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勇者と村人
ポーション造り2
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俺達はただ皿に乗せてあるキリギリ草を磨り潰し、キリギリ草が身体を痛めつけられたことで反射的に出す自己再生液、こっちの業界で言うところの魔力成分をビンにため続けていた。
葉一枚から出てくる液は本当に微量でキリギリ草を百枚磨り潰したら辺でようやく小型のビンいっぱいになって来たところだ。
「おーい、ヘルレスさん。これ結構貯まったと思うんですけど」
俺は一応聞いて見る。
「お、本当ですね。ありがとうございます。これに純水を少し加えれば、っと出来上がりです」
八割程キリギリ草の魔力成分で満たされていた小型のビンに純水な水を入れ満タンになったところで完成となったらしい。
ヘルレスさんはフタの部分にコルクをクイッと嵌め込むと机にポンと置いた。
「これが僕の作るハイポーションです。一本に大量のキリギリ草と大量の労力がかかる。一人で作るにはは限界が来るんです。ですので手伝いを雇ったのですが……冒険者ギルドもなかなか対応してくれなくて。今日は本当にありがとうございます」
どうやら商業ギルドの人達も相当な苦労を重ねているらしい。
そうだよな、キリギリ草などは冒険者がクエストとして採取しなくてはならないのに、碌に採取もせず、討伐クエスト行くからポーション寄越せだものな。俺達は金なくてハイポーションなんて持っての他ポーションすら扱ったことがないんだけれど。
そう考えると冒険者って結構自己中心的過ぎる。もう少し商業ギルドの人達を労わなくてはなるまい。それが商業人の仕事だろと割り切ってしまえばそれまでなのだが……
「ヘルレスさん。感謝の言葉を言うにはまだ早いぜ!」
「「え?」」
ヘルレスさんはまだ手伝ってくれるのか? という驚きだった。まぁ確かに今まで冒険者達にあしらわれてきたため驚きだったのだろう。
俺は正直カルラがこんな地道なこと出来る奴だとは思っていなかった。そのうち発狂して『クエストに行く!』と言い出すだろうと。
だが、カルラは言った。
感謝をするにはまだ早いと。
まさか、カルラには本当に勇者として心が芽生えて来ているのではないか?
人助けをするのも勇者。
全ての人に手を差し伸べられる勇者となるために、カルラは変わりつつあるのでは?
「まったく、言葉だけはいっちょ前に勇者だな、この野郎」
「だろ? 困っている人がいるなら助けなければな」
「そうだな」
モンスターは未だに倒した事のない欠陥品勇者だけれどまぁ少しだけ勇者として認めてやってもいいかなと思ったこの頃だった。
困っている人に手を差し伸べるのは人として当たり前の気もしなくはないのだがな、うん。
「本当に手伝ってくれるのですか?」
「勿論さ、ヘルレスさんはそこで熱心に研究してな。俺達でなんとかしとくからよ」
「よし、やるか!」
俺達はまた作業に戻った。
新しいキリギリ草を皿に乗せすり潰し、魔力成分をビンに貯めていく。そろそろこの作業にも手慣れてきた頃合いらしく一連の作業が徐々にスムーズとなっていった。
………………
…………
……
作業を始めてどれくらい経っただろうか?
