけない訳だ。
「うし、気合入れてくぞ!」
名残り惜しいが俺は王国を後にした。
俺は困っていた。
意気揚々と作戦は成功だと確信していたのだが、こんな場所にブラックホースがいるとは……
実はこのダンジョンに住み着いたスズネ、ダンジョンからは出たくないというこだわりがあるのだ。その割に俺が寝ている間ダンジョン出てったよな。
「なあスズネ。この作戦に網と大きな袋はどうしても必要なんだ。だから……」
「うん。行ってきていいよ。前も行ったけどレイドが外に出たいなら好きな時に出ていっていいんだよ」
俺が腹を割ろうと逡巡しているのを他所に即答で返って来た。
「けど、スズネ一人じゃ……」
「ははは、大丈夫だよ。私には『魔除けの加護』があるからね」
そうだった。こいつにはありえないような能力が付与されていた。
「じゃあ言葉に甘えて……」
俺は後ろにある扉に向かい、前にぴたと止まると扉に手を掛け本当に行っていいものかとここでもまた逡巡する。
「何してるの? 早く行きなよ」
「う、うん。気をつけろよ」
意を決して扉を開く。
扉の向こう側は長い長い階段だ。
俺はもう一度スズネの方へ振り返る。スズネは満面の笑みで手を振っていた。スズネの満面の笑みを見ると俺は安堵する。そうだ、少しの間ここを留守にするだけで、別に遠出で長い別れなわけでもないのだからここまで心配する必要はないではないか。
「じゃぁ行ってくるよ」
いつもの調子に戻ると俺は長い階段を一気に駆け上がった。
外は昼間のようで日光が差し込んでいる。その光目指して俺はダッシュする。
「久しぶりの空気だぁぁ!」
久しぶりの外界に懐かしさを覚えるおいしい新鮮な空気が肺を通る。
ダンジョンを出て直ぐのところに広がる寛大な草原。風が吹きその緑を波打たせる。恐る恐る左を向くと、見上げなければいけない程大きな城が佇んでいた。そうこのダンジョンに隣接する世界でも名高い国家、フレイム王国だ。
「うわぁすげー。俺も一度はあの城から街を見下ろしてみたいな」
そんな淡い期待を胸に今後ともダンジョンにお世話になります。
◆
「うっはー、すげーデカイ。これが城下街か。俺のいた街とは比べ物にならんね」
一直線に伸びる道が巨大な城まで続いており、その傍らに人を集わせ賑わう店が数多にある。城下街の店で賑わい過ぎて道を通るのも困難な程。それだけ人が集まる財力を持っているのだと見せられんばかりの人口密度だった。
俺はその人混みをせっせと掻き分けて通っていく。歩みを進める度に、武器屋やよろず屋、宿屋から酒場まで目に入り大勢の人がそこへ集っている。そんな光景を見て俺もあの中の一員になりたいと思った。
「えーと俺が目指している場所は、っておっと、うわっ」
人混みが凄すぎて考え事なんてしていられない。俺はどこか空いているところは、と探し店と店の間にもう一つの道を発見する。
そこは別に混雑している訳でもなくまた暗がりで盗賊がたむろしている訳でもない。店も転々と並んでいる、しかし中心街と比べて少々人気が少ないというだけ。つまり王国の中心に一直線と伸びる道に隣接する店は名のある店なのだろう、しかし一歩外れるとこのように俺が見てきたような光景がずらりと並んでいる訳だ。
俺にはこっちの方が見慣れているからこっちの方が性に合っているかも知れん。
「そんで俺は網と、大きな袋を買いに来たんだよな」
冒険に使うような代物なら冒険者ギルドに行くのが早いだろうが、もう一度あの人混みを掻き分けそれにあれ以上に人がいそうなフレイム王国冒険者ギルドなんてところには行きたくない。それに俺の持ち金全部はたいても足りないようなものしか置いていなさそうなので俺はこっちの賑わいが少しない商店街でよろず屋を見つける事にした。
幾らか歩くとそこによろず屋があった。値札を見るが多くて銀貨2、3枚。俺でも十分に買える金額だ。
「すいません。網を一つとできるだけ大きな袋を一つ、それとこの縄で」
「あいよ、大きな袋ってのはこれでいいか?」
俺に見せてくれたのは人一人入りそうな大きな袋。プチレッドを入れるには、十分過ぎる大きさだった。俺は、黙って頷いた。
「あいよ、全部で銀貨2枚になるね」
「おお、安いな」
「だろー。俺んとこは安売りが商売の売りなのよ! なんて俺も言ってみたいよ」
よろず屋のおっちゃんは静かに中心街を眺めた。
「大丈夫だよ、おっちゃんなら直ぐ大成出来るって」
「そうか、ありがとよ。それサービスだ銀貨1枚でいいよ」
「本当か! ありがと!」
俺は銀貨1枚をおっちゃんの掌へ置く。そして商品を受け取ると、俺は手を振って別れを告げた。
「じゃあ、またなんかあったらここに来るよ!」
「そりゃありがたいね。いつかここの店と契約出来たらもっと嬉しいの」
おっちゃんも手を振り返してくれた。
俺はまた中心街へと戻っていき王国の出口を目指した。
いい、おっちゃんだったな。もし本当にダンジョンが街になったら真っ先に呼んでやろう。
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「うし、気合入れてくぞ!」
名残り惜しいが俺は王国を後にした。
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