研究室は陽が当たらないように窓が設置されていないため時間の経過が分かりにくい。
「よし、これで20本だ。うっはぁ疲れたぁ」
「本当に最後まで……感謝してもしきれないよ」
作業を終えた俺達に気づいたヘルレスさんは律儀にも紅茶を持って来てくれ、一休みするよう促した。まぁ動きたくても動いてくれないこの身体ではどうしようもない。ここはヘルレスさんの甘えに乗るとするか。
俺達は紅茶を口に含む。
香ばしい香りと仄かに甘い味が口の中でブレンドされ疲れ切った体をどんどんと癒やしてくれる。
「あの、これが今日の報酬です、受け取って下さい」
「おっ、ありがとう。って、こんなに貰えないよ!」
机に置かれたのは巾着袋がパンパンに膨れ上がった見なくても分かる大量の金。開けて中を見てみれば銀色の輝きが視界の全てを圧倒する。
「何枚あるんだ、この銀貨は!?」
「金貨3枚分ですね」
金貨三枚……
ということは……
「銀貨300枚かよ! いや、これは流石に無理だ受け取れない! そもそも俺達の最初の報酬は銅貨50枚だったはず、それが600倍なんて意味わかんねえよ!」
本当に意味が分からん。俺達はクエストですらこんな大金を手にしたことがない。
「これは、なら将来に期待してですよ。カルラさんが勇者として名を馳せるようになったとき内を贔屓してもらえるようにの投資ということで。それとクラークさんがこれからも『素材集め』を続けてくれるための交渉材料ということで」
「いや、でも……いいのか?」
ここまで言われたら逆に貰わないほうが失礼な気がしてしまう。別に金に目が眩んだとかじゃない、断じて違う! いや、ちょっと眩んだかも……
「はい、いいですよ。こちらにはまだまだ有り余るほどのお金はありますから」
「おい嫌味言ってんのか? 俺達は金が全くないんだぞ?」
「なら素直に受け取ればいいじゃないですか!」
逡巡していた俺を押し切るかのように銀貨の詰まった袋を押し付けて来た。俺の胸元でパッと手を離され反射的に袋を掴む。
それを俺が受け取ったとしたのかヘルレスさんは柔和な笑みを浮かべた。
強引過ぎるぜおい。商業の世界はこれくらい強気でないと生き残れないのだろうか?
「さて、これで金は入ったわけだが、どうするカルラ?」
「…………」
「ん?」
そういえばさっきからやけに静かだなとは思っていたが……
カルラの方を覗き見ると彼は気持ち良さそうに眠っていた。確かに疲れたしなぁ。って、あれ、こいつの気持ち良さそうな寝顔見てたら俺まで眠くなってきた。
「お金無いんでしたっけ?」
頭がコクリコクリと揺れだした俺の背後から突然声をかけられる。
いや全然突然ではない。眠気で先程あたりから記憶が途切れ途切れになっているだけだ。
俺達の飲んだ紅茶のコップを片付け終えヘルレスさんは問うた。
俺は寝ぼけながらそれらしく答える。
「無いよ」
「そうですか、なら宿とかにも」
「うん」
もう何を聞かれているか、何を答えているかも分からない。
「ならここでゆっくりしていって下さい。机片付けますからここで雑魚寝でも」
「ありがとう」
そう言ってヘルレスさんは机や器具など邪魔な物を片付けた後布団を敷いて俺達を寝かせてくれた。
俺は布団に倒れ込むなり、一気に睡魔に襲われ――。
気がついたら翌朝。
いや朝かも分からん。なんたって窓がないからな。
だが一つ明確に分かるのは久々にぐっすり寝られた事だ。今まで馬小屋で臭い中まともな布団もなく寝てたからな、あれに慣れすぎて布団という高給品が目につかなくなっていたが……やはり布団で寝るのっていいな。
てか、昨日の記憶がヘルレスさんからお金を受け取ったあたりから曖昧なのだが。
どうして俺達はこの研究所で寝かせてもらっていたんだ?
「あ、起きたんですね。おはようございます」
「ん、あぁ。おはよう」
「どうしてこんなところに? って顔をしていますね。まぁ説明しますとクラークさんがここで眠りこけちゃったからなんですけど、追い出すのも流石に出来ませんし結構大変そうでしたのでここで休んでもらおうと思っただけです」
最後の最後まで優しさの全てを見せてくれたヘルレスさん。感謝してもしきれない。
「おい、いつまで寝てんだこのアホ勇者!」
いつもの目覚まし、俺の拳が勇者に降り注ぐ。
まったくの不意打ちである俺の拳を受けたカルラはぐはっと嗚咽にも似た声を吐瀉し、次には上半身を起こしていた。
「よう、おはよう」
「何澄ました顔でおはようなんて言ってんの?」
カルラの額には青筋が浮かんでいる。どうやら相当お怒りのよう。
確かにいつもより寝心地良かったしなぁ。
「何怒ってんだよとか思ってんだろ? 誰のせいだと思ってんだ!」
うわぁ、キレた、キレちゃったよ。
俺は声を荒げているカルラをゴミでも見るかのような目で見て、
「誰のせいってそりゃいつまで経っても起きないお前だろ?」
俺が思っている事を言ってやった。
実際のところは9対1くらいの比率で俺の方が断然悪い気がするけどな。
「あぁもういいよ。慣れたよ、いつもいつもいつも、俺の腹をボコスカボコスカするものだから慣れちゃったよ!」
「そりゃぁ良かったじゃないか。これでモンスターに攻撃されても痛くないからようやくクエストを成功させられるな。駄目勇者」
「うるさい! 見てろ、今日俺がクエスト成功させるのを見せてやるからな!」
こうして俺達の日常が戻って来た。
今からギルドに行ってクエストを受けて……クエスト成功させてほしいな……
だが、残念。なぜなら、
「今日は次の手伝い場所に行かなくちゃいけないぞ。なんたってもともとはここの報酬だけでは家賃返済に足りなかったんだから」
「その言い方だと今は大丈夫に聞こえるけど?」
あぁこいつ寝てたから知らないのか。なら話が早い。
「すまん、俺の言い方が悪かった。ここの報酬だけでは足りてないよ」
俺はヘルレスさんの方を見て真実は言わないでくれと視線を送る。ヘルレスさんは了解してくれたのか機転を効かせてくれた。
「まぁ人助けも含めて勇者ですし頑張ってくださいね」
「そうだ、俺は勇者だ。だから困っている人に手を差し伸べなければならない。そうと分かれば直ぐ行かなくては。早く、行くぞ」
カルラは急にやる気を出し始めた。ったく扱い易い奴。
「ヘルレスさんありがとうございました」
「うん、ありがとうな。貴重な体験が出来ておもしろかったよ。また来るからその時はよろしく頼むよ」
俺達は礼を告げると研究所を退室した。
外に出ると陽の光が一気に降り注いだ。うっ、眩しい。一日中陽の当たらない場所で過ごしていたから目が日光に耐えきれていない。
俺は深く目を閉じゆっくり目を開けた。
瞬間、何かが見えた気がした。違和感のようなものを。
だが周りを見渡しても何もない。
「おーい、何してるんだよクラーク」
「いや、なんでもない」
長い事中に籠もっていたせいで頭がおかしくなったのだろうか。この街で送られているのは極普通の光景だ。
「気のせいだな」
俺は気持ちを切り替えるとカルラの後を追った。
そそくさと先を歩いていっているがあいつは待ち合わせ場所を知らないからな。
葉一枚から出てくる液は本当に微量でキリギリ草を百枚磨り潰したら辺でようやく小型のビンいっぱいになって来たところだ。
「おーい、ヘルレスさん。これ結構貯まったと思うんですけど」
俺は一応聞いて見る。
「お、本当ですね。ありがとうございます。これに純水を少し加えれば、っと出来上がりです」
八割程キリギリ草の魔力成分で満たされていた小型のビンに純水な水を入れ満タンになったところで完成となったらしい。
ヘルレスさんはフタの部分にコルクをクイッと嵌め込むと机にポンと置いた。
「これが僕の作るハイポーションです。一本に大量のキリギリ草と大量の労力がかかる。一人で作るにはは限界が来るんです。ですので手伝いを雇ったのですが……冒険者ギルドもなかなか対応してくれなくて。今日は本当にありがとうございます」
どうやら商業ギルドの人達も相当な苦労を重ねているらしい。
そうだよな、キリギリ草などは冒険者がクエストとして採取しなくてはならないのに、碌に採取もせず、討伐クエスト行くからポーション寄越せだものな。俺達は金なくてハイポーションなんて持っての他ポーションすら扱ったことがないんだけれど。
そう考えると冒険者って結構自己中心的過ぎる。もう少し商業ギルドの人達を労わなくてはなるまい。それが商業人の仕事だろと割り切ってしまえばそれまでなのだが……
「ヘルレスさん。感謝の言葉を言うにはまだ早いぜ!」
「「え?」」
ヘルレスさんはまだ手伝ってくれるのか? という驚きだった。まぁ確かに今まで冒険者達にあしらわれてきたため驚きだったのだろう。
俺は正直カルラがこんな地道なこと出来る奴だとは思っていなかった。そのうち発狂して『クエストに行く!』と言い出すだろうと。
だが、カルラは言った。
感謝をするにはまだ早いと。
まさか、カルラには本当に勇者として心が芽生えて来ているのではないか?
人助けをするのも勇者。
全ての人に手を差し伸べられる勇者となるために、カルラは変わりつつあるのでは?
「まったく、言葉だけはいっちょ前に勇者だな、この野郎」
「だろ? 困っている人がいるなら助けなければな」
「そうだな」
モンスターは未だに倒した事のない欠陥品勇者だけれどまぁ少しだけ勇者として認めてやってもいいかなと思ったこの頃だった。
困っている人に手を差し伸べるのは人として当たり前の気もしなくはないのだがな、うん。
「本当に手伝ってくれるのですか?」
「勿論さ、ヘルレスさんはそこで熱心に研究してな。俺達でなんとかしとくからよ」
「よし、やるか!」
俺達はまた作業に戻った。
新しいキリギリ草を皿に乗せすり潰し、魔力成分をビンに貯めていく。そろそろこの作業にも手慣れてきた頃合いらしく一連の作業が徐々にスムーズとなっていった。
………………
…………
……
作業を始めてどれくらい経っただろうか?
研究室は陽が当たらないように窓が設置されていないため時間の経過が分かりにくい。
「よし、これで20本だ。うっはぁ疲れたぁ」
「本当に最後まで……感謝してもしきれないよ」
作業を終えた俺達に気づいたヘルレスさんは律儀にも紅茶を持って来てくれ、一休みするよう促した。まぁ動きたくても動いてくれないこの身体ではどうしようもない。ここはヘルレスさんの甘えに乗るとするか。
俺達は紅茶を口に含む。
香ばしい香りと仄かに甘い味が口の中でブレンドされ疲れ切った体をどんどんと癒やしてくれる。
「あの、これが今日の報酬です、受け取って下さい」
「おっ、ありがとう。って、こんなに貰えないよ!」
机に置かれたのは巾着袋がパンパンに膨れ上がった見なくても分かる大量の金。開けて中を見てみれば銀色の輝きが視界の全てを圧倒する。
「何枚あるんだ、この銀貨は!?」
「金貨3枚分ですね」
金貨三枚……
ということは……
「銀貨300枚かよ! いや、これは流石に無理だ受け取れない! そもそも俺達の最初の報酬は銅貨50枚だったはず、それが600倍なんて意味わかんねえよ!」
本当に意味が分からん。俺達はクエストですらこんな大金を手にしたことがない。
「これは、なら将来に期待してですよ。カルラさんが勇者として名を馳せるようになったとき内を贔屓してもらえるようにの投資ということで。それとクラークさんがこれからも『素材集め』を続けてくれるための交渉材料ということで」
「いや、でも……いいのか?」
ここまで言われたら逆に貰わないほうが失礼な気がしてしまう。別に金に目が眩んだとかじゃない、断じて違う! いや、ちょっと眩んだかも……
「はい、いいですよ。こちらにはまだまだ有り余るほどのお金はありますから」
「おい嫌味言ってんのか? 俺達は金が全くないんだぞ?」
「なら素直に受け取ればいいじゃないですか!」
逡巡していた俺を押し切るかのように銀貨の詰まった袋を押し付けて来た。俺の胸元でパッと手を離され反射的に袋を掴む。
それを俺が受け取ったとしたのかヘルレスさんは柔和な笑みを浮かべた。
強引過ぎるぜおい。商業の世界はこれくらい強気でないと生き残れないのだろうか?
「さて、これで金は入ったわけだが、どうするカルラ?」
「…………」
「ん?」
そういえばさっきからやけに静かだなとは思っていたが……
カルラの方を覗き見ると彼は気持ち良さそうに眠っていた。確かに疲れたしなぁ。って、あれ、こいつの気持ち良さそうな寝顔見てたら俺まで眠くなってきた。
「お金無いんでしたっけ?」
頭がコクリコクリと揺れだした俺の背後から突然声をかけられる。
いや全然突然ではない。眠気で先程あたりから記憶が途切れ途切れになっているだけだ。
俺達の飲んだ紅茶のコップを片付け終えヘルレスさんは問うた。
俺は寝ぼけながらそれらしく答える。
「無いよ」
「そうですか、なら宿とかにも」
「うん」
もう何を聞かれているか、何を答えているかも分からない。
「ならここでゆっくりしていって下さい。机片付けますからここで雑魚寝でも」
「ありがとう」
そう言ってヘルレスさんは机や器具など邪魔な物を片付けた後布団を敷いて俺達を寝かせてくれた。
俺は布団に倒れ込むなり、一気に睡魔に襲われ――。
気がついたら翌朝。
いや朝かも分からん。なんたって窓がないからな。
だが一つ明確に分かるのは久々にぐっすり寝られた事だ。今まで馬小屋で臭い中まともな布団もなく寝てたからな、あれに慣れすぎて布団という高給品が目につかなくなっていたが……やはり布団で寝るのっていいな。
てか、昨日の記憶がヘルレスさんからお金を受け取ったあたりから曖昧なのだが。
どうして俺達はこの研究所で寝かせてもらっていたんだ?
「あ、起きたんですね。おはようございます」
「ん、あぁ。おはよう」
「どうしてこんなところに? って顔をしていますね。まぁ説明しますとクラークさんがここで眠りこけちゃったからなんですけど、追い出すのも流石に出来ませんし結構大変そうでしたのでここで休んでもらおうと思っただけです」
最後の最後まで優しさの全てを見せてくれたヘルレスさん。感謝してもしきれない。
「おい、いつまで寝てんだこのアホ勇者!」
いつもの目覚まし、俺の拳が勇者に降り注ぐ。
まったくの不意打ちである俺の拳を受けたカルラはぐはっと嗚咽にも似た声を吐瀉し、次には上半身を起こしていた。
「よう、おはよう」
「何澄ました顔でおはようなんて言ってんの?」
カルラの額には青筋が浮かんでいる。どうやら相当お怒りのよう。
確かにいつもより寝心地良かったしなぁ。
「何怒ってんだよとか思ってんだろ? 誰のせいだと思ってんだ!」
うわぁ、キレた、キレちゃったよ。
俺は声を荒げているカルラをゴミでも見るかのような目で見て、
「誰のせいってそりゃいつまで経っても起きないお前だろ?」
俺が思っている事を言ってやった。
実際のところは9対1くらいの比率で俺の方が断然悪い気がするけどな。
「あぁもういいよ。慣れたよ、いつもいつもいつも、俺の腹をボコスカボコスカするものだから慣れちゃったよ!」
「そりゃぁ良かったじゃないか。これでモンスターに攻撃されても痛くないからようやくクエストを成功させられるな。駄目勇者」
「うるさい! 見てろ、今日俺がクエスト成功させるのを見せてやるからな!」
こうして俺達の日常が戻って来た。
今からギルドに行ってクエストを受けて……クエスト成功させてほしいな……
だが、残念。なぜなら、
「今日は次の手伝い場所に行かなくちゃいけないぞ。なんたってもともとはここの報酬だけでは家賃返済に足りなかったんだから」
「その言い方だと今は大丈夫に聞こえるけど?」
あぁこいつ寝てたから知らないのか。なら話が早い。
「すまん、俺の言い方が悪かった。ここの報酬だけでは足りてないよ」
俺はヘルレスさんの方を見て真実は言わないでくれと視線を送る。ヘルレスさんは了解してくれたのか機転を効かせてくれた。
「まぁ人助けも含めて勇者ですし頑張ってくださいね」
「そうだ、俺は勇者だ。だから困っている人に手を差し伸べなければならない。そうと分かれば直ぐ行かなくては。早く、行くぞ」
カルラは急にやる気を出し始めた。ったく扱い易い奴。
「ヘルレスさんありがとうございました」
「うん、ありがとうな。貴重な体験が出来ておもしろかったよ。また来るからその時はよろしく頼むよ」
俺達は礼を告げると研究所を退室した。
外に出ると陽の光が一気に降り注いだ。うっ、眩しい。一日中陽の当たらない場所で過ごしていたから目が日光に耐えきれていない。
俺は深く目を閉じゆっくり目を開けた。
瞬間、何かが見えた気がした。違和感のようなものを。
だが周りを見渡しても何もない。
「おーい、何してるんだよクラーク」
「いや、なんでもない」
長い事中に籠もっていたせいで頭がおかしくなったのだろうか。この街で送られているのは極普通の光景だ。
「気のせいだな」
俺は気持ちを切り替えるとカルラの後を追った。
